1998年9月の映画

ラビッド RABID シトヘス恐怖映画祭 脚本賞、特殊効果賞

カナダ 1977年 91分
監督・脚本 デビッド・クローネンバーグ(「ザ・フライ」「デッドゾーン」「スキャナーズ」「裸のランチ」)
撮影 レネ・ベルジュ
出演 マリリン・チェンバース/フランク・ムーア/ジョー・シルバー
メモ 1998.9.27(日曜日)ビデオ
あらすじ
オートバイの事故で大火傷をおった女性は、かつぎ込まれた整形外科病院で皮膚移植を受ける。が、まもなく腋の下になにやら出現し、そのモノは人間の生き血を求めるのだ。
感想
「プリンス・オブ・ホラー」デビッド・クローネンバーグの実験的カルト作品。と改めて言うまでもなく、すべてカルトかなあ、この方の作品は。美しいヒロインの腋の下に現れたなまなましくかつエロチックな突起。本人の意思とは関係なく悲劇へと淡々と進んでいくストーリー。どうしてこういう事を思いつくのか、どうしてこういう物を描きたいのか、すべての作品が(一貫したテーマか)体に異変が起こり、世の中から抜け落ち、悲劇に終わるのか・・・不思議です。クローネンバーグ監督の頭の中を見てみたい。
突起物が現れたらヒロインはなまめかしく男や女に抱きつき、ニンフォマニアになりはったんかと思ったらハードコアの女優さんなんですね。整ったお顔のきれいな人です。
おすすめ度:クローネンバーグ好きは、見た事に意義があると思う。エイズの初期の広まり方のような感じがしました。
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脱獄十二時間

仏 1958年 95分
監督・脚本 ゲザ・ラドバニ
撮影 アンリ・アルカン
音楽 レオ・フェレ
出演 エバ・バートク/リノ・バンチュラ/ハンネス・メッセマー
メモ 1998.9.26(土曜日)CS
あらすじ
刑務所でベッキーは寝てもさめても同房の囚人仲間に恋人の事を語り続けている。最近の悩みは恋人から手紙が来なくなったこと。いてもたってもいられないベッキーは、後6ヶ月の刑期を残して仲間にさそわれ脱獄する。恋人に預けてある30万フランを元に海外逃亡するつもりなのだ。
感想
脱獄した朝6時から船で逃げる夕方6時までの12時間の出来事が描かれています。様々な人間ドラマが展開する。その中でも大きなエピソードは、30万フランが手に入るのを待ってイライラするリノ・バンチュラが人のいい警官になつかれる話。「困った顔」のリノ・バンチュラが面白い。原作はボワロー&ナルスジャック。
おすすめ度:★★★
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美女と液体人間

日本 1958年 87分
監督 本多猪四郎
特技監督 円谷英二
原作 海上日出男
撮影 荒木秀三郎/有川貞昌
出演 佐原健二/白川由美/平田昭彦/小沢栄太郎/千田是也/佐藤充
メモ 1998.9.25(金曜日)WOWOW録画
あらすじ
雨が降り続いている夜、男が車に轢かれる。が、残っていたのは服と靴だけだった。麻薬売買にからむ事件とみて警察は捜査を始める。
感想
やや扇情的な映画名。「美女と野獣」のように、しょっちゅう失神する美女(白川由美)と液体人間がほのかに恋心をつのらせ・・などというかわいらしい所はまったくなく、エロチックで非人間的な雰囲気を持つヌメっとした日本SFホラー映画の傑作。
漁船の乗組員が幽霊船を捜索するシーンがこわい
水爆実験で幕を開け、めらめら燃え上がる炎で締めくくるという色づかいに独特の個性があると思う。後で色づけしたかのような青、黄色が印象的。
部屋自体を前後左右に動かし、あたかも液体人間(スライム)を生きているかのように撮影してあるそうです。
余談ですが、小沢栄太郎さんの自然な演技に驚きました。
おすすめ度:★★★★
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大アマゾンの半魚人 CREATURE FROM THE BLACK LAGOON

