1999年9月の映画


シンプル・プラン a simple plan
米国 1998年 122分
監督 サム・ライミ(
「XYZマーダーズ」
原作・脚色 スコット・B・スミス
撮影 アラー・キビロ
音楽 ダニー・エルフマン
出演 ビル・パクストン(ハンク・ミッチェル 「ツイスター」 「タイタニック」)/ビリー・ボブ・ソーントン(ジェイコブ・ミッチェル 「Uターン」 「アルマゲドン」)/ブリジット・フォンダ(サラ・ミッチェル)/ブレント・ブリスコー(ルー)/ベッキー・アン・ベイカー(ルーの妻・ナンシー)/チェルシー・ロス(保安官カール)
メモ 1999.9.26(日)三番街シネマ
あらすじ
雪におおわれた中西部の小さな町、町の人達はみんな顔見知りだ。大晦日の午後、ハンクと兄のジェイコブは事故で死んだ両親の墓参りに行く。兄のトラックには兄の唯一人の友人ルーも乗っていた。帰り道、ニワトリをくわえたキツネを轢きそうになり、とっさに避けたトラックは木にぶつかってしまう。落とし前をつけるため、ジェイコブとルーはライフルを手にキツネを追って森へ踏み込む。と、森の中には墜落した小型飛行機が雪に埋もれていた。飛行機の中にはカラスにつつかれたパイロットの死体と現金440万ドル。ここに飛行機が墜落したことを誰も知らない。きっと麻薬がらみの悪い金だ。なくなっても誰も困るわけではない。3人が口をつぐんでいればいいのだ。ほとぼりがさめるまで隠しておこう。そして大金を持って新天地に向かうのだ。・・・・というごく単純な計画だったはずなのに。
感想
地味。手堅い演出でした。
「観客にカメラの存在を意識させたくなかったんだ。カメラがスゴい動きをすると観客は「この作り手はスゴいな」と思うけど、同時に「これは作り物なんだ」と思っちゃう。今回は作り手は透明になる必要があったんだ。」とのサム・ライミ監督の談話。なるほど。

原作とはちょっとおもむきが変わっていて、ハンクとジェイコブの愛憎ないまぜになった兄弟物語です。生きるのがしんどそうなジェイコブがなんか本当に可哀想なん。 ノロマでちょっとあったかいかな?と思わすようなジェイコブに意外に洞察力があり「物事の真実の姿」が見えていて、賢いハンクが「目の前の事しか見えてない」ように思えてくる脚本がうまい。
みごとです、ジェイコブ役のビリー・ボブ・ソーントン。しかし、「うまい」と思って見るのは既に「作り物」と見てしまっている訳だな。これはいかん。あれはソーントンではありません。ジェイコブです。(しかし、「アルマゲドン」のNASAの司令官と同じ役者さんかとか思うとただただうなってしまう)
演技という点では、マクベス夫人役のブリジット・フォンダもうまいのだ。優しいのかコワイのか判別不能な名演技だった。ごく普通の勤め人なのに、すぐに普通でなくなっていくビル・パクストンもソーントンの影になってしまったけれど、なかなかのもの。
つまりこの話は、見た目と内面が違うが 何もなければ本人も知らずにそのまま人生を終えるはずだったのに、偶然の事から極限状態の連鎖反応が起こりその地が噴出するっていう話だったんだな。
         またもや、「いまさら何ゆーてんねん」という感想で申し訳ないす。
おすすめ度★★★1/2
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郵便配達は二度ベルを鳴らす THE POSTMAN ALLWAYS RINGS TWICE
米国 1946年 113分
監督 テイ・ガーネット
原作 ジェームズ・M・ケイン
脚本 ハリー・ラスキン/ニーブン・ブッシュ
撮影 シドニー・ワグナー
音楽 ジョー・バスマン
出演 ジョン・ガーフィールド(フランク)/ラナ・ターナー(コーラ)/セシル・キャラウェイ(ニック)/ヒューム・クローニン(弁護士キーツ)
メモ 1999.9.25(土)WOWOW録画
あらすじ
道路沿いのレストランTWIN OAKSに一人の流れ者の男がやってくる。「雇い人求む」の看板を見た男は、ここでしばらく働く事にする。一稼ぎする仮の宿と思っていた男の前に現れたのは、白いホットパンツの美女。息を飲む男。その若い女は、レストランの主人の若妻・コーラだった。反撥しながらも惹かれあうふたり。ふたりの間に立ちふさがるのはコーラの夫・ニックだった。貧乏暮らしを嫌うコーラのため、駆け落ちできずとうとうニックを亡き者にする計画が立てられていく・・・。
感想
ラナ・ターナー25才の作品。
ルキノ・ヴィスコンティ監督作品の「郵便配達は二度ベルを鳴らす(1942年)」では、街道沿いの食堂の経営者の妻・ジョバンナは黒い服に黒髪でしたが、対象的にこの作品の妻・コーラは白づくめの服に金髪の美女です。登場シーンで鏡を見ながら口紅を塗り、ラスト・シーンでも口紅を塗っている姿が印象的。
放浪者・フランク役のジョン・ガーフィールドという役者さん、どう言っていいかわからないけれど魅力的でした。う〜んはっきり言おう。「セックスアピール」のある方です。カラは大きくないです。そうフランク・シナトラを野性的にしたというか。若くして亡くなられたようです。
男と女の情念を表現するのに「過激なセックスシーン」を取り入れたジャック・ニコルソンの「郵便配達は二度ベルを鳴らす(1981年)」に比べお行儀がいい。時代ですね。ルキノ・ヴィスコンティ監督「郵便配達は二度ベルを鳴らす」の「暑くけだるいやるせなさ」に比べるとドラマティックでわかりやすい作りです。破滅を予感させる夜の海が、美しい。
3作品ともそれぞれの個性があり、見比べる価値あり。
おすすめ度★★★1/2
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吸血鬼
   The fearless Vampire Killers(恐れ知らずのバンパイアキラー),or Pardon Me,But Your Teeth are in My Neck

