2000年4月の映画


カリスマ
1999年 日本 103分
監督・脚本 黒沢清(
「CURE」 「地獄の警備員」
撮影 林淳一郎
美術 丸尾知行
音楽 ゲイリー芦屋
出演 役所広司(薮池五郎)/池内博之(桐山直人)/大杉漣(中曾根敏)/風吹ジュン(神保美津子)/洞口依子(神保千鶴)
メモ 2000.4.30 シネマアルゴ梅田
あらすじ
刑事の薮池五郎は人質をとって立て籠もった犯人に対し射殺する機会があったにもかかわらず、発砲しなかったため両方を死なせてしまう。犯人は自殺する直前、薮池に「世界の法則を回復せよ」という訳のわからないメッセージを手渡していた。人質の代議士を死なせてしまったため薮池は無期限の休暇を取らされる。世間から身を隠せという事か。帰宅拒否症なのか薮池は家には帰らず、森の中に入り込む。その森では植樹した木は根付かず若い木から次々と枯れていた。森の私有地には一本の不思議な木があり、ひとりの青年が点滴を打ったり世話をしている。その青年は、「あの木はカリスマって言うんだ。何千年も生きる木だ。」と大事にしている。一方森には学者も研究のため住み着いていた。その学者は「あの木の根が毒を出し、森の他の木を枯れさせている。生態系をくずしているのよ。」と言う。どちらの言う事が本当なのか。正体不明の得体のしれないモノの影響を受け妄想からか狂い踊らされる人間達。その得体の知れないものは動かず、物も言わないというのに。
感想
わけわからへん。。。。哲学的。
強いモノが生き残るのが自然の定めなのか、それともザコでも大勢を残す方を選ぶべきなのか、2つの共生はできないのか、成り行きに任せれば2つとも滅ぶのか、1つを選ばなければならないのかという「生き残るのは1か2か0か」といったストーリーだったと思う。自分自身が閉塞的な状況に陥った時、その状況を打破するには何を頼みにすべきなのか。自分の個性・生き方を貫くのか、世間に烏合すべきなのか、両方生かすすべはないのかという話にも見える。結局主人公がとった道は、すべてを一端崩壊させそこからの新たな再生という事なんだろう。

面白いんかなあ、この映画。面白いような面白くないような。「面白い」と言い切る事もできないし「つまらん」と切り捨てる事もできない。映画を見終わった後、もやもやした欲求不満が残る。森から出る事ができないところが何故か安部公房原作の映画「砂の女」を思い出した。

最近映画で発砲シーンを見ていると頭の中に浮かんでくる映像がある。小高くなった土の上を逃げる若者ふたりにパンパンと発砲するシーンだ。確か黒沢清監督の「蛇の道」だったと思う。あの映画のラストももうひとつはっきりしませんでしがそれでもハッとする動きのあるシーンはあった。が、この映画にはない。と思う。メッセージ色が強く難しい。「出口なし」みたいなんです。
おすすめ度★★★1/2
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デス・ウォッチ Death Watch −SFデス・ブロードキャスト−
1980年 仏=西独 126分
監督 ベルトラン・タヴェルニエ
出演 ロミー・シュナイダー(キャサリン)/ハーヴェイ・カイテル(ロディ)/ハリー・ディーン・スタントン/マックス・フォン・シドー/ロビー・コルトレーン
メモ 2000.4.29 CSシネフィル・イマジカW録画
あらすじ
近未来、死病に取り憑かれた人が死ぬまでを放送するドキュメンタリ番組「デス・ウォッチ」は高視聴率をとっていた。何故こんな番組が高視聴率かと言えば現実社会の老人達はホームに収容され身近に”死”というものが無くなり人々はTVからしか学べない、疑似体験出来ないのだ。
ロマンス作家のキャサリン(ロミー・シュナイダー)は医師から余命幾ばくもない事を宣告される。キャサリンは何も知らないがその告知シーンから「デス・ウォッチ」の番組として撮影されていた。NTVのロディ(ハーベイ・カイテル)は目がカメラにサイボーグ化されていて文字通りのカメラマン。報道陣から逃げるキャサリンに巧みに近づきふたりで逃避行を続けながらも番組にリアルな映像を密かに送り続けているのだった。
感想
発想はとてもいいと思うんです。SFファンは押さえておく価値はあると思う。「クリムゾンの迷宮」を思い出すような所もあって。が、ヨーロッパ映画だからかドキュメンタリータッチのせいなのかいくらかまとまりがなく辛気くさくロミー・シュナイダーの腰回りも気になる。しかしその厭世的で鬱陶しい所が異色でもあると思う。最後はマックス・フォン・シドーが出てきて締めてはいましたがありがちなラストかな。多くの人に共有された”死”を自分の手に取り戻すにはこの解決法しかなかったのか。

