1997年11月の映画

砂漠の流れ者 The Ballad of Cable Hogue(ケーブル・ホーグのバラード)

米国 1969年 122分
監督 サム・ペキンパー
脚本 ジョン・クロフォード/エドモンド・ペニー
撮影 ルシアン・バラード
音楽 ジェリー・ゴールドスミス
出演 ジェイソン・ロバーツ(ケーブル・ホーグ)/ステラ・スティーブンス(ヒルディ)/デビッド・ワーナー(ジョシュア)/マックス・イヴァンス
メモ 1997.11.30(日曜)wowow録画
あらすじ
ケーブル・ホーグは仲間の裏切りから水もなく、砂漠を4日間さまよったあげく、わき水を見つける。そこに、駅馬車の休憩所をつくり裏切った仲間が現れるのを待っていた。
感想
さぼてんの知らないペキンパーがいた。
監督のまなざしの優しいのにビックリした。砂漠と、字も読めず風采のあがらない主人公と、女の事しか頭にないの?という宣教師と、優しい娼婦がぴったりはまった、飄々としたコミカルな物語でした。”西部開拓時代終焉への挽歌”そうかあ。

だいぶはずしてる感想かもしれへんけど、男の人にはテリトリーというのが大切なんだなと再認識した映画でもありました。
いかさま宣教師ジョシュアの「自分の人生を変えるような女は必ず現れる」という言葉は、不思議だったな。そんな風に思っている男の人って、どのくらいいたはるんかな。
人には、どうしようもない事があるんだという運命論者的な監督のように思う。
おすすめ度:★★★★1/2
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痩せゆく男 STEPHEN KING'S THINNER

米国 1996年 92分
監督 トム・ホランド(「チャイルド・プレイ」)
原作 ステーィブン・キング
脚本 マイケル・マクドゥエル
撮影 キース・ファン・ウーストラム
出演 ロバート・ジョン・バーク(ビリー)/ジョー・モントーニャ(リチャード「赤ちゃんのおでかけ」)/カリ・ワーラー(ジーナ)/ルシンダ・ジェニー(ハイディ)/マイケル・コンスタンティン(レムキ)
メモ 1997.11.27(金曜)ビデオ
あらすじ
敏腕弁護士ビリーの唯一の悩みは、”肥満”。ダイエットも効果なしの135キロ。よーするに大のくいしんぼ、イヤシなのだ。ビリーは、車の運転中あられもないことをしていて、ジプシーを轢いてしまう。無罪放免となったビリーに老ジプシーは「痩せろ」と呪いをかける。
感想
前半は、かなりおもしろい。”豚のように食べる”と言ったらぶたさんに失礼なくらい、食べまくる主人公。「アメリカの食卓には、よくトウモロコシ(なんば)がでてくるなあ。」とか「あんなにたくさんの料理を作るの、奥さん大変だろうなあ」とか「さぼてんも、あんなに食べて痩せられたらなあ」とか思って見てました。
後半、特にラストはイマイチ物足らない。もっと、衝撃的でもよかったような気もする。原作はどうなんかなあ。スティーブン・キング原作の映画化はなかなか難しそお。
おすすめ度:まあ、題材がおもしろいから★★★
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春にして君を想う CHILDREN OF NATURE

アイスランド=ドイツ=ノルウェー 1991年 85分
監督・脚本 フレドリック・トール・フリドリクソン(「ゴールド・フィーバー」)
脚本 エイナル・マール・ドゥムンドソン
撮影 アリ・キリスティンソン
音楽 ヒルマル・オイルヌ・ヒルマルソン
出演 ギスリ・ハルドールソン(ゲイリ)/シギリドゥル・ハガリン(ステラ)/ルーリク・ハラルドソン(ハルドール)/ブルーノ・ガンツ(「ベルリン・天使の詩」の天使)
メモ 1997.11.24(月曜)TV録画
あらすじ
おさななじみの老カップルが、無人島になった故郷をめざす幻想的な逃避行
感想
ラスト近くで、老いた農夫が棺桶を作る所、「こんなに達者で生きる技術もある人が、老人ホームで無為な毎日を過ごすのか・・」と思うと 哀しくなってきます。農夫が棺桶をひっぱっていくシーン、美しくそして哀しい。「やるべき事をやりおえて、ただ消えていく」「人はどこから来て、どこへ行くのか」という言葉が頭に浮かびます。
色々書きましたが、理屈抜きに、ただ感性で観る映画のように思います。
アイスランドの自然が美しく、老カップルの表情が実にいいです。孤島の自然を見ていると「アラン」という映画を思い出しました。
おすすめ度:★★★1/2
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見覚えのある他人