英国 1967年 108分
監督・脚本・出演 ロマン・ポランスキー Roman Polanski(
「テナント」 「袋小路」 「水の中のナイフ」 「赤い航路」
脚本 ジェラール・ブラッシュ
音楽 クリストフ・コメダ
撮影 ダグラス・スローカム
出演 ジャック・マクゴーラン(アプロンシウス教授)/シャロン・テイト(サラ)/ロマン・ポランスキー(アルフレッド)
メモ 1999.9.22(水)WOWOW
あらすじ
トランシルバニア奥地、学会からアホあつかい異端児視されているアブロンシウス教授の長い旅も終わりに近づいていた。バンパイア達の本拠地に来たような予感がするのだ。しかし、ニンニクだらけの宿屋に着いた教授に、村人達は「城はおろか風車小屋すらない村」と口をそろえていう。アヤシイ。。。
感想
おばか面白いコメディ映画は大好きだ。撮れる監督さんも演じる俳優さんも脚本家も好きだ。
ポランスキー監督34才の時の作品。おとぼけ教授のドジな助手・アルフレッド役。絵本を見ているような幻想的な場面の数々が美しい。
しょっぱな、「MGMの3度吠えるライオンがバンパイアに変わる」ところで嬉しくなる。わくわく。音楽もいい。

ポランスキー監督が「演技しなくていいんだよ。美しい君はそこにいるだけでいいんだ。」と愛妻シャロン・テートに優しく言っているようなシーンの数々、微笑ましく悲しい。
満足度★★★★★
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マトリックス THE MATRIX
米国 1999年 136分  監督・脚本 ラリー・ウォシャウスキー/アンディー・ウォシャウスキー
「バウンド」
制作 ジョエル・シルバー
美術 オーウィン・パタソン
出演 キアヌ・リーブス(ネオ)/ローレンス・フィッシュバーン(モーフィアス)/キャリー=アン・モス(トリニティ)/ヒューゴ・ウィービング(エージェント・スミス)/ジョー・パントリアーノ(サイファー)/マーカス・チョン(タンク)
メモ 1999.9.18(土)梅田ピカデリ
あらすじ
20世紀末の1999年、表の顔はコンピューター・プログラマー、裏の顔はハッカーというふたつの顔を持つネオは、夢を見ているのか現実なのか日々あいまいになり不眠症にも悩まされていた。そんなある日会社にいるネオのケータイが鳴る。「すぐ逃げろ」と告げる声。(「ダーク・シティ」も電話で始まったなあ。不条理モノというのはこういう始まりが多いのかしらんとその時思った私。)
感想
要するにキアヌ・リーブスは白雪姫だった訳だ。それともトリニティが聖母マリア様だったのか。監督さん達が使い放題にお金を使って、各種拳銃を取りそろえ香港アクション満載、弾丸雨あられの「趣味に走った」ケッサク映画。ストップモーション・シーンがグルグル180度回転して撮られているのが斬新。

