1997年10月の映画

ポップコーン 

1991年 米国 91分
監督 マーク・ヘリアー
原案 ミッチェル・スミス
脚本 ドット・ハケット
音楽 ポール・ザザ
出演 ジル・ショーレン/トム・ビラード/ディー・ウォレス・ストーン/デレク・ライダル
メモ 1997.10.30 ビデオ

あらすじ
映画学科の学生達が、ハロウィーンの夜にホラー映画のオールナイトショーを開く。上映するために借り出したフィルムに紛れていた映画は、学生の1人マギーの悪夢と同じだった。

感想
「真夜中の電話」とか「傷痕のある男」を読んだ後だったので、「なんか知ってるように思う(デ・ジャ・ヴ)シーンの連続やなあ」と感じながら観ました。
「スクリーム」のパンフの解説を読んで思ったほどは、変わったカルトな映画ではなかったけれど、楽しめる映画でした。映像もご陽気で、「おどろおどろしい」というより、どちらかというとおちゃらけ。映画「マチネー」も思い出したよ。

おすすめ度:一度は買うの思いとどまったんやけど、1週間後に違う場所で会ったからねー縁やねー★★★1/2
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私家版 

1996年 仏 84分
監督 ベルナール・ラップ
原作 ジャン=ジャック・フィシュテル
脚本 ベルナール・ラップ/リシャール・モルジエーヴ
撮影 ロマン・ウィンディング
音楽 ジャン=フィリップ・グード
出演 テレンス・スタンプ(エドワード卿「テオレマ」「プリシラ」)/ダニエル・メズギッシュ(二コラ)/マリア・デ・メデイルシュ(「パルプ・フィクション」)/ジャン=クロード・ドレフュス
メモ 1997.10.20 十三 第七芸術劇場 試写会

あらすじ
「本が人を殺す」というコピー通りの、謎解きではないミステリです。
感想
充実した84分でした。地味で重厚で気品のある映画です。色物は、エドワード卿(テレンス・スタンプ)の秘書の派手なオシャレだけでした。
あんまり期待すると「アレ?」かもしれませんが、緻密なストーリーと演技派俳優の競演、見応えありました。この映画はミステリ映画史に残ると思います。
評論家のたぶんマリア・デ・メディルシュという人は、「パルプ・フィクション」に出演していたらしいです。あの時計を忘れたおバカさんかな?
おすすめ度:★★★★1/2
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マーティ MARTY アカデミー作品賞、監督賞、脚本賞、主演男優賞/カンヌ映画祭グランプリ

1955年 米国 91分
監督 デルバート・マン
原作・脚本 パディ・チャイエフスキー
撮影 ジョゼフ・ラシェル
出演 アーネスト・ボーグナイン(マーティ)/ベッツィ・ブレア(クララ)/エスター・ミンチオッティ/オーガスタ・チオリ
メモ 1997.10.19 WOWOW録画
あらすじ
ブロンクスの肉屋に勤めるマーティは34才。5人の弟妹を結婚させ、母親と2人暮らしの毎日。母親だけではなく、
店のお客からも「マーティ結婚しないの?甲斐性なし」と責められウンザリ。努力はしているんだけど・・・
感想
古い映画ですが、今日的なお話でもあります。庶民の悩みは今も昔も変わらないのか、アメリカのこの時代に日本がなってきたのか。マーティのママが口では結婚しろといいながら、具体的な姿が目の前に表れると気に入らないってのは笑えた。「イタリア人なの? 年はごまかしてるわね。大学出なんて」ハハハ

アーネスト・ボーグナインの醜男ではあるが、誠実で男友達から信頼されている姿はなかなか魅力的でしたが、クララの表情に乏しいお顔はこの時代のアメリカ映画には珍しいですね。映画の真実みがなんとなく深まっていました。でも、優しそうで賢しこそうやけど、おもしろ味はあるんかなぁ。

美男美女ではないカップルが主役の映画ということで、評判だったらしいですが、何が言いたいのか考えてしまう。「表面だけではなく、内面もよー見いや」といっているのか、「縁はみんなにある」と言っているのか、「高望みせんとき」と言っているのか? はたまた2人が出会ったことを素直によかったねでいいのか?
もはや、いっくら考えても、さぼてんにはこれっぽっちも関係のない話ではあります。オヨヨ(*_*)。
ボーグナインは「ポセイドン・アドベンチャー」の警察官役の人。
おすすめ度:男二人の暇をもてあました会話が、気の毒やらおかしいやら★★★★
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ベスト・フレンズ・ウェディング MY BEST FRIEND'S WEDDING 

