1998年11月の映画


溝の中の月

仏 1982年 130分
監督 ジャン・ジャック・ベネックス
原作 デビット・グーディス
脚本 オリビエ・メルゴー
撮影 フィリップ・ルスロ
出演 ジェラール・ドパルデュー/ナスターシャ・キンスキー/ビクトリア・アブリル
メモ 1998.11.28(土曜日)ビデオ
あらすじ
7ヶ月前、路地裏で若い女性が惨殺される。彼女の兄は犯人を捜し求める。
感想
「ディーバ」のジャン・ジャック・ベネックス監督作品。「ディーバ」よりさらに思わせぶりになっています。
映像は美しい。独特の雰囲気もある。が、大物俳優使って結局はよくわからん。
おすすめ度★★1/2
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第七のヴェール THE SEVENTH VEIL アカデミーオリジナル脚本賞

英国 1945年 94分
監督 コンプトン・ベネット
原作・脚本 ミュリエル・ボックス/シドニー・ボックス
音楽 ベン・フランケル/ロンドン・シンフォニー・オーケストラ
撮影 レジナンド・H・ワイアー
出演 ジェームズ・メイソン(ニコラス「邪魔者は消せ」)/アン・トッド(フランチェスカ)/ハーバート・ロム(ラーセン医師)/ヒュー・マクダーモット/アルバート・リーブン/イボンヌ・オーウェン(スーザン)
メモ 1998.11.28(土曜日)ビデオ
あらすじ
真夜中の病院のベットからひとりの若い女性が抜け出す。真夜中の道をひた走り、橋の上から河に身をなげる。自殺を図ったコンサートピアニストの治療に当たった精神科医は、絶望の原因を探るため「第七のヴェールに潜んでいる何か」を知ろうとする。
感想
「本人も気づいていない深層心理に鋭く迫った異色作」との事なのでミステリかと思ったら、違った。いや、アカデミーオリジナル脚本賞を受賞しているので優れた謎解きでもあるんやけれど。
3回も見てしまった。あと5回は見ると思う。やーよかった。
何がそんなによかったかというと、ジェームズ・メイソン
「ブラジルから来た少年」 や、ヒッチコックの「北北西に進路を取れ」にでてはったんやけれど、若い時こんなにいい男やったの(・o・)。いや、たんに私の好みってなだけなんですけど。英国の紳士でもの静かで屈折した心をもっていて、心の内を表す視線がすごくいい。えーっとちょっとだけサム・ニールに似てます。
「ベートーベンのピアノソナタ−悲愴−」(たぶんそうだと思う)が巧みに使われています。オーケストラとのコンサートシーンも2場面あり、音楽と映像がみごと。

「第七のヴェール」という題名は、劇中、精神科医の語る言葉「人間の意識は『踊るサロメ』にたとえられる。七つのヴェールに真実を隠している。羞恥心や恐怖のヴェールの下に。友達の前ではヴェールを3、4枚脱ぐことがある。恋人の前では5、6枚。だが決して7枚目は脱がない。」から。

クラシック音楽が心象風景を表している所や、最後に紳士四人がフランチェスカが弾くピアノソナタに耳を傾けるシーンの構図がぴったり決まっている所は、現代の映画ではあまりに作り物めいてしまうため出来ないだろうと思う。昔の人の身だしなみのよさっていうのかな。何度みてもとても美しい。DVDがでたら買いたい。
ニコラスの言葉「マイ フランチェスカ(私のフランチェスカ)」
満足度★★★★★
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トゥルーマン・ショー the TRUMAN show