<記憶に残ったシーン1>
 導入部、逃げてくるトリニティに対し、真っ正面から向かっていくカメラがきれい。

<シーン2>
 無国籍道場でキアヌ・リーヴスとローレンス・フィッシュバーンが闘うシーン、
   いかにもゲームっぽくギクシャクした動きが面白い。

<シーン3>
 エージェント・スミス他2人を含むサイバー空間が、プログラムの羅列になったシーン。

  内容はと言えば、まあ途中で意味深な説明は色々あるんですが、意味深なだけ。「○×△□?意味不明」「理解できない(**)」状態になり途中で理解しようとする努力は止めました。まあ 「それらしく作ってあるだけ」 ですな。(エラソ)
そういう訳で謎も多い。

【謎1】 何故、予言者はサイバー空間にいるのか? あの子供達はなんなのだ? 
  答え:予言者も他の船にいる。他の船の人間に会う時はお互いサイバージャック・インしてくるのだ。
  その時は普段出来ないクッキーもついでに焼く。
  子供達はなんとなく予言者の元に集まる「この世に違和感を持った」特殊な人間達。

【謎2】 ユダとエージェント・スミスはいったいどこで会っているのか?
  答え:ぜんぜん、わかりましぇん。

【さぼてん男の謎】 何故、ベトナム戦争初期に使われたM14(失敗作)の後継機であるM16初期型が出てくるのか?
  解説:初期型には火薬カスが詰まってタマ送り出来なくなるなどの欠陥があり、1999年の設定で改良型を使わないのは不自然。
  答え:M16A1、A2の小道具が手にはいらなかったから・・・。   追加:オーストラリアで撮影して仕入れルートが違ったから(サンクスばなさん) 

  私はユダに感情移入したぞ。ネオの一党は救世主というより狂信者に見えたりする未来版失楽園。

尚、印象深いエージェント・スミス役のヒューゴ・ウィービングというオーストラリアの俳優さんは、映画「プリシラ」では隠し子がいたミッチ役。←エリマキトカゲの舞台衣装の3人のお姉さま方の右端の方です。参考までに真ん中のバーナデットは 「スターウォーズ エピソード1−ファントム・メナス−」で記憶に新しいテレンス・スタンプ。一番左端の若いフエリシアは、 「L.A.コンフィデンシャル」で野望に燃える警官エド・エクスリー役ガイ・ピアースでした。

おすすめ度★★★1/2
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恐竜グワンジ THE VALLEY OF GWANGI
米国=英国 1969年 92分
監督 ジェームズ・オコノリー
原案 ウィリス・H・オブライエン
脚本 ウィリアム・E・バスト
撮影 アーウィン・ヒリヤー
音楽 ジェーム・モロス
出演 ジェームズ・フランシスカス(タック・カービー)/ギラ・ゴラン/リチャード・カールソン
メモ 1999.9.18(土)WOWOW録画
あらすじ
20世紀初頭のメキシコ。そこには禁断の谷があった。
感想
ストップ・モーション・アニメ/モデル・アニメーション/ダイナメーションのレイ・ハリーハウゼン特集の一本。
生きていた恐竜を、カウボーイ達が寄ってたかって投げ縄で捕まえ見せ物にするという異色作。「キングコング」と同じく野生動物を甘く見た人間達はえらい目に会うというオチ。今見てもびっくりするくらい、恐竜の動きがすばらしい。マニア垂涎物。

