2000年2月の映画


デスマシーン  Death Machine (by さぼてん男)

1994年 英国 123分
監督 スティーヴン・ノリントン(へぇー「ブレイド」の監督さんなのか)
出演 ブラッド・ダーリフ(ダンテ「薔薇の素顔」 
「エイリアン4」)/エリ・ポージェット(ケイル)/ウィリアム・フットキンズ(カーペンター)/リチャード・ブレーク/ジョン・シャリアン(どなたかわかりませんが、ライミさんもおられました)
メモ 2000.2.29 CS録画
感想
「デス・マシーン」を見る。
うむ、なかなかよろしい。
「ユニバーサルソルジャー」やら何やら、見たことあるようなシーンのオンパレードであるが、そんな事よりも随所に散りばめられたスカしたギャグがよろしい。
銃を突きつけられた一団が画面外へ出た後も妙に長い間なにもないところを写しているなぁと思ったら、道を間違えて戻ってきたり、敵をくい止めてカッコつけて振り向いた途端に、頭をぶつけてひっくり返ったり。しばしば登場するピースマークもいい味だしている。このあたりのヒッピーまがいのノリは「ダークスター」を思わせる。
気に入れば何でもパクる、台湾パチモン市場のごとき貪欲なサービス精神が、ワシは好きだな。肝心のデス・マシーンがこれまた、「ジョーズ」や「ターミネーター(スケルトンバージョン)」や「エイリアン(クイーン)(なお、日系平和主義者の名がユタニだったりして)」などを混ぜたような、恐いというより滑稽な、なめたデザインで、いいぞいいぞ。
どうもイギリス映画には笑えないギャグとか、笑えるホラーとかが目に付くな。ハリウッドの単純ヤンキー予定調和映画を見過ぎてボケた頭にはいい刺激になる。本作監督は、このままの路線で進むべし。B級映画は好きだけど、わけのわからんギャグが嫌いな人は「アドレナリン」でも見ていたらよろし。こっちはギャグ抜きのわけのわからない映画だからな。
おすすめ度「インベージョン・ジ・アース」が好きな人に案外おすすめかも。★★★1/2
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私の殺した男 The Man I Killed(Broken Lullaby) 
1932年 米国 78分
監督 エルンスト・ルビッチ
制作 モーリス・ロスタン
脚本 エルネスト・バイダ
撮影 ビクター・ミルナー
出演 ライオネル・バリモア/ナンシー・キャロル/フィリップ・ホームズ/ザス・ピッツ
メモ 2000.2.28 BS録画
あらすじ
1919年11月11日第一次世界大戦の休戦記念日のパリでは盛大なミサが行われていた。ミサの後も祈り続けている若いひとりの男がいた。男は神父に「男を殺しました」とうち明ける。「殺人です。」と。「何故殺した?」と問う神父に対し男は答える「理由などありません。」
感想
オーケストラのバイオリン奏者だったポールは、戦争でドイツの若い兵士を殺害し今も苦しんでいる。「それが任務だったのだ。君が苦しむ事はない。」と言う神父に対し、「それが教会の答えですか。それが神の意志なんですか。」と訴える。死んだドイツ兵が戦場で書きかけていた手紙を読んだポールは男の年が22才だった事、名前はウォルター、故郷はファルツブルグという事も知っていた。つまり敵兵ではなくひとりの人間として知ってしまったのだ。この苦しみから逃れるため、許しを請うため殺した男の両親をドイツまで訪ねていく。ドイツのファルツブルグでは、ウォルターの両親と婚約者が3年たった今も悲しみに沈み暮らしていた。そこに現れたポールを両親はパリで知り合ったフランス人の親友が墓参りに来てくれたと思い、歓待する。本当の事が言い出せないポールは、思わず「親友です。ふたりで楽しく過ごしました。」と嘘をついてしまう。。。

手堅い作りの映画です。悲しい。あんなに10代の頃は反撥してツッパッテイタアタシダッタハズなのに(今も第二次反抗期が終わっていないと言われてはいるが)こうも親の心情が理解できるって、我ながら成長したというかなんか黄昏ているような守りに入った気もします。
ポールには二つの道しか残されていない。「あなた達の息子さんを殺したのは私です。」と懺悔するか、このまま何も言わず立ち去るか。彼はどういう選択をするのか? あなたならどうするか? 「戦争」というのは個人のレベルだけで語れるモノではないと思いますが、一般人にとって帰結する所はやはり当然のごとく個人の感情なんですね。「アジアの黄色いサルを殺したんだったらそこまで苦しむだろうか?」なんてちょっと思ったりもしましたが、これは素直に国籍人種を越えた心情と思いたい。

ルビッチらしいタッチもあって、コミカルな所も3カ所ありました。息子の墓でドイツの母が悲しんでいるとウォルターの母が「シモン・ケーキが好きな子だったわね。」と慰める。「なぜ知っているの?」「土曜日になると食べにきたわ。」レシピを聞くと「砂糖を2カップ」 納得するドイツの母。「私は1カップだったわ。こんどはうまくつくるわ。」と言ってもう息子はいない事を思い出しまた泣く。

  ウォルターの婚約者だったエルザがきれい欲しいなあと思っている300マルクの服を売っている洋品店の店主が、パリからやって来たポールとエルザがそろって歩いているのをみて、いい感じだと値札を付け替える。「売約済」にするのかと思っていたら、なんと「325マルク」に変える(^^)

  小さい街の住人達は、フランス人に反撥しながらもエルザとポールが歩いていると次々近所中連絡し合って窓から戸口からふたりを見ている。
おすすめ度★★★★
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青髭八人目の妻 BLUEBEARD'S EIGHTH WIFE

