1997年12月の映画

世界中がアイ・ラブ・ユー

アメリカ 104分 1996年
監督・脚本 ウディ・アレン
撮影 カルロ・ディパルマ
出演 アラン・アルダ/ゴールディ・ホーン/ドリュー・バリモア/エドワード・ノートン/ナタリー・ポートマン/ルーカス・ハース/ガビィ・ホフマン/ジュリア・ロバーツ/ティム・ロス
メモ 1997.12.28(日曜)心斎橋ビッグステップ パラダイスシネマ
あらすじ
マンハッタンに暮らす大金持ちのボブとステフィ夫婦には、子供が5人いる。それぞれ前の連れ合いとの子供が3人と夫婦の子供が2人。複雑な家庭にもかかわらず、仲良く幸せな毎日。
感想
明るく楽しく軽い(悪口とちゃうよ)映画でした。「CURE」との落差はおっきかったなあ。最後のセーヌ川のほとりで、ウディ・アレンとゴールディ・ホーンが踊るシーンは、黒とキラキラのゴールドが光ってとても美しい。あんな美女と踊れて・・・ウディ・アレンは才能があるからねー。(絶対、このシーンが撮りたかったから映画を作ったと思う)。
さぼてんは、「誘惑のアフロディーテ」の方が好み。それは、ミュージカルの素養がないせいだと思う。それでも楽しかった。
刑務所から出たてのティム・ロスの演技はおもろい。アラン・アルダのパパも好き。そして、ドリュー・バリモア。あのドリュー・バリモアが、おっとりしたお嬢様にみえるんよ。ながい芸能人一家の血に流れる才能というのはあるんだ。きっと。
おすすめ度:★★★1/2
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CURE キュア

日本 111分 1997年
監督・脚本 黒沢清(「スウィートホーム」)
音楽 ゲイリー芦屋
出演 役所広司/うじきつよし/中川安奈/萩原聖人
メモ 1997.12.28(日曜)梅田東映パラス2
あらすじ
殺人の異様な手口は同じなのに、別々の犯人が捕まる事件が連続しておこる。
感想
解説は無用の映画と思う。パンフに色々書かれていた方々も、感想を書くのは難しかったみたい。ほぼすべて同じ感想でした。 さぼてんは、人間の深層心理にあまり興味がないのです。いや、興味を持ちたくない。そういった訳で、深読みしたくない映画です。
ただ、黒沢監督へのインタビューは、わかりやすかった。そうか、あの映画のあの人物から着想を得たのか。 着想と脚本がすごくよくできていました。ただ一点納得ができないのが残念。得体の知れない人を家にあげたりするでしょうか?
また、効果音がすごく効果的に(何を書いてるんやら)使われていた。うじきつよしは好演と思う。あの怯えた顔は、恐かったな。 映画館では、ぐっすりと眠りこけている人やら、「訳がわかったようなわからんような映画やったな」との声も聞こえてきました。
最後に、パンフには萩原聖人の演技をえらくほめてありましたが、「マークスの山」のまんまやんとおもったのは、さぼてんだけでしょうか?
おすすめ度:★★★★
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ザ・プロデューサー The Buddy Factor

米国 93分 1994年
監督・脚本 ジョージ・ホアン
出演 ケビン・スペイシー/フランク・ウェイリー/ミシェル・フォーブル/ベニチオ・デル・トロ
メモ 1997.12.27(土曜)ビデオ
あらすじ
色白で神経質そうな主人公は、脚本家になるための最短手段として、部下を人間扱いしないが元部下はすべて出世の階段を駈け昇るという評判のボスに雇われる。それからの日々は、歯をくいしばる毎日であった。
感想
ピシッと決まったラストでした。それでいて、含みの残るラストでもあります。

カット・バックを多用して、言葉の暴力で絶対服従の部下を蹂躙するボスのシーンと、ブチぎれた部下が堆積した恨みつらみからボスを拷問にかけるシーンを交互にだし、緊張をたかめていく展開でした。(ここで、見ていた人との意見の相違が。カット・バックを使わず素直な展開の方がよかったというのです。変化をもたせるのによかったと私は思うのですが。どう思われます?)