米国 1998年 103分
監督 ピーター・ウィアー(「危険な年」「刑事ジョン・ブック」「いまを生きる」)
脚本 アンドリュー・ニコル(「ガタカ」)
音楽 バークバード・ダールウィッツ
撮影 ピーター・ビジウ(「アナザー・カントリー」「ダメージ」「ミシシッピー・バーニング」)
出演 ジム・キャリー(トゥルーマン・バーバンク)/エド・ハリス(クリストフ)/ローラ・リニー(メリル「真実の行方」)/ノア・エメリッヒ(マーロン)/ナターシャ・マケルホーン(ローレン/シルヴィア「デビル」)
メモ 1998.11.25(水曜)梅田ピカデリ
あらすじ
陽光のふりそそぐ島の町シーヘブンの平和な一日が始まる。素敵なマイホームが立ち並ぶ郊外住宅で、今朝もトルゥーマン・バーバンクは機嫌良く愛想よく隣人に挨拶し勤めに出かけるのであった。ルンルン♪〜。と、そこに空から何かが降ってきた・・・。
感想
高度管理社会を描くSFといえば、いっぱいあるよね。「ソイレント・グリーン」「赤ちゃんよ永遠に」「1984」「未来世紀ブラジル」「THX−1138]。どれもこれも、まあなんというか暗いわな。
が、同じ様な話を「明るくそしてうすら寒く」描く作品を作るアメリカって国はやっぱすごい・・・ってオーストラリア出身の監督さんか。自分自身の人生って何、アイデンティティはどこに?ってな話かとちょっとなめた気持ちで見に行ったんですが、よく出来ていました。トゥールマンがちょっといつもと違う動きをすると、まわりがザワザワするという所とか文章で読んでもわかりにくい場面をうまく描き、映画ならでは、映像ならではの世界が作られていました。映画好きに向いていると思う。

ジム・キャリーよかったです。成長したね、この人(エラソにいう)。ラストの笑顔は花◎。エド・ハリスも静かな凄みがあり○。
しかし何が寒いって、赤の他人の人生に一喜一憂しているドラマ中毒の善男善女視聴者がうそ寒い。って映画好きもかわらんか(笑)
おすすめ度★★★★
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透明人間
日本 1954年東宝 70分
監督 小田基義
原案 別府啓
脚本 日高繁明
撮影 円谷英二
出演 河津清三郎/三條美紀/高田稔/土屋嘉雄/藤原釜足
メモ 1998.11.22(日曜日)WOWOW録画
あらすじ 戦争中、特殊部隊として透明人間化されてしまい、世間の片隅でひっそりと暮らす透明人間。その透明人間を装って包帯姿で強盗を重ねるわるいやつら。
感想
目の見えない薄幸の少女と透明人間のふれあいという人情話でもあったのですが、全体にもの悲しい映画でした。
戦争という時代に巻き込まれて、決して自分のせいではないのに誰を恨むわけでもなく、世を忍んで暮らす透明人間。良くも悪くも昔の日本人が持っていた奥ゆかしさが感じられる。現代はストレス社会と言われるけれど、理不尽に戦争に行かされた時代はストレス社会ではなかったのだろうか?
円谷英二の特撮もみごとですが、ギャングの透明人間との格闘シーンが面白い。みんな大まじめで、申し訳ないんだけれど笑えます。
最後はまあ問題はなくなり、きれい事にしてあるなあという感じがしなくもない。昔の映画なんかなあ。
ヒロインの三条美紀は若い頃、現代的な顔立ちの人だったんだ。紀ひろ子のママだったと思う。紀ひろ子(字がわからん)知らない?三条美紀は「細雪」で本家(岸恵子)のお手伝いさんやったと思う。弟の戦死の知らせを聞いて台所で泣いてはった人。
おすすめ度★★★
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ネバダ・スミス NEVADA SMITH