TV局に雇われた車の運転手が「心理探偵フィッツ」のフィッツ役ロビー・コルトレーン、若かったです。
おすすめ度★★★
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エレファントソング
1994年 日本 60分
監督 利重剛
脚本 法川修
撮影 小島和彦
音楽 SION
出演 松田美由紀/三谷昇/寺島進/あがた森魚
メモ 2000.4.23 WOWOW録画
感想
映像も工夫されているし話もよくできているんです。喫茶店で働くシングルマザーの所に突然昔世話になった警備員が死んだと連絡がはいるんですね。「今まで何の役にもたたなかったから、死んだら焼かずに埋めて欲しい。土になって木の養分になりたい。」という初老の警備員との約束を守るために埋める場所を探し、腐りかけている警備員の死体を山までエッチラオッチラ背負って穴を掘り埋葬する。8才の息子に親の一生懸命の姿を見せるという文部省推薦になってもいいくらいのいいお話なんですけれどねぇ(ため息)。
4分の3くらいまで見続けるのがしんどかった。この考えなしのシングルマザーに心の広いさぼてんが(嘘)反撥してしまう。どうしようもないくらい。私グータラなもんで、几帳面な女の人や計算高い女の人は苦手なんですけれど、あまりの考えなしにも疲れる。思いやりのある優しい心根の人なんですけれど。「見た目はパッパラパーでもホントは優しい人」っていうステロタイプ過ぎるんとちゃうかな。ええように利用されているお人好しの寺島進が「女手ひとつで子供育てるの大変だろ?」と問えば、「女ってなんとかなるもんなのよ。」ってそら若くてかわいいからやろ!(ああ、こんな事思う自分がいや)。飢えたような煙草の吸い方も見ていてしんどい。これって、残り4分の1を生かすためのワザなんでしょうか? 反感を持ちながらも共感していくってとこはなかったなあ。
恐らく松田美由紀があわない。この方演技うまいんでしょうか? とてもそうは思えん。最後の4分の1はなかなかいいんですけれど、それでも最後の歌といい制作者やスタッフみんながけなげな松田美由紀に「ひとりでよう頑張った。エライエライ」と言っているように感じてしまう。。。

題名の「エレファントソング」は「象が死ぬ時は墓場までひとりで行きひっそり死ぬ」という言い伝えから。
おすすめ度★★1/2
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人魚伝説
1984年 日本 ディレクターズ・カンパニー=ATG 110分
監督 池田敏春
原作 宮谷一彦(みややかずひこ)
脚本 西岡琢也
撮影 前田米造
音楽 本田俊之
出演 白都真理/江藤潤/清水健太郎/青木義朗/宮下順子/清水宏
メモ 2000.4.21 ビデオ
あらすじ
漁師の啓介と海女のみぎわの若夫婦は今日もあわび漁にでては喧嘩。「あげるの遅いんやわ」「お前が綱を引くのがたらんのじゃ」。「ものいわにゃあええおなごやのになあ」とぼやく啓介。それでも平和なある夜、漁に出た啓介はモーター・ボートに乗った何者かが人殺しをするのを目撃する。
感想
鬼神の怒り。壮絶でした。
不正を告発するとか社会の歪みを正すとかを蹴散らかしたごく個人的な愛する人を奪ったモノへの怒りが燃え上がる。凄まじかった。
宮口精二さんをはじめとした脇もさることながら主役3人の若者がいい。江藤潤、昔から好きなんです。演技がうまいとは思わないけれど、この人の映画はいつも見るのが苦しい、せつない。渡部篤郎はちょっと似てる。清水健太郎の屈折した心理をにじます役にもちょっと感心した。かわいそうやねんな。そして特筆すべきは白都真理。何も言う事はない。見てください。
まさしく”人魚伝説”で血しぶきの凄さまじさからラストの海中シーンへの移り変わりも美しい。