ケビン・スペイシーふんするボスの無理難題、いかだに乗って川下りしている人に連絡をとれとか、街中のTIME誌を集めろとか、どうやってするんでしょう。そのあたりがもう少し描かれていてもよかったと思う。(だって、ほんまにできんのやろかと疑ってしまう)
出てくる人出てくる人、悪魔に魂を売り渡したような人達です。映画人の中でプロデューサーって嫌われてんだなあ、でも、その嫌われぶりが半端やなくてパワーを感じさせる。
主人公が勤めることになった「キーストン映画社」で思い出すのはピーター・ラブゼイの小説「キーストンコップ」。無声映画時代のドタバタ警官たちの話です。関係ないやろけど、老舗の映画会社なんかなあと思う。
ケビン・スペイシーの元部下で、体育会系でありながらどこかゲイっぽいしぐさの役者さんがひかりましたね。
おすすめ度:★★★1/2
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スリープ・ウィズ・ミー Sleep with Me

米国 86分 1994年
監督・脚本 ロリー・ケリー
出演 エリック・ストルツ/クレイグ・シェーファー/メグ・ティリー/クエンティン・タランティーノ
メモ 1997.12.26(金曜)ビデオ
あらすじ
一組のカップルとその親友は、大学時代からの仲良し3人組。恋人同士の2人はながいながい同棲生活にピリオドをうち、結婚した。晴れて夫婦となると3人のバランスが崩れはじめる。
感想
沈黙の時間がどのくらいあるかはかっとこかと思うほどベラベラベラベラしゃべりまくりの映画です。沈黙の時間の半分は、キスしていて物理的にしゃべれない時間に思う。その中でもタランティーノの「トップガン」に対する見解は、ケッサク。タランティーノの”ゲス”シネマ。それとも、さぼてんが知らないだけで、これはごく一般的な解釈なのでしょうか? すり込まれてしまった。これから「トップガン」を見るたびに”ゲス(guess)”してしまう事は確実。

年上のいとこが結婚する時に、「結婚って、だんな以外の世の中のすべての男をあきらめること(なんとおおげさな)」と言ったのを思い出す。その時は「もてる人はゆうことがちゃうなあ(男が好きなだけかも)」と思ってたんやけど、含蓄のある言葉でした。
おすすめ度:★★★1/2
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愛するための第9章

フランス 109分
監督 パトリック・ブラウデ
出演 フィリピーヌ・ルロワ・ボーリュー/カトリーヌ・ジャコブ
メモ 1997.12.24(水曜)ビデオ
あらすじ
子供専門の精神分析医ジョナサンは、仕事柄子供嫌い。なのに、恋人に子供ができちゃった!
感想
アメリカ版「9カ月」のリメイク・・・違いました、オリジナル版。
全体を通して、ずーっとアメリカ版とフランス版の比較検討をしていました。アメリカ版のヒュー・グラントとジェフ・ゴールドブラムは健闘(贔屓やから)。ロビン・ウィリアムズは、ロシア語なまりの英語とかうまかったね。でもフランス版のお医者さんもなかなかユニーク。
トム・アーノルドとジョーン・キューザックのお騒がせ夫婦は、フランス版に軍パイがあがる。というのは、フランス語のボボボボという音は口げんかにむいてるから。(軽機関銃みたい)
内容はというと、コメディやねんけど、重くてシリアスなんよねぇ、これが。はあ・・・(ため息が)
おすすめ度:★★★1/2
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タイタニック

アメリカ 1997年 194分
監督・脚本 ジェームズ・キャメロン(「エイリアン2」)
撮影 ラッセル・カーペンター
出演 レオナルド・ディカプリオ/ケイト・ウィンスレット/ビリー・ゼーン(「真夏の出来事」)/キャシー・ベイツ/ビル・パクストン/グロリア・スチュアート/フランシス・フィッシャー(「許されざる者」)
メモ 1997.12.22(月曜)ナビオ北野劇場
あらすじ
1912年4月10日12:00、タイタニック号は乗客1300人あまり乗員900人を乗せ、英国サウサンプトン港からニューヨークへの処女航海へと旅立つ。
感想
終盤、満員の北野劇場のアチコチから鼻をぐずぐずすする音が。また、音楽が涙を誘うねん。ひさしぶりに、映画らしい映画をみました。メロメロドラマです。
3時間14分もあるし、そんなにディカプリオファンではないからなあ、と誘われたもんのあんまり期待していなかったのです。
前半の一時間半は冗長です。もう少し短くてもいいと思う。後半はスケールがでっかい。夜の氷の海に沈んでいくタイタニックと阿鼻叫喚。そして、・・・実にきれいな映像でした。
昔観た「SOSタイタニック」も今回の映画でも、船の設計者が誠実な人柄に描かれていたのが印象に残ります。最後に時計を止めるシーンにはうなってしまった。技術屋だ。ケイト・ウィンスレット、キャシー・ベイツ、フランシス・フィッシャー(パンフによるとイーストウッドとの間に子供さんがいるとか)うまかったですよ。
またわけのわからん話になりますが、地下鉄サリン事件の時に亡くなりはった駅員さんがおられました。非常時に職務を全うするってほんとに大変な事ですね。そして気の毒です。
おすすめ度:★★★★1/2
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エアフォース・ワン