映画が始まって10分経過。ロデオショー一座の花形TJブレッケンリッジ嬢が色男タック・カービーに捨てられたの捨てたのと揉めている。見ているさぼてん男のだれた顔。「まだ話はじまらんのかいな。(はよ恐竜でてこい)」 「ロデオの経営にワシは興味ないねん。」  「トラマ部分をしてはるんやん。」と私が言うと、「ドラマがいらんとはゆうてへん。ドラマやったらやな、『この書類はよ届けなアカンのに恐竜が邪魔してる』とかやな、カウントダウンサスペンス風に筋立てに必要なドラマにして欲しい。単なるお色気はいらんねん。」
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キングピン/ストライクへの道 KINGPIN
アメリカ 1996年 114分
監督 ピータ・ファレリー/ボビー・ファレリー (
「メリーに○ったけ」
出演 ウッディ・ハレルソン(ロイ)/ランディ・クエイド(イシュマエル)/ビル・マーレー(アーニー)/ヴァネッサ・エンジェル(クラウディア)/クリス・エリオット(「メリ首」でデキモンこさえてた人)
メモ 1999.9.12(日)CSスターチャンネル録画
あらすじ
アイオワ州チャンピオンのロイ(ウディ・ハレルソン)は、天才プロボウラー。地元の期待を担って広い世界へと繰り出した。しかし、海千山千のプロボウラー・アーニー(ビル・マーレー)の策略にはまり、プロとしての道を絶たれてしまう。
それから17年、落ちぶれてかつかつの暮らしをしているロイがいた。セールスに訪れたボウリング場で「カキーン!」という音を聞く。家族に内緒でボウリングをしているアーミッシュのイシュマル(ランディ・クエイド)だった。その才能に目をつけたロイは、ネバダ州のリノで開かれる全米チャンピオン賞金100万ドルを手に入れようとイシュマルにアタックする。
感想
見たくないとは思うんだけど・・・・・ランディ・クエイドの女装が見れる!  それもバタフライ姿が・・・。結構カワイイ。
ランディ・クエイドは好きな俳優さんです。最近では、「ID4」でアル中のパイロット、特攻するお父さん役でした。
アタシ好きなんだな、こういう映画。ウッディ・ハレルソンの落ちぶれた姿とか、せこいビル・マーレーとか、マイナーなスポーツに人生と意地を賭け、ない髪振り乱したふたりの戦いとか見所満載。男を見た。「メリーに首ったけ」のマット・ディロンに劣らないビルー・マーレーの小悪党ぶり、いい。
同じウディ・ハレルソン主演の「幸福の条件」のパロディに笑うよ。
おすすめ度★★★1/2
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黒猫・白猫 CHAT NOIR,CHAT BLANC 1998年ヴェネチア映画祭銀獅子賞最優秀監督賞
仏・独・ユーゴ合作 ユーゴスラヴィア映画 1998年 130分
監督 エミール・クストリッツァ(
「アンダーグラウンド」,「パパは出張中」)
脚本 グルダン・ミヒッチ
撮影 ティエリー・アルボガスト
衣装 ネボイシャ・リパノヴィッチ
メモ 1999.9.11(土)ナビオシネ4
あらすじ
ユーゴスラヴィア・ドナウ川のほとりに居を持つジブシー(ロマ)達の「金儲けと騙し」、「友情と家族愛」、「死と生」そして「愛」の入り組んだ話。

感想
「ボーイ・ミーツ・ガール×2」といったストーリーのドタバタ・コメディ。半分素人の役者さん達のお顔に声に体に、思わず知らずニタニタ笑ってしまう絶妙な味がある。 「アンダーグラウンド」のラストシーンから哀愁を全てさっ引いて、あの音楽と踊りのノリの明るさのみ残したバイタリティ溢れる楽しい映画。インドのマサラ映画に通ずるモノもあるように感じる。中田似のザーレと恋に落ちるイダの衣装がキュート。ドタバタ動き回るたびに、ゴタゴタ置いてあるモノ達が落ち、割れ、散らかる。「誰が掃除すんねん」と思うとドキドキしました(笑)。あのおじさん、傘持って鞄持ってメアリー・ポピンズみたいでしたね。

