1999年11月の映画


狂乱のモンテカルロ
独 1931年
監督 ハンス・シュバルツ
脚本 イエネー・ヘルタイ
撮影 ギュンター・リッタウ/コンスタンチン・チェット
原作 フリッツ・レック=マレチェベン
制作 ウーファ
音楽 ヴェルナー・R・ハイマン(「会議は踊る」)
出演 ハンス・アルバース(クレドック艦長)/アーナ・ステン(ヨーラT世)/ハインツ・リューマン(ペーター・シュミット少尉)/ピータ・ローレ(パブリチェク機関長)
メモ 1999.11.28(日)BS録画
あらすじ
小国ポンテネロ王国の巡洋艦ペルシモン、水兵は洗濯し士官達も釣りをしたりハンモックで寝たりのだれきった毎日。王国の財政難から給料も遅滞し暇をもてあましている艦長の元に出発の準備をせよとの知らせが舞い込む。マルダウで演習に参加するのか、レバンツュで密輸退治をするのかとワクワクしていたところ、女王ヨーラT世の地中海旅行のお供をせよとの命令だった。ふんだ。わがまま娘のきまぐれに付き合っちゃいらんねぇと船長は勝手に出航し、モンテカルロに向かう。ワーイ、カジノだあ!
 艦長が艦と共に出奔したと聞いたヨーラT世は、先回りしてモンテカルロで待ちかまえる。モンテカルロの領事に「水兵達の給料10万フランを払え」と詰め寄るクレドック艦長。影で聞いていたヨーラT世は、首飾りを売って10万フランを渡すようにと領事に指示する。10万フランを懐にカジノに向かうクレドック艦長と親友のペーター(シュミット少尉)。またしてもヨーラT世はカジノで待ちかまえていた。金髪を黒髪のカツラで隠し、つけぼくろまでつけてクレドック艦長を誘惑しようとしているのだ。
 しかし、そこは年の功のクレディ(艦長)に子供扱いされ泣き出してしまう。女王とは露とも知らない海の男クレディは好きな物を買ってやるとなだめる。カジノの宝石店で自分の首飾りを見つけたヨーラT世はこれが欲しいと言う。男に二言はないと13万フランもする首飾りを買ってやるクレディ。3万フランは自分の指輪で払ったが、1万フラン返せと店主に談判する。それを元手にカジノで一発当てるつもりなのだ。
ところが、カジノではつきまくり60万フランももうける。このお金でホノルル、東京、アメリカに行くというクレディの言葉を聞いて、ヨーラT世は「この男、逃がすまい」と最後の賭けにすべてつぎ込めとそそのかす。案の定全部すってしまったクレディはカジノの支配人と談判する。「10万フランは、水兵達の給料だから返してくれ。」。支配人が突っぱねると「明日の朝9時までに返さないと、沖の巡洋艦からカジノに大砲をぶち込む」と脅す。
次の朝、沖合の巡洋艦ペルシモンの大砲はモンテカルロのカジノに照準を合わせ、金が到着するのを待っていた。

感想
ハイマンの音楽によるオペレッタ。こんな楽しい映画を作りながらも独は戦争にのめり込んでいったのかと思う。何故なんだろう。
→甲板で水兵達と歌っているのはパブリチェク機関長。「M」「マルタの鷹」のピータ・ローレです。
おすすめ度★★★1/2
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抵抗
仏 1956年
監督・脚本 ロベール・ブレッソン(
「スリ」)
原作 アンドレ・ドヴィニー
音楽 W.A.モーツアルト(ミサ ハ単調K427)
出演 フランソラ・ルテリエ(フォンテーヌ)/シャルル・ル・クランシュ(同室者ジョスト)/モーリス・ベアブロック(隣室の囚人・ブランシェ)/ローラン・モノ(牧師)/ジャック・エルトー(108号オルシニ)/ジャン=ルイ・ドリュイモー(エブラール)/ロジェ・トレエルヌ(テリー)
メモ 1999.11.28(日)BS録画
あらすじ
ドイツ傀儡・ビジー政権下のリヨン、レジスタンスの闘士フォンテーヌはドイツ軍支配下の監獄からの脱出を企てる。実話を映画化。
感想
いつまでも大事に取って置いてもしようがない。よく寝たし(古い映画見る時の必須条件)体調十分。よしっ見よう!と気合い十分で見始める。
息詰まる緊迫感とサスペンスの傑作。無駄な物がいっさいない研ぎ澄まされた映像。文字が及ばない映像の力を見た。
おすすめ度地味です。★★★★
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ミラクル・マスクマン−恋の大変身−
香港 1995年
監督 イップ・ワイマン
脚本 バリー・ウォン
撮影 アンドリュー・ラウ
出演 チャウ・シンチー(シン「ゼロゼロパー」)/ジジ・リョン(チュン)/ン・マンタ(タット)/チョイ・カムコン(チャン教授)
メモ 1999.11.23(火)BS録画
あらすじ
え〜っと、あらすじね。う〜ん、すじってあったっけ? 