フランス 1996年 105分
監督 フランシス・ジロー(「華麗なる女銀行家」)
脚本 ジェラール・ミレール
撮影 シャルリー・ヴァン・ダム
音楽 アレクサンドル・デズプラ
出演 ダニエル・オートゥイユ(アントワーヌ・リビエール「愛と宿命の泉」)/パトリック・ティムシット(エドワール・ベルグ)/アンヌ・パリロー/マリアンヌ・ドニクール(「パリでかくれんぼ」)
メモ 1997.11.22(土曜)テアトル梅田
あらすじ
精神分析医アントワーヌのもとに、丸刈りに金縁メガネの不気味な男エドワールが患者として現れる。そして、彼はセラピーの最中に「男と駆け落ちしたことになっている妻は、実は私が殺したんです。」と奇怪な告白をはじめた。
感想
精神分析医というプロと、患者というアマチュアの心理合戦です。「精神分析という、メディアにもてはやされてはいるが素人目には謎めいた分野」を丁寧に撮られていました。深層心理を操れる人って・・・・あわわわ書けない。卑しい人間って・・・あわわわ、何を書いてもネタバレになってしまう。もどかしい。

「ニキータ」のアンヌ・パリローって泣き顔が印象的な人ですね。彼女のセラピーを聞いていると、心理学者の河合はじめさん(字がわからない。すみません。調べます)「精神とは何層にもなっています。表面の層にある悩み(お金につまっている。親の面倒をみないといけない。子供の進学が・・・)は、深い層の悩み(言葉では表現しにくい。自分でもわかりにくい悩み)を保護して、隠してしまうので、表面に近い層の悩みが少しある方がよい。」みたいな事を書かれていたのを思い出しました。

不気味な患者に扮するパトリック・ティムシットという人は、「女と男の危機」で知的障害者を演じた人だったのですね。覚えています。この映画とはまったく違う役柄でした。「女と男の危機」は、主人公が朝起きると妻が家出していて、会社に行くと首にされ、実家に戻ると母親が男と駆け落ちという、悪夢のようなロードムービーです。お薦め。

またまた脱線ですが、パンフを読んでこのフランシス・ジロー監督という方が「地獄の貴婦人」の監督だと判明しました。正確にいうと、だいぶ前にテレビで見た、実話を元にしているという、「金目当てに殺した夫婦をバスタブで硫酸でふにゃららする」という凄惨かつ滑稽な映画が「地獄の貴婦人」だと判明いたしました。物好きな方にお薦めします。>>>とここまで書いていて気づく。最近昔話が多い。反省。
おすすめ度:★★★1/2
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孔雀の家

タイ・日本NHK 1995年 
監督 チュート・ソンスィー(「ムアンとリット」)
原作 V.ウィニッチャイグン
脚本 トム・タートゥリー
撮影 アヌパープ・プアジャン
音楽 ジャムラット・ソウェタボーン
出演 サランユー・ウォンクラチャーン(プラナーイ)/ヌスパー・ワーニットアングン(孔雀)
メモ 1997.11.20(木曜)NHK録画
あらすじ
アユタヤ王国の姫”孔雀”は、戦禍から逃れるため森の中に屋敷ごと隠されていた。200年後の現代に現れた姫に、青年が一目惚れをした。
感想
解説の佐藤忠夫さんは、「大人のおとぎ話を、大まじめにかつロマンチックに、撮っているのに驚かれるかもしれません。」とか「ピーという精霊や、生まれ変わりの存在に、ちょっと心を開いてご覧なる事が重要かと思います。伝統音楽の妙なる響きが、タイの伝統的精神にいざなってくれるでしょう。」と予防線を張られて・・・違いますね、映画の見方を説明されていました。NHKの日曜日昼から放送している、「アジア映画劇場」のおかげで、劇場ではなかなか見れない様々な映画が見れます。いい番組です。