米国 1966年 131分
監督・脚本 ヘンリー・ハサウェイ
音楽 アルフレッド・ニューマン
撮影 ルシアン・バラード
出演 スティーブ・マックィーン/カール・マンデル/ブライアン・キース(武器商人)/マーチン・ランドー/スザンヌ・プレシェット
メモ 1998.11.21(土曜)BS
あらすじ
インディアンとの混血16才の少年(ってのはちょい苦しい)は、ならず者3人に両親をなぶり殺される。復讐を誓った彼は家に火をつけ、帰らぬ決意で敵の後を追う。
感想
スティーブ・マックィーンの全盛時代は、まだ子供だったので有名なわりには主演映画あんまり見ていない。「ブリット」「ゲッタウェイ」「パピヨン」「大脱走」「華麗なる賭」「砲艦サンパブロ」「タワーリング・インフェルノ」「絶対の危機」「荒野の七人」くらいかな。今になってしみじみ思う。いい俳優だったんだ。 不屈、反骨、不敵ってのがピッタリはまる。
後年の「パピヨン」を彷彿される所もあり波瀾万丈。復讐の西部劇では異色作ちゃうかな。なんか「厳窟王」みたいやし(笑)
薄幸の女にスザンヌ・プレシェット。たぶん、ヒッチコック監督の「サイコ」で鳥にやられちゃう学校の先生役の人だったと思う。敵のひとりナイフの使い手役のマーチン・ランドーは「スパイ大作戦」の変装名人、「エド・ウッド」のベラ・ルゴシ役(ベラ・ルゴシよりも演技うまいのでベラ・ルゴシがなんや名優に見えてしまうとさぼてん男が言う)。
おすすめ度★★★★
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ラブ&カタストロフィ

オーストラリア 1996年 79分
監督 エマ・ケイト・クローガン
脚本 イェール・バーグマン/ヘレン・バンディス
音楽 オレ・ウィター
撮影 ジャスティン・ブリックル
出演 フランセス・オコナー/アリス・ガーナー/ラダ・ミッチェル
メモ 1998.11.18(水曜)WOWOW
あらすじ
メルボルン大学の学生五人、新学期当日のお話。ちょっと変わった軽いタッチの青春グラフィティ。
感想
ゲイの世界を描いた映画はわりとあるけど、レズビアンの映画ってちょっと思い出せない。女子大生のミアがレズビアンなのを隠すわけでもなく、ごく自然に描いてあるのにビックリ。
もうひとつは、主人公のひとりアリスが「愛する人に求めるのは、左きき、正直な人、好きな映画が同じ事」って言うのが面白い。なるほど。
23才の女性監督初作品だそうです。映画の話も随所にでてきて、全編セピア色でなかなか雰囲気のある佳作です。オーストラリア映画界の若い才能に注目!

医学生のフレッドは、
「ミュリエルの結婚」でビデオショップで働いているミュリエルに気のある役やったような気がする。
おすすめ度★★★1/2
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スライディング・ドア

米国・英国 1997年 100分
監督/脚本 ピーター・ホーウィット
撮影 レミ・エルドファラシン
製作 シドニー・ポラック(「トゥツィー」)
出演 グウィネス・パルトロウ(ヘレン「大いなる遺産」「セブン」)/ジョン・ハンナ(ジェームズ「フォー・ウェディング」)/ジョン・リンチ(ジェリー)/ザラ・ターナー(アンナ)  /ジーン・トリプルホーン(リディア「氷の微笑−女医役」「ザ・ファーム−妻役」)/
メモ 1998.11.17(火曜)ヘップナビオ ナビオシネ4
あらすじ
朝出社したら突然クビになったヘレンは、意気消沈して家に帰る。地下鉄にすべりこんだ(無理矢理こじあけた)ヘレンは、隣の男にしゃべりかけられる。いつもより早く家に帰ると、2年ごしの恋人ったら見知らぬ女とベットで奮闘中。一方、地下鉄に乗り遅れたヘレンは、かっぱらいにあい怪我をする。病院によってヨレヨレになったヘレンが帰ると、恋人の浮気相手は間一髪帰った後だった。
感想
「もしもあの時ああだったら・・・」と誰もが思う場面を一つの映画にまで作り上げた作品。ファッションといいすごくおしゃれな映画です。

恋人ジェリーの浮気相手、やけぼっくいに火がついた元恋人リディアで「アタシはあんたを取り戻したいのよ! この優柔不断のバカ野郎!」と啖呵をきるジーン・トリプルホーンが面白い。敵役で策略家で意地が悪いけれど、どの人もこの人も右に左に揺れる人達の間では爽快。

