1999年6月の映画


火を噴く惑星 1980年モントリオール世界映画祭審査員特別賞
PLANETA BURG (COSMONAUTS ON VENUS / PLANET OF STORMS / PLANET OF TEMPESTS / STORM PLANET)
ソビエト(レニングラード科学映画スタジオ) 1962年 カラー映画でした。 90分弱
監督 パーヴェル・クルシャンツェフ
脚本 アレクサンドル・カザンツェフ、パーヴェル・ウルシャンツェフ
原作 アレクサンドル・カザンツェフ
撮影 アルカディ・クリモフ/V・エメリヤノフ/G・ジョーノフ、G・ヴェルノフ
出演 キューナ・イグナトバ(マーシャ)/ゲナディ・ヴェルノフ(アリョーシャ) 
メモ 1999.6.30(水)シネ・ヌーヴォ九条
あらすじ
ソビエトの金星探査船シリウス、ベガ、カペラ(だったかな)の3船が金星にたどりついた所で、カペラは隕石にぶつかられあえなく宇宙の塵となった。金星の軌道上に一船を残し、二船で金星に着陸し探査するはずの計画が狂ってしまう。シリウスの乗員男三人は金星に降り立つ。ベガの乗員3名とロボットのジョーは情報を解読できるマーシャを船に残し、探査船で金星に降り立つ。二組が金星上で合わなければ、ベガの乗員は帰ることができない(アルマゲドンと同じ)。お互いに相手を捜しながら、生物学者、地質学者、数学者達は金星の標本を集める。恐竜の血液も採取する。溶岩なんかも集める。シリウスの乗り組み員のひとりは、三角形の変わった石を海底で拾い「金星には文化があったのではないか。その人々は地球にもやってきたのではないか。宇宙の祖先は同じ人々ではないのか」という哲学的思索にふける。と、その時後ろから・・・。
感想
見始めた時は「変わった映画やなあ」と思っていたのですが、違いました。
ものすごう変わった映画でした。
出だしはエド・ウッドの「プラン9」みたいかなあと危惧する所もあったのですが、いやあカルトSFと思う(有名な映画らしいです)。まさに「手作りSF」。まじめに一生懸命つくってはる・・・んでしょう・・・・ね? マーシャが喜んで宇宙船の中(無重力状態)をボヨヨヨ〜ンと跳ねるとこなんか、思わず顔がほころぶ。
「シンドバッド7回目の航海」 「アルゴ探検隊」 「地底探検」 
「ラオ博士の7つの顔」 「大アマゾンの半魚人」とかとも似ているんですけれど、あんなに洗練されていなくて、もっともっと泥臭くじんわりずっしりハチャメチャ。宇宙かと思えば、海底にもぐり、火山は噴火し溶岩は流れだし、ゴジラは出てくるわ、ラドンも出現するわ、ステゴザウルス、マメンチザウルスとかサイエンスそっちのけで実に楽しい。ロボットのジョーの丁寧に頼まないと言うことを聞いてくれないというキャラも個性的。
ビデオをコレクションに入れたい。