そうそう、ハワイの大金持ちのバカ息子シンが傍若無人に悪さをして、大学中の鼻つまみ者になっている。実はこのふざけたヤローは大金持ちの実の息子ではなく、いつも一緒にいる使用人タットの息子だったのだ。って本人はとっくに知ってたんだけどね。26年前かにタットがポルノを読んでいる最中、白い靴下だけを身につけた母親がやってきてマチガイをしてしまったってわけ。
このバカ息子が隣の家の美女とバーで踊っていたら、美女には日本人ヤクザの亭主がいて、ヤクザの手下に襲われ豪邸ごと爆弾で吹き飛ばされてしまう。残ったのは脳と口だけ。大学にはゾンビの研究をしているマッド・サイエンティストの教授がいてサイボーグとしてシンを再生する。しかしハワイにいては危険と死んだことにして実の父親タットとともに香港に逃れるのだ。自分の葬式をそっと見ていると教授のメイのブス・チュンだけが見送ってくれていた。胸キュン。
それから二年後、香港でホソボソ暮らしているシンとタットの元に昔いじめた友達が就職先を紹介してくれる。紹介されたのは学校の先生だったが、その学校は教師が半分は死に、半分は病院送りになるという恐ろしい場所であった。初日からひどい目にあわされるシン。が、正門にくくりつけられたシンの前を通っていったのは懐かしいチュンであった。チュンは意外にも美しくなっていたが、学校の理事長の息子の恋人だった。世をはかなんで、ベランダから飛び降りたシンの所に間一髪マッド・サイエンティストのチャン教授が駆けつけ、新しい秘密兵器のほにゃららをシンの口にほおりこむ。とパワーアップ! 炊飯器、アイロン、電子レンジから歯磨きチューブ(家庭製品ばっか)にまで何でも変身できるシンができあがる。そこにあらわれた、日本人ヤクザの手下。彼も金をかけてサイボーグ化され(だったような気がするなあ)T2対T2の最後の闘いの火蓋がきって落とされた!
という、今覚えているだけでも書き留めとかないと忘れちゃうこと必須の、パロディ満載の映像を繋げていくためだけの筋がちゃんとあったな。
感想
SFでもあり、コメディでもあり、アクションでもあり、ラブストーリーでもあり、父親と息子の話でもありぃのなんでもありの楽しい映画やねん。唖然とするほど面白い。笑うしかないっ(^^)。
おすすめ度★★★★
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黒蘭の女 Jezebel
米国 1938年 110分
監督 ウィリアム・ワイラー
原作 オーウェン・ディビス
脚本 クレメンツ・リプリー
音楽 マックス・スタイナー
撮影 アーネスト・ハラー
出演 ベティ・ディビス(ジュリー「八月の鯨」)/ヘンリー・フォンダ(プレス)/フェイ・ペインター(ジュリーの叔母)
メモ 1999.11.23(火)WOWOW録画
あらすじ
地球はお前中心に回っているんやないんやでーと説教たれしたくなるワガママ娘ジュリー。その気性の激しさに惚れていた婚約者のプレスであったが、舞踏会に真っ赤なドレスを着たジュリーに愛想を尽かし彼は北部へと去ってしまう。1852年南北戦争前夜のアメリカ南部では、当時未婚の娘のドレスは白と決められていた。要するに今も昔も男は保守的だったわけ。
感想
主人公のジュリーは自分の有利な立場を使って、最後まで我を通したと思えなくもないラストではありますがなかなか重厚な作品でした。当時の南部の雰囲気が感じられます。ミステリではありませんがとてもサスペンスフルな映画。驚いたのはベティ・ディビスの美しさ。「何がジェーンに起こったか」(必見)の妹役の方という印象しかない。情けない。ハズカシながら、お若い頃の作品は見ていないというか、覚えていないというか。
うろ覚えですが、ベティ・ディビスという方は娘さんとも確執があったとか読んだ覚えがあります。激しい気性の方だったんでしょうね。今でもそうでしょうが当時のハリウッド女優の争いというのは、すごかったんでしょう。このキッっとしたベティ・ディビスに睨まれたらと思うと恐いよぅ。1935年の「青春の抗議」という映画に続いてアカデミー主演女優賞受賞。ジュリーの叔母さん役で助演女優賞のフェイ・ペインターという方は↓の「ステート・フェア」にもミンスミートを作っているお母さん役ででてはりました。偶然同じ日に見てなんだか嬉しい(^^)。