見終わったとき、ラストは不満で「ストーリーとして面白いだけちゃう。」とか思ったんやれど、考えてみると「どっちがよかったかは、わからない。人生にたらはない。たらは北海の海にしかいない。」という事やねんね。
地下鉄で出会ったジェームズ、見たことある人やなあと思っていたら「フォー・ウェディング」でゲイの恋人のお葬式で弔辞を読んだ人でした。

余談−−−−(どっちも欲しい。二股かけるという事)−−−
我が家では欲張りを「夏みかんと映画」っていうんやけれど、それは伯母(父の姉)から聞いた話から。父が子供の頃、「映画にいくか、夏みかん食べるかどっちする?」と父親(祖父)に言われて映画に連れていってもらった父は、家に帰ってから夏みかんも食べていたという話。
母から聞いた話は、結婚前同じ会社に勤めていた父と母。将来の母が将来の父から扇子をもらって、「きざな男やけど」と喜んでいたら、お節介焼きから「○○(父の事)、△子さんにも、◇子さんにも同じ扇子あげてたデ」と教えてもらったそうだ。
おすすめ度★★★
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シーバース/人喰い生物の島 THE CAME FROM WITHIN

カナダ 1975年 87分
監督・脚本 デビッド・クローネンバーグ
音楽 アイバン・ライトマン
撮影 ロバート・サード
出演 ポール・ハンプトン/ジョー・シルバー/リン・ローリー/アラン・ミジコフスキ
メモ 1998.11.15(日曜)ビデオ
あらすじ
カナダの風光明媚な島。高層リゾートマンションの一室では男が一人の少女を襲っていた。男は医者で少女の体に寄生虫を同化させる研究をしていたのだ。凶暴化した少女を殺害し医者も自殺する。しかし、発展家の少女と関係した男達にも寄生虫は取り憑き後の祭りなのであった。
感想
クローネンバーグ監督長編デビュー作品。スプラッタ・ホラー。ゾンビ物といっていいかもしれない。でっかなヒルのような寄生虫が、これまたほんまにえぐい、グロテスク。

外見が美しく容姿の好ましい女性が必ず内に持っている内臓をも愛し愛でることができる・・・のだろうか?
おすすめ度気持ち悪いの好きな方に★★★
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ミミック 擬態

米国 1997年 106分
監督 ギジェルモ・デル・トーロ(「クロノス」)
出演 ミラ・ソルヴィビーノ(「誘惑のアフロディーテ」)/ジェレミー・ノーサム/ジョシュ・ブローリン/チャールズ・S・ダットン  /F・マーレー・エイブラハム
メモ 1998.11.11(水曜)梅田シネマアルゴ
あらすじ
近未来のニューヨーク。ゴキブリが媒介するウィルスに冒され子供達が次々と命を落としていく。昆虫学者のスーザンは、アリとカマキリを掛け合わせ遺伝子操作を行ったゴキブリの天敵「ユダの血統」をうみだし、虫を根絶する。
感想
物まね「トリオ・ザ・ミミック」思い出す題名(^^)。
結構恐い。特撮もがんばってた。でもなにしろ気持ち悪い、えぐい(* *)。

忘れられた地下鉄の廃墟、地下道という閉塞感はよかった。擬態するってのが変わっている。オープニングもすごくいい。
おすすめ度★★★1/2の所、殺しすぎで減点1/2
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犬、走る

日本 1997年 90分
監督 崔洋一
原案 丸山昇一
脚本 崔洋一/鄭義信
音楽 鈴木茂
出演 岸谷五郎(中山)/大杉漣(秀吉)/富樫真(桃花)/遠藤憲一(権田)/香川照之(佐久間)/富樫真(桜花)
メモ 1998.11.11(水曜)梅田シネマアルゴ
感想
今日は「スライディング・ドア」を見に行く予定だったのですが、ひとり急な仕事で行けなくなり延期する事に。とはいえ、「映画いくぞ」と気合い入れて家をでてきたので、なんか物足らない。都合つけた時間ももったいない。というわけで、「河」をみようかと思ったんですが、
「愛情萬歳」の監督さんなのでちょっとブルーになるかな、今日はおバカにしようと選んだのが、コレ。