映画のチラシによると「旧ソビエトでは情報が閉ざされていたため、独自の世界を築きあげた」そうです。オーストラリアでコアラやカンガルー等の独自の生物が生まれたのと同じですね。映画中のロケットの重くて頑丈そうな機械類を見ると、スプートニクはよう宇宙へ飛び立つ事ができたもんだと感心した。
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ラヴィアン・ローズ
仏 1996年 104分
監督 パーヴェル・ルンギン(「タクシー・ブルース」)
出演 ヴァンサン・ベレーズ(フィリップ)/ターニャ・メシチェルキナ(オクサナ)/アルメン・シガルハニアン(ロシアン・マフィアのボス)/アレクサンドル・バルーエフ
メモ 1999.6.27(日)CSスターチャンネル録画
あらすじ
東京からパリへ向かう途中、乗り継ぎのため(トランジット)モスクワ空港で12時間足止めされることになりヤレヤレのフランス人作曲家フィリップス。空港で美女オクサナと出会い、「モスクワの街を案内してあげるわ」との言葉にコロッと騙され、空港を抜け出し(密入国)ディスコで泥酔、でもって目が覚めてみれば、ロシア・マフィアに誘拐されていました。
感想
何故か美女ふたりがマフィアと渡り合っての逃避行と思い込んでいました。換気扇から外を覗くふたりの写真が女の人同士に見えたんです。ストーリーをちゃんと読んでいないって事がもろばれ。
サム・ハン・キンポーみたいなロシア・マフィアの手下がいい。ロシアというのはヨーロッパから見ればアジアであり、アジアから見ればヨーロッパであるというのがなかなか興味深い。
手放しで面白かったとは言えないけれど、異色のブラックコメディ+マフィア映画です。

カンヌ映画祭グランプリ作品「タクシー・ブルース(1990年仏=ソ連)」の監督さんでした。「タクシー・ブルース」はペレストロイカ後の夜のモスクワの街が印象的な映画です。確か、ふとしたきっかけで(街で拾ったタクシーの乗客だったかな)音楽家(ジャズだったかな)と知り合う。やがてドラッグやアルコールに浸りきったそのめちゃめちゃな音楽家がアメリカで大ブレイクするというのに、自分は今もタクシー・ドライバーのまま夜の街を流しているっていうブルーなこれまた異色作です。
おすすめ度一見の価値はある★★★
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ブレイキング・イン BREAKING-IN
米国 1989年 94分
監督 ビル・フォーサイス
脚本 ジョン・セイルズ
撮影 マイケル・コールター
音楽 マイケル・ギブス
出演 バート・レイノルズ(アーニー)/ケーシー・シーマズコ(マイク)/シーラ・ケリー/ロレイン・トゥサント
メモ 1999.6.26(土)ビデオ
あらすじ
初老の怪盗と若いコソ泥は、盗みに入った屋敷でハチ合わせした。若いコソ泥は、本業は車の修理工で泥棒は趣味。人の手紙を盗み見したり冷蔵庫をあさったりするだけだったが、これが縁で怪盗アーニーは若造を相棒にし、泥棒のノウハウの特訓を始める。
感想
昨年の秋、近所のビデオ屋さんに行くと「バート・レイノルズ」の棚がごっそり空いている。いつか見ようと思っていた「ブレイキング・イン」がない!。一大事とばかり店員さんに「バート・レイノルズのブレイキング・インなくなっているんですけど」と尋ねたら、「バート?? 男の人ですかあ?」とか聞き返された(**)。でもって「また捨てたんかっ」っというような責めるオーラを発しているアタシに恐れをなしてか「今、改装の用意している所なんでまた倉庫からでてくると思いますう」と言われすごすご帰りました。が、やはり予想どおり改装後も戻らず、バートのエリアもなくなり(かわいそうなバート)。今回しょーことなしに梅田のTUTAYAさんでレンタルしました。(長い前振り)。