1938年 米国 87分
監督・制作 エルンスト・ルビッチ( 
「小間使」  「極楽特急」 「淑女超特急」
原作 アルフレッド・サボイワ
脚本 チャールズ・プラケット/ビリー・ワイルダー/チャールズ・アンドルーズ
撮影 レオ・トバー
音楽 ウェーナー・ハイマン/フレデリック・ホランダー
出演 クローデット・コルベール(ニコル「或る夜の出来事」)/ゲーリー・クーパー(マイク・ブランドン)/デビッド・ニーブン(レニエ伯爵)/エドワード・エベレット・ホートン/エリザベス・パターソン/ハーマン・ビング/ウォーレン・ハイマー
メモ 2000.2.27 BS録画
あらすじ
フランスのリビエラに神経を休めにやって来た米国人の億万長者マイク・ブランドン。不眠症なのだ。ちょっとでも健やかに眠れるようにとデパートでパジャマを買おうとするが、デパートは売ってくれない。200フランのパジャマの上だけを100フランで売ってくれようとはしないのだ。いくらお金があろうとも無駄な物にお金を出すつもりはまったくないっ!とごねているところに現れたかわい子ちゃん。パジャマの下だけ買うと言う。「チェコソロバキア」を反対から言えば眠れると不眠症の特効薬を彼女から伝授してもらったからとパジャマの上は125フラン、下は75フランで支払う事を妥協するマイク。しかし、夜「アキバロソコェチ」と唱えても眠れない。どうも彼女の事が気になる。もやもやしているくらいならいっそ結婚を申し込もう欲しいモノは手に入れるんだいっ、と押しの一手。
かわい子ちゃんは、ホテルの支払いにも困っているフランスの貧乏貴族ロクゼル侯爵のひとり娘ニコルだった。顔はかわいいのだが、なかなか手ごわい娘であった。ルイ14世時代のバスタブで揉めたりしている内になんだか結婚することになったふたり。親族そろって記念写真の最中、マイクがポケットからハンカチを出すとパラパラお米がこぼれる。「ひさしぶりの礼服だから。結婚式の時にまくんだ。」というマイクにニコルは無邪気に聞くのだった。「お米はプディングを作る時にしか使わないけれど、結婚式にまくと縁起がいいの?」 答えるマイク「エルシーとは半年しか続かなかったけれどね。」 「・・・前にも結婚していたの!」(・・)状態に陥るニコル 。しかし、一度ではなかったのであった。
感想
「だめだったら離婚すればいいじゃん。」という株を売り買いしているような軽いのりのマイクのいいなりになんかなるもんかと、結婚しても指一本さわらせないニコル。ふたりは新婚早々家庭内離婚状態。マイクは今までの7回の結婚とは勝手が違いお金が山ほどあるのに妻は思い通りにならず、離婚すれば毎年10万ドル支払うと約束したためこのまま離婚してお金を払うのもいまいましい。その手には乗るもんかと一計を案じ、下手に出てふたりっきりのムードをつくり強いカクテルをニコルに飲ませて、ダンスでは振り回して酔わせてしまう作戦に出た。が、一枚上手のニコルはこっそり生ネギを食べ「キスミー」などと甘い声を出してその気になったネギ嫌いのマイクに「ふうっ」と息を吹きかけ撃退するのであった、というシーンに爆笑。いくらいじめてやろうと思っても「ネギ臭い息」を吹きかけられる? いやあまいった(笑)。
金のためなら娘を売るのになんの躊躇もないっていうニコルの貧乏貴族のパパさんも面白いよ。

ルビッチ監督作品としては評価の低い方らしいですが、私は面白かった。札びら切るようなお金持ちの米国人と気位は高いが貧乏なヨーロッパ人両方ともちゃかされている(笑)。
おすすめ度★★★★
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市民X SITIZEN X −チカチーロ− (TV映画)

1995年 アメリカ
演出・脚本 クリス・ジェロルモ
撮影 ロバート・フライス
音楽 ランディ・エデルマン
原作 ロバート・カレン(「子供たちは森に隠れる The Killer Department」)
出演 スティーブン・レイ(ブラコフ「クライングゲーム」「プレタポルテ」「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」)/ドナルド・サザーランド(フェチソフ少佐)/マックス・フォン・シドー(ブハノフスキ
「第七の封印」)/ジェフリー・デマン(連続殺人犯チカチーロ)/ジョス・アックランド(モスクワの捜査官ボンダー・チュック)/ジョン・ウッド(地区共産党書記官ゴルブノフ)/ラドゥ・アムスレスク(フェデレンコ)/イメルダ・ストーントン(ブラコーヴァ・妻「恋に落ちたシェークスピア」のほんものの乳母役)
メモ 2000.2.25 BS録画
あらすじ
1982年ロシア連邦ロストフ州の集団農場で少女の遺体が発見される。前任者の記録から過去にも7件森の中で同じ様な遺体が発見されている事を知った新任の鑑識課員ブラコフは「連続殺人ではないか」と疑い捜査を行うよう進言する。  −実話を元にしているそうです。−
感想
「我がソビエト連邦には連続殺人者というものはいない。(レジナルド・ヒルの「ソ連に幽霊は存在しない 」と同じ)」と断じる地区共産党書記官の偏狭さと官僚のことなかれ主義と旧式の設備に苦悩しつつ、ただひとりの理解者フェチソフ少佐と共に8年間かけて捜査を続けていくブラコフ鑑識課員をスティーブン・レイが好演。政治的手腕にも長けたフェチソフ少佐役のドナルド・サザーランドはエミー賞の助演男優賞を受賞したそうです。精神科医役のマックス・フォン・シドーの容疑者への尋問シーンもいい。「限られた環境の中で出来る限りの事をする」という人間として自己の本分を果たそうという強い姿勢に心動かされる。ミステリ・ファン必見です。原作は「子供たちは森に隠れる」。
おすすめ度★★★★
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マグノリア magnolia ベネチア映画祭金熊賞

1999年 米国 187分
監督・脚本 ポール・トーマス・アンダーソン(「ブギー・ナイツ」)
撮影  ロバート・エルスウィット
音楽 ジョン・ブライオン
出演 ウィリアム・H・メイシー (ドニー 元クイズ少年)/ トム・クルーズ(フランク・マッキー セックスの教祖)/ フィリップ・シーモア・ホフマン(看護士フィル)/ ジュリアン・ムーア(リンダ)/ ジェイソン・ロバーツ(プロデューサー・アール・パートリッジ)/ フィリップ・ベイカー・ホール(クイズの司会者ジミー・ゲイター)/ ジェレミー・ブラックマン(現役のクイズ少年スタンリー)/ マイケル・ボウエン(スタンリーのステージ・パパ リック)/ メローラ・ウォルターズ(司会者の薬中娘クローディア)/ メリンダ・ディロン(クローディアの母ローズ)/ ジョン・C・ライリー(警官)/ リッキー・ジェイ/ アルフレッド・モリーナ
 