アメリカ 1997年 124分
監督 ウォルフガング・ベーターゼン(「Uボート」)
脚本 アンドリュー・W・マーロー
撮影 ミヒャエル・バルハウス
出演 ハリソン・フォード/ゲイリー・オールドマン/グレン・クローズ/ウェンディ・クルーソン/ユルゲン・プロホノフ(ラデク将軍)
メモ 1997.12.21(日曜)千日前スバル座
あらすじ
アメリカ大統領専用機<エアフォース・ワン>は、ロシアからアメリカへの帰国途中に、テロリストたちにハイジャックされる。
感想
「ID4」と似た所もあります。アメリカの人達はこういう映画好きなんでしょうか。音楽が国威発揚みたいな感じの効果音に使われているのが少しおかしかった。大統領とはいえ、生身の人間にあそこまで求めたいというのも、なかなか大変やなあという思いがします。
ちょっと文句を言ってますが、久々の大活劇を大画面でとても楽しみました。ハラハラドキドキの120分です。グレン・クローズの副大統領が物語全体を引き締めています。テロリストのゲイリー・オールドマンが狂信的にみえないのがちょっと残念。
ラデク将軍役のユルゲン・プロホノフは「Uボート」の艦長だったのですね。ちょっとしか出番はありませんが、いいかんじに年とってはります。
おすすめ度:★★★★
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ブレーキ・ダウン

アメリカ 1997年 93分
監督 ジョナサン・モストゥ(初監督作品)
出演 カート・ラッセル/J.T.ウォルシュ/キャサリン・クインラン(「アポロ13」)
メモ 1997.12.15(月曜)厚生年金会館試写会
あらすじ
ジェフとエミーの夫婦はサンディエゴへ向かう途中、砂漠の真ん中の一本道で車がトラブってしまった。通りがかった大型トラックの運転手にエミーは乗せてもらい、修理を呼ぶことにした。
感想
カート・ラッセル かああっこいい!。J.T.ウォルシュも怪演です。
大作ではない、こういうアクション映画はひさしぶりに見たような気がする。山ほどお金かけんでも(たぶんかかってないように思う)いい映画ができるやん。小品ながら秀作です。
ついでながら、チェロキーってああいう車やったんか。
おすすめ度:★★★★
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スーパーマリオ 魔界の帝国の女神 SUPER MARIO

アメリカ 1993年 105分
監督 ロッキー・モートン/アナベル・ヤンケル
出演 ボブ・ホスキンス(マリオ)/ジョン・レグイザモ(ルイージ)/デニス・ホッパー(クッパ)/サマンサ・マシス(デイジー)
メモ 1997.12.14(日曜)ビデオ
あらすじ
えー、任天堂のファミコンゲームの実写版だと思います、たぶん。ファミコンはしたことがないので・・・さぼてんは、世間からずれてます。
感想
うん、面白かった。豪華キャストですよねぇ。ルイージ役のレグイザモがかわいい。小柄だけど、結構幅はあるな。なのに、「3人のエンジェル」おちこぼれのチチ役は、くびれてよいボディだった。不思議。マリオブラザーズは、配管工やったんか(今頃何ゆうてんねん)。
サマンサ・マシスもかわいい。口もとが個性的。
レグイザモは、「ロミオ&ジュリエット」では、ティボルト役か。お話のかなめ(キーマン)ですね。マキューシオは誰だったのかな? レグイザモは、これから、どういう俳優さんになるのか楽しみです。
(レグイザモの感想ばっか)
おすすめ度:★★★1/2
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復讐のスティング よみがえる荒野の絆 DEAD MAN'S REVENGE