タイの伝統音楽につつまれた不思議な映画です。よく言われるように”失ったものを思い出させるような”雰囲気があります。夜の森の中での「恋心の告白」は、心が洗われるような美しい映像でした。多少古風な風貌の男性の思い詰めた涙は、胸キュンもの(この映画に比べて、なんて俗っぽい表現でしょうか)。鼻の頭がちょっと丸い姫もとても気品があり、そしてかわいい。タイ語というのは、音の響きのやさしい言葉ですね。

タイの伝統文化・精神を映像化し、タイ王室の信任が厚い監督さんだそうです。プロダクションのマークの白い像はタイ王室の特別な象で、使うことが許されているのだそうです。(そういえば、「まじんさんのクイズ」にもありました)。
タイ国は、仏教国だし(”敬虔な”が上に付く)、王国という事で親近感があります。東南アジアの国々の中で唯一独立を守った国ですね。行ってみたい国です。
おすすめ度:★★★★
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マッシュルーム

オーストラリア 1995年 94分
監督 アラン・マッデン
出演 ジュリアン・ブレイク/リネット・カラン
メモ 1997.11.16(日曜)CS
あらすじ
老婦人ミニーとフローの元に凶悪犯クラブが逃げ込んできた。ところが、この男が事故であの世へいってしまった。家にはフローが万引きした品物がわんさかある。警察は呼べない。さて、どうする?

感想
時間つぶしになんとなく観はじめたんやけど、「毒薬と令嬢」を思い出させるブラック・コメディやったよ。ありていにいうと、食物連鎖のお話です。それで、題も「マッシュルーム」。そう、これで話が見えてきたあなたは、ミステリ好き。

二人の所に下宿してしまう老警察官の「怒鳴りちらしている上司」の人なんやけど、「この人見たことあるなあ」と思いだしたら、例のごとく気になってしかたがない。「木を見て森を見ず」だと判ってるんやけど。映画を観ながら、さぼてんの脳味噌をこねくりまわした。(そう、この映画を見てると、そういった気分になるのです)。
「さっきアデレイドがどうたらってでてきたよなあ。そうかオーストラリア映画やったんか。・・・・あ、あ、「ラブ・セレナーデ」のあの女たらしのD.Jやん」という訳で、無事思いだしすっきりいたしました。

疑問1:電子レンジやテレビなんておっきな品物はコートに隠せないと思うんですが、そこんとこはどうなってるんでしょうか?
疑問2:あの年で、あんなに玉子を食べてコレステロールは大丈夫なんでしょうか?(さぼてんは、最近カロリーが気になるのです。ついでに、他の人のカロリーも気になって)
おすすめ度:実は案外評価が高かったりする★★★★
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浮き雲

フィンランド
監督 アキ・カウリスマキ(「レニングラード・カウボーイズ」)
出演 カテイ・オウテイネン/カリ・ヴァーナネン
メモ 1997.11.15(土曜)扇町ミュージアムスクエア
あらすじ
フィンランドのヘルシンキに住む夫婦の失業物語。不況でレイオフやら、仕事場がチェーン店に乗っ取られてしまったやらで失業。ヘルシンキの路面電車とか落ち着いた黄昏の町なみとかが美しかった。ヨーロッパは成熟した都市だ。
感想
アキ・カウリスマキ監督は初めて。いやあ、なんというか、ほんまよかったよ。アイロニーあふれる独特の世界(アキ・ワールド)。クスクス笑える所も随所にあって・・特にだんなさんの方が、踏んだり蹴ったりで気の毒なんやけどおかしい。酒乱のシェフもおかしい。お別れでみんながお酒を飲んでいるのに、1人だけジュースなのもおかしい。
だんなさんのお弁当用に、ミルクの瓶を厚手の靴下に入れる所とか(あれは、感心した)丁寧につくられた映画でした。(しかし片づいた部屋だったなあ)。暖かいホカホカした気持ちになったよ。