メモ 2000.2.22 厚生年金会館試写会
あらすじ
ロサンゼルスのある1日。 12人の人達には大変な一日だった。少年はクイズに答えなくてはいけないし、元クイズ少年は勤め先をクビになるし、癌で余命幾ばくもないクイズ番組のプロデューサーは昔捨てた息子に一目会いたいし、癌を告知されたクイズ番組の司会者は娘と仲直りしたい。
感想
見終わって
ウチ 「難しかった・・・。へろへろ」  
相棒 「わけわからへん。似た顔の人が出てへんから『ボレロ』よりはごちゃごちゃになれへんかったけど。」
(彼女のわけわからない映画の代表は『ボレロ』なのだ。現在と過去を何度も行き来するし、親子を同じ俳優さんが演じているから映画館では『この人、息子か父親どっちなん? 今の話、それとも過去?』とぐちゃぐちゃになったそうな。)
ウチ 「私達、理解するための教養が無いんやろか?」 
相棒 (声をひそめて)「後ろの人が『キリスト教のなんたらかんたら』とかしゃべってはるわ。」 
ウチ 「ジュリアン・ムーアが自分の罪悪感から他人に当たり散らすのを『ワガママ』としか思えないあたしは、今まで深〜い悩みを持った事がなくて幸せやねんね、きっと。そやけどジュリアン・ムーアの喚く『愛』っていったいなんやねんって思うな。」 
相棒 「会場は暑いし、映画は長いしで疲れた。」 
ウチ 「あのシーンでは目が覚めたけどね(笑)。」 

冒頭の3つのエピソードが、最初は混沌とした出演者達をしだいに「クイズ番組」という緩やかな絆で結ばれた4つのグループに分けていく。この辺りの処理がうまい。
最初のエピソード「3人の犯罪者達の名前をつなげると、犯罪を犯した土地の名になるという偶然」は、つまり「偶然出会うやなんてロスってなんて狭い街なん。八丁堀みたい・・・」「ご都合主義」というツッコミを「世の中にはこんな偶然もほんまにありまんのや」とかわしているわけなんだな。善良な警官や善良な看護士や世話やきなストリート・チルドレンといった救いの天使達グループが救われたい人々と出会ったシーンの説明なんだな。
2つ目のエピソードは「取り返しのつかない罪悪感」を表し
3つ目のエピソードは「親子の愛憎」を表しているんだろう、と思う。
大物プロデューサー一家とクイズの司会者の一家は「罪悪感」と「親子の愛憎」がはまり、クイズ少年と元クイズ少年は総てのグループを繋ぐテーマ「愛される事を求めている」
たいした作りの映画やなあとは思うが、残念ながらカタルシスは感じなかった。心に響くモノがなかったのは、恐らく私の人生経験が少ないからだと思う。しかし無くて済むモノなら経験したくはない。
「この監督さんは何が言いたいんだろう」ってあれこれ考えるのも面白いけれど疲れる。あほコメディとか「スリーピー・ホロウ」の方が私は性に合う。
おすすめ度★★★
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パトリス・ルコントのボレロ

仏 8分
監督 パトリス・ルコント
出演 ジャック・ヴィルレ
メモ 2000.2.17 国名小劇
感想
オーケストラが「ボレロ」の演奏を始める。指揮者の後ろ姿を写していたカメラはすうーっと移動しひとりの奏者の前で止まる。
あの「ダン ダダダダン ダダダダン ダン ダン ダダダダン ダダダ ダダダ ダダダ」という有名な三連符のフレーズを延々うち続けるドラマーだ。小刻みに動かしながら演奏を続ける・・・手だけは。機械的にうち続ける手とは別に、上の方は落ち着きがない。ほっぺたをふくらませたり、お隣の太鼓を横目でみたり、誰がこんな曲を作曲したんや(ラベルでんがな)という顔でいささか退屈、とっても退屈。それだけの8分間の短編映画なんですけれど実に面白い。主演は「奇人たちの晩餐会」のジャック・ヴィルレ。

あのドラムを機械に演奏させる試みがあったそうですが、やはり人間が打たないとうまくいかないそうです。約17分間ひとりで打ちまくりの演奏をする日ってのは朝から「今日はやるぞ、やるぞ。俺はやるぞ。」という意気込みなのか、それともプロフェッショナルは頭で別の事を考えながら打てるのでしょうか? この「ボレロ」って曲は最初は静かに小さな音から始まるもんで録音技師が音を大きくして録音していたら、だんだんだんだん音が大きくなるもんだから、逆に音を押さえていって結局は平坦な曲が録音されてしまったとか逸話が多いらしいです。 
おすすめ度★★★★1/2
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奇人たちの晩餐会 カンヌ映画祭特別賞 1999年セザール賞脚本賞、主演男優賞、助演男優賞

仏 1998年 80分
監督・脚本 フランシス・ヴェベール(「3人の逃亡者」「ジャガー」)
撮影 ルチアーノ・トヴォリ
音楽 ウラジミール・コスマ
美術 ユーグ・ティサンディエ
制作 アラン・ポワレ
出演 ジャック・ヴィルレ(フランソワ「ギャルソン!」)/ティエリー・レルミット(ピエール
「サンタクロースはゲス野郎」「タンゴ」)/フランシス・ユステール/ダニエル・プレヴォスト(シュバル)/カトリーヌ・フロ/エドガー・ジブリィ/クリスチャン・ペレーラ/ペトロニル・モス/アレクサンドラ・バンダヌート
メモ 2000.2.17 国名小劇
あらすじ
金儲けがうまくインテリと自負しているピエール達のお楽しみは、水曜日の「奇人たちの晩餐会」。感心していると勘違いして自分が入れ込んでいる趣味や主張をしゃべりまくる害無き人達を招いて影で笑おうという魂胆の残酷なお遊び。が、今回のピエールの「害無き人」フランソワは、人の役にたとうたとうとする余り「小さな親切大きな迷惑」を巻き起こす善人でありトラブル・メーカーだった。この世でこれほどたちの悪い人種はいない。なにしろ悪意がないんだから・・・。
ゴルフで腰を痛めて動けないピエールに、人を笑いモノにしようとしたバツが怒濤のように押し寄せる一晩の出来事。
感想
映画が始まって”根性ババ”のインテリ・ピエールのお顔を見たら・・・「『「サンタクロースはゲス野郎」』のピエールやん。」  なんでも見ておくもんだ(笑)。
最初はコメディに乗り切れず「ヨーロッパ映画は苦手かなあ」と思っていたのですが、中盤から話のリズムに気持ちがのってきて楽しかった。この映画の落とし方はすごいよ。泣けるかも(^^)。

