1998年7月の映画

ダーティ・メリー、クレイジー・ラリー DARTY MARY CRAZY LARRY

米国 1974年 94分
監督 ジョン・ハフ
音楽 ジミー・ハスケル
出演 ピーター・フォンダ(ラリー)/アダム・ローク(ディーク)/スーザン・ジョージ(メリー)/ビッグ・モロー(フランクリン)
メモ 1998.7.30(木曜)BS
あらすじ
カーレースにでるため、スーパーマーケットから現金を強奪したラリーとディーク。ふたりにくっついてきたのは、ラリーが一晩過ごした女メリー。フランクリン警部(ビッグ・モロー)が、ひつこくひつこく陸と空から追いかける。
感想
車の映画です。そして「ブルッ、ブルルウウ」っていうバカでかいエンジンをこよなく愛する男達の映画です。いかれた3人組をいかれた警部が追う。3人組は走り抜けましたね。

ひさしぶりにスーザン・ジョージを見る。「わらの犬」ダスティ・ホフマンの妻エミー役の人。

ピーター・フォンダとビッグ・モローの共演映画があったんですね。 娘達ブリジット・フォンダとジェニファー・ジェイソン・リーは「ルームメイト」で共演。
おすすめ度:韻をふんだ軽快な映画名がこの映画のすべて★★★1/2
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暗い鏡 THE DARK MIRROR

米国 1946年 85分
制作・脚本 ナナリー・ジョンソン
監督 ロバート・シオドマク(「らせん階段」)
原作 ウラジミール・ポズナー
出演 ルー・レアーズ/トーマス・ミッチェル/オリビア・デ・ハビランド
メモ 1998.7.25(土曜)CS
あらすじ
ある夜ドクター・ベラルタが心臓をひと突きされて殺されるという事件がおこる。目撃者の証言から昨夜10時頃被害者は美女と一緒だった事が判明。一緒だったのは、診療所のあるビルの売店で働いているテリーという女性らしい。テリーの家に警察が乗り込むと、テリーにはルースという姉がいて二人は一卵性双生児だった。どちらかが犯人のはずだが、外見がそっくりで目撃者も断定できない。
感想
古い映画の方が今の映画よりいいとは思ってはないのですが、「ライアー」を見に行く前に「嘘つき」の話をみとこかなって思って。(^^)

「らせん階段」で有名なロバート・シオドマク監督作品。一卵性双生児姉妹二人は、交代で売店の売り子をしていたが、誰も気づかなかったという設定。医者が「ロールシャツハテスト」、「嘘発見器」等を使って二人の精神分析をする。見ている方も、本人が言っているとおりの人物なのか違うのか混乱してくる。「戦慄の絆」と同じ。
「レベッカ」のジョーン・フォンテーンの姉、オリビア・デ・ハビランドはふたりの違いを微妙に演じていました。
おすすめ度:★★★1/2
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くちづけはタンゴの後で MRS.WINTERBOURNE

米国 1996年 107分
監督 リチャード・ベンジャミン
原作 コーネル・ウールリッチ「死者との結婚」
出演 リッキー・レイク/ブレンダン・フレイザー/シャーリー・マクレーン
メモ 1998.7.23(木曜)WOWOW
あらすじ
妊娠して男に捨てられたコニーは、お金もなく間違えてボストン行きの列車に乗ってしまう。幸せな若妻の指輪をはめさせてもらっている所に事故が起こり、目がさめると病院にいた。
感想
「なんでこのロマンティック・コメディを見ながら涙がでるのだ?」と思いながらも、さめざめと泣いている。
中学の時に「死者との結婚」の悲しい話を読んで「せつない取り残されたような思い」をしていたんやけど、「よかった、ほんまよかった。」と思いながらティッシュで鼻をかんでいる自分が変。変でバカみたいやねんけれど、嬉しい。

シャーリー・マクレーンの歌も聞けたし、大好きなブレンダン・フレイザーが踊るシーンも見れた。「くちづけ」は甘そうやった。リッキー・レイクって人もかんじよかったよ。
ブレンダン・フレイザーってちょっと狂ったような明るい目と口がいい。野球コメディ「スカウト」も好き。
満足度:★★★★1/2
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卵の番人 EGGS