−−−なんか書いている内にダラダラ長くなってしまった。−−−
夫婦は、「トラブルを自分から引き起こさない人」と信頼しているんやったら、困った事態が起こった時にワアワアいっても事態は改善せーへんし悪くなる一方なんやなあとちょっこっと反省。(この反省が一瞬なんが問題やねえ)
もひとつ「仕事場は変えてもいいけれど、職種は変えない事」というのは真実かなあと思う。自分にあった仕事を捜すのも20代までかもしれない。
もひとつおまけに「仕事は神聖なのだ」という気持ちになったよ。いいかえれば、”大事”という事。子供を失った悲しさも仕事で乗り越えはったように思う。それも、好きな仕事だったからと思うけど。

仕事で無理難題をいわれると、「えーい、辞めてやるー」とか毒づくんやけど(心の中で)、恵まれてるから言える事やねぇ。
おすすめ度:★★★★1/2
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サムバディ・トゥ・ラブ SOMEBODY TO LOVE

1994年 米国 103分
監督 アレクサンダー・ロックウェル(「イン・ザ・スープ」)
主題歌 エンヤ
音楽 メーダー/チト・ラリーバ
出演 ロージー・ペレス(メルセデス)/ハーベイ・カイテル/アンソニー・クイン/マイケル・デロレンゾ(アーネスト)/スティーブ・ブシェーミ/サミュエル・フラー/クエンティン・タランティーノ
メモ 1997.11.14(金曜)wowow
あらすじ
ロサンゼルスの下町イーストLAのクラブ「ガールズ」のダンサー、メルセデスは、女優になる事を夢見ている。アーネストはそんなメルセデスに一目惚れし、純愛を捧げる。
感想
ラストシーンがフェリーニ監督の「カビリアの夜」に似てるなあと思っていたら、「フェデリコとジュリエッタに捧げる」という言葉があらわれた。そうか、やっぱりそうなのか。ちょっと嬉しい。
サミュエル・フラー監督は、ひっくり返った車に乗っていた映画監督の役やったね。この間亡くなりはったけど、いい人生やったやろね。ちょっと哀しいけど、なんか嬉しい。
アーネストが”身を焦がす恋”から荒れた後の泣きはらしたおめめで、メルセデスとのダンス・シーンがよかった。「今死んでもいい」(ほんまは死んだらあかんけど)という気持ちが、「さぼてんにもそういう頃もあったかなあ」という感じで、若さが羨ましく、そして哀しかった。

「タクシー・ダンサー」(ダンスホールやナイトクラブで、客のダンスの相手をする雇われダンサーの事)のメルセデスを観てたら、ウィリアム・アイリッシュの「踊り子探偵」を思い出した。アイリッシュ短編集3に入ってるので、本棚からゴソゴソ探し出してまた読んでみた。アイリッシュのうらぶれたものがなしい雰囲気がこの映画のクラブとよくあってたよ。
おすすめ度:★★★1/2
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アナザー・カントリー ANOTHER COUNTRY カンヌ映画祭最優秀芸術貢献賞

1983年 英国 92分
監督 マレク・カニエフスカ
原作・脚本 ジュリアン・ミッチェル
撮影 ピーター・ビジウ
音楽 マイケル・ストーリー
出演 ルパート・エヴェレット(ガイ・ベネット)/コリン・ファース(トミー・ジャド)/ケアリ・エルウィズ(ジェームズ・ハーコート)
メモ 1997.11.13(火)BS録画
あらすじ
英国の実際のスパイ事件をモデルに、当事者たちの青春時代を描いた舞台の映画化。
感想
もっと若い頃に観たかった・・・。
勢いでルパート・エヴェレットを観る。ついに、お目当てのコリン・ファースを観る。(いるいるさんお薦め)その世界にのめり込める映画館でみたかった・・(ほんなら何で録画してたん? という話は置いといて)。

コリン・ファースが脇役ながら、もの静かで他人の事に踏み込まず、表向きはクールやけど実は優しくて、しかも自分のしたい事がわかっている”孤高の人”が、ほんまにいい。主義主張はともかく、さぼてんはこういう男の人に弱い。舞台では、ガイ役という事やけど、どっちも演じれるのか。
英国のパブリック・スクール(イートン校)というのは、独特の世界なんやね。英国は、やはり階級社会。超エリート集団といっても狭い世界で、父親や祖父や先祖のたどった道を踏み外さず歩む人生。そういう”この国のかたち”に嫌気がさした・・というか、絶望した青年の復讐なのかなあ。