この映画を見ていると、結局は何になるかもわからないのに「今は修行中の身だから」と勉学に学校行事にと励む小学生達も「ただ食べて、歌い踊れば楽しい」という生き方でもいいんとちゃうと思う。が、難しいんだなコレが。
おすすめ度★★★★
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シューティング・スター LE CIEL EST A NOUS(この空は俺達のもの)
仏 1997年 90分
監督 グラハム・ギット
脚本 グラハム・ギット/エリック・ネヴェ
原作 グラハム・ギット
撮影 オリヴィエ・カリウ
衣装 ジャン=マルク・ミレット
出演 ロマーヌ・ボーランジェ(ジュリエット 
「アパートメント」)/メルヴィル・プポー(レニー)/ジャン=フィリップ・エコフェ(ジョエル)/アイザック・シャリー(サミー)
メモ 1999.9.11(土)テアトル梅田
あらすじ
推定年齢5ヶ月の赤ん坊がベビー・サークルの中からレコードやギターが散らばった部屋をまん丸の目で見回している。と、そこへ隣の部屋からむさい男がふたり現れ、ひとりが赤ん坊に拳銃を向ける。もうひとりが止めると「見たことを覚えているかもしれねぇ。」 「まだ赤ん坊だぞ。」 「口がきけるかもしれねぇ」 「赤ん坊を殺すな」 「親も死んじまって、ロクな大人にゃならねぇ。」 「運命にまかせろ。逃げるんだ。」 と運良く命が助かって、22年後、一攫千金を狙う女たらしのレニーができあがっていた。
感想
「ボーイ・ミーツ・ガール」物。なかなか軽快なタッチで話が転がっていきます。 「鮫肌男と桃尻女」と少し似ている所もあるように感じた。クセは「鮫肌」ほど強くはありません。
小品ではありますが、好きなタイプの映画です。この監督さんちょっと注目です。
ロマーヌ・ボーランジェも好きな俳優さんです。しかし、笑いませんねぇ、この人。
このパンフも変わっていた。↑の●い穴、弾痕を現している様ですが実際に穴が開いています。フランス映画の題名を英語化するセンスってのもようわからん。「シューティング・フィッシュ」のパッチもんみたいやん。
おすすめ度★★★
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エリザベス ELIZABETH
英国 1998年 124分
監督 ジェカール・カプール
脚本 マイケル・ハースト
撮影 レミ・エイドファラシン
衣装 アレクサンドラ・バーン
メイクアップ ジェニー・シャーコア(アカデミー賞)
メモ 1999.9.8(水)OS劇場
あらすじ
「淫売の子」って私をいじめた腹違いの姉ブラッディ・メアリーがやっとくたばって、女王に即位して「やれ安心」と思ったらじいやのウィリアムが口を開けば「はやく結婚せー」の「子供をつくれ」のとウルサイ。わたしゃワンポイントリリーフか? 世継ぎを作る道具やないっちゅうねん(怒)。結婚せーっていうけど、そんないい男がどこに転がってるっての? フランスもスペインも下心見え見えだし。スペイン王のフェリペ2世なんて姉のメアリーのお古よ、お古。セ・コ・ハ・ン。
スコットランドのメアリーのバカったらイングランドに攻めてくるし、頭が痛い。メアリーの母親のフランス女が結婚相手にって送り込んできたアレ(アンジュー公)はいったい何? アレとどーせえって言うの? メアリーの母親ったらいやに色っぽいし、甥のアンジュー公とはほんとに叔母甥の関係だけ? 怪しいもんだわ。
恋人のダドリーには妻がいるっていうし、私影の女はイヤよ。今時不倫なんて流行らないもーん。