1997年 米国 104分
監督 P.J.ホーガン(「ミュリエルの結婚」)
脚本 ロナルド・バス(「レインマン」「ブラック・ウィドー」「愛がこわれるとき」)
撮影 ラズロ・コヴァックス(「イージー・ライダー」「ファイブ・イージー・ピーセス」)
出演 ジュリア・ロバーツ(ジュリアン)/ダーモット・マルロニー(マイケル「コピー・キャット」)/キャメロン・ディアス(キミー「真夏の出来事」「マスク」)/ルパート・エヴェレット(ジョージ「アナザー・カントリー」)/レイチェル・グリフィス(サマンサ)/キャリー・プレストン(アマンダ)
メモ 1997.10.15 大阪 OS劇場
あらすじ
N.Y.の有名料理記者のジュリアンは、バリバリのキャリア・ウーマン。学生時代の恋人とも、とてもいい友達。「28才になって独身だったら結婚しよう」という6年前の彼の言葉が妙に気になる今日この頃。「もうそろそろ年貢の納めどきかな」と思っている所にキープ君のマイケルから電話が・・「今週末に結婚するんだ。是非出席してくれ」。相手がピチピチの二十歳であろうが、大金持ちのお嬢であろうが渡してなるものか。彼は私のものよ!
感想
オープニングの花嫁と3人のブライズ・メイドが歌って踊るシーンがすごくキュート。「彼のキスを得るには、プランが必要よ♪〜」(ウィッシン・アンド・ホーピン)わかる、わかる。
ジュリアンの親友でゲイのジョージが、悪ふざけして大活躍する「カニ道楽(クラブハウス)」のシーンも楽しかったあ♪〜「小さな願い」の大合唱。このシーン最高ですワ♪〜

ジュリア・ロバーツは、もうあと半歩で爆笑になりそうなんだけど、ちょっとおしい。キャメロン・ディアスはお人形さんみたい、キャーキャーわめきながら飛び跳ねて走ってくる所、かわゆい。

−−ネタバレ ご注意−−−
ラストのジョージが語る言葉も「うん、うん」と思わずうなずいたよ。ないものねだりなんやねー。自分の人生も一コしかないんやから、他の人の人生は生きられへんねー、贅沢ゆーたらアカンねー(と自分に言い聞かす)
しかし、あの花火の景色とかいいなあ。結婚式ってきれいね。うっとり(゜゜)。
おすすめ度:★★★1/2
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マクマレン兄弟 1995年サンダンス映画祭グランプリ 

1995年 米国 99分
監督・脚本・主演 エドワード・バーンズ
メモ 1997.10.11 CS
あらすじ
3兄弟の父親が亡くなり葬式の後、母親は「ずっと私を待ってくれている人がアイルランドにいるの。私の二の舞はしないで」と言い残して、故郷アイルランドに帰ってしまう。5年後、3兄弟は結婚や子供を持つことに対し、懐疑的になっていた。
感想
ラストに、次男のバリーが「結婚したくない。家庭も欲しくないんだ。(でも、君といたい)」というシーンに「何故、結婚して子供をもつんかなあ」とあらためて問い直しました。理由は人それぞれ色々あるね。理由なんかない場合もあるね。
一方で、バリーの端正なお顔を見てると「結婚して所帯やつれせんと、ステキなままでいてね」と思ったのでありました。
おすすめ度:★★★★
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Lie lie Lie  

1997年 日本 110分
監督 中原俊(「12人の優しい日本人」「シャコタン・ブギ」)
撮影 藤沢順一
美術 稲垣尚夫
音楽 吉村良
出演 豊川悦司(サギ師:相川真)/鈴木保奈美(編集者:宇井美咲)/佐藤浩市(写植屋・波多野善二)/中村梅雀/河合みわこ/上田耕一/田口浩正/魔赤兒/佐藤正宏/本田博太郎/三条美紀(なつかしい)/松村達雄/田口トモロヲ
メモ 1997.10.11 梅田東映パラス
あらすじ
電算写植オペレーターの波多野善二は、仕事場兼用のアパートで日々写植を打っている穏やかな日々だった。悩みと言えば、眠れないこと。頭の中を文字が飛び回って、神経が鋭敏になっているのだ。
そんな波多野のアパートに、突然高校の同級生相川真がやってきた。食用のアフリカ産のサザエのようなタニシをもって。1匹一億円するという。これで大儲けをするので、1日冷蔵庫に預かってくれという。
中島らも「永遠も半ばを過ぎて」の映画化です。原作は未読。というより、らもさんは、「明るい悩みの相談室」と「カネテツデリカフーズ」のCMしか読んだことがない。さぼてんは本好きなんて言ってますが、嘘ですね。