去年パラダイス・シネマで上映していたのに、「マイ・ビューティフル・ランドレット」の方を観たから。といっても、「マイ・ビューティフル・ランドレット」のダニエル・デイ・ルイスのパンク頭もなかなかのもんやったよ。

ダニエル・デイ・ルイスといえば、(と、どんどん話はあさっての方向へ向かう)「エバースマイル・ニュージャージー」というけったいな映画を観た。”伝道歯科医”が南米をバイクで巡回するというロードムービー。何が描きたかったのかさっぱりわからんという怪作でした。それまでは、さぼてんの怪作ナンバー1は、ジェラール・ドバルデューの女装が楽しめるという(だれも観たないって?)「タキシード」やってんけど、ナンバー1を明け渡したね。お薦めはせーへんけど、これも話のネタに一見の価値あり。
おすすめ度:★★★★
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ダンス・ウィズ・ア・ストレンジャー カンヌ映画祭ヤング映画賞

1984年 英国 103分
監督 マイク・ニューウェル
脚本 シェラ・デラニー
撮影 ピーター・ハナン
出演 ミランダ・リチャードソン(ルース)/ルパート・エヴェレット(ディビット)/イアン・ホルム(デズモンド)
メモ 1997.11.11(火)ビデオ録画
あらすじ
1955年、英国で最後に絞首刑に処された女性ルース・エリスの実話をもとにした、男2人女1人の愛憎劇。
感想
ストーリーは、まあ、よくある話なんだけど、実話の映画化となると胸にせまってきます。主役3人が、いかにも英国風の演技でした。(と知った風な事いってますが、英国映画あんまり観てません)
ミランダ・リチャードソンがすごい。「ダメージ」のジェレミー・アイアンズの奥さんとか、「クライング・ゲーム」のおかっぱの戦士とか、それぞれインパクトの強い演技です。が、この映画も破滅型の女、どうしても押さえきれない、内面からフツフツとたぎるような激情を表現してはりました。「子供はどないすんねん」とさぼてんは心の中で喚いてしまった。
ルパート・エヴェレットは、ついこの間「ベスト・フレンズ・ウェディング」に愉快な役ででてはったけれど、若い頃のこの映画を観ると旨い事、年重ねはったね。
イアン・ホルムは「エイリアン」でのアンドロイド役が頭にこびりついている。この映画の実直にルースに愛情を捧げるけど、地味で退屈な男を「いかにも」といった感じで好演でした。
おすすめ度:これもひとつの愛のかたちなのか★★★1/2
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パルーカヴィル PALOOKAVILLE ベネチア映画祭最優秀新人監督賞

1995年 米国 89分
監督 アラン・テイラー
撮影 ジョン・トーマス
出演 ウィリアム・フォーサイス(シド)/ヴィンセント・ギャロ(ラス)/アダム・トレーズ(ジェリー)/フランシス・マクダーマンド(ジューン)/リサ・ゲイ・ハミルトン(ベティー)/キム・ディキンス(ローリー)/ブリジット・ライアン(エニッド)
メモ 1997.11.8(土)扇町ミュージアムスクエア
あらすじ
パルーカとはアメリカ英語の古いスラングで、「お間抜けな/しょうーもない」という意味。それにVILLE(町)がくっついたので、「おとぼけ横町」とでもいう意味らしいです。おとぼけ横町の”もはやあんまり若くない”おとぼけ三人組が、ひともうけ企むのですが、なんかしら何時もうまく運ばない。(まあ、まったく不思議ではないのですが)
感想
登場する人登場する人、みんな味があるんです。しみじみ、面白かった。小品ですがジワーっと可笑しいです。これもアメリカ映画なんですねぇ。初監督作品ながら職人芸を感じてしまった。