涙のにじむ目で茫然と最後の字幕を見ていたら「原作 宮谷一彦」の文字に驚く。何も知らんな私は。情けない。遅くに帰ってきたさぼてん男に「『人魚伝説』って映画、宮谷一彦の原作やねんね。」と言うと、「・・・そうそう。そやけど映画化するってだいぶ前の話やったで(最近か?)。」(そやから、昔の映画を見てるんやんか。なぜツーと言ってカーとならない)
↓の「ミステリアス・ピカソ」を見ていた時に、「巨人がでるとその影響力の強さから潰れてしまうモノもある。」という話をしていた時に、さぼてん男が「手塚治虫という『巨人』のせいで日本映画が衰退したとも言われているんを読んだ事があるな。黒澤明のように絵コンテを描ける若い人が映画作りに向かわず我も我もと漫画家になったんやな。」という話を「ほんまかいや」と聞いていたのですがこの映画を見て「そうかもしれんな。」と思う。ちょっとしか読んだ事がありませんが宮谷一彦の劇画は、映画の絵コンテみたいやったなと今思い返す。
おすすめ度★★★★1/2
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真夏の夜の夢
1999年 米国 121分
監督・脚本 マイケル・ホフマン(「素晴らしき日」)
原作 ウィリアム・シェイクスピア
撮影 オリバー・ステップルトン
音楽 サイモン・ボスウェル
出演 ケビン・クライン(ニック・ボトム)/ミシェル・ファイファー(タイタニア)/ルパート・エヴェレット(オベロン
「アナザー・カントリー」 「ダンス・ウィズ・ア・ストレンジャー」 「英国万歳!」 「ベスト・フレンズ・ウェディング」 恋に落ちたシェイクスピア)/スタンリー・トゥッチ(パック)/キャリスタ・フロックハート(ヘレナ)/アンナ・フレイル(ハーミア)/ドミニク・ウェスト(ライサンダー「アル・パチーノのリチャードを探して」/デビッド・ストラザーン(シーシアス)/ソフィー・マルソー(ヒポリタ)
メモ 2000.4.21 ビデオ
あらすじ
19世紀初めのトスカーナ地方、領主様のシーシアス公爵(デビッド・ストラザーン)と美しいヒポリタ(ソフィー・マルソー)の婚礼目前で準備に大忙し。そこに難儀な問題が起こる。イジアスが娘のハーミアが婚約者のディミトリアスではなくライサンダーと恋に落ちたのを裁いて欲しいというのだ。その訴えを聞いた公爵は「親の決めた許嫁と結婚しないなら、死を選ぶか尼になるかの二者択一しかない(ひぇ〜)。よく考えるように」と言い渡す。その夜自転車でハーミアとライサンダーは駆け落ちする。それを追いかける許嫁のディミトリアス。そしてまたディミトリアスを追いかける恋したヘレナがいた。真夜中の森の中、ハーミア♀に恋するふたりの♂♂ライサンダーとディミトリアス。ところがディミトリアスがしつこく追いかけてくるヘレナに「帰れ。大嫌いだ」とケチョンケチョンに言うのを見ていた森の王オベロンは、ディミトリアスがヘレナに恋するように赤い花の滴を寝ているディミトリアスの目にさせと中年のおじさん妖精パックに命じる。目を覚まして初めて見る者に恋をするという魔法の薬だった。ところがパックは間違えてライサンダーの目に赤い花の滴をさしてしまう。目覚めたライサンダーの目に入ったのはヘレナ。ライサンダーはハーミアを置いてきぼりにしてヘレナを追いかけ始める。間違えたとあわてたパックはディミトリアスの目に滴をたらすがまんの悪い事にまたしても目覚めて初めて目にはいったのはヘレナだった。こうしてハーミアに←←だった男2人は、180度態度を変え→→ヘレナに迫る。(恋ってこういうもんなのね)
感想
きれいにまとまった映画でした。「真夏の夜の夢」に詳しければ少しは実のある感想が書けたのですが(汗)。
「 『アル・パチーノのリチャードを探して』でケビン・クラインはシェークスピアには独特のセリフ回しがある。と言ってたよなあ。3拍子だっけ?。」というのが頭の中をぐるぐる。恐らくケビン・クラインのセリフ回しが英国演劇界を代表していると思うんですけれど。 ヘレナとハーミアの泥んこレスリングにちょっとびっくり。役者さんにとってシェークスピア劇に出れるというのは魅力なんでしょうね。

この映画で印象に残ったのはシーシアス公爵役のデビッド・ストラザーン。渋い、メチャ渋い。前に「エイトメン・アウト」ではピッチャーだったって教えてもらった。「黙秘」ではキャシー・ベイツののろくでもない亭主だったし、「激流」ではメリル・ストリープの夫、「L.A.コンフィデンシャル」では売春屋の元締めピアス・パチェットだった人。
もうひとり印象に残ったのはやはりルパート・エヴェレット。この妖しい雰囲気はなんなんだ。すてきだ。