年のずぅーーーっと離れた相棒物語の佳作です。金庫破りのテクニックが見れるかと期待していたら、そこはやっぱりバート・レイノルズ。斧で叩きわったり、ニトロで爆発させたりの荒技(笑)。
若い時のムキムキしたのはちょっと苦手でしたが、油もだいぶ抜けてそれでもちょっとセクシィで、ほどよい枯れ具合でした。いくつになってもかわいげのある人っていい。
弁護士役の大きな「京なす(京都のなすび)」みたいなおじちゃん、脇役でよく見る。 面白かったよ。
おすすめ度脚本のジョン・セイルズって「エイトメン・アウト」のジョン・セイルズ監督の事?★★★1/2
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ワンダフルライフ
日本 1998年 118分
監督 是枝裕和
撮影 山崎裕
美術 磯見俊裕
作曲 笠松泰洋
スタイリスト 山本康一郎
メモ 1999.6.24(木)梅田ガーデンシネマ
あらすじ
死んでから、あの世に行くまでには7日間の慣らし期間がある。その間何をするかというと「人生で一番大切な思い出をひとつ選ぶ」のだ。それを再現した映像を見てその時の気持ちが甦った瞬間あの世にいくシステムになっている。
感想
元々お気楽バカ映画が大好き、辛気くさい事は堪忍してという気質の上、「過去を振り返るのは嫌い」 「死ぬときは静かにひっそり消え土にもどりたい(こういうヤツに限って、土壇場でじたばたするかも)」という、いい年こいてツッパッた私には「陳腐に思えるかも」 「取り残されるな」とか思っていたのですが、「今年の日本映画必見作品かもしれない」という予感もあり、懐疑的に見に行ってきたのであります。

前半ファンタジー、後半ドキュメンタリーで少し長く、幾分まとまりのなさを感じる。
が、レトロな建物、月の光、雪、桜の花びら、落ち葉といった映像が日本的なしっとりした情感をもまた感じさせる。
そして、「死ぬときはひとりぼっちなんだな」という一抹の寂しさとともに、自分のつつましい想い出を再現する事に妥協しない人々の表情と幸福な時間が甦った時の笑顔、さらに手助けする人々の優しい心根にこのあまのじゃくは静かに感動いたしました。
おすすめ度宗教臭さがみじんもないのに好感を持つ(とはいっても輪廻という言葉は浮かんだな)。若い人達ばかりの観客に驚く。★★★★1/2
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地獄の警備員
日本 1992年 97分
監督・脚本 黒沢清(
「CURE」
脚本 富岡邦彦
撮影 根岸憲一
美術 清水剛
音楽 岸野雄一
出演 久野真紀子/松重豊/長谷川初範/由良宣子/大杉漣(ヘンタイ)/緒方幹太/洞口依子(あれだけの役なわけ?)
メモ 1999.6.20(日)ビデオ
あらすじ
ある商社に新設された12課は、美術品の売買が仕事だった。元美術館の学芸員から転職した秋子は、新しく雇われた巨漢の警備員の行動に気持ち悪さを覚える。自分が落としたピアスの片割れを警備員が耳に付けているというのだ。
感想
変わった映画だったな。独特の雰囲気はあるし丁寧に撮ってある映像です。が、サイコキラーが元相撲取りには見えんというのが最大の欠点か? どうみてもバスケかバレーの選手にみえる。「ダーンクシュートッ!」とか「スパイクッ!」って言いながら罪なき善人(ヘンタイも含まれているけど)を殺る方が似合っているかも。
なんか終わり方も唐突というか、取って付けたみたいやし(なんで妻子が急にでてくるの?)、「俺のことは理解できない」(<そらそうやとこれは納得) とか「俺の時間は他の人間とは違うのだ」(<世界が違うって意味か?) とかなんとか哲学的やし。「俺の事を忘れるな」(<忘れられると思う?) 何がいいたいのやらわけわからん。黙ってる方が恐いと思うけど。う〜ん、こういうわけのわからなさで観客を煙に巻いたのか? 結局は支離滅裂なヤツだったんだな。まあ「マリアの胃袋」よりは面白かったな・・・・って全然誉め言葉になってない(笑)。
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スパニッシュ・プリズナー
アメリカ 1997年 105分
監督・脚本 デビッド・マメット(「アメリカン・バッファロー」 
「摩天楼を夢見て」の劇作家、「評決」「アンタッチャブル」 「ウワサの真相」の脚本家)
プロデューサー ジーン・ドゥメイニアン
撮影 ガブリエル・ベリステイン(「カラブァッジオ」「黙秘」)
音楽 カーター・パーウェル(「チェック・アウト」、「ブラッド・シンプル」から 「ビッグ・リボウスキ」までのコーエン兄弟全7作品)
出演 キャンベル・スコット(ジョー・ロス「愛と死の間で」「愛の選択」)/レベッカ・ピジョン(スーザン、マメット監督夫人)/スティーブ・マーチン(ジミー・デル)/ベン・ギャザラ(社長クライン)/フェリシティ・ハフマン(FBIマキューン)/リッキー・ジェイ(ジョージ、プロの手品師)
メモ 1999.6.19(土)テアトル梅田
あらすじ
ジョー・ロスは不満と不安を抱いていた。彼が開発した”プロセス”というシステムは会社に莫大な利益をもたらす。しかし、社長は分け前を渋っているように思えるのだ。
感想
オーソドックちゃあ、オーソドックスなコン・ゲームミステリ。面白くなかったかといえば、そうではない。小道具が色々と活躍して、好みのミステリ映画です。ただ映画として見た場合は、華がないというか、大きな欠点があるような気がする。主人公がまったく活躍せえへんねんから。しかし、これも監督が意図した”映画の個性”と見るべきかもしれない。