「狂犬、走る」の方がええんちゃう?(笑)
同じ穴のムジナっちゃあそうなんですが、警察権力かさにきてやりたい放題の暴力、売人からカツアゲしたスピードを打ってラリってレイプする日本人警察官・中山。 中山と腐れ縁の韓国人情報屋・秀吉。 秀吉の同胞で売り出し中の韓国人ヤクザ権田。 中山、秀吉、権田を手玉にとっている上海美女・桃花。 「長生きしそうにない」人ばかり登場。治外法権、無政府都市・混沌とした新宿歌舞伎町を走り抜けるアナーキーなストーリー。

スピード感もあり面白いです。主役4人が好演。特に大杉漣が大熱演。女装してのSMプレイはするわ、屋根から屋根に飛んでヤクザから逃げようとあがくわ、警察から集団で追われて走る、走る。 が、ただ笑ってていいのかとも思う。この監督は色々な意味で複雑な人だ。明るくパワーが炸裂しながらも、怒りがエネルギーになっているような気がする。その辺りが重たい。
香川照之が意外にも好演。はっきりいって見直しました。

元々は、18年前に丸山昇一という人が、松田優作のために書いた脚本だそうです。
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ガス人間第一号

日本 1960年 92分
制作 三谷友幸
監督 本多猪四郎
脚本 木村武
特撮監督 円谷英二
撮影 小泉一
出演 三橋達也/八千草薫/土屋嘉男/佐多契子/伊藤久哉/左卜全
メモ 1998.11.10(火曜)WOWOW録画
あらすじ
白昼銀行強盗が発生。警察が犯人の車を追い、車は事故ったが中に人は誰もいない。警察が近辺を捜査すると、人里はなれたあばらやのお屋敷があり、ひとりの美女が舞をまっていた。
感想
実にレトロな特撮が◎。
東宝・変形人間第四弾。今回はラブストーリー、悲恋ものです。愛する女性のために犯罪を繰り返し、殺人をもいとわないという筋立てが現代からみると少し消化不良というか、もどかしい。時代なんでしょうね。日本舞踏のシーンを随所に入れて、話を盛り上げようとされているのですが、幾分迫力不足で「情鬼」という題のように鬼気迫るものが感じられなかったのが残念。
おすすめ度★★1/2
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アグリ

ニュージーランド 1997年 90分
監督・脚本 スコット・レイノルズ
出演 パオロ・ロトンド/レベッカ・ホップス/ロイ・ウォード
メモ 1998.11.7(土曜)WOWOW
あらすじ
精神病院に収監されている連続殺人犯サイモンの深層心理を、精神分析医のカレンが激しく追求する。
感想
新感覚派サイコ・ミステリーとか。連続殺人犯の内面、深層心理を描いている異色ミステリです。わけわかりませんでした。
硬質感のあるスタイリッシュな映像ではありますが、奇をてらった妄想の残虐シーンを多発し悪趣味。

世界各国で高く評価され、日本でもビデオ誌の未公開映画賞を受賞しているそうです。
おすすめ度★★1/2
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ペダル・ドゥース

仏 1997年 101分
監督 ガブリエル・アギヨシ
出演 ファニー・アルダン(エヴァ)/パトリック・ティムシット(アドリアン)/リシャール・ベリ(アレクサンドル)
メモ 1998.11.7(土曜)BS録画
あらすじ
アドリアン(パトリック・ティムシット)は、昼は一流ビジネスマン、夜はゲイクラブで遊ぶという二つの顔を使い分けていた。ゲイクラブのオーナー・エヴァとは喧嘩をしながらも気のおけない間柄。取引先の堅物銀行頭取アレクサンドル(リシャール・ベリ)から、家のパーティに奥様同伴でと招かれ、しかたがないので拝み倒してエヴァを連れていく。一目でエヴァに惹かれた頭取のアレクサンドルは、エヴァを浮気に誘う。
感想
これは拾い物。華やかでコミカルな大人の映画です。お薦め。フランスはこういう映画にかけては他国の追随を許さないみたい。人生を楽しむ伝統があるんでしょうか。
「男と女の間に友情は成り立つか」という議論が以前ありましたが、こういう馬鹿げた議論自体が了見の狭さを現していると思う。「異性愛者も同性愛者もなんでもええやん、楽しければ、自分らしければ」と世間のいわゆる規範からはみ出した享楽的な生活をしながら、根っこの所はクリスチャンというあたりも興味深かった。
「鉄火肌のゲイのお姉さん友達に欲しい」と”濃密な関係もええなあ”とかちょっぴり思う。