ノーフォーク公も頭痛の種。宮殿を我が物顔に歩き回って、「女なんか、ヘンッ!」って感じ悪いの。スコットランドのメアリーやらバチカンやらとコソコソなんかしているみたいだし。アレも目の上のたんこぶ。
頭の古いじいやには名誉と金をくっつけて引いて貰って、策士のウォルシンガムと組む事に決めたわ。これが私の生きる道よ。少し操られているような気もしないではないが、まあ汚い仕事も進んでしてくれる事だしぃ。
愛されて結婚する、子供を産むなんてそこらの女に任せて置けばいいのよ。私は、あの
青ひげヘンリー8世の娘。てきとーな男見繕って妥協するよりも英国全土から畏敬の念をもたれる方をヤケで選ぶわ。これが運命なの。海賊のドレイクもウォルシンガムも、女王蜂のためにそれ働けやれ働け。あなた達は姫を守るジェダイの騎士なのだ。
という、運命に翻弄された小娘エリザベスが、カリスマを放つクィーン・エリザベスに仕立てあがるまでの顛末記。

尚、参考までにエリザベス役は、ケイト・ブランシェット。「オスカーとルシンダ」ではお兄ちゃんの方のレイフ・ファインズと共演。オーストラリア出身の方です。注目!。
恋人ロバート・ダドリーは弟の方のジョセフ・ファインズ。「恋に落ちたシェイクスピア」のスランプ・シェイクスピア。私はお兄ちゃんの方が好みです(誰も聞いていない)。
じいやのウイリアム公はリチャード・アッテンボロー。「ジュラシックパーク」のカーネル・サンダース。「10番街の殺人」「飛べ!フェニックス」も見ようね。監督作品は「ガンジー」とか「コーラスライン」とかもあり。
スコットランドのメアリーのハハはファニー・アルダン。フランソワ・トリュフォー監督の最後の恋人だった人。「隣の女」「ペダル・ドゥース」お薦め!。
男の匂いをプンプンさせていたノーフォーク公役クリストファー・エクルストンという人は「シャロウ・グレイヴ(浅い墓)」での3人組の一人。おかしくなって屋根裏部屋に立てこもる会計士だったそうです。メガネかけてたよね。不覚にもわからんかった。
エリザベスの侍女イザベルは「トレスポ」のケリー・マクドナルド。「従姉ベット」の方が印象的だった。
ヴァチカンのローマ法王はジョン・ギールグッド。「シャイン」ではピアノの教授役でジェフリー・ラッシュと共演。
そして、悪人顔のウォルシンガム役はジェフリー・ラッシュでした。実においしい役だった。「シャイン」では心を病んだ主役だった人。「恋に落ちたシェイクスピア」では金貸しに拷問されている劇場主。たいした役者さんだ。

「恋に落ちたシェークスピア」とアカデミー賞を争ったそうです。私は「恋いに落ちた・・」の方が脚本がよくできていて作品賞は順当だと思う。グィネスもお嬢様の雰囲気大で健闘している。しかしこの作品のケイト・ブランシェットの演技にはアカデミー主演賞をあげたい。私があげる(笑)。となると助演女優賞ともどもエリザベスT世になるわけで、コレいいやん。面白いやん(今頃なにねぼけてんねんという声が聞こえてきた)。

ロンドン塔に幽閉されるエリザベスにマントを与えるやさしげなアルンデル伯(エドワード・ハードウィック)、どこかで見たお顔だなーと頭ギュウギュウ絞ったら出てきました。ジェレミー・ブレッドがホームズ役だった「シャーロック・ホームズの冒険」シリーズのワトソンだったと思う。
おすすめ度★★★1/2
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カリフォルニア・ドールズ ・・・ALL THE MARBLES
アメリカ 1981年 105分
監督 ロバート・アルドリッチ
脚本 メル・フローマン
撮影 ジョゼフ・バイロック
音楽 フランク・デ・ボール
出演 ピーター・フォーク(ハリー)/ローレン・ランドン/ビッキー・フレデリック
メモ 1999.9.5(日)TV録画
あらすじ
女子プロレス・タッグチームのカリフォルニア・ドールズが、北米タッグ選手権のタイトルを宿敵トレッド・タイガースから勝ち取るまでの汗と涙と笑いの転戦記。
感想
 
「ファイアボール・ブルース」を読み、また見たくなった映画。
以前見たときは若い美女ふたりが、何故プロレスに若い時を賭けるのか掴みきれなかった。本を読んで、この映画を見て少しわかったような気がする。血がたぎるんだな。熱い血が流れている人がいるんだ。世の中には。
今回初めてプロレスというものをじっくり見ました。格闘技でもあり、ショーでもあるこのスポーツは試合の組立が難しいんだな。ショーで観客サービスだけの場合もあれば、本気になる場面もあり、観客の方もその空気をつかんで「行けっ!」とか声が上がるんだ。奥が深い。

本と映画の相乗効果があり、両方好きでよかったと満足できる一品でした。ついでに、「見栄をはっても高くつくだけ」が口癖のマネージャー役ピーター・フォークもいいよ。
おすすめ度★★★★
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新婚道中記 The Awful Truth アカデミー監督賞
アメリカ 1937年 92分
監督 レオ・マッケリー
原作 アーサー・リッチマン
脚本 バイナ・デルマー
撮影 ジョセフ・ウォーカー
出演 ケーリー・グラント(ジェリー)/アイリーン・ダン(ルーシー)/ラルフ・ベラミー
メモ 1999.9.5(日)WOWOW
あらすじ
ジェリー(ケーリー・グラント)とルーシー(アイリーン・ダン)のふたりは、愛犬ミスター・スミス(スミス君)が取り持つ縁で知り合った新婚さん。
ジェリーがフロリダからニューヨークの自宅に帰ってくると、愛妻ルーシーがいない。客の手前「叔母のパッツィーの所でしょう。」と取り繕っていると、叔母のパッツィーが「ルーシーはいないの?」とやって来た。メンツが揃った所でルーシーが音楽家の先生を引き連れてのご登場。昨夜コンサートの後、家まで送ってもらう途中で車の事故が発生。しかたなくホテルに一晩泊まったという。もちろん別々の部屋に。    が、頭に血がのぼり嫉妬にメラメラ燃えるジェリー。売り言葉に買い言葉とうとう離婚するはめになるが、スミス君の養育権をお互い譲らない。裁判長の裁定で「スミス君に決めてもらいましょう」という事になり、「ベイビー、こっちよこっち」とふたりはスミス君の気を引くのに必死。が、ルーシーの方が一枚上手でスミス君の好きなおもちゃ(実はジェリーのスミス君へのお土産)をマフからちらっと見せるのだ。ルーシーに飛びつくスミス君。養育権はずっこいルーシーのモノとなり、破れたジェリーは「月二回エサをやる権利を欲しい」と裁判長にすがりつく。というたあいないが実に会話がしゃれているスクリューボール・コメディの代表作(だそうです)。
感想
またもや車の事故(実はルーシーのたくらみ)で別荘に泊まる事になったふたりが、だんだんよりを戻していく様子を暗示するシーンがいい。別荘のカラクリ時計は、時間になるとふたつある扉が開いて、それぞれの扉から男の子と女の子が出てきて、またそれぞれ元の扉へと戻って行く。3回目には男の子が女の子の後について同じ扉の中に入って行くのだ。笑ってしまった。映画「或る夜の出来事」の「ジェリコの壁の崩壊」といい、かわいらしい♪やら、やらし♪やら。昔の人も結構やるやん(^^)。

ルーシーの婚約者になるオクラホマの億万長者役ラルフ・ベラミーという方はハワード・ホークス監督「ヒズ・ガール・フライデー」(1940年作品。戯曲「フロント・ページ」の2度目の映画化、ジャック・レモン、ウォルター・マッソー主演(1974年)は3度目の映画化)でもケーリー・グラントと共演されてましたね。「ラルフ・ベラミーにそっくり」と言われる役。
やぎさんにラルフ・ベラミーは、後年テレビの「戦争の嵐」「戦争と追憶」にフランクリン・ルーズベルト大統領役をやっておられたとメールいただきました。その時は、「FDRにそっくり!」だったそうです(笑)。ウェブで検索したところ、1986年にアカデミー功労賞を受賞、1991年に87歳で亡くなられたようです。遺作は1990年の「プリティ・ウーマン」。ホテルの支配人役だったヘクター・エリゾンドしか覚えとらんぞ。うーんうーん・・・考えるになんかビジネスの鬼のリチャード・ギアが「年取った男の人の一家が手塩に掛けた工場」を乗っ取る話ありましたよね。あの年取ったお父さん役だったようながする。
満足度★★★★
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スターウォーズ エピソード1 −ファントム・メナス−
アメリカ 1999年 135分
メモ 1999.9.4(土)北野劇場
感想
1978年の夏、日本で公開された「スターウォーズ エピソード4 −新たなる希望−」、続く「エピソード5 −帝国の逆襲−」、「エピソード6 −ジェダイの復讐−」の3部作から遡る事40年ほど前、銀河共和国が停滞し暗黒の時代に入るターニング・ポイントのエピソード。

「後から思えば、あの小さな出来事が発端だったんだな」という話であり「辺境の★でのもめ事」の域を出ず、幾分スケールが小さい。また、新三部作は結末もわかっており、映画の最後に「ダース・ベーダー」の呼吸器の音を挿入するなど全体の雰囲気が重苦しい。しかし、そういう制約の中よく頑張っていた。あいつはアイツなので結局はアンハッピーエンドの結末も良くできていたと思う。「スターウォーズ」は全作「フォース(理力)」が縦糸になるんだな。

SF大作は大スクリーンで迫力を感じたい。が一方、「映画館は見るもの、ビデオは読むもの」と言われるように、マニアックに細部に凝ったこの映画はビデオで何度も見返してもまた楽しと思う。
とはいうものの不満が残った。戦闘シーンは展開が速すぎてついていけない。ドロイド司令船を攻撃するために、ヒューンヒューンとスターファイターが惑星ナブーから次々飛び立って行く。宇宙空間のドロイド司令船もこれを迎え撃つため、大量の迎撃機を母船から発進する。さあ始まるぞという武者震いするような超かっこいいシーンが短くてがっかり。
ダース・モールの造型とユアン・マグレガー(オビ=ワン・ケノービ役)の若き騎士ぶりがよかったので、ジェネレーター・ルームでのシス対ジェダイの死闘は○。

私は冒険活劇は大好きではあるが、「スターウォーズ」はエピソード4が全てであり、出生の秘密やらにはあまり興味がない。
・・・はずだったのだが、今回不覚にもアナキン・スカイウォーカーの父親は誰なんだというのを考えてしまったのだ。(単に面白がっているだけ。考えるに、またもや出生の秘密なんてネタは使わないよな。)
 
<想像1>  
アナキンの母親が言う通りの処女懐胎。そら不思議ですな。この場合、母親役を、イングマール・ベルイマン監督が両親をモデルにした映画「愛の風景」でベルイマンの母親にあたる役だった女優さん(ベルニラ・アウグスト)をわざわざスウェーデンから呼んだのは何か意味があるのか?
 
<想像2>  
 ヨーダが悪さした結果。ヨーダがアナキンをジェダイにするのに不安を覚えるのが、納得できるではないか。
 
<想像3>  
ダース・モール。となるとオビ=ワンはアナキンから見ると親の敵になるわけで、なかなかこれいいんとちゃう?
 
<想像4>  
あの人。一番ありがちで、フェイントもなくそのまんまだったりして。
エピソード1は雑誌とかWebの掲示板はまったく読んでいないので、映画を見た限りの想像。かなりはずして大笑いかもしれん。
エピソード2は、恐らくアナキン・スカイウォーカーのロマンスになるだろうな。子供もふたりつくらなあかんし。エピソード3は暗い話になるから難しそうだ。

思いつくままにアチコチ話は飛ぶが、「アレ?消えない?」「ああ、生きていたからか。」 「死んでも消えない。」と思いませんでした? 修行が足らなかったのかな。燃やす所は、「トゥルーナイト(円卓の騎士・リチャード・ギア主演)」のショーン・コネリー(アーサー王)の最期を思いだす。ポッド・レースは「ベン・ハー」の戦車競争、バトル・ドロイド対グンガン軍の睨み合いは「ブレイブ・ハート(メル・ギブソン主演)」を思い出しなかなか楽しい。
悩めるバローラム最高議長(不信任案を提出された人)のテレンス・スタンプ(「コレクター」 「プリシラ」 
「私家版」)は、貴族的な顔立ちで品があった。
おすすめ度★★★1/2
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