プロデューサのアラン・ポワレという方は、「『サンタクロースはゲス野郎』のジャン=マリー・ポワレ監督の父君です。
おすすめ度★★★★
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スリーピー・ホロウ sleepy hollow

1999年 米国 102分
監督 ティム・バートン(「ビンセント」「ピィーウィーの大冒険」「シザー・ハンズ」「バットマン」「ビートルジュース」「エド・ウッド」「マーズ・アタック」)
撮影 エマニュエル・ルベツキー
原案 ケブィン・イエーガー/アンドリュー・ケヴィン・ウォーカー
脚本 アンドリュー・ケヴィン・ウォーカー(「セブン」「8mm」)
原作 ワシントン・アーヴィング
音楽 ダニー・エルフマン
衣装 コリーン・アトウッド
出演 ジョニー・ディップ/クリスティーナ・リッチ(「アダムス・ファミリー」「キャスパー」
「バッファロー'66」)/ジェフリー・ジョーンズ(「フェリスはある朝突然に」)/キャスパー・ヴァン・ディーン(「スターシップ・トゥルーパーズ」)/リサ・マリー/ミランダ・リチャードソン(「ダメージ」「クライング・ゲーム」)/クリストファー・リー(市長)/イアン・マクダーミド(ドクター 「スターウォーズ エピソード1−ファントム・メナス−」ダース・シディアス)
メモ 2000.2.16 厚生年金会館試写会
あらすじ
所はアメリカ合衆国、時は独立戦争後まもない1799年、新世紀も間近だ。ニューヨーク市の捜査官イカボッド(ジョニー・ディップ)はちょっと変わっている。今の拷問による自白は「科学的ではない」「証拠を集め、捜査して犯人をあげなければ」と事あるごとに論じるもんだから上役や市長にうるさがられ「その捜査たらをしてこい。」とNYの僻村へ追いやられる。その僻村”スリーピー・ホロウ”では3人の人間が襲われ首無し死体となって発見され、持ち主の体から離れた首はどこを捜してもないのだ。村の森には米国独立戦争の最中にドイツの王女から遣わされた殺戮の騎士の亡霊が今も彷徨っているという。それを聞いたイカボッド。「ははは、亡霊だなんて。」と言ってのけたのだが・・。
米国の子供なら誰でも知っているという<首無し騎士>物語のみごとな映像化だそうです。
感想
霧の中から馬に乗り剣をふりかざして疾走してくる<首無し騎士>がかっこいい! ワクワク 鉄砲で撃たれても斧でたたき斬られても立ち上がってくる「お前はゾンビか、ターミネーターか」の<首無し騎士>に対し、こんどこそはと少年マスバスが「死んだの?」とイカボッドに問えば「微妙な問題だ。 元々死んでいるから」と答えるおかしさ 首がゴロゴロゴロゴロし、血がシュバッと飛び散る悪趣味がそれぞれ混ぜ合わされこねくり回されこちらはそれに酔ってしまうというティム・バートンマジック。堪能しました。大好きだ。今までのティム・バートン作品に比べるとわかりやすいと思う。ファンタジックホラーという事から「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」に似ていると感じた。アタシの言うことだからあてになりません、寝言と思ってください(笑)。

最初のキャスティングを見て「へぇーあの人が出ているのか。」と思い映画を見たら「あの人があの役」だったもんだから・・・・ははは(誰でもわかるっちゅうねん)。そしてまた「大好きなもうひとりのあの人」が「もうひとつのあの役」でかっこええねんよ(訳わかりませんな)。
満足度★★★★★
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消失 The Vanishing

1988年 オランダ=フランス 108分
監督 ジョルジュ・シュルイツアー(「マイセン幻影」)
メモ 2000.2.13 CSシネフィル・イマジカ録画
あらすじ
サスキアとレックスのカップルは休暇を過ごすため車でオランダからフランスにやってきた所だ。ガス欠でトンネルで立ち往生してちょっと喧嘩とかしちゃったけれど、仲直りした後はドライブ・インに寄りサスキアが飲み物を買いにいった。しかし、それっきりサスキアは戻ってこなかった・・・。3年たった今もレックスはサスキアを捜している。街頭にサスキアのポスターを貼り、TVにも出演して、見ているだろう犯人に訴える「サスキアの身に何が起こったのか知りたい。」と。
犯人は理科教師のレモン・レイモン。家庭ではよき夫、よき父親だ。
感想
見終わってやはり気分が悪いような、気分の悪さは昇華されてしまい救いがあったような不思議な感覚。
「ヒッチャー」「フリークス」
「血を吸うカメラ」と同じくとても見たいんだけれども、口裂け女になっても「面白かった」とは言えない。小学4年生の時にヒッチコック劇場で見た恐い作品が忘れられなくて、私やっぱりこういう話は恐い。ヒッチコック作品がどういうストーリーだったか知りたい方はメールください(話して楽になりたい(笑))。

1993年の米国映画「失踪」は、同じ監督によるリメイク。出演はジェフ・ブリッジス、キーファー・サザーランド。やはりオリジナルの方が格段によく出来ておりました。
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ナビィの恋