南部が舞台の映画というと、「マグノリアの花たち」「ロンリー・ハート」「フォレスト・ガンプ」とかありますね。米国南部の女の人は、気性が激しく外交的で客あしらいがうまく、家庭的なしっかり者という印象でしょうか。本では「密造人の娘」とかも南部が舞台でした。「フォレスト・ガンプ」のお母さん役のサリー・フィールド の印象が強いかな。何故か説明もなくシングルマザーで昔の大農園主の家で宿屋を切り盛りしてはりましたね。
ウィリアム・ワイラー監督(「ローマの休日」「コレクター」「ベン・ハー」 
「この三人」)が「風とともに去りぬ」の向こうを張って作った作品とかBSファンには書いてあります。
しかし「黒蘭の女」って邦題どういう理由からつけられたんでしょ。またしても理解不能に陥る。原題のジョゼベルって映画中の叔母さんが言う「聖書の中に書かれている男を破滅させる女」の事よね?
おすすめ度★★★1/2
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ステート・フェア STATE FAIR アカデミー賞主題歌賞
米国 1945年 101分
監督 ウォルター・ラング
原作 フィリップ・ストング
脚本 ソーニャ・レビン/ポール・グリーン
脚本・音楽 オスカー・ハマースタインU/リチャード・ロジャース
出演 ジーン・クレイン(マージィ)/ダナ・アンドリュース(パット)/チャールズ・ウィニンガー(パパ)/フェイ・ペインター(ママ)/ディック・ヘイムズ(兄ウェイン)/ビビアン・ブレイン(エミリー)
メモ 1999.11.23(火)WOWOW録画
あらすじ
年に一度のステート・フェア目前、ママは品評会に出すミンスミートとピクルス作り、パパはご自慢のハンプシャー種のブタの手入れに余念がない。兄もなにやら納屋で密かに刺繍のワッカを使って輪投げの練習をしている。みんなが浮き立っている中ひとりマージィは憂鬱だ。なんだか面白くない。ここでないどこかへ行きたい。
感想
ミュージカルですよ、ミュージカル、さぼてんが。
「手ごわいカモ」でステート・フェアの事を読んで見たくなった映画。単純ですな。ステート・フェアとは共進会とも訳される農業祭です。
マージィは、ジェット・コースターに乗っていた時に恐さから思わず抱きついてしまった隣の席の新聞記者パットに恋をし、兄のウェインは歌姫エミリーに恋をし、おまけにブタさんのブルー・ボーイは向かいの檻のブタさんエスメラルダに恋をするというはあと はあと はあとの楽しい映画。あらためて思う。ミュージカルって楽しい。
日本で戦後初めて公開されたテクニカラーのミュージカルだそうです。(ああこういう豊かな国と戦争してたんかあと思ったでしょうね、当時の人は)
おすすめ度★★★1/2
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π サンダンス映画祭最優秀監督賞 インディペンデント・スピリット賞初脚本賞
米国 1997年 85分
監督・脚本 ダーレン・アロノフスキー
出演 ジョーン・ガレット(マクシミリアン・コーエン)/マーク・マーゴリス/ルイス・ソロモン
メモ 1999.11.19(金)心斎橋シネマ・ドゥ
あらすじ
天才数学者のマックス・コーエンは幼少の頃から激烈な偏頭痛に苦しんでいた。襲ってくる偏頭痛の発作に怯えながら、数学にのめり込む日々だ。彼が取り組んでいたのは世界中の全ての事象を解析できる方式の解明だった。すなわち「周りで起こっている事は全て数字に置き換え、理解する事が出来る」という考えに取り憑かれていた。
感想
まさしくカルト映画
私、高等数学の事はなーんもわかりませんが、これ全て例外の集まりと感じられる英語や化学に比べ「算数は美しい」と感じる。この「割り切れる」学問(ユークリッドの世界なのか)が人を引きつけ魅了し虜にするのはわかるような気がする。数学と同じく、白が勝ったモノクローム映像が美しい。若き天才が正気と狂気の境目の塀の上で「内なる敵」に翻弄される。主人公のパラノイアが徐々に高じていく所はポランスキー監督作品