シーシアス公爵の宴席で演じられるへっぽこ劇「ピラマスとシスビー」が笑える。ヘタな演技と泣かせる演技の名優の競演が見れて笑える。ところがですね。通路をへだてた席の女性おふたりが「がはは、がはは」と涙を流さんばかりに笑い転げ、いっちゃあなんなんですがその「おばはん笑い」を聞いて「さぼてんもああなんだろうか」などと自分の身を省みる反省モードに入り込みイマイチ笑いきれなかった。負けました。
おすすめ度★★★
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ミステリアス・ピカソ ピカソ−天才の秘密 LE MYSTERE PICASSO
カンヌ映画祭審査員特別賞
1956年 仏 79分
制作・監督・脚本 アンリ・ジョルジュ・クルーゾー監督
撮影 クロード・ルノアール
音楽 ジョルジュ・オーリック
メモ 2000.4.20 BS2
感想
映画中、画家ピカソが描いている絵画がすばらしいのかそれとも「ピカソの絵だ」と思うから素晴らしく思うのかなんて事は、私ごときにわかろうはずもなく線の繊細さと大胆さに魅入られた79分でした。
見始めた所で帰ってきたさぼてん男に「ピカソの絵は難しいのかなあ?」と聞くと「説得力のある絵」という返事が返ってきた。なるほど。
もう出来上がっているかのように思える絵に次々描きたしていくシーンに「どこまで塗るん?」「だいなしにならへんの?」ともうハラハラどきどき。とってもサスペンスフル(笑)。根底にあるのは天才的なデッサン力なんだな。この巨人と同世代の才能ある画家達は思わず知らず影響を受けてしまい開花しないままに潰れた方も多いんじゃなかろかと思ってしまう迫力。ピカソはピカソであってこの絵を描くシーンはどんな画学生の手本にもならないように思う。天才のミステリなんてものも圧倒されるだけで、その秘密が解き明かされるなんてとても凡人には考えられません(笑)。
最後の絵がどんどんどんどん変わるシーンを見ながら、さぼてん男は「巨匠、苦労してますな。」とコメントしていました。私は「なんでも描けます。」かと思った・・・(あほ)。

この映画は、アンリ・ジョルジュ・クルーゾー監督自身のドキュメンタリにもなっている訳で、敬愛する監督の動いているお姿が見れて大満足(^^)。撮影のクロード・ルノアールって画家のルノアールの関係者だったような覚えが・・あるような、ないような。
おすすめ度★★★★
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情報(ネタ)は俺が貰った
<ソファを持ち上げる”ゴリラ”>
1959年 仏 105分
監督・脚本 ベルナール・ボルデリー
原作・脚本 アントワーヌ・ドミニク
出演 リノ・バンチュラ/シャルル・バネル/ベラ・ダルィ
メモ 2000.4.17 CSミステリチャンネル録画
あらすじ
ムショに入って2ヶ月、ジェオは差し入れの中にひそませてあった「おやじが病気」と書かれた紙切れを読んで脱獄する。鉄格子を曲げ(わお!)差し入れのビスケットにひそませてあったナイロン糸でまんまと逃げたのだ。(リノ・バンチュラの体重にも耐えうるという宣伝効果があったのだろうか?) 仲間のモリセに拾われ秘密の隠れ家に行くとなにか臭う。戸棚の後ろをぶち破ると8日前から行方不明になっていたというボードレルが変わり果てた姿で現れる。敵の「居酒屋大鹿」の経営者カザが怪しいと探りにいったモリセもまた棺桶に入って返ってくる。俺の組に喧嘩を売っているのは誰だ?
感想
この映画の見所はなんといっても「厚い胸板を誇る」リノ・バンチュラが大暴れする所。施錠されたドアは素手で鍵を引きちぎるわ、木の上から飛び降りるわ、ソファを持ち上げて投げるわ、ついでに大の男を投げるわ、車をひっくり返すわ、もう大変です(笑)。ギャング物かと思っていたのですが、スパイ物だったというから驚き。通称ゴリラのジェオ(リノ・バンチュラ)は実は秘密諜報部員だったのです!というお話。リノ・バンチュラが初主役という記念碑的な作品だそうです(笑)。

シネマサイズを切るのはやめてほしいなあ。誰と誰がしゃべっているのかさっぱりわからん。端が切れてしもて画面誰もいてへんやんかあ。
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ヘレンに何が起こったのか? What's the matter with Helen?
1971年 アメリカ 99分
制作 ジョージ・エドワース
監督 カーティス・ハリントン
脚本 ヘンリー・ファレル
撮影 ルシアン・バラード
音楽 デヴィッド・ラクシン
美術 ナイジェル・フェルプス
出演 デビー・レイノルズ(アデル)/シェリー・ウィンタース(ヘレン 
「テナント」)/デニス・ウィーバー
メモ 2000.4.16 CSシネフィル・イマジカ録画
あらすじ
ヘレンはおとなしく信心深い。アデルは派手で社交的。そんな対照的な二人姉妹が似ているのは家庭的に不幸な所。ヘレンの夫は事故死しアデルの夫は家を出てしまい女手ひとつで育てた息子達はいったい何が悪かったのか殺人事件を起こし無期懲役となってしまった。世間の非難を避け新しい生活を始めるため名前を変えハリウッドに引っ越す。事業のダンススクールは軌道に乗ったかに見えたが姉ヘレンは脅迫者の影に怯え始める。「息子達の代わりにお前達を殺す」と電話がかかってきたのだ。
感想
脚本家のヘンリー・ファレルという方は「何がジェーンに起こったか?」「ふるえて眠れ」の原作者だそうです。演出がイマイチと思う。キャスティングもねぇ。アデルに好意を寄せるお金持ちにデニス・ウィーバー(スピルバーグ監督の「激突!」の主役)が出てきた時にゃあ、私の中でトーンがぐっと下がってしまった。明るい。ぜんぜん怪しくない。もうちょっと色々な人を怪しくしてやなあサスペンス度を増して欲しかった。
 まあ、シェリー・ウィンタース(↑)を見たかったので満足しましたが。シェリー・ウィンタースは「ポセイドンアドベンチャー」では少女の頃素潜りのチャンピオンだった女の人。「アンネの日記」と「いつか見た青い空」でアカデミー助演女優賞を受賞されています。記憶では若い頃は足に保険が掛けられたというほどの曲線美を誇っていたって話を聞いたことがある。ように思う。自伝も出してはってその自伝の紹介であのロッド・スタイガーと関係があった事が書かれてあったとか読んだ覚えがある。記憶違いかもしれません。「迫力あるお二人やなあ。」と妙に感心した覚えがあるのですが。シェリー・ウィンタースがかわいい「狩人の夜(1955)」も必見作品。
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ボーン・コレクター THE BONE COLLECTOR