ノルウェー 1995年 89分
監督・脚本 ベント・ハーメル
撮影 エリック・ポッペ
音楽 フレッシュ・カルテット
出演 ヌヴェレ・ハンセン/ヒュル・ストルモーン
メモ 1998.7.22(水曜)WOWOW
あらすじ
雪深い森の一軒家で老兄弟モーとファーは、平和に暮らしていた。そこへファーの会ったことのない息子コンラードが同居する事になる。しゃべらないコンラードはたくさんの鳥の卵を大切にしていた。
感想
「かっこう」ね。そうか、「かっこう」なのか。
かわりばえのしない天気と決まり切った単調な暮らしながらも「平和な巣ごもりしている兄弟」の所にやってきた、ヘッドスキンの大男。兄弟の間が微妙に変っていく。淡々とした描写ながら奇妙な味わいの映画です。

コンラードがバンから降りてくる所と、「アポロ11号月面着陸のラジオ放送」が重なっていて面白い。色々考え考え作りはんねんねえ。
おすすめ度:★★★★
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逆転追跡  ミスター・アーカディン Mr.Arkadin

フランス=スペイン 1955年 100分
原作・監督・脚本・美術・衣装・出演・ナレーション オーソン・ウェルズ
出演 マイケル・レッドグレーブ/カティーナ・パシイヌー/エイキム・タミロフ/
メモ 1998.7.19(日曜)CS録画
あらすじ
煙草の密輸をしているアーデンは、ナポリの波止場で刺された男のいまわの際の言葉「ミスター・アーカディン」から、大富豪のミスター・アーカディンには秘密があると確信する。その秘密を握り大金をせしめようと娘に近づくが、ミイラとりがミイラになるがごとく本気になってしまう。アーカディンに「娘には二度とあうな」と釘をさされた上で、記憶喪失に悩むアーカディンは、「自分には過去がない。過去を見つけて欲しい」とアーデンに調査を依頼する。
感想
偉大なる王が詩人に尋ねた。「私の持っている物の中でなにを望むか?」
賢明な詩人は答える。「あなたの秘密以外なら 何でも」

この冒頭の寓話がストーリーのすべてです。後は映像に引き込まれるだけ。
各国の映画作りを目指す学生達に研究されつくしているというオーソン・ウェルズ。この作品は、「バルセロナ海上を無人の小型飛行機が飛んでいるのを目撃された」という実際の事件からヒントを得て作くられた作品だそうです。

あの「クライングゲーム」の「サソリとカエル」の話をオーソン・ウェルズがしていた!。噂に聞く「ノミのサーカス」が見れたよ! 主人公のアーデンは、ヒッチコック作品「バルカン超特急」に出ていたマイケル・レッドグレーブ。「ミッション・インポシブル」のバネッサ・レッドグレープのパパ。
ウェルズのあの声と姿形。傑物です。「市民ケーン」でハリウッドに疎まれなかったら、ハリウッドの映画界に君臨しただろうといわれている。君臨されるのもまた恐ろしい気もするが「伝記」は不遇の天才を感じて哀しくて読めない。

ビデオ屋の古典サスペンスの棚を観る度にため息がでる。「ヒッチコック監督作品ばっかり」。子供の頃に見たっきりの「生きていた男」はもう一度見る事ができるんだろうか? オーソン・ウェルズ監督作品 
「ストレンジャー」は、ヒッチコック監督の「疑惑の影」に影響されて作ったと言われているとか。「オーソン・ウェルズのフェイク」はいつ見れるのか。もはや、亜流を山ほど見ているので「今さら」とか「古い」、「音楽が今ほど凝っていない」とかも思うんやけど、やっぱ古典ミステリ大好き。
さぼてんが最初に見た「そして誰もいなくなった」は、オーソン・ウェルズ声の出演でした。
満足度:★★★★
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GODZILLA

米国 1998年 139分
監督 ローランド・エメリッヒ(「ID4」)
GOZILLAデザイン パトリック・タトプロス
出演 マシュー・ブロデリック(ニック・タトプロス)/ジャン・レノ(フィリップ・ローシェ)/マリア・ピティロ(オードリー)/ハンク・アザリア(アニマル)
メモ 1998.7.18(土曜)千日前セントラル
あらすじ
GODZILLAがニューヨークに上陸して、大暴れ。「エイリアン」のような卵のおまけつき。
感想
”ゴジラ”は、はいつくばらずに胸を張って堂々と歩いて欲しい。でもアメリカ産”GODZILLA”だからいーの。