「テナント」と似ていた。
おすすめ度★★★1/2
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エリック・ザ・バイキング ERIK THE VIKING
英国 1989年 94分
監督・脚本 テリー・ジョーンズ
撮影 イアン・ウィルソン
音楽 ニール・イネス
美術 ジュン・ビアド
出演 ティム・ロビンス(エリック)/イモジェン・スタッブス/ジョン・クリース/関根勤/ミッキー・ルーニー/テリー・ジューンズ
メモ 1999.11.19(金)BS録画
あらすじ
バイキングが村を襲い狼藉の限りをつくす。もちろんレイプも。でもバイキングのエリックは、いざ若い女を前にするとやはりその合意の上がいいなどとウジウジ言って「はじめてなんでしょ」などと言われる始末。故郷へ帰ってからのエリックは「バイキングはこのままでいいのだろうか」などといわゆる問題意識を持つ。
感想
むさい男の集団がワーワーキャーキャーとわめきながらあっちへ行ったりこっちへ来たりのファンタジー・アドベンチャー・コメディ。なかなか楽しい映画であった。好きだ、こういう役のティム・ロビンス。でっかい体の上の童顔がかわいい。
エリックのじっちゃん役でミッキー・ルーニーが出演。関根勤もムチをふるう奴隷の番人役で登場。「あーでてはるなあ・・」というような役でした。
ハイブラジル国の王様役のテリー・ジョーンズという人が監督、脚本。モンティ・パイソン軍団のおひとりだそうです。
おすすめ度★★★1/2
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拾った女 PICK UP ON SOUTH STREET
米国 1953年 81分
監督 サミュエル・フラー
撮影 ジョー・マクドナルド
音楽 リー・ハアーライン
出演 リチャード・ウィドマーク(スッキプ・マッコイ)/ジーン・ピータース(キャンディ)/セルマ・リッター(モー)/マービン・バイ(ジョーイ)
メモ 1999.11.16(火)CS録画
あらすじ
ニューヨーク、すし詰めの地下鉄で新聞を手に女に近づいていく男がひとり。ムショを出たばかりのスキップ・マッコイは白いサマー・ドレスの女のバッグから財布をスリ取る。その財布の中には、共産主義者へ売り渡すための軍の機密・新薬の化学式を写したフィルムが入っていた。女は内容を知らずに金をもらって運び屋にされていたのだ。
感想
女が落ちていたわけではありませんでした。どういう意味なんでしょ、この邦題。地下鉄でひっかけたのと、スリをかけてあるわけ?
続けてリチャード・ウィドマークを見る。サミュエル・フラー監督作品を見る。81分という短い時間の中にぎゅっと凝縮したハードボイルドの傑作。女を殴る、突き飛ばす、気を失った女にビールをかける。地下鉄での男同士の殴り合い。階段で倒れた男を足を持って引きずり降ろす。ひきずられる男は階段で頭をバンバンバンと打つ。パシッパシッって殴る音も痛そう、ほんま痛そう(**)。
加えて、スリの情報を流すネクタイ売りのモー、セルマ・リッターっていう役者さんなのかな。存在感あった。・・・書いていて思い出したぞ。この人ヒッチコック監督作品「裏窓」の看護婦さんかの役の人だった。暴力シーンだけではなく人間をも描けている。当時のアメリカ人は共産主義者が大っ嫌いというのがよくわかる映画でもあった。
運び屋キャンディ役のジーン・ピータースって女優さんは、デビ・メイザーをもっと美人にしたような女の人でした。
おすすめ度★★★1/2
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死の接吻 DEATH OF KISS
米国 1947年 99分
監督 ヘンリー・ハサウェイ
原作 エリザ・リプスキー
脚本 ベン・ヘクト/チャールズ・レデラー
撮影 ノーバート・ブロディン
音楽デビッド・バトルフ