感想−長いです。いっぱい書きたいのです。まとまりがありません。−
全編通じて、クスクスくすくす笑い通しでした。あー愉快だった。
豊川悦司と佐藤浩市の会話が絶妙。落語でいう「アワセ」の間合いがなにしろおかしい。
美術は、「うなぎ」の稲垣尚夫さんという方で、立体駐車場に壁と窓をつけてビルにしたという事ですが、またこれがよかった。部屋の中は実にレトロ。佐藤浩市のキャラとぴったり。
電算写植機になっても昔と同じで文字を拾っていくのですね。キータッチが少ないし、変換間違いがないからな。

脇役も、本田博太郎のいかにもインテリ出版業界人の「ころんでもただでは起きない」キャラクターとか、酒浸りながら「知的で鋭い文芸評論家」の松村達雄とか、印刷屋の人のよさそな2代目若旦那(小さい会社がそれなりに工夫しているのって嬉しい)中村梅雀とか、その他たくさん役にはまってはりました。
この監督さんは、頭のすごくよさそうな方ですね。

鈴木保奈美のさっそうとした登場。実に生きがよかった。すっとした。
豊川悦司は、うさんくさいいかさま野郎で、「苦労している割には3流サギ師で、生涯賃金ではサラリーマンには負けるだろう。年金もないし」とか、わかりきっているけど、生まれつきでやめられない。やめる気もない。懲りない姿がホンマに明るかった。
蜂にさされたようなタラコ口で爆発頭の佐藤浩市は、同世代だし昔から気になる俳優さんです。あの雰囲気は生まれつきの才能を感じます。(ぶっちゃけていうと、好きなんです。)
この映画の役も、子細な事にこだわらない自己完結タイプでした。好みです。

でも、本好きには大いなる皮肉の話ですね。新聞の文芸欄を「なんかおもしろいミステリはないかっ」とハンターのような目つきで睨んでいるさぼてんって、いったい・・・出版業界に乗せられているんやなあ。

ひつこく追記:キキのキャラクターって原作ではどうなんだろう?「あんた、我慢して楽しい?」ってキキに鋭く言われて、鈴木保奈美がグッと詰まる所、さぼてんもグッときた。そやけど「親のすねかじりやんぺして、生活のためマクドで(ミスドでもええけど)バイトしてみぃー」って言い返したかったなあ。負け惜しみを言わない鈴木保奈美は大人だ。(これって、だいぶ外してる?)
おすすめ度:★★★★1/2
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愛情萬歳 ベネチア映画祭グランプリ 

1994年 台湾 120分
監督 蔡明亮
出演 楊貴媚/李康生/陳昭栄
メモ 1997.10.5 NHK
あらすじ
ゆきずりの2人の若い男性と1人の若い女性の話。だいじな舞台は、空き家になっている豪華なマンションのベット。ちょっとした事から、空き家の鍵を別々に手に入れた男2人は、こっそりマンションに住み着きます。
感想
ほとんど会話らしい会話は、ありません。ストーリーらしいストーリーもありません。作り方によっては、ひとりよがりになりがちな題材を、本当にうまく映像化してありました。
解説の佐藤忠夫さんが「台湾映画というと、人情豊かな映画が多いのですが、この監督の映画を見たときは、びっくりしました。台湾も都市化が進んでいるのです。」と言われてました。
心に凍りつきそうな風がふいている孤独の映像化です。
煙草って、あんなに寂しさを癒すんでしょうか。煙草に慰められてはったように思います。女の人も、泣くだけ泣いたら「あーすっきりした」って、また立ち上がりはるんかなあ。(何書いているか、自分でもわからなくなってきた。)
おすすめ度:★★★1/2
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