1999年 日本 92分
監督 中江裕司
脚本 中江裕司/中江素子
撮影 高間賢治
音楽 磯田健一郎/マイケル・ナイマン
メモ 2000.2.11 テアトル梅田・レイトショー
<出演 西田尚美(奈々子「秘密の花園」)/村上淳(福之助)/平良とみ(ナビィ)/登川誠仁(恵達)
あらすじ
東京で働いていた奈々子は故郷の沖縄の島に帰ってくる。島に住んでいるおじぃとおばあが奈々子を港まで迎えにくる。トラックで家に向かう途中、道ばたを歩いているひとりの老人を見ておばぁのナビィは顔色が変わる。その人は奈々子と同じフェリーに乗っており船首でじっと島を見ていたいけてるオシャレなじい様だった。
感想
おじぃは男の中の男やねん。
腰回りが3倍くらいになっても大昔の恋を今も心に秘めているおばぁもかわいい。勇気づけられる(何を?)。
雨が降ったり風がふいたり曇ったり晴れたりの天気の移り変わりがきれいだ。色々ある長い人生と同じ。音楽も沖縄民謡からケルト民謡、アニメのテーマソング、オペラと多種多様、その音楽にささえられた人々の素朴さあっけらかんとした俗っぽさそして純真さが混沌として懐かしく気持ちいい、しかし同時にそれを失ってしまっている自分の寂しさも感じる。

歌い踊れば楽しいやんという
「黒猫・白猫」や、ケルトの末裔が出てくる+電動車椅子に乗ったイジワルおばばも出てくるのが同じ「ウェイクアップ!ネッド」と肩を並べる。いや、それ以上に日本映画(沖縄映画か)という事で親しみが湧く。左右の写真で見る男組と女組の雰囲気の違いが面白いでしょ。

3時頃「4時45分の回を見に行こうかな? 最終日だからどうかな?」と思って映画館に電話をかける。「『ナビィの恋』混んでますか?」と聞くと「混んでます。次回4時45分は立ち見です。6時45分も8時45分の回も整理券出しています。」とのお答え。「明日の10時20分からのモーニングショーは?」と聞くと「早めに来てください。」とのお返事。それからノコノコ出かけて整理券をもらい、家に一端帰り夕ご飯を食べてから7時半にまた家を出る。「こんなにしてまで見るほどのもんやろか?」と思いながら映画館に向かいましたが、これほどまでして見るほどのものでした。
映画の前に予告編がありパリス・ルコント監督の「橋の上の娘」など見ていたら次の予告編は大海原を小さいフェリーが進んでいる映像。マイクからどこぞのパープリンががなりたてているひょっこりひょうたん島のテーマソング。「『釣りバカ日誌』の予告編か?」と思っていたら予告もなく始まった「ナビィの恋」でした。
満足度★★★★1/2
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チェイシング・エイミー Chasing Amy

1997年 米国 114分
監督・脚本・出演 ケヴィン・スミス(インディペンデント・スピリット賞脚本賞)
出演 ベン・アフレック(ホールデン)/ジョーイ・ローレン・アダムズ(アリッサ・ボストン批評家協会賞主演女優賞 「コーンヘッズ」
「スリープ・ウィズ・ミー」)/ ジェイソン・リー(相棒バンキー・インディペンデント・スピリット賞助演男優賞)/ドワイト・ユエル(コミック仲間・フーバー)/ジェイソン・ミューズ(コミックのモデル1・ジェイ)/ケヴィン・スミス(チェイシング・エイミー男)
メモ 2000.2.11 WOWOW録画
あらすじ
相棒のバンキーとコンビでコミックを書くホールデンはフェアで同じコミック作家のアリッサと出会う。一目で彼女に惹かれたホールデンだったが彼女はレズビアンだった。それでも「これが真実の愛だ」とホールデンは押しまくり。アリッサもレズ仲間とは別れるという自分の人生の大きな部分を切り捨ててまでホールデンと一緒になろうとする。しかしアリッサが気に入らないバンキーは彼女がハイスクールの頃から「男とやりまくり」の女だったという事実を探りだしてくる。それを聞いて衝撃を受けるホールデン。「想像を遙かに超えていた。限度という物がある。」「しかし、彼女の今を愛しているのなら全てを受け入れるのが本当の愛ではないのか。」「彼女の過去にこだわるのは自分が古い倫理観に捕らわれているからなのでは。」「レズビアンは受け入れる事ができるのに、男関係は何故だめなのか。」「自分も彼女と同じ経験をすれば対等になれるのでは。」「最初の男でいたかったというのは、男のエゴなんだ。」と思い悩む。悩んだ末あるとんでもない解決策を持ち出すホールデンにアリッサは言う。「私にはもう過ぎた道なの。過去の経験をバカだったとは思うけれどそれがあったから今の自分がある、後悔はしていない。でも、もう一度経験するのはゴメン。」
感想
この映画は「恋人の過去の奔放な肉体関係にこだわり、劣等感を持ち」そして「そんな自分がイヤ」という葛藤に苦しむ”征服欲を捨てきれなかった男の物語”というだけではなく、人を好きになった時アンタは相手のどこに惚れたのかという事を問うている。相手に対して”感じるパーツ”は大雑把に「ルックス」「頭の中」「ハート」「アソコ」であると私は思う。それぞれのパーツがその人のそれまでの過去・経験を蓄えおり、否応なしにそれら総てからひとりの人ができあがっている。惚れた相手と関係を持ち続けたいと思う時、あなたはどこを重視しどこを切り捨てる事ができるのかと問われていると思う。
もしも「コイツこそ人生ただひとりの相手だ。」という天啓があれば何があったとしてもこれからあるとしても「すべてをあるがままに受け入れる事」はできると思う。問題なのはストレートであれゲイであれレズであれお互いに惚れ合った時でさえも「唯一の人」という確信が持てない事だ。しかも、実際そんな人がいるのか? その人はただひとりだけなのか? 次はないのか? という問いにさえ「人生が終わるまで」答えがでない。出会いというのはお互いのタイミングが大事だ。それが縁、それこそ運命というものかもしれない。
おすすめ度★★★★1/2
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ウェイクアップ!ネッド WAKING NED DEVINE