エヴァは、笑顔が
「隣の女」のファニー・アルダンに似た人やなあと思っていたら、ファニー・アルダンでした(*o*)。なんて若いんだ。このぶっとんだ役、好きです。パトリック・ティムシットって誰だっけーと頭の中かき回したら出てきました。「見覚えのある他人」の不気味な患者役の人。この映画では、艶やかな女装でダンスも披露、嫉妬深い所も憎めない得な役です。
おすすめ度★★★★
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ライブ・フレッシュ (カルネ・トレラム 引き攣る肉体)

スペイン・仏合作 1997年 101分
監督・脚本 ペドロ・アルモドバル
原作 ルース・レンデル(「引き攣る肉」)
撮影 アフォンソ・ベアト
音楽 アルベルト・イグレシアス
出演 リベラル・ラバル(ビクトル)/ハビエル・バルデム(ダビド)/フランチェスカ・ネリ(エレナ)/アンヘラ・モリーナ(クララ)/ホセ・サンチョ(サンチョ)
メモ 1998.11.6(金曜)ナビオシネ5
あらすじ
フランコ政権末期、1970年正月のマドリードでは戒厳令が発令されていた。夜中、売春宿では女の叫び声が聞こえる。
感想
「アタメ」に続くアルモドバル監督3作目。お顔が濃い、情が濃い、音楽が濃い、映像が濃い。 ルース・レンデルのあの英国っぽい「よそよそしさ」はどこいったん? 原作の「引き攣る肉」は未読なのでエラソーな事は言えませんが。
若い頃はグレたツッパリ娘のヤク中で、その後養育院の院長になってもなんかお金持ちのお嬢様のお遊びみたいなエレナは、これで美人ちゃうかったら、ただのわがままやんか。「正直にうち明ける」なんてあほちゃうか、「あんたが悪いねん」と思いながらもとってもきれいな人。う、うらやましいぃぃ。
ビクトル役のリベルト・ラバルって俳優さんは、アントニオ・バンデラスがハリウッドへ飛んでいってしまった後、期待の男優だそうです。野性味のあるスキート・ウーリッチ(「アルビノ・アリゲーター」)って雰囲気です。
あわないなあと思いながらも、「バチあたり修道院の最期」「神経衰弱ぎりぎりの女たち」「マタドール」「キカ」とか見たい。そう思わせる個性があります。
おすすめ度★★★
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電送人間

日本 1960年 86分
制作 田中友幸(「初代ゴジラ」「新ゴジラ」)
監督 福田純
脚本 関沢新一
撮影 山田一夫
出演 鶴田浩二/白川由美/土屋嘉雄/中丸忠雄/平田昭彦/河津清三郎
メモ 1998.11.5(木曜)WOWOW録画
あらすじ
遊園地のお化け屋敷で男がひとり刺し殺される。しかし、犯人は目撃者達の前から忽然と消えてしまったのだ。
感想
遊園地のお化け屋敷から始まる、うさんくささ。金粉ショー(金粉ダンス?)のいかがわし〜い雰囲気(<<これインパクト強い、スケベさん必見)。中丸忠雄の扮する復讐鬼のまばたきしない陰鬱さ、暗いよ〜〜。
「透明人間」、
「美女と液体人間」「ガス人間」、「マタンゴ」と合わせて東宝SF「変形(<<変態ちゃうよ)人間もの第3弾」。教養文庫の 「カルト映画館*SF」を読むと爆発する貨物列車はミニチュアだそうですが、とてもリアル。
映画の底流に今はもはや過去のものとなってしまった、日本のじめじめっとした陰湿さが流れています。
おすすめ度★★★
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落ちた偶像 THE FALLEN IDOL