米国 1954年 76分
監督 ジャック・アーノルド
脚本 ハリー・エセックス/アーサー・ロス
撮影 ウィリアム・E・スナイダー
特殊メイク バッド・ウェストモア
出演 リチャード・カールソン/ジュリー・アダムス
メモ 1998.9.23(水曜日)CS録画
あらすじ
アマゾン奥地で発掘作業中、正体不明の水掻きのついた手が見つかる。調査隊は足を踏み入れた者は二度ともどらないという言い伝えのあるブラック・ラグーン(黒い入り江)へ向かう。
感想
評判どおり、一目惚れした半魚人(ギルマン)が、何も知らずに水面で泳いでいるジュリー・アダムスと川底でデュエットしてゆらゆら泳ぐシーンが素晴らしい。キラキラ光が差し込むカメラワークが美しい。
ちなみに、このシーンからスピルバーグは「ジョーズ」で海底から鮫がみる同じ様なアングルを撮ったそうです。
一転、最後に半魚人が暗い川底へと深く深く沈んでいく姿が哀切を感じさせる。
おすすめ度:★★★1/2
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フラッド(大洪水) HARD RAIN

米国 1998年 97分
監督 ミカエル・ソロモン(「アビス」「バックドラフト」の撮影監督)
脚本 グラハム・ヨスト
音楽 クリストファー・ヤング
撮影 ピーター・メンジス・ジュニア,A.C.S.
出演 モーガン・フリーマン(ジム)/クリスチャン・スレーター(トム)/ランディ・クエイド(保安官マイク)/ミニー・ドライバー(カレン)/ミッシェル・ゴーギャン(ケニー)/ウェイン・デュバル(ダムの管理人ハンク)/ダン・フローレック(ミスター・メラー)
メモ 1998.9.19(土曜日)難波 南街劇場
あらすじ
記録的な大雨が続く、ミシシッピー川流域インディアナ州ハンティングバーグでは住民が避難をはじめていた。保安官のマイクが助手達とまだ居残っている住民達に避難するよう町を見回りしている時、銀行では、現金300万ドルを避難させるため、現金輸送車に金が積み込まれていた。
感想
思っていたより、こじんまりした映画でした。大迫力スペクタクルっていうよりは、ストーリー物ですね。水物はスピード感がでないって言われる点、健闘しています。全編通じてずっと雨ってのはよかったです。

ワル組脇役が○。学習能力ゼロ記憶力ゼロ、ぶちこわし野郎のケリーが出来が悪くてかわいい。「あほめ」が口癖の元教師のミスター・メラー、なんとなく予想はつくが、どうして学校をクビになったか知りたい所。

パラマウント映画の時はいつも、しょっぱなの★の数を数えるのですが「今回、最後までかぞえられたなあ」と思ったら・・・(^^)。オープニングのながまわし必見。
おすすめ度:★★★1/2
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ムトゥ 踊るマハラジャ 象も喜ぶ大ヒット!

インド 1995年 166分 タミル語
製作総指揮 B・カンダスワーミ
監督・脚本 K・S・ラヴィクマール
音楽 A・R・ラフマーン
出演 スーパースター・ラジニカーント(ムトゥ)/ミーナ(ランガ)
メモ 1998.9.16(水曜日)テアトル梅田
あらすじ
大地主の大邸宅では、母親が気をもんでいる。跡取りのラージャーがなかなか結婚しようとしないのだ。そのラージャーは使用人のムトゥをお供に映画や芝居ざんまいの毎日をおくっていた。母の兄は財産を乗っ取ろうと自分の娘をラージャーの嫁にと送り込んでくる。しかし、ラージャーは女優のランガにひとめぼれ。ところが最初は反発しあっていたランガと使用人のムトゥは、ランガが誘拐されそうになるのを救った事でおたがい憎からぬ間柄となってしまったのでございます。
感想
「ベン・ハー」も真っ青の二輪馬車の大活劇!!
ワタクシ追っ手の方々はどこに隠れてはったのかと思いました、あんなにぎょうさん(笑)。
「二輪馬車で追っかけるより、馬に乗ったほうがはやいんとちゃう」とか、最後の活劇では「一番最後やったのに、いつ一番前にきたん?」とかのツッコミをぶっとばす 〜歌と踊り♪〜。ムトゥに黄色と黄緑の衣装はちょっと似合えへんかなあと思いながらも、めっちゃ楽しい。

日頃のうさをふきとばす。明るい、元気がでる。歌がうまかった。ひとり三重唱には笑った。

スーパースターのラジニカーントは最初「あれれれ」というおじちゃんやねんけど、だんだん愛嬌がでてくる。ランガ役のミーナは美しいよ。ここんとこ、ジャニーズ系の男の子が主役の
「ラジュー出世する」と好みが別れるかもしれぬ。
おすすめ度:★★★★
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ミュリエルの結婚 muriel's Wedding 1994年度オーストラリア・アカデミー賞

オーストラリア 1994年 105分
監督・脚本 P.J.ホーガン
「ベスト・フレンズ・ウェディング」
音楽 ピーター・ベスト
衣装 テリー・リアン
出演 トニ・コレット(ミュリエル)/ビル・ハンター(ビル)/レイチェル・グリフィス(ロンダ)
メモ 1998.9.15(敬老の日)ビデオ録画
あらすじ
もっさりした女の子ミュリエルは、高校をドロップアウト、就職浪人2年、高校時代のお姫様と取り巻きグループからは「アンタとはもうこれっきり」と見限られる。一念発起し「イイ女になって、結婚してやるう」と大都会へ家出する。
感想
結構シリアスだった。意外(・_・)。重たくはないんやけどね。
ABBAやカーペンターズの曲が懐かしい。だいぶ雰囲気ちゃうねんけど、さぼてんのベストテン映画の「シュガーベイビー」(「バクダット・カフェ」のパーシー・アドロン監督作品)にちょぴっと似ている。さぼてん男は「人形の家やな」っていうけど、う〜ん、まあそうかな。
最初は上目遣いだったミュリエルが、堂々と顔をあげて去っていくラストがさわやか。この役作りに20キロ太ったという22才のトニ・コレットに拍手!
おすすめ度:★★★1/2
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ポストマン・ブルース

日本 1997年 110分
監督・脚本 サブ(田中博行)
出演 堤真一/堀部圭亮/遠山景織子/田口トモロヲ
メモ 1998.9.12(土曜)ビデオ
あらすじ
昨日も今日も明日も郵便物を仕分けして配達する郵便配達人、沢木。いったい毎日自分は苦労して何を届けているんだろう?
感想
サブ監督作品2作目。さかのぼってみています。
チェスタトンのある短編小説のような主人公沢木が、連続バラバラ殺人事件の犯人にしたてあがるまでの顛末やねんけど、ラストのどんでん返し、違う? じゃ転調が効いてると思う。自分自身を配達に走る主人公が輝いていた。

この作品に比べると、
「アンラッキー・モンキー」は完成度が高まったというか、反面やんちゃ度が低まっていたように思う。登場する人達がみんな同じ顔ぶれで驚きました。それもヤクザと警察と立場が反転してもどちらもピッタリはまっているのが、なんというか(笑)
おすすめ度:★★★★
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さまよう魂たち

ニュージーランド・米 1996年 111分
監督・脚本 ピーター・ジャクソン
出演 マイケル・J・フォックス/トリーニ・アルバラード
メモ 1998.9.12(土曜)WOWOW
あらすじ
ゴーストバスターのフランクは、友達の幽霊達にポルターガイストを起こさせては幽霊退治を商売にしていた。いわゆるマッチポンプってヤツ。一方街では心臓麻痺で亡くなる人が続出。なにか邪悪なモノがいるらしい。
感想
「ブレインデッド」の監督さんなのですね。ちょっと甘めの話になっていました。地獄の様子は「SPAWN」かと思いました、ワタクシ。
「スターシップ・トゥルーパーズ」にもでていたジェイク・ビジーが殺人鬼を好演・・・というのもおかしいか(笑)。FBI捜査官は、「インディジョーンズ」のナチの殺し屋みたいやし、殺人鬼のゴーストは「T2」のT-1000みたいやし、全体として・・・面白かったです。
おすすめ度:★★★1/2
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殺人カメラ

伊 1948年 87分
監督・脚本 ロベルト・ロッセリーニ
撮影 ティノ・サントーニ/エンリコ・ベッティ・ベルッティ
音楽 レンツォ・ロッセリーニ
出演 ジェンナロ・ピサノ/ウィリアムズ・タブス/ジョバンニ・アマート
メモ 1998.9.6(日曜)ビデオ
あらすじ
村の写真屋チェレスティーノは、謎の老人から「カメラで”写真”を写す」と「写真に写っている人間が、そのままの姿で死ぬ」という不思議な力を授けられる。貧しい村人のため、悪い金持ちを取り除いていく。
感想
ネオレアリスモの巨匠ロッセリーニ(「ブルー・ベルベット」のイザベラ・ロッセリーニのパパ)のユーモアまじりの小品。人形劇のようなはじまりが面白い。こういう工夫は初めて見ました。

ロッセリーニ監督作品は「戦火のかなた」しか見ていない。トホホ。「戦火のかなた」のラストのパルチザンの挿話はお薦めです。人は殺されるときあんなに静かなんだろうか。
おすすめ度:★★★
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スウィート ヒアアフター(穏やかなその後)THE SWEET HEREAFTER カンヌ映画祭審査員グランプリ

カナダ 1997年 110分
監督・脚本 アトム・エゴヤン
原作 ラッセル・バンクス「この世を離れて」
撮影 ポール・サロシー
音楽 マイケル・ダンナ
出演 イアン・フォルム(スティーブンス)/サラ・ポーリー(ニコール)/ブルース・グリーンウッド(ビリー)
メモ 1998.9.5(土曜)心斎橋ビッグステップ パラダイスシネマ
あらすじ
住人達が皆知り合いという小さな村で、スクールバスが湖に落ち21人の子供達が犠牲になるという事故が起こる。有能な弁護士ミッチェル・スティーブンスは「学校とバスを製造した会社を相手に集団訴訟をおこす」事を親達に説得するため、やってきた。
感想
深い深いため息がでる。出だしから深刻で沈鬱。”残酷で美しい寓話”の世界。

「子供に先立たれるというような不幸にあっても、この理不尽な運命を与えた世の中で生をまっとうしなければならないのか。そんな義理があるのか。」  「といって、この世におさらばするのか。できるのか。残りの人生を鬱々と恨みながら過ごすのか。」といった事が頭の中をグルグル渦巻く。
おすすめ度:★★★★
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彼女は最高 SHE'S THE ONE

米 1996年 97分
監督・脚本・出演 エドワード・バーンズ
出演 キャメロン・ディアス/ジェニファー・アーストン/マイク・マッグローン
メモ 1998.9.3(木曜)WOWOW録画
あらすじ
ニューヨークでタクシー運転手をしている兄とウォール街で成功している一つ違いの弟。子供の頃から仲がいいやら、張り合うやらの二人兄弟だったが、女性との関係は二人そろってぎくしゃくしていた。
感想
制作、監督、脚本、主演を兼ねたエドワード・バーンズが何を描きたかったのかが捉えきれないというか、そういうメッセージ色の強い映画ではないのかがよくわからないなりに◎。アイルランド系の家族という、自分のよく知っている世界を描くというのに好印象をうける。

「マクマレン兄弟」でサンダンス映画祭グランプリを受賞した監督の第二作。とても素朴で平凡にみえながら、監督本人がかもしだすさらっとした雰囲気に才気が光る。「自分にとって大切なものは何か」を知ること、そして大切なものそれが人の場合は、相手にも”心”があるんだという事だろう・・か?
おすすめ度:★★★★
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秘密殺人計画書 THE LIST OF ADRIAN MESSENGER

米 1963年 98分
監督 ジョン・ヒューストン
原作 フィリップ・マクドナルド(「ゲスリン最後の事件」)
脚本 アンソニー・ヴェイラー
出演 ジョージ・C・スコット/カーク・ダグラス
メモ 1998.9.1(火曜)WOWOW
あらすじ
元イギリス情報局諜報員は、作家の友人アドリアン・メッセンジャーから「10名のリスト」を渡され「この10人が、今も同じ住所で暮らしているか確かめて欲しい。」と頼まれる。
感想
聞いたことも見たこともない映画だったので、ぜーんぜん期待していなかったのですが面白かった。古い映画はのんびりしていて退屈な所もありますが、この映画は引き込まれました。「ダイイングメッツセージ」を解いていくところや、狐狩りのシーンがとてもよくできている。ジョン・ヒューストン監督ってすごい。 ポランスキー監督の「チャイナタウン」フェイ・ダナウェイのパパ役もすごかったけど。

「マルタの鷹」「黄金」「白鯨」に比べると娯楽度が高いです。トニー・カーチス、バート・ランカスター、ロバート・ミッチャム、フランク・シナトラが変装してのご登場。監督の”お遊び”が楽しい。

文春文庫「ミステリーサスペンス洋画ベスト150」を読みかえしてみるとベスト150には入っていませんが、都筑道夫さんが好きな映画としてあげてはりました。有名な映画なんですね。まだまだまだまだ修行がたりぬ。が、抜群に物忘れがいいからもうダメか(とちょっと弱気)
おすすめ度:★★★★
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