1998年 イギリス 92分
監督 カーク・ジョーンズ
出演 イアン・バネン(ジャッキー)/デヴィット・ケリー(マイケル)
メモ 2000.2.9 リサイタルホール−朝日ベストオブシネマ1999
あらすじ
アイルランドの小さな島、人口は52人しかいない。でも郵便局もあれば酒場もある。昨夜は興奮したで。もうちょっとで宝くじが大当たりする所やってんから。と、朝ジャッキーがアイルランド・タイムズを読むと大当たりがこの島で出たと書いてある。幼なじみのマイケルと妻のアニーの3人でその果報者を密かに探るが、どれもこれも空振り。一計を案じ宝くじを買った18人をチキンディナーに呼んで「車買うのかい?」とか「こんどの旅行はどこに行くの?」とそれとなくカマをかけ聞き出そうとするが、みんなは満腹して帰るだけ。仲間のマイケルには「ワシはよーく考えてわかったんだ。お前が当たってとぼけてるんじゃないかと。」と言われる始末。ところが、お客が帰った後でアニーがチキンの皿を見せて言う「ひとりだけこなかったの。ネッドよ。」。
 真夜中、嵐にも負けずチキンディナーを持ってネッドの家に向かうジャッキーがいた。ネッドの家に入ると、TVがザーザーつけっぱなしになっている。ネッドは手に宝くじを握りしめ、ニヤッっと笑って昇天されておりました。
 その夜、夢を見るジャッキー。金色に輝く海にネッドと船に乗っている。ネッドはチキンを食べながら『お前も食べないか?』と何度もチキンをわけようわけようとするのだ。目覚めて気が付くジャッキー。「きっと、ネッドは宝くじをみんなと分けたがっているんだ。」(おいおい)
宝くじを自分の物にしてしまうのはいけない事だけれども、ネッドにもう少し生きていてもらって宝くじを受け取ってもらうのはいいんでないの? ネッドもそれを望んでいるしぃという訳で始まった大芝居。

感想
元気なじい様達やねん。嵐の中雨に濡れても、明け方までうろうろしていても、すっぽんぽんでバイクを走らせても、深酒してもピンピンしている(笑)。
目で物を言っているようなネッドがカワイイ。そしていたずらっ子のように目をキラキラさせてアイデアを思いつくジャッキーもいい。いたずら盛りのガキの頃から変わらないふたりなんだろうな。ジャッキー役のイアン・バネンという方は昨年交通事故で亡くなられたそうです。残念です。

気のいい仲間がいれば、豊かな自然があれば、黒ビールがあれば「大きな世界」を知らなくても幸せじゃないか、いい人生じゃないかという「先に逝った仲間への賛歌」。本当にこんな世界があれば、そんな所で生きていきたいなと思ってしまう。

でもね、49人の内18人しかディナーに誘わなくて「なんで、ウチ呼んでくれへんかったん?」とか揉めないのであろうか(笑)。
おすすめ度★★★★
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赤い殺意
日本・日活 1964年 150分
監督 今村昌平
原作 藤原審爾
脚本 長谷部慶次/今村昌平
撮影 姫田真左久
美術 中村公彦
音楽 黛敏郎
出演 春川ますみ(貞子)/西村晃(吏一)/露口茂(平岡)/楠侑子(増田義子)/赤木蘭子(吏一の母)/北原文枝(久子)/宮口精二(貞子の伯父)/北林谷栄/北村和夫/小沢昭一/殿山泰司
メモ 2000.2.5 ビデオ
あらすじ
東北の図書館に勤める吏一(西村晃)は6才になるひとり息子の勝と妻の貞子の三人暮らし。貞子はのろのろしていて、姑や夫にいつも叱られている。そして反抗するわけでもなく「すみません」といつも謝っている。貞子の祖母は吏一の祖父のおめかけだった人で、貞子の母が亡くなった後引き取られ女中代わりにこき使われていた。大人になって吏一と所帯を持ったが今も籍に入れてもらっていない。戸籍上息子の勝は姑の三男となっていた。夫が出張で姑が自分の家に孫の勝を連れて帰り、家には貞子ひとりの晩、強盗に入った男(露口茂)に強姦されてしまう。「黙ってりゃわかりゃしないさ。」と言い残して男が去っていった後、貞子は裏をはしる鉄道に飛び込もうとするが勝にひと目あってからと思い直し、昨晩の残りのみそ汁でご飯を食べはじめる。
感想
春川ますみなくしてこの映画はなりたたないと思う。必見! 方言が使われているのもいい。

  今までは言われるまま流されるままに生きてきた貞子が、強盗につきまとわれ「家庭の危機」に向き合った時「この家をメチャメチャにはできない」と秘密を誰にも明かさず自分のもてる力で立ち向かう。最後には「私ってなんて不幸なんだろう」という自覚まで持つにいたる。「こんな亭主でええんかい」ってツッコミ入れながらも、ここが好きだ。
 隣の久子さんに「あんたも編み物だけで食べていける。」と言われ自信もついたんだな。自活できるというのは大切な事なんだ。自分勝手な奴と思いながらも薄幸の平岡に対しつい「かわいそうやな」と思わされてしまう貞子の優しさと置き去りにする貞子の強さも凄かった。
 こわい姑もこまかい吏一もいい面も醜い面も合わせもった人間に描かれていて味があり見応えある。「俺ってかわいそうな亭主だ。遊んでいる女房に掃除機買ってやるんだから。」と小言いいながらも掃除機の使い方を女房に教えてやる吏一が面白い。全編暗い調子ながらもおかしい。重喜劇っていわれる作品だと思う
 貞子にいばり自分の意のままにしているつもりながら、夫も強盗の平岡も貞子に甘え離れることができない。何故か? 貞子が善良だから、健康だから、動じないから? そう生命力があるからなんだ。
おすすめ度★★★★★
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シュリ (by さぼてん男)