心理合戦が見物でしたが結局は「それでなんなの?」という思いもちょっと残る映画「アメリカン・バッファロー」の脚本家が本作品の監督ということから、「アメリカン・バッファロー」が面白かった人にはお薦めします。ミステリというくくりからはちょっとずらした、人間心理物なのかもしれない。

おすすめ度日本人として喜んでいいのか悲しんでいいのか、ちょっとフクザツ。★★★1/2
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チェック・アウト CHEKING OUT
英国 1989年 95分
制作総指揮 (ビートルズで一番最後に名前を思い出す)ジョージ・ハリソン/デニス・オブライエン
監督 デヴィド・リーランド
脚本 ジョー・エステラタ
撮影 イアン・ウィルソン
音楽 カーター・バーウェル
出演 ジェフ・ダニエルズ/メラニー・メイロン/アラン・ハーヴェイ
メモ 1999.6.18(金)CS録画
あらすじ
レイ(ジェフ・ダニエルズ)は、弱小ボン航空のPR担当社員。ある日仲良しでジョーク飛ばし屋の同僚バッドが、バーベキュー・パーティの最中に目の前でおっ死んじまう。ジョークの落ちをいわぬまま心臓発作で死んでしまったバッドを見て、大ショックのレイ。心臓がドキドキする、ああもうだめだ、自分も今日にも死ぬ明日にも死ぬと神経病みに陥ちいってしまう。
感想
人間「チェック・アウト」してこの世とおさらばするまでは、お気楽にいこうじゃないかというジョージ・ハリスン作曲のテーマ曲がテーマの、ヘンテコリンな英国コメディ。英国のコメディというのは、笑いのツボというのを微妙にはずすね。ここがなんともいえない味わいというか、もどかしいというか。
ジェフ・ダニエルズという役者さんも、間合いの取り方が絶妙な人ですな。 
「カラー・オブ・ハート」では、バイト役のディビッドが遅刻すると、いつもの次の芝居に移れなくてすり減るぐらいソーダー・スタンドのカウンターを拭きつづけているビル役。「サムシング・ワイルド」ではメラニー・グリフィスに振り回され最後には命まで狙われる役。とまどった表情がうまい。「グランド・ツアー」っていう異色SFもあったね。

バッドが途中まで言った中途半端なジョークは、「イタリア人は何故バーベキューを食べないのか?」。このジョークの謎でラストまでひっぱる。
 この映画を見ないであろう確信のある方、オチは「スパゲティはグリルで焼けないから(^^)」です。