アメリカ産”GODZILLA”は、敏捷で神出鬼没。N.Y.の摩天楼群での追跡劇は迫力満点!。予告編で足の先だけ見たときは「ティラノザウルス?」に見え、太股あたりまで見えた時は「半魚人?」と気をもたせたGODZILLAの正体は、残留放射能により馬鹿でかくなった大トカゲでした。(なーんや)。
アメリカは景気がいいんだ。「高層ビルの2百や3百いっくらでも壊して〜。クライスラービルもお古になったから、もう建て替えちゃうわ」ってなノリ。

”GODZILLA”は、「怪獣○秘大百科(これで君も、いいトシこいた怪獣博士だ!)」(映画秘宝)の写真を見ると、確かにさぼてん男(いいトシこいた怪獣博士)が昔見たという映画「原子怪獣現わる」のリドザウルスと似ている。北極でのアメリカ軍の水爆実験による怪獣登場。ニューヨークに上陸、ウロコ状のワニ皮。似てる似てる。「ゴジラ」より前の作品らしい。レイ・ブラッドベリの原作とか。実はこの映画のリメイクなのかもしれぬ。

しかししかし、「アメリカのネバダ砂漠産」ではなく、おフランスの核実験の産物とは、フランスでの感想を聞いてみたいもの。
おすすめ度:★★★1/2
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キッスで殺せ 'KISS ME' DEADLY

米国 1955年 105分
監督・脚本 ロバート・アルドリッチ
原作 ミッキー・スピレイン(「燃える接吻」)
撮影 アーネスト・ラズロ
出演 ラルフ・ミーカー/アルバート・デッカー/ポール・スチュワート
メモ 1998.7.14(火曜)WOWOW
あらすじ
私立探偵マイク・ハマーは深夜の路上でヒッチハイクの女性をひらう。何かから逃げてきたらしい女性は「remember me」という謎の言葉をハマーに伝えた直後3人の男達に襲われる。
感想
車の中で女の人が言う「名前はマイク。  ミスター・ハマーね」。マイクって名前を知って、「マイク・ハマーね」とからかってんのかと思ってたら、映画はミッキー・スピレインの「私立探偵マイク・ハマー物」だったのです!(・・)。といっても、読んだ事ないのですが。

オープニングシーンがいい。最初の15分、ハードボイルドファン必見。タイトルロールは「スターウォーズ」、エンドシーンは、「インディ・ジョーンズ失われたアーク」に似ている。
情報を手に入れるためマイク・ハマーが「失業中のオペラ歌手」を脅すシーンでは、秘蔵の「カルーソの道化師」のLPレコードをパキッと割っていました。>>
やぎさん。それで、すぐにペラペラしゃべりだすの(^^)。
おすすめ度:★★★★
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殺しの分け前 ポイント・ブランク POINT BLANK

米国 1967年 89分
監督 ジョン・ブアマン
原作 リチャード・スターク(悪党パーカーシリーズ「人狩り」)
出演 リー・マーヴィン/アンジー・ディキンソン/キーナン・ウィン
メモ 1998.7.14(火曜)WOWOW
あらすじ
親友に妻を寝取られ、金も奪われたウォーカーは復讐のためというより、金のため親友を追いつめていく。
感想
現金強盗に成功しながら、親友に裏切られ奪われた「9万3千ドル」を「俺の金だ! 俺の金だ!」と執拗に追い続ける主人公。出演者の一人が言う。「もともと、強盗した金とちゃうん? お前の金か?」・・・ぜーんぜんユーモアはないんですが、笑えます。
シュールな映像の異色ハードボイルド。ジョン・ブアマン(哲学的なSF「未来世紀ザルドス」)、英国の監督といわれりゃそーやねーと、みょーに納得しました。
「殺しのドレス」のアンジー・ディキンソン(ほら、あのタクシーの中でゴソゴソしたはった人)若いぞー。
おすすめ度:★★★1/2
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シェイド AN OCCASIONAL HELL

米国 1