1999年 韓国 124分
監督・脚本 カン・ジェギュ 撮影 キム・ソンボク 音楽 イ・ドンジュン 主題歌 「When I Dream」キャロル・キッド
出演 ハン・ソッキュ(ユ・ジュンウォン
「接続/ザ・コンタクト」「八月のクリスマス」)/キム・ユンジン(イ・ミョンヒョン)/チェ・ミンシク(パム・ムヨン第8特殊部隊長)/ソン・ガンホ(イ・ジャンギル ユの相棒)/パク・ヨンウ(オ・ソンシク コネ男)/パク・ウンスク(イ・バンヒ)
メモ 2000.2.5 テアトル梅田
あらすじ
韓国・北朝鮮の雪解けムードを歓迎しない北朝鮮特殊部隊の隊長が仕組んだ破壊工作。その中で咲いた悲恋話。銃撃戦シーンは韓国人の口喧嘩を思わせる迫力! 爆発が近づくほど赤くなる、どこかエロチックでカワイイ爆弾は香港映画ならコメディのノリ。正体不明のスナイパーの正体は? なんて誰も思っちゃいない。
感想

ネタバレ漫才(ニセいとし・こいし)

いとし(以下「い」) 最近、戦争映画見てきましてね。 
こいし(以下「こ」) 最近というと「兵隊ヤクザ」ぐらいか?
 そんな古い映画ちゃうがな。沖縄のやね。
 「ひめゆりの塔」か?
 古い映画ちゃうちゅうねん。ほら、沖縄に有名なお城があるやろ?
 首里城か?
 そうそう、「シュリ」見てきました。
 そうせんと思い出せんか? 銃撃シーンが迫力あるらしいな。
 迫力なんてもんやないで。ほら、デ・ニーロが出てた...。
 「タクシードライバー」か?
 いや、もっと最近の、石油ストーブ・・・。
 デ・ニーロが出た「石油ストーブ」?
 「コタツ」でもなし。自動車であったかい空気出るのなんや?
 ヒーターか?
 そうそう、「ヒート」を凌ぐ迫力やったね。
 そやけど、「シュリ」は戦争映画やないやろ?
 戦争さながらの迫力や。銃もいっぱい出てくるねん。トムとジェリーとか・・・。
 そんな銃あったか?
 「空飛ぶロッキー君」やなし。あの、九官鳥の喋りまくるアニメ。
 「ヘッケル・ジャッケル」か?
 そう、ヘッケラー&コッホMP5もいろんな種類が出てくるねん。
 えらいマニアックなネタ振りやな。
 見に行ってない君のために、口で物真似したるわ。
ダダダダ、ババババ、ドドドド、ガガガガ、ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ

 やかましわ。こわれたアヒルのオモチャやあるまいし。
 それぐらい迫力あったいうことや。
 ほな、いい映画やってんな?
 そこやねん。銃撃シーンは迫力あるねんけどな。全部済んでしもてからが長い。
 どういうことや。
 最後は男がウォークマン聞きながら海眺めるシーンで終わるねん。
 聞いてるだけではわけ分からんな。
 大勢死んでるのに、この男、全部感傷的な思い出にしてしもて、妙に爽やかやねんな。
 どんな神経しとんねん?
 そやろ。女も自分のこと「ヒドラ」や言うてたけど、この男のやり方もちょっとヒドラ。
 君とはやっとれんよ。
おすすめ度ガンマニアに★★★★
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<付録1>
さぼてん男が「ドラマ部分がやなぁ。韓国映画やからかなぁ。」と冗談半分で言うもんで「またそういう事を言う。韓国は”知られざる映画大国”やねんよ。(私かて10作品くらいしか見てないからエラソウな事は言われへんけど・・)  「永遠なる帝国」も歴史物と見えながらも「あの時に道を誤らなければ、多くの国に蹂躙される事も2つの国に分断してしまう事もなかったのに」という痛恨の思いがある映画やねん。 今まで韓国映画見たことあるのん?」と聞けば、答えは「プルガサリ」・・・ってそれ北朝鮮の古い怪獣映画やんかあ。
<付録2>
チャンバラの事はよく知らないのですが「御法度」を見た時に頑張ってはるんやけれど、「虎の尾を踏む男達」に比べ迫力が足らんかなあと思ったんです。おそらく指導する側が世代交代しているせいなんでしょうね。「虎の尾を踏む男達」の頃の日本って実際日本刀で人を斬った経験のある人達がいてたんではないかと密かに思ったんです。リアルなアクション映画が韓国に作れて何故日本で作れないのかという意見もあるけれど、国全体が準戦時体制であり徴兵制度のある台湾や韓国に比べ、迫力あるアクション映画が作れない日本はそれはそれでとても幸せな事なんだと思う。

御法度 

1999年 日本 100分
監督 大島渚
メモ 2000.2.4 梅田ピカデリ
あらすじ
時は幕末、天子様がおられる京都では騒然とした時代のあだ花・新撰組が警護の任についていた。
感想
私ずっと「加納惣三郎は実は女なんだな。」と思って見ておりました。制作者の意図がまったく掴めていないヤツである事が判明いたしました(汗)。
 美男子組の加納惣三郎(松田龍平)、田代彪蔵(浅野忠信)、沖田総司(武田真治)
 男は顔より腹芸組の土方歳三(ビート武)、近藤勇(雀洋一)
 男は顔より愛嬌組の山崎蒸(トミーズ雅)、井上源三郎(坂上二郎)
黒装束の男ばかり(鴉のよう)三組の絶妙なアンサンブルが妖しくおかしい。

くせ者ぞろいの中でも得をしていたのが「もはやこの世の人ではない」かのように見える沖田総司役の武田真治。天才人斬り剣士にふさわしい自信とこの世の雑事からは超越し面白がっているような雰囲気がよく出ていた。
反面難しかっただろうと思うのが浅野忠信と田口トモロヲ。何しろ男に恋心をうち明けせまる役だし間抜けな役だし。それでも魅力的だった浅野忠信はやはりただ者ではない。
そして最後はビート武の土方歳三。組織の結束力を維持しようとする要(かなめ)の土方は、軍団を率いているビート武に同じ様な臭いを感じる。しぶとく最果ての地・函館まで落ちて戦った男に見えるではないか。
おすすめ度★★★1/2
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Mr.Pのダンシングスシバー