映画中バッドのはなった超下品なジョークをばひとつサービスに(^^)・・・
  「ある男がバーに来てワニを取り出し、その口に自分のイチモツをはさむ。
  奴は、そのワニの頭を何度もバンバン叩いて自慢そうにこう言った。
  『どうだ、マネできまい?』
  そこへオカマ登場
  『あたしできるわ。』
  ・・・・『でも、頭をぶつのはやめて』」
おすすめ度★★★
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レッド・バイオリン THE RED VIOLIN
イタリア・カナダ 1998年 131分
監督・脚本 フランソワ・ジラール
共同脚本 ドン・マッケラー
撮影 アラン・ドメスティ
衣装 レニー・エイプリル
音楽 ジョン・コリリアーノ
バイオリン演奏 ジョシュア・ベル
演奏指揮 エサ=ベッカ・サロネン
メモ 1999.6.17(木)シネマ・ナビ5
感想
1681年イタリア・クレモナで作られたレッド・バイオリンが、「未来占いのカード」に導かれるように1792年オーストリア、1893年英国、1965年中国と、幾人もの手をへて数奇な旅をするという丁寧に丁寧に作られた格調高いドラマ。バイオリンの豊かな音色(ねいろ)に、体の奥底が揺さぶられるような感動を覚える。
とはいえ、エピソードのひとつひとつが幾分ぼやっとしている上、「バイオリン」の時を越えた遍歴は終わらないと暗示するラストもまた幾分消化不良気味のモヤモヤ感が残ってしまった。
しかし考えるに「誰のものでもない、美と感動をあたえる器」として「レッド・バイオリン」は描かれているんだな。

淀屋橋にある大阪市立愛珠幼稚園には”お宝”としてストラディバリが死蔵されているという。弾いてなんぼのもんよねえと思うのは素人考え? 
おすすめ度★★★1/2
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ボーデロ・オブ・ブラッド/血まみれの売春宿 TALES FROM THE CRYPT:BORDELLO OF BLOOD
米国 1996年 87分
監督 ギルバート・アドラー
出演 デニス・ミラー/エリカ・エレニアック
メモ 1999.6.12(日)CSスターチャンネル録画
あらすじ
私立探偵のレイフは、金髪でキュートなキャサリンから行方不明の弟の調査を依頼される(というか口八丁で調査をぶんどる)。耳にピアス、鼻にもピアスの弟は森の中の秘密クラブで足取りが途絶えていた。
感想
女吸血鬼もの + ぐちゃぐちゃのゾンビもの + げっすいオイロケあり + うさんくさい宗教もあり + こびともでてくる + 骸骨が狂言回し
のごったにホラー
血まみれの売春宿 この副題がすべてやね。
 底のアサーイ吸血鬼映画です。面白いの。おバカ映画バンザイ!! (^^) フレーフレーばか映画!(ヤケクソ) 
あのロバート・ゼメキスが製作総指揮に参加しているそうです。
コニー・フェルドマンひさしぶりにみたな。いかれた弟役。
おすすめ度★★★1/2
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イノセント・ライフ THE SLINGSHOT(ぱちんこ)
スウェーデン 1993年 103分
監督 アーケ・サングレン
出演 ジェスパー・サレン/ステラン・スカルスガード
メモ 1999.6.12(日)CSスターチャンネル録画
あらすじ
1920年代、スウェーデンのストックホルムを舞台に、10歳の少年の成長と性へのめざめを描いたドラマ。結構辛口です。
ローランドの父は、神経痛のため思うように体が動かせないが熱く政治を語る社会主義者。王国のスウェーデンでは当時はイコール反政府主義者。母はロシアからスウェーデンに移住したユダヤ人。カトリック教国のスウェーデンでは、これまた異教徒。信念を持った両親の元、子供は苦労している。10才のローランドは学校では教師から目の敵にされている、家でも自分を練習台にする兄のパンチから逃れるため、気が抜けない。
自転車が欲しいローランド。高すぎると買ってもらえない。しかし、アイデアと工夫の能力に恵まれた彼は、母が店でこっそり売っているコンドーム(カトリック国ではご禁制品)にガスを入れ近所の子供たちに「こぶのついた風船」として売り出す。母に見つかり、ハットピンで風船を破られたローランドは次に破れたゴムと屑鉄から、パチンコを作ってまた売り出すのだ。
感想
スウェーデンのアカデミー賞受賞作品。映画を見ながら「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」と似ていると思っていたら、「ア・ドッグ」の制作者バルデマール・ベルエンダールと音楽担当ビョラン・イスフェルトが参加しているそうです。