1999年 アメリカ 117分
監督 フィリップ・ノイス
脚本 ジェレミー・アイアコン
美術 ナイジェル・フェルプス
原作 ジェフリー・ディーヴァー「ボーン・コレクター」
出演 デンゼル・ワシントン(リンカーン・ライム)/アンジェリーナ・ジョリー(アメリア・ドナヒー ジョン・ボイトの娘さんだそうです。)/クィーン・ラティファ(セルマ)/マイケル・ルーカー(チェイニー部長)/エド・オニール(ポーリー刑事)/マイク・マッグローン(ソロモン刑事 
「マクマレン兄弟」「彼女は最高」
メモ 2000.4.15 梅田東映パラス
感想
 原作を読んだ身としては「どんな身の毛がよだつ映像が出てくるんだろう。」と身を固くして見ていましたがそこん所はわりとあっさり目でした。本の方が恐い。リンカーン・ライムの部屋とか、ニューヨークの地下とかは本を読んで想像していた通りの映像でした。ニューヨークって古くから下水道とかが造られた近代的な街作りを延々しているせいでしょうか、地震のない土地柄だからでしょうか地下の多さってびっくりしますね(見てきたような事書いてます)。使わなくなった地下通路は埋めないで蓋をするだけで、どんどん上に積み重ねてる街なんですね。
登場人物が多く事件も多い原作がコンパクトにすっきりまとめられていましたが、その分平凡というか一本調子。楽しみにしていたエピソードがなかったのは残念です。犯人もあまり気持ち悪くない。しかし結末を知っている観客にもサービスがあってここは驚き。
おすすめ度ちょっと辛い目★★★
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マンハッタンの二人の男 
<左側の蝶ネクタイの男の人がジャン・ピエール・メルビル監督>
1958年 仏 84分
監督・脚本・撮影 ジャン・ピエール・メルビル(「影の軍隊」「仁義」
「サムライ」 「海の沈黙」)
撮影 ニコラ・エイエ
音楽 クリスチャン・ショバリエ/マルティアル・ソラル
出演 ピエール・グラッセ/ジャン・ピエール・メルビル/クリスチャーヌ・ユーデス/ジンジャー・ホール/モニク・エネシー
メモ 2000.4.13 CSミステリチャンネル録画
あらすじ
12月のニューヨーク・国連ビルでは新しい加盟国への賛否の投票がされていた。と、フランスの主席代表が欠席している。昨夜から所在不明との情報をキャッチしたAFP通信社では、帰ろうとした記者のモロー(ジャン・ピエール・メルビル監督)に今夜中に見つけだせと秘密の特命を下す。モローは飲んだくれのカメラマン・テルマスから主席代表のまわりにいた女達の事を聞き出し、ふたりで夜のニューヨークの街を秘書、舞台女優、歌手、踊り子と訪ね歩く。
感想
けだるいジャズが流れる中、1958年当時のニューヨークのアンダーを描くフィルム・ノワール。
「ブロードウェイの劇場」「レズ」「ゲイ」「お酒」「煙草」「キャピトルレコードの録音スタジオ」等々を映画に撮りたいがための脚本だな(笑)と思われるほど夜のニューヨークの顔が印象的。セリ・ノワールの影響を受けニューヨークに強く惹かれたメルビル監督の思いがこちらに伝わる。「男同士の連帯」とか「すねに傷持つ同士の庇い合い」という言葉もちょこっと頭をかすめましたが(私、♀なもんで)アメリカに憧れを持ちながらもレジスタンスに深い敬意を払い、監督の祖国フランスへの誇りが感じられる。