アメリカ 1994年 92分
監督 アラン・J・レヴィ
脚本 ジム・バーンズ/デヴィッド・チショルム
出演 ブルース・ダーン/マイケル・アイアンサイド
メモ 1997.12.14(日曜)WOWOW
あらすじ
西部の開拓農民ハッチャーは、鉄道会社の回し者マッケイの奸計にはまり、幼い息子と妻を殺された上馬泥棒として捕らえられる。12年後、脱獄しハッチャーに復讐(REVENGE)するために戻ってきた。
感想
なんなんだ。この超B級の邦題は?結構おもしろいのになあ。
主役のマイケル・アイアンサイドは「トータル・リコール」での悪役が有名とか。う・・・ん、あっそうか、シャロン・ストーンがやられて、怒りまくっていた公私混同野郎やん。この人、ジャック・ニコルソンに似てるよね。
若い方の男の人が、もっといいかんじだったらなあ。おしい。
おすすめ度:★★★1/2
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フェイク

アメリカ 1997年 126分
監督 マイク・ニューウェル(「ダンス・ウィズ・ア・ストレンジャー」「フォー・ウェディング」)
脚本 ポール・アタナシオ(「クイズ・ショウ」)
撮影 ピーター・ソーヴァ(「ダイナー」「グッド・モーニング・ベトナム」)
出演 アル・パチーノ(レフティ)/ジョニー・デップ(ドニー)/マイケル・マドセン(ソニー)/ブルーノ・カービー(ニッキー)/アン・ヘッシュ(マギー)
メモ 1997.12.13(土曜)三番街シネマ
あらすじ
実話をもとにした、潜入捜査官とマフィアの構成員の物いわぬ友情の映画。沢木耕太郎さんの映画評によると、映画は原作を越えているそうです。
感想
渋い映画だった。ほぼ満席状態。アップの多い映画やったね。しみじみ顔を見せているというか、それだけの演技力が主役2人にあるという事か。後ろ姿も印象的。パチーノが最後に鍵も残していく所よかったね。ジョニー・ディップがFBIのエリート仲間より、自分を引き立ててくれたうらぶれたチンピラやくざに惹かれていくとこも自然やったね。 「ダンス・ウィズ・ア・ストレンジャー」の監督さんか。うーん、うまい。
ジョニー・ディップを「ただ者ではない」と思ったのは「妹の恋人」からです。
ジョニー・ディップと奥さんの関係もうまい事描かれていたように思う。「セラピー」の場面はほんま苦笑してしまった。「人の話ちゃんと聞いてんのか、あんた」とディップの代わりにゆーたったよ。
おすすめ度:★★★★
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ミー&ヒム me & him

アメリカ 1989年 93分
監督・脚本 ドリス・ドリー
原作 アルベルト・モラヴィア
撮影 ヘルゲ・ウェィンドラー
出演 グリフィン・ダン(「狼男アメリカン」「アフター・アワーズ」)/キャリー・ロウエル/グレイグ・T・ネルソン/エレン・グリーン
メモ 1997.12.10(水曜)ビデオ
あらすじ
「ぼくのジュニアがしゃべったら」という副題どおりのお話です。
感想
ああ、また品性を疑われるような映画を観てしまった・・・おもしろかったあ!
去年観て楽しかった「愛され作戦」の監督さんなので、観るのを楽しみにしていました。すごくオチャメな映画になっています。
グリフィン・ダンのこの「モヤモヤ」した演技いいです。身がひきさかれそー。「狼男アメリカン」では狼に食べられちゃって、どこかしら割り切ったご陽気なゾンビになっていた人ですね。
「彼女たちもしゃべるのかい?」「知るか」アハハ笑った。やっぱり言葉はいらんのやね。「暗殺の森」のモラヴィアが原作とは。おどろき。
おすすめ度:あーどうしてこういう映画すきなんでしょ★★★★1/2
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父/パードレ・パドローネ  カンヌ映画祭グランプリ