闘士の父の血を受け継いだ兄は、拳闘で強い男になろうとします。
  対してユダヤ人の母の血を受け継いだ弟は、商魂たくましく頭で生き抜いていきます。 この多感さとタフさを見習いたい。

少年の成長物語にしては、異色の音楽が使われているように思いました。楽器はサックスのように思うのですが、モダン・ジャズとも違うような・・・音楽に疎いので残念です。
おすすめ度★★★★
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クロウ/飛翔伝説 THE CROW (by さぼてん男)
米国 1994年 
監督 アレックス・プロヤス
出演 ブランドン・リー/アーニー・ハドソン/マイケル・ウィンコット/アンナ・トムソン
メモ 1999.6.11(土)CS
あらすじ
凶悪な犯罪が横行する街で、ハロウィン前夜、エリックとシェリーはチンピラ4人組に惨殺される。1年後、カラスのパワーを借りて復活したエリックは、犯人たちへの復讐を始める。
感想
この映画をどうジャンル分けしたらいいのかな?
近未来物、というよりも別世界物というべきか。死人が甦るからゾンビ物?いや、ラブストーリーだったりして。
まあ、厳密なジャンル分けなど、不毛な議論で、得る物はあまりないけれど、この映画を見てつい考えてしまった。

さて、映画の感想だが、実はこの映画の事は以前から知っていたが食指が動かなかった。というのは、劇場公開時、主演がB・リーの息子で、撮影中の発砲事故で不慮の死を遂げた事ばかりが喧伝され、中身の評判が伝わってこなかったため、「映画外の事で有名になった映画かな」と思いこんでいたためだ。
しかし、監督が(私の好きな)
「ダーク・シティ」の人だったから、今般、ケーブルテレビ放映の機会にあえて見たところ、いや、なかなか良かったよ。(思いこみで損をするところだった。)
第一に、都市の造形。「ブレードランナー」の街とゴッサムシティをつき混ぜたような猥雑で汚らしい雰囲気が心地よい。
第二に、派手な銃撃シーン。なにしろ死なない(既に死んでいる)から、身を隠す必要がない。それだけに、「ターミネーター」同様、逃げ隠れのないスッキリ感が残る。
第三に、主人公の造形。繊細かつキレた表情と黒革多用のヘビメタな造形は、「シザーハンズ」を彷彿とさせ、なかなかグー(古語)。
第四に(どこまでいくのか)、悪役の造形。チンピラ連中は別として、親玉のワルを演じるマイケル・ウインコットが、これまた繊細にしてキレた印象で存在感がある。さすが、個性派俳優の見本市、「エイリアン4」に起用されるはずだ。