今月からケーブルTVには「ミステリチャンネル」というのが追加され、今月はフランスのフィルム・ノワール特集をしています。初めてみましたが、映画の前にミステリチャンネルの編集長と作家の斉藤純氏の「メルビル賛歌」の映画解説がありました。斉藤純氏って文士劇「ぼくらの愛した二十面相」で「女房に「京極夏彦さんの爪の垢貰ってきなさい。」って言われた。」とか言ってはった人ですね。最初はちょっとおさまってはりましたが「メルビル、いいです。」とかうなずきながらご満悦のお顔を見るとなかなか面白そうな人です。ご著書は一作も読んでおりませんが(汗)。この映画は「アスファルト・ジャングル」のセットをそのまま使ったとか「回り道して回り道して真相にたどり着く」といったハードボイルドのひとつの典型だとか、「別に何が起こるわけでもないんですが、いいです。」とか”味わい深い”お話が聞けました(笑)。よくできた映画だからという以上に好きだから誉めるという姿勢がいい。評論ではなく1ファンとしての思いを話すというのに好感を持つ。とはいえよくできた映画でしたよ。
おすすめ度★★★1/2
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アドレナリン Adrenalin:Fear the Rush 東京国際ファンタスティック映画祭'96正式出品

1996年 米国 98分
監督・脚本 アルバート・ピュン
撮影 ジョージ・ムーラディアン
出演 ナターシャ・ヘンストリッジ/クリストファー・ランバート/ノーバート・ワイザー
メモ 2000.4.12 CSシネフィル・イマジカ録画
あらすじ
2007年、社会主義体制が崩壊して18年東欧諸国は暴動、民族紛争が起こり無政府状態。そんな中致死率100%の細菌まであらわれた。しかもその保菌者が殺人鬼ときた。細菌で頭がパーしたらしい。
感想
致死率100%の細菌の保菌者を後6時間で撲滅しなければ人類は滅ぶといったカウントダウンサスペンスとか、見つかれば死刑という禁を破ってアンダーグラウンドの旅券を手に入れ息子を西側に逃がそうとする警官とか、殺人鬼の正体といった話はありがちなだけでそこにあるだけで、まさに”とってつけた”よう。クリストファー・ランバート、なんだかルドガー・ハウアー化してきた(笑)。人類が滅ぶってなら人海戦術ではなく「戦車でもミサイルでもぶちかまさんかぃ!」と思いましたが、お金がないんでしょうか? 人間の方が安いと思うとサムイ。
と、いちゃもんつけていますがこれがなかなか個性的な作品だったんです。ねっとりした展開でジワジワと息が詰まるように追いつめたら一気にバババッとやられるの繰り返しで、短いカットを繋いで繋いで見せるといういささか偏執的な作品。「エイリアン1」+「ヘルナイト」風。
おすすめ度★★★★
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クッキー・フォーチュン Cookie's Fortune

1999年 米国 118分
監督 ロバート・アルトマン
脚本 アン・ラップ
撮影 栗田豊通
音楽 デイブ・スチュワート
出演 グレン・クローズ(カミール・ディクソン)/ジュリアン・ムーア(コーラ・デュバル
「マグノリア」 「ビッグ・リボウスキ」)/リヴ・タイラー(エマ・デュバル)/クリス・オドネル(ジェイソン・ブラウン)/チャールズ・S・ダットン(ウィリス・リッチランド)/パトリシア・ニール(ジュエル・メイ”クッキー”)/ネッド・ビーティ(レスター・ボイル)/ドナルド・モファット(弁護士ジャック)/ライル・ラヴェット(なまず屋マーニー)
メモ 2000.4.8 テアトル梅田
あらすじ
カミールがサラダボールを借りよう(奪い返そう)と仲のよくない叔母の屋敷を訪れると、叔母が拳銃自殺をしていた。「敬虔なキリスト教徒の家系には自殺者などという不届き者はいないのよ。」と恐いお顔で妹コーラを洗脳し、セッセセッセと殺人事件にするための偽装工作をはじめる。
感想
見終わったらお隣さんがこそこそ言う。
「あのカミール役の人って『101』で悪役だった人ですよね。」
アタシもこそこそ答える。
「そうそう、あの毛皮狂のクルエラ・デ・ビル。」

まあグレン・クローズきゃっきゃきゃっきゃと楽しそうに”悪もん”演じてはりました。それ以上に感心したのはジュリアン・ムーア。ブスでとろい役に「『9ヶ月』『妹の恋人』『最高のルームメイト』のジュリアン・ムーアよねぇ。」と思わずじっと見つめる。まじブスに見える。こちらにお尻見せながらずりずりベットに這い上がったりずりずり降りたりのシーンや、娘のエマ( 「アルマゲドン」のリヴ・タイラー)に久しぶりに会って「マイベイビー♪〜(^^)」とにこにこしながら近づいていけば、「ドントタッチミー!」と娘に拒絶された時の口をヘの字に曲げたうらめしそうなお顔とか絶品。パトリシア・ニールの年期の入ったお姿を眺めて「この人が、妻あるゲーリー・クーパーと激しい恋に落ちたお人なのか。ロアルド・ダールの奥さんだったのか。」と興味津々。ただのばあちゃんではありませんでした。反骨。