出演 ビクター・マチュア(ニック・ビアンカ)/リチャード・ウィドマーク(ユードー)/ブライアン・ドンレビー/コリーン・グレイ/カール・マウデン
メモ 1999.11.14(日)WOWOW録画
あらすじ
ニックは前科者、世間の風は冷たく働く所もない。それでもって、またもや悪い仲間と宝石店を襲う。でもってエレベータの降りるスピードがのろく駆けつけた警官にただひとり捕まってしまった。「かわいい子供がいるんだろう」と痛い所をつき、仲間の名前を吐いたら刑を軽くしてやると取引を持ちかけるディアンジェロ検事補に「仲間は売らねぇ」とおおみえきってシンシン刑務所に服役したニック。しかし、妻への手紙が宛先人不明になって戻ってきたので不安にかられ調べてみると、宝石を持って逃げた仲間達は妻子の面倒をみず分け前も寄こさず、貧困とアルコール中毒から妻・マリアは自殺していた。幼い二人の娘は施設に引き取られたという。仲間の1人リゾーが妻にちょっかいも出していたと知ったニックは、復讐のため検事補の取引に応じ3人の仲間の名前を伝える。どうも黒幕は有名な弁護士ハウザーらしい。ハウザーのしっぽを掴むため、リゾーが仲間を売った密告人だと仕組む。ニックと面会してリゾーが裏切ったと知らされたハウザーは、殺し屋ユードーをリゾーの家にさし向ける。
感想
リチャード・ウィドマーク初出演作品という事で見たかった映画。殺しの標的リゾーが高飛びした後だったので、びびらしてもっと遠く二度とアメリカに帰ってこないよう病気の母親を、車椅子ごと階段から突き落とし「ケタケタ」笑うという変質者の殺し屋役。このシーンを見ないとリチャード・ウィドマークは語れん(嘘です^^)。下積み生活が長かった人ではなく、それまでは大学で演劇を教えていたとか。
今年の夏に亡くなった「荒野の決闘」のビクター・マチュアが主演。
おすすめ度★★★1/2
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go
米国 1999年 102分
監督・撮影 ダグ・ライマン
「スウィンガーズ」
脚本 ジョン・オーガスト
美術 トム・ウィルキンズ
音楽 BT
衣装 ジェネヴィーブ・ティレル
出演 サラ・ポーリー(レジ係・ロナ) (「スウィートヒアアフター」)/ケイティ・ホームズ(ロナの同僚・クレア)/ディモシー・オリファント(麻薬の密売人・トッド( 「スクリーム2」)/ジェイ・モーア(俳優・ザック 「ザ・エージェント」)/スコット・ウルフ(アダム「白い嵐」)/デズモンド・アスキュー(英国人・サイモン)/ウィリアム・フィッチナー(バーク)/ジェーン・クラコスキー(バークの妻)/ネイサン・ベクストン(ロナの同僚・マニー)/タイ・ディッグス(サイモンの友達・マーカス)
メモ 1999.11.14(日)国名小劇
あらすじ
クリスマス・イブの昼間から翌日までのハチャメチャな24時間物語。
スーパーのレジ係・ロナは、クリスマス・イブというのに滞納した家賃380ドルが払えずアパートから追い出されそう。疲れ切ったロナに、同僚のサイモンが「ベガスに友達と繰り出したいから、バイトを変わってくれ」と持ちかける。サイモンの代わりにレジに立っていたロナの所に、若い男がふたりやってきて「アレが欲しいんだけれど」とコソコソ言う。エクスタシーを20錠売ってくれといってるのだ。
少しでも金が欲しいロナは麻薬取引に自ら巻き込まれ、思ってもいなかった夜が展開していく。
感想
個性という点では、 「ラン・ローラ・ラン」 に遅れをとってはいるが、スピーディな展開ととぼけた味でなかなかの佳作であった。間違った方向へ突っ走っているとしても、「自分でなんとかしなければ」というタフさがいい。出てくるいい年こいた大人達もだいぶ変だったから、変な映画なんだと思う。