こうして並べると、いろんな映画のコラージュのように見えなくもない。それがため、この監督の作品はジャンル分けしにくくなるんだろうな。
カラスが夜の街を飛翔していくシーンは一見の価値あり。このカメラの動きは、「エイリアン3」のエイリアンの眼から見た世界を思わせる。でもサブタイトルの「飛翔伝説」は大げさだな。
おすすめ度★★★
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ー・・ハ PLEASANTVILLE
米国 1998年 
脚本・監督・制作 ゲーリー・ロス
制作 スティーブン・ソダーバーグ(「セックスと嘘とビデオテープ」
「蒼い記憶」)/ジョン・キリック/ロバート・J・デガス
音楽 ランディ・ニューマン
美術 ジニーン・オプウォール
衣装 ジュディアナ・マコフスキー
視覚効果監督 クリス・ワッツ
色彩効果デザイナー マイケル・サザード
撮影 フリッツ・アルノ・ワグナー/カール・ハッシュ
出演 トビー・マグァイア(ディビッド・双子の兄)/リース・ウィザースポーン(ジェニファー・双子の妹)/ジョアン・アレン(ベティ・パーカー・ママ)/ウィリアム・H・メイシー(ジョージ・パーカー・パパ)/ジェフ・ダニエルズ(ビル・画家)/J・T・ウォルシュ(ビッグ・ボブ・町長)/ドン・ノット(テレビ修理工)
メモ 1999.6.11(土)OS劇場
あらすじ
高校三年生ディピッドは、今の時代に合わない自分を感じ、古いTV番組「プレザントヴィル」に逃避していた。これからの世界は「オゾン層が破壊され、温度が上がり、災害が多発」 「就職難」とお先真っ暗。学校ではださい、もてない、めだたないないの三拍子そろった男の子。家では両親が離婚して、母親は若い恋人に入れあげている。妹もまたクールな男を追っかけている毎日。家族はバラバラ。ひとりで「家族は仲良し」の古いTV番組にカウチポテトのある日、事は起こった。
感想
「ビッグ」 「デーブ」の脚本家が監督さんか。そうかあ。なるほど。
一見ノーテンキなSF映画。楽しい夢を見た後のようなふわふわした気持ちよさが残る。
説教じみてくる後半よりも、前半がグー。慎重で内向的、思索的、ダサダサのディビッドに対し、双子の妹ジェニファーは、発展家、直情型。服がダサイと鼻の穴を膨らませ口をとんがらかせて文句いっているお顔がかわいい。えぇーっと「トゥルーマン・ショー」の裏返しのような映画です。

先に見に行った人達の感想は、「ファンタジーとしては、プラクティカル・マジックの方が笑えました。」 「ビデオで十分。」だったので、ほとんど期待せずに最終日に見に行ったのですが、映画館の大画面で見てよかった。思うに、「ルーシー・ショー」や「パパは何でも知っている」「家のママは世界一」とかのいわゆるよきアメリカ時代のTV番組をかすかにでも覚えている世代の方が楽しめるな、これは。
”の映像、みごとです。さらに、主人公の双子ペア、めざめる画家とママ、変化についていけないパパ、映画中の絵画などなど、なかなか良い、オススメ。

J・T・ウォルシュじっくり見てちょっとしんみり。
おすすめ度★★★★1/2
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怪人マブゼ博士
独 1932年 
監督 フリッツ・ラング
脚本 フリッツ・ラング/テア・フォン・ハルボウ(当時、監督の妻)
撮影 フリッツ・アルノ・ワグナー/カール・ハッシュ
出演 ルドルフ・クライン=ロッゲ(マブゼ博士、ハーギ「メトロポリス」のマッドサイエンティスト、「ドクトル・マブゼ」のマブゼ博士)/オスカル・ベレジ(バウム博士)
メモ 1999.6.6(日)BS録画
あらすじ
マブゼ博士は次々と凶悪犯罪を犯し警察に捕まるが、精神に変調をきたしていたため病院に入れられていた。それから10年。病院のバウム博士は、マブゼを研究対象としていた。が、実は操られているのは博士の方であった。
感想
1922年作「ドクトル・マブゼ」の続編。そのリメイクは1960年作「怪人マブゼ博士」。
マブゼ博士は、フリッツ・ラング監督お気に入りのキャラクターだったのでしょう。初めて見るマブゼ博士モノです。これは全部見たいな。
異能人マブゼ博士の世界と、正常人ローマン警部の世界の対比がおもしろい。バウム博士にマブゼが乗り移るシーンもまた面白いですが、最後のカーチェイスの最中、闇の中でで木々がザワザワしているシーンが最高。映画「顔のない眼」を思い起こさせる。
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