英国 1948年 91分
監督 キャロル・リード(「第三の男」)
原作・脚本 グレアム・グリーン
撮影 ジョルジュ・ペリナール
出演 ラルフ・リチャードソン/ミシェル・モルガン/ボビー・ヘンリー
メモ 1998.11.3(火曜日 文化の日)ビデオ
あらすじ
ロンドンのある国の大使館では、大使の幼い息子フィリップが大人達にかこまれて暮らしている。遊び相手は館の執事だけ。しかし大人達の間にはフィリップにはよくわからないながらも、色々あるようだ。
感想
この古典名作サスペンスを今頃見ております。ハイ。
胃が痛くなるような展開。見ている側の心理を読み切ったスリリングな脚本と映像です。
「嘘をつけ」と言ったり「本当の事を言え」と言ったり身勝手な大人達と、決して無邪気なだけではない子供。子供の持つ恐ろしさと寂しさを演じた子役のすごさにびっくり。
2階から飛ばした紙飛行機がふらふらと飛行する名場面は、やはり名場面でした。英国ならではの映画ですね。
おすすめ度★★★★
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アタメ 私をしばって! ATAME!

スペイン 1990年 102分
監督・脚本 ペドロ・アルモドバル
撮影 ホセ・ルイス・アルカイネ
音楽 エンニオ・モリコーネ
出演 ビクトリア・アブリル(マリーナ)/アントニオ・バンデラス(リッキー)/ロレス・レオン/フランシスコ・ラバル
メモ 1998.11.3(火曜日 文化の日)ビデオ
あらすじ
3才で孤児になり、孤児院と精神病院で脱走を繰り返していたリッキーが、ポルノ女優マリーナに惚れ込む”純愛物”。
感想
ペドロ・アルモドバル監督の新作「ライブ・フレッシュ」を見に行く前に、お勉強を。原色、特にを多様したあざやかな色彩です。
「凶弾」と同じくアントニオ・バンデラスとビクトリア・アブリルが主演。この役者さんはぬぎっぷりのいい方ですね。
ドイツ人とスペイン人の気質の違いとか、みんなでわーわーいつも言いたいことを言う所とか、ラストシーンの歌とかおおらかで明るい。特に言いたいことを言いあう所が羨ましい。あれだけいったら、すっきりするだろうな(っていったら、「それ以上?」と言われた(べそ))。ヤク中ポルノ女優とのサスペンス映画ながら家庭的で暖かい。
おすすめ度★★★
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THX−1138

米国 1971年 88分
監督 ジョージ・ルーカス
脚本 ジョージ・ルーカス/ウォルター・マーチ
撮影監督 デイブ・メイヤー/アルバート・キン
音楽 ラロ・シフリン
出演 ロバート・デュバル(THX-1138)/ドナルド・プレザンス(SEN-5241)/マギー・マコーミー(LUH-3417)
メモ 1998.11.1(日曜日)CS録画
あらすじ
25世紀、コンピュータによる高度管理社会では、人間が番号化され精神安定剤によりあらゆる欲望が押さえられていた。セックスは存在せず、試験管からベビーが誕生している。しかし、THX-1138は鬱に悩まされつつある。
感想
昨日みた
「CUBE」のナタリ監督が影響を受けた映画としてあげてはったので、見たくなりとりだめてあるビデオの山からゴソゴソ探し出してきました。
「何の説明もないんじゃ」という前衛的、哲学的SF。ジョージ・ルーカスが卒業後作った自主映画「電子的迷宮」という短編をみたフランシス・フォード・コッポラ監督がプロデュースし、ルーカスがリメイクした劇場映画第一作。興行的にはコケたそうです。
無機質な白が印象的で、エロチックで忘れがたい映像です。
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