強盗のお勉強のため、家でビデオを観ていたら、お母さんがポップコーンをもってきて、お姉さんもやってきて、ポリスの義兄さんもやってきて家族全員でみるハメに陥る所、情けないやら可笑しいやら。
三人組の1人ジェリーが、ケーキ屋さんでパッパしてきたドーナツをお腹の所に隠して、家で寝ている奥さん(ベティー)を起こしてプレゼントする。奥さんがお腹についた砂糖を笑うんです。よーできた奥さんやねえ。さぼてんなら寝てるとこ起こされたら、枕投げまくりやのに。

「ファーゴ」のフランシス・マクダーマンドが酒飲みで気のいい娼婦役。ラス役のヴィンセント・ギャロという人は、ブシェーミに雰囲気が似ているなあと思っていたら、”ポスト・ブシェーミ”なんですね。
おすすめ度:★★★★
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永遠なる帝国 

1995年 韓国 124分
監督・脚本 パク・ジョンウォン
原作 イ・インファ
撮影 チョン・ジョミョン
出演 アン・ソンギ(国王・正祖)/キム・ミョンゴン(学者 チョン・ヤギョン)/チョ・ジェヒョン(イ・インモン)/チェ・ジョンウォン(シム宰相)/キム・ヘス(サンア イ・インモンの元妻)
メモ 1997.11.4(火)パラダイスシネマ
あらすじ
西暦1800年の宮廷のある一日(D−DAY)をミステリ仕立てにした、絶対君主政治を夢見る国王”正祖”対”保守派官僚”の権力闘争(パワー・ゲーム)。
感想
豪華絢爛な映像です。かなり重量級で難解。「ふー映画をみたなー」っていう気持ちになりました。
パンフにも書いてありましたが「薔薇の名前」に少し似ています。(さぼてんは、クリスチャン・スレーターにみとれていましたが)。
歴史を目撃した、若きエリート文官イ・インモン(李人夢)の”繊細で純粋でそして、鋭い真摯なまなざし”に、またしても見とれてしまった。
映画の最初に英語で時代背景の説明書きがあったのですが、字幕がなかったので「2大勢力が争っているらしい・・昔なんかあったらしい・・」しかわからず、オヨヨでした。後ろでおじちゃんも「わからへんゾ」とつぶやいてはりました。ラストはよくわからず、後でパンフを読んでやっとこさ、なんとかわかった。

−−−ちょっとばかり、パンフに載っている時代背景をば−−−−
朝鮮李朝時代は、1392年から1910年までの長い王朝です。日本の武家政治に対して、李王朝は、文治主義がとられていました。文官が権力を握っていたそうです。つまり、いっぱい本を読んで、口で勝つという訳ですね。
この映画はフィクションですが、1800年の正祖時代の1日を描いています。30年前、正祖の祖父の21代英祖が、老論派の誣告(ブコク:人をおとし入れるために訴えることだそうです)により、息子のサド王子(22代正祖の父)を殺害してしまうという悲劇が起こりました。映画はこの事件を背景としています。保守的な「老論派」対西洋の新しい思想を取り入れようとした「南人派」が対立していました。正祖は「老論派」に対抗するため、「南人派」を積極的に起用します。
映画を観ていると、長らく武家政治が続いた日本は「言い訳無用!」と潔いんだけど、多少口べたなのかなという気もしてきます。
おすすめ度:好みがあると思う。退屈な人もいると思う。でも、私は好き★★★★1/2
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明日に流れる川 

1996年 韓国 96分
監督・脚本 パク・ジェホ
撮影 パク・スンホ
出演 イ・デヨン/イ・インチョル/キム・イェリョン/アン・ヘスク
メモ 1997.11.2(日)パラダイスシネマ
あらすじ
朝鮮戦争後から現代までの、末っ子の目からみた地方の一家の変遷。絶対的権力を持つ父親と、第4夫人の母の間に生まれた”期待の跡取り”は、成長後同性愛に目覚める。
感想
ムムッ、”爆笑ゲイムービー”と思っていたら、違った。なんか、風変わりな映画だった。といっても、見に行ったことを後悔するような映画でもなかった。監督の自伝的色彩が強いみたい。
ラストは痛快。儒教思想が強いと聞く韓国では、衝撃的な映画だったと思う。うまく、まとめてあった。
しかし、同性愛の恋人たちの細やかな愛情は、みならうべきものがあるなあ。
おすすめ度:★★★
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