低音のずんずん響く音楽、穏やかそうに”見える”米国南部の田舎町、たゆたゆした展開に「大御所、余裕しゃくしゃくやなあ。意地の悪い所も丸なったんかなあ。」とかニタリニタリと見ていたら、はきっちり健在でした。真っ当な南部人の神経をいらだたさせるのうまそう。よくできたコージーミステリの短編を読んだ後のような気持ちが残る。まさに「皮肉な結末」。
おすすめ度★★★1/2
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ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ BUENA VISTA SOCIAL CLUB

1999年 ドイツ・アメリカ・フランス・キューバ 105分
監督 ヴィム・ヴェンダース(「都会のアリス」「パリ・テキサス」「ベルリン天使の詩」)
制作 ライ・クーダー
出演 イブライム・フェレール(歌手)/ルベーン・ゴンサレス(ピアノ)/エリアデス・オチョア/ライ・クーダー/ヨアキム・クーダー/オマーラ・ボルトゥオンド(歌手)/コンパイ・セグンド(ギタリスト)
メモ 2000.4.5 梅田ガーデンシネマ
あらすじ
1997年のグラミー賞を受賞した「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」は、ライ・クーダーがキューバの古老音楽家達と作り上げたアルバム。1998年ヴィム・ヴェンダースはライ・クーダーと共にキューバを訪れ”ミュージキュメンタリー”を撮った。
感想
昔っからのローリングストーンズ特にミック・ジャガーファンという筋金入りのミーハーのおツレは言う。
ツレ 「どういう意図から作った映画なんやろね。ライ・クーダー何考えてるねん!」 
アタシ「発掘調査の結果の生きた文化資産を映像で後世に残すという偉業・・ちゃう?」(笑)  
ツレ 「私、やっぱ音楽とか芸術には旬があると思うねん。老人ホームの演芸会見ているみたいな侘びしさ感じた。」 (わぉぉ)
ツレ 「男の人が若い女の子が好きっていうのわかるわ。私かて若いきれいなおのこを見たい。」(わぉぉ)
ツレ 「いくら上手くても、上手いだけでは売れへんのよねぇ。今時でもカーネギーホールで演奏がそんなにすごいのかなあ。」 (わぉぉ)

いい映画ではあるんですよ。ただ、音楽があわなかった。。。特にボーカルが。ジャズよりロックの方が好きやからなあ。
演奏家達がニューヨークを訪れる所ではおのぼりさん状態で、言っちゃあ悪いけれどピアノのルーベン・ゴンサレスなんかただの老いぼれよ。そやねんけれど一端ピアノを弾き始めるとまさに神懸かり。ピアノとパーカッションは特によかった。音楽家って難しい人が多いような気がするけれどカリブ海気質なのかな、なにしろ明るいのがいい。

「青春の殺人者」「メイド・イン・ホンコン」を見たら取り残されたような気持ちになるし、かといって 「ストレイト・ストーリー」やこの映画を見て「あんな年取った人があんなに頑張ってはるんやから、私もまだまだいける。」と勇気づけられる年でもなし難しい年頃です、さぼてんは(笑)。
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十字砲火 CROSSFIRE カンヌ映画祭社会映画賞
<走るロバート・ライアン>

1947年 アメリカ 85分
制作 エイドリアン・スコット 監督 エドワード・ドミトリク(「ケイン号の反乱」) 原作 リチャード・ブルックス 脚本 ジョン・パクソトン 撮影 ロイ・ハント 音楽 ロイ・ウェッブ
出演 ロバート・ライアン(モンティ)/ロバート・ミッチャム(キーリー軍曹)/ロバート・ヤング(フィンレイ警官)
メモ 2000.4.2 ビデオ
あらすじ
ワシントンのホテルの一室で男が殴り殺される。昨夜バーで復員兵達と酒を飲んでいたという話だが別に争いがあったわけでもなかったらしい。誰に殺されたのか?その理由は?
感想
アメリカの闇を描いた作品。
真っ暗な夜の闇と白茶けた人工の光のモノクロ映像は存分に味わいましたが、それほど謎が深いわけでもなく、それほどサスペンスフルでもなく今見ると割とフツーの造り。殺害した理由がわからないのは犯人以外の登場人物達だけで、観客にももう少し秘密にしといた方がよかったんちゃうかなと思える。しかし、当時のある人達の神経を大いに逆なでした問題作。一方的っちゃあ一方的とも言えるし、それともズバリ痛い所を突かれたせいなのか1950年のジョゼフ・マッカーシー上院議員が火をつけたレッドパージ(赤狩り)の集団ヒステリーにドミトリク監督はこの映画が元で巻き込まれ投獄され、結局は共産党員だったことを告白し転向者となったそうです。「十字砲火」という題はどういう理由から付けられたのでしょうか? 最後の犯人が追っ手にはさまれ追いつめられるシーンからかな。その後監督が赤狩りの集中砲火を浴びたのは皮肉です。  
おすすめ度★★★
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メイド・イン・ホンコン Made in Hongkong(香港製造)