しかし、一時代前の青春映画ではメチャメチャなようでも「ミュージシャンになりたい」とか「店を持ちたい」とか将来への夢のようなモノもちょこっと描かれていたと思うのだが、最近の映画ではゼロですな。実に刹那的だ。 いっそすっきりしているとも言えるか。日本の若者達がこういう映画を見て「かっこいいやん」とか思ってこの狭い国でマネするのは堪忍してほしいなあ。これは映画の中の「お話」やねんから。 そうは言っても、高卒者の3年以内の離職率が40%、大卒者は30%を越えているとか読むと、現実世界も「刹那的な生き方」が主流になってきているのかも・・・・なんぞとまたまたわかったような事を書くのであった。。。
おすすめ度★★★★
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海の沈黙 Le Silence de La Mer
仏 1947年 84分
監督・脚本 ジャン・ピエール・メルビル (
「サムライ」
原作 ベルコール
撮影 アンリ・ドカエ
出演 ハワード・ベルノン/ニコル・ステファーノ/ジャン・マリー・ロバン/アミ・アーロー/リュデル
メモ 1999.11.13(土)WOWOW録画
あらすじ
1940年6月14日、パリは陥落しフランスはドイツに降伏。1944年8月のパリ解放までの5年間フランス人はナチス・ドイツ占領軍に対し抵抗(レジスタンス)を続ける。
この映画は、ドイツ占領下のフランスの片田舎での1941年冬から秋までの6ヶ月間の物語。叔父と姪が静かに暮らす一軒家に、足の悪いドイツ軍将校が同居する。将校は夜たびフランスへの片思いを語るが、叔父と姪は沈黙で応じる。
感想
私にとってフランスという国のイメージはどうだろう。中華思想、農業国、頑固で強面、ハイセンスといった所だろうか。その印象どおりの映画。誇り高いフランス魂を感じさせる。

スティーブン・スピルバーグ監督の映画「プライベート・ライアン」では、ドイツ軍は個性のない人間群とされていた。それに対しこの映画のドイツ軍将校は知的で教養深い人物なのだ。しかしそういう人物でさえ(だからこそか)「フランスに強いあこがれ」を持ちフランスとドイツを「美女と野獣」にたとえさせるというフランス人の「自国への誇り」に圧倒された。
おすすめ度★★★1/2
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謎の下宿人 The Ledger
米国 1944年 84分
監督 ジョン・ブルーム
原作 マリー・ベロック・ローンズ
脚本 バー・リンドン
撮影 ルシアン・バラード
出演 ジョージ・サンダース(ジョン
「誘拐魔」「幽霊と未亡人」)/マール・オベロン(キャシー・ラングレー)/レアド・クルーガー
メモ 1999.11.10(水)WOWOW録画
あらすじ
1890年代の霧深い夜のロンドンで、女を切り裂く殺人事件が連続4件おこっていた。警察の懸命の捜査にもかかわらず、煙のように消える犯人の目星もついていない。不安がる街の人々に新聞が飛ぶように売れる。そんななか、老夫婦の元にひとりの下宿人がやってくる。物静かな男だが、昼間は部屋にこもりっきりで、夜になると裏口から出かけていく。ボートに乗って夜のテムズ川に手を浸していると心が落ち着くと憑かれたような目で語る男だった。家主の老夫婦は連続殺人鬼ではないかと疑いを持つ。家主にはダンサーの姪っ子がいた。この美しい姪っ子を、謎の下宿人スレイドはじっとりとした目で見つめるのだ。
感想
夏にこの映画を見た時、ダンサーのキャシーを「きれいな人やな」とは思って見ていたのですが、今回再見してわかりました。 「淑女超特急」 「この三人」のマール・オベロンだったんですぅ。 この映画ではマール・オベロンのパリ仕込みの健全でコケティッシュなダンスも歌も楽しめます。お堅くて優等生的な女優さんと思っていたので、お尻フリフリダンスにビックリしました(**)。

初見の時はヒッチコック初監督作品の「下宿人」と原作が同じということで、そう思ってみてたら話が進むにつれ「アレ? 違うヤン、違うヤン。どないなってんの?」と頭混乱のまま見終えてしまいました。
今回見直してみたらこの映画、よう出きてるではありませんか。霧深いロンドンの街並み、劇場裏の舞台装置、定番の螺旋階段などなどミステリアスな雰囲気が素晴らしい。騎馬警官が馬に乗ってパッカパッカと音を立てる所なんぞゾクゾクします。(馬フェチか?)