イタリア 1977年 113分
監督・脚本 パオロ・タヴィアーニ/ビットリオ・タヴィアーニ
撮影 マリオ・マシーニ
音楽 エジスト・マッキ
出演 オメロ・アントヌッティ/サベリオ・マルコーニ/ナンニ・モレッティ
メモ 1997.12.7(日曜)CS
あらすじ
第二次世界大戦後のイタリア南部の島。カビーノは小学校の教室から羊飼いになるため父親につれだされ、20才になるまで山小屋で1人で暮らす。文盲のまま軍隊生活にはいったカビーノは、静寂な山の暮らしで敏感になった耳から、言語学の才能に目覚める。
感想
タヴィアーニ兄弟は、「サン・ロレンツォの夜」「グッドモーニング・バビロン!」に続いて、3作目。静謐(せいひつ)で詩的な映像が好きです。ドラマティックな展開もとても静かで、心が洗われます。
カビーノ・レッダの自伝の映画化で、作者自身が木の枝をけずり杖を作って、父役の俳優(オメロ・アントヌッティ)に手渡す所から、映画が始まります。厳しい自然の中で素朴に生き、古い価値観をもった父親に圧倒的な存在感がありました。(さぼてんのおやじさんでなくて、よかった)
おすすめ度:★★★★
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アントニア ANTONIA アカデミー賞最優秀外国語映画賞

オランダ=ベルギー=英国 1995年 104分
監督・脚本 マルレーン・ゴリス
撮影 ウィリー・スタッセン
音楽 イロナ・セカス
出演 ヴィレケ・ファン・アメローイ(アントニア)/エルス・ドッターマンス(ダニエル)/フェールレ・ファン・オファーロープ(テレーズ)
メモ 1997.12.6(土曜)パラダイスシネマ
あらすじ
80才を越えたアントニアは、朝めざめて今日が人生最後の日であることを知る。40年前、娘をつれてこの村に帰ってきた頃を回想する。
感想
オランダの田園を舞台に、アントニアを中心とした娘ダニエル、孫娘テレーズ、ひ孫娘サラ4世代の世界。
一代記というと、なにやらヨイショといった感じの根性物語のように思いますが、そういう所はみじんこもありません。自然体というのがピッタリでアントニアは「すべてをあるがままに受け入れ」ます。優しいだけではなく、「若い頃は奔放だったろう」片鱗があり、背筋がのび一本しんの通った(パッチもんではない)ほんまもんの大人です。

この映画を観て、きままに気楽にしているつもりやけど、何かに縛られているのかなあと考えてしまった。少し「なになにせねばならない」人生みたいなとこ、あるなあ。
おすすめ度:★★★★
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フルムーン・イン・ニューヨーク FULL MOON IN NEWYORK

香港 1989年 89分
監督 スタンリー・クァン
脚本 ヤウ・タイオンピン/チョン・アーチョン
撮影 ビル・ウォン
音楽 チャン・ホンイー
出演 マギー・チャン(「欲望の翼」)/シルビア・チャン(「恋人達の食卓」)/スー・チンガオワ
メモ 1997.12.6(土曜)ビデオ
あらすじ
結婚のため、中国からやってきて英語があまりしゃべれないチャオホン、台湾からやってきた女優のシャンピン、香港出身の実業家フェンチャオの3人は、異国の地ニューヨークで出会う。
感想
銀婚式を迎える夫婦が、清水の舞台からとびおりるつもりで熟年旅行にニューヨークを訪れて・・という話ではありませんでした。
内の中国、外の中国と呼ばれるほど世界に広がっている民族なんですね。アメリカでは同じ中国人どうしでも”英語”ではなさないと通じないと言われるほど、多様な言語の広大な国ではあるのですが、民族としての結びつきは強いのでしょうか。生まれた所から出たことのない私には、異国の地で暮らすという開放感や心細さはどんなものか想像でしかわからない。

話は大幅にずれますが、「フルムーン(満月)」で思い出す短編があります。有名な作家だと思うのですが、思い出せません。戦時下、アメリカかイギリスの軍人で恋人同士のふたりは満月の月明かりの中、よもやま話をしています。静謐な夜のとばりの中、彼がなにげなく「彼ってステキだね」と言ってしまったことから、2人の間に大きな破局がおとずれます。(ゲイだったというオチではありません)これ、ミステリとしてもとてもよくできていました。忘れられない短編です。(思わせぶりなの堪忍ね。どういう意味があったのかは、言っちゃいたいけど・・・本を捜してみます)

→本棚を発掘して発見しました。創元推理文庫エラリー・クィーン編「ミニ・ミステリ傑作選」という70編のアンソロジーに入っている「月の光(moonshine)」という短編でした。この本の発行年を見てクラッとめまいが・・10代の時に買ったのか・・・つい昨日の事みたい・・(嘘こけ)
おすすめ度:★★★
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