1997年 香港 109分
制作 アンディ・ラウ/ドリス・ヤン/シュウ・ケイ
監督・脚本 フルーツ・チャン 音楽・撮影 ラム・ワーチュン 撮影 オー・シンプイ
出演 サム・リー(チャウ)/ネイキー・イム/ウェンバース・リー
メモ 2000.4.1 WOWOW
あらすじ
借金取り立て人のチャウは、少年のような16才の少女ペンと知り合う。母親の借金のために「エッチしようか?」と誘うペンに惹かれていくチャウ。
感想
「中国返還直前の香港」の底辺で生きる若者達の生態を、救いのないストーリーながらも力強く見せる力作。荒削りな所もありますが映画館で見るべきだったなとちょっと後悔してます。感心できる話ではなく貧しさと将来性のなさから刹那的に生きる若者群像なんですけれど、もっと感心しないのは大人達。 目の前の事しか考えず到底若い人達の規範たりえない。社会福祉士や医者も焼け石に水状態で誰も彼も救う事ができない。

そういう暗い内容の話ながら主人公チャウのとぼけたルックスと雰囲気が全体をコミカルにも見せる。しかしながら「同情など無用」とこちらに感情移入をさせない映画でもあるのだ。もうひとつ特筆すべきは音楽とファッション。これでもかというくらいファッションはシンプルで爽やかだった。

「メイド・イン・ホンコン」という題名に監督の気概が感じられる。
おすすめ度★★★★
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ストレイト・ストーリー The Straight Story

1999年 米国 111分
監督 デイヴィッド・リンチ
脚本 ジョン・ローチ/メアリー・スウィーニー
音楽 アンジェロ・バダラメンティ
撮影 フレディ・フランシス
出演 リチャード・ファーンズワース(アルヴィン・ストレイト)/シシー・スペイセク(ローズ)/ハリー・ディーン・スタントン(ライル)
メモ 2000.4.1 梅田松竹ピカデリー
あらすじ
アイオワ州ローレンスに住むアルヴィン・ストレイトは73才。腰が悪く杖を2本使わないと歩行もままならない。そんなある日ウィスコンシン州に住む兄のライルが倒れたと電話が入る。兄とは10年前に大喧嘩して以来絶縁状態。ふたりとも連れ合いを亡くし仲を取り持つ人がいないまま、ずるずると年月が過ぎてしまった。この次はないかもしれないとアルヴィンは兄に会いに行く決心をする。しかしバスや車で送ってもらうのではなく自力でいかなければ意味がないとこのおじいは決心する。人生の第四コーナーを曲がりきったおじじは残りの直線距離をゆったり自分の力で進む事を選ぶ。最後まで自分の力で行きたいのだ。というわけで時速8kmのトラクターに乗って560kmの旅は始まった。
感想
老アルヴィンと一緒に、二度のお勤めを果たしているちっちゃな1966年製の老トラクターも旅しているんだというのが面白い。道々現役の若いトラクター達がとうもろこし畑で頑張っているのに出会い「よっ」と挨拶しているように見える(笑)。地平線までうねうね続く豊かな畑も美しい。開拓者達が西へ西へとすすみ機械と力合わせて開墾した大地はアメリカの財産だ、この国の底力を感じる。

が、一昨日、昨日と続けて2度見た
「青春の殺人者」のショックの余震が続いている身でハートフルな映画を見に行ったのは失敗でした。もうひとつ素直に心を広げて浸る事ができない。家出娘に語る「束ねた枝」の話では「毛利三兄弟は決裂したよなあ。」とかイジワルな事を考え、豊かな国土の映像を見ては「アメリカは大きく自然が豊でえーよなー」とひがんでしまう。きれいな星空のシーンでは「人間の争いなんてちっぽけなもんだな。と思うのも夜空を見上げている時だけ。」とかめっちゃ歪んでいるな、私(笑)。
自転車レースのなまいきそうな若者がアルヴィンに「年取って悲しい事は?」と聞いたのに対し、「若い頃の記憶が残っている事だ。」と答えるのは鋭かったけれど。「体が思うように動かない事」とかの答えを予想していた若者に対し「今青春を謳歌している思い出が、年取って「若い頃と同じ事ができない」と悲しみの種に変わるんだ。」とピシっと言い返すのに人間の年輪を感じた。
と思ったんやけれども、デヴィット・リンチ監督の見方はもっとシビアかな。「若い頃のバカした思い出はもう切り離したい。でも出来ない。」という記憶を持っている人間の悲しさを言っているのか。
「アメリカは、ゆたかで人情もあるすばらしい国なんだよ。」と語るアメリカ人監督によるアメリカ人のための映画というのが実感。
おすすめ度★★★
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