会話もシャレている。
警官のジョンがキャシーにスコットランドヤードの犯罪博物館を案内する。説明しながらキャシーに一目惚れしたジョンは「母に紹介したい。金曜日のお茶に来ていただけませんか?」と礼儀正しく誘う。聞こえないふりして、展示物を指さしながら「アレは何?コレは何?」とはぐらかすキャシー。火掻き棒を指さして「コレは何?」と問うキャシーに「男が恋人をこれで殺したんです。」と説明するジョン。またしてもお茶に誘うジョンの言葉に知らん顔して「何故殺したの?」と重ねて聞くキャシー。しびれを切らしたジョンが火掻き棒を握りしめる手に力をこめて、言う。「たぶん、 彼女が簡単な質問に答えなかったから。」(爆)

ヒッチコック監督作品の「下宿人」は二階の部屋の中を行ったり来たりウロウロ歩く下宿人を不安がって一階から上をうかがう夫婦の様子が透き通って見えているのが印象的な映画だった。最後、群衆に追われるシーンはウディ・アレン監督の「影と霧」にも使われていたと思う。「影と霧」はジョディ・フォスターやらキャシー・ベイツやらが陽気な娼婦役で出ていた作品だったな、確か。
おすすめ度★★★1/2
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ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア Knockin'on Heaven's Door
独 1997年 90分
監督 トーマス・ヤーン初監督作品
脚本 トーマス・ヤーン/ティル・シュヴァイガー
撮影 ゲーロ・シュテフェン
音楽 ゼーリッヒ
美術 モニカ・バウアート
衣装 ヘイケ・ヴェーバー
出演 ティル・シュヴァイガー(マーチン・ブレスト)/ヤン・ヨーゼフ・リーファース(ルディ・ウルリツァー)/ティエリー・ファン・ヴェルフェーケ(ヘンク・ベルギー人)/モーリッツ・ブライブトロイ(アブドゥル・アラビア人
「ラン・ローラ・ラン」)/ルドガー・ハウアー(カーチス)
メモ 1999.11.8(月)心斎橋ビッグステップ パラダイス・シネマ
あらすじ
マーチンとルディは大病院で知り合う。ふたりとも余命幾ばくもない病におかされている事を告知されてガーンの直後。マーチンが天国での今はやりの話題は「海」だという。「海に沈む太陽の光と黄昏」を語れないヤツは、仲間はずれだというのだ。それを聞いたルディは「自分は海を見たことがない」とうち明ける。テキーラで酔っぱらったふたりはマフィアの車を盗んで海を見に出かける。
感想
ビートの聞いた音楽(「プリシラ」でも聞いたこの曲、なんだっけ?)、重いギャグの導入部がまずいい。ブラックな笑いとおまぬけな笑いと銃撃戦も十分楽しい。鉄砲についてはウチの銃器専門家は家に置いてきたので詳しい事はわかりませんが。。。。
しかし、この映画を見ていて思い出したのは「レザボア・ドッグス」でも「パルプ・フィクション」でもなければ、「俺達に明日はない」でもない。「テルマ&ルイーズ」と「真夜中のカウボーイ」です。20世紀も末になるとこういう映画に仕立てあがるのかと感心した。記憶に残る映画だと思う。

面白い。面白いんやけれど、「ラン・ローラ・ラン」といい、同じ穴のムジナの争いの「レザボア・ドッグス」や、「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」と違って、グレてるけどごくフツーの若者が銃を持ったとたん振り回して銀行強盗するってなストーリーの映画が大ヒットする独はどうなってんだいと思ったりも少し、する。
おすすめ度「混んでますか」の電話での問い合わせに「立ち見が出るって程ではありません。」ってお返事、嘘ではなかったな、16人だったから。★★★★
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獣人島 ISLAND OF LOST SOULS
米国 1932年 71分
監督 エール・C・ケントン
原作 H・G・ウェルズ「モロー博士の島」
出演 チャールズ・ロートン(モロー博士)/リチャード・アレン(エドワード・パーカー)/レイラ・ハイアムス(ラス・トーマス)/ ベラ・ルゴシ

メモ 1999.11.7(日)CSシネフィル・イマジカ
あらすじ
パーカーは花嫁の待っている島に向かう途中船は難破、3日間海に漂った末通りかかった船に救助される。介抱してくれた男はトーマスといい、ドクター・モローの助手だという。その船にはゴリラ、ひょう、犬など様々な動物がモローの島へ届けるため山盛りつみこまれていた。酔っぱらった船長が、動物の世話係の男を殴った事からパーカーは船長を殴ってしまう。怒った船長は、ドクター・モローが島から動物を受け取りにきた船にパーカーを突き落とす。ドクター・モローも大迷惑だが、しかたなく自分の島に連れて帰る。島には異様な者達がジャングルの中をうごめいている。ドクター・モローには若いパーカーを島唯一の女ロタとめあわせようという魂胆がうまれていた。キチガイ博士は、遺伝子操作をおこない速成の進化実験を行っていた。第二世代を作ろうというのだ。
感想
チャールズ・ロートン怪演。そうやね、「羊たちの沈黙」のハニバル・レクターのよう。ビリー・ワイルダー監督の映画「情婦」では弁護士役だった人。
自分の作った「掟」を自ら破る事で、創造主から裏切り者へと凋落し自分の作った獣人達に切り裂かれるという皮肉なラストは必見。

ベラ・ルゴシがどこに出ていたのか判別不能。「掟〜」と繰り返す獣人達のリーダーか?