1998年 日本=米国 90分
監督 田代廣孝(「あふれる熱い涙」)
出演 フランク・マクレイ/ナンシー・クワン
メモ 2000.2.3 リサイタルホール−朝日ベストオブシネマ1999
あらすじ
米国で暮らすミツコは日本人、夫と一人息子を捨てて黒人の大男ブルースと一緒になって10年。しかしふたりが知り合ったのは30年前のベトナム戦争の最中だった。ミツコは夫とともに反戦運動にのめり込み、そこに米軍から脱走してきたのがブルースだった。
感想
う〜ん。「国」が「やれ」と命令した行為が、その命令に従った「個人」をこれほどさいなみ苦しめるものなのか。
反戦映画というのは、加害者側の映画でありながらもその「罪の意識」を描き戦争の「被害者」の映画にならざるをえないんだな。内容の割には重苦しくなく淡々とした展開であり、感情を揺さぶる事を強制しない映画なので見やすいと思う。
 映画というよりドキュメンタリーを見ている様に感じる。上映の前に授賞式があり、そこでの田代廣孝監督のコメントそのままのトツトツとした語り口でありながら、芯に熱いものを感じた作品。監督のお話によると、長い間かけて書き直していた脚本がサンダンス映画祭で国際賞を受け、映画化への道が開かれたという事です。米国では映画作りについても惜しみなくそのノウハウを教えてもらい、懐の広さに感謝されていました。(日本では映画作りに金もモノもでないと言うことなんですね・・・)
 1960年生まれの監督は「自分よりもひとつ上の団塊の世代」を描いた作品であり、「10年間でやっと2本の映画が撮れた。」「もし映画作りが続けられるならいずれ第二次世界大戦も映画化できるかもしれない。」と語られていました。

元々はインドシナ戦争という植民地を手放さないフランスと独立をめざすベトナムの戦争に、米中ソが介入して(フランスが自由主義国に助けを求めて)拡大したベトナム戦争という認識が間違っていないとすれば、第二次世界大戦中の日本のアジアへの関わり合いがもっと違う形であったならと思ってしまう。歴史にたらはないとしても。
おすすめ度★★★1/2
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ブレア・ウィッチ・プロジェクト

1999年 米国 81分
メモ 2000.2.2 道頓堀東映パラス
あらすじ
ヘザー、ジョシア、マイケルの3人は映画学校の学生。課題のドキュメンタリー映画を撮ろうと「魔女(ウィッチ)」伝説のある森に探検に出かける。しかし彼らはそれっきり帰ってこず1年後撮影したフィルムだけが発見される。そこには生々しい映像が残っていた。
感想
今日は「御法度」見に行くつもりで家を出たのに、何故「ブレア」を見る事になったかと言うと、会社でPCの上に置いてあるカレンダーを眺めていたら「今日って第一水曜日やん。」映画半額デー。半額の日に前売り券で見るのかぁ〜となって他にないかと捜したら、17:30分からの「ブレア」があったわけ。終業と共に会社をダッシュで抜け出し、地下鉄に乗って、心斎橋をヒタヒタ歩き道頓堀の「かに道楽」まで来たら息がハアハア。こんなに頑張ってまでこの映画を見たわけなんですけれど、、、、恐いというより気持ち悪い。手ぶれに酔い文字通り体いっぱい気持ち悪い。 最後は画面を正視できず横目で眺めていました。そしたらラスト10分前にドタドタ入ってきたふたりずれがひとつ横の座席に座り、なにやらガサガサ。プーンと漂ってくる油っぽい臭い。助けて〜。
フラフラになって映画館を出ても、まだくらくら地面が揺れてる。元々乗り物酔いしやすいのに、この身の程しらずを心の底から後悔しました(涙)。

  恐いっちゃあ恐かったんですよ。ホラー部分よりも森で迷子になる所が。

 15、6年前になるのかなぁ。比良山に1泊キャンプでハイキングに行った事があります。
その2,3年前に出始めのドーム型のちっちゃなテントを淀屋橋のミズノで29800円で買って、毎夏福井県のさくい海岸で2泊3日のキャンプしてました。車がないのでバックパッキングでテントかついで(さぼてん男が)、雷鳥乗ってでかけていたのですが、一度山でキャンプしようという事になって。ハイキングは割と好きで日帰りは行っていたのですが初めて一泊ハイキングに出かけたんです。5月の連休のキャンプ開きの日。キャンプ場は始めは私たちだけだったんですが、夕方からぞくぞくと大学の山岳部がやってきて本格的な三角テントを張り始める。思いっきり場違いでしたね、隅っこの青いドーム型のちっこいテントは。外で「これ何やねん。」「おわんひっくり返したみたいやなあ。」とか言っている声が聞こえる。。夜半から雨がしとしと降り始め寝袋だけではかなり寒かった。
 朝は体操の声で目が覚め、私達がテントから出た時にはキャンプ場はからっぽ。みなさん初級、中級の登山コースに行かれた様でした。恐らく大学の登山部の新入生歓迎の登山グループばかりだったんでしょう。それから用意をはじめ、バックパックを担いで雨が降る中「八淵の滝」ハイキングコースというのに向かったんですが。。。。
 比良山をなめてはいけません。山の雨は恐いですねぇ。滝を渡って渡って頂上に至るコースなんですけれど、足がかりになる石や岩が昨夜からの雨で増水した川の中に水没。道しるべの石にかかれた「→」も水の中。正しい道なのか、迷っているのか判断不能で方向感覚も鈍ってくる。ずぶぬれになりながら、岩につかまり水の中を渡り鎖に捕まって登ったり(どこがハイキングコースやねん、と悪態つきながら)、もう必死。こんな日にハイキングするアホなどおらず山の中は人っ子ひとりいない。(山岳部の人達は登山コースを行っているから)。寒いのと心ぼそい時に出た〜。が。山の霧ってすごいよ。1m先も見えない。自分の手すら見えなくなってくる。もうここで遭難するかと思いやした。そう思っていたのは私だけだったんですけれど。前に進むっきゃないという訳でつきすすみ、4時間登ってなんとか頂上にたどりつく。そしたら人がたくさんいてね〜、別世界。帰りはロープウェーで市街地の風景なんぞ楽しみながら一気にくだりました。というわけで、長い話で何が言いたいかと言うと迷子になるって恐いんです。
おすすめ度でもやっぱり真っ暗な中で見るのがお薦め映画★★★1/2
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