1977年バート・ランカスター主演の「ドクター・モローの島」はこの映画のリメイクだそうです。
おすすめ度★★★1/2
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ブラック・ウィドー BLACK WIDOW(黒後家蜘蛛)
米国 1986年 102分
監督 ボブ・ラフェルソン(「郵便配達は二度ベルを鳴らす」)
脚本 ロナルド・バス
撮影 コンラッド・ホール
音楽 マイケル・スモール
出演 デブラ・ウィンガー(アレックス)/テレサ・ラッセル(キャサリン「ボンデージ」)/サミー・フレイ(ブリジット・バルドーの愛人だったそうです)/デニス・ホッパー

メモ 1999.11.7(日)TV録画
あらすじ
司法省の調査官アレックスは、マフィアのボスが寝ている間に急死した事件を調べる内に、同じ症例の大金持ちの死亡事件につきあたる。1年前の事件だ。そのうち、もう一件同じ様な死亡事例が発生する。カンの働くアレックスは、両方とも新婚、年の離れた若い妻、大金持ちとの共通点からきな臭ささを感じとる。事件の資料をみくらべると、髪型や服の趣味はちがっているが、若妻のあごの形が似ているように見える。同一人物ではないのか? 夫の遺産目当ての殺人ではないのか? 父親との関係から年の離れた男に惹かれるたちのアレックスは、女に妙な親近感を覚え行方を追うことに取り憑かれていく。
感想
面白い。評判がいいのもうなずける。山城新伍解説も誉めてはりました。テレサ・ラッセルの腰の張った貫禄の色っぽさも楽しめますが、デブラ・ウィンガーが凛々しい。

若い金髪の美女を妻にして幸せいっぱいの最中、お酒に一服もられてあえなく昇天する大金持ちのチョイ役でデニス・ホッパーのお顔が見れます。
おすすめ度★★★★
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グッバイ・ラバー GOODBYE LOVERE
米国 1998年 104分
監督 ローランド・ジョフィ(「キリング・フィールド」)
脚本 ロン・ピア/ジョエル・コーイン/アレック・ソーコロブ
撮影 ダンティ・スピノッティ( 
「L.A.コンフィデンシャル」
美術 スチュワート・スターキン
音楽 ジョン・オットマン(「ユージュアル・サスペクツ」)
衣装 シアドーラ・パン・ランクル
出演 パトリシア・アークエット(サンドラ・ダンモア「トゥルー・ロマンス」「アメリカの災難」「哀愁のメモワール」)/ダーモット・マルロニー(ジェイク・ダンモア「リビング・イン・オブリビオン」のカメラマン「ベスト・フレンズ・ウェディング」「コピー・キャット」)/ドン・ジョンソン(ベン・ダンモア「愛に翼を」)/メアリー=ルイーズ・パーカー(サンドラ「フライド・グリーン・トマト」「ボーイズ・オン・ザ・サイド」)/エレン・デジェネレス(リタ・ポンパノ刑事 アン・ヘッシュの恋人だそうです)/アレックス・ロッコー(クローリー刑事)/そしてヴィンセント・ギャロ(殺し屋マイク「パルーカヴィル」 「バッファロー'66」)
メモ 1999.11.5(金)心斎橋ビッグステップ パラダイス・シネマ
あらすじ
教会でオルガンを弾いている男の所に金髪の女がやってくる。演奏はフロッピーの音楽データにまかせ、バッハに合わせ善男善女が唱う中、密かに過激なSEXにふけるふたり。。なんてバチあたりなんだ。しかも女は弟の妻ときた。
感想
冗談みたいな映画だった。。。。監督さんも役者さんも遊んでいるとしか思えん(**) 「グッバイ・ラバー」というあっけらかんとした映画名が全てを表していると思う。マイッタ。『サウンド・オブ・ミュージック』の音楽と鏡がたくさん使われていたのが印象的。そのため現実感が薄くブラックなストーリーも作り物のお話として楽しみました。くせ者ぞろいの出演者の中でも、よかったのがドン・ジョンソン。パンツいっちょの横座り姿が脳裏に焼き付いたではないか。
おすすめ度★★★ 今回の観客数は数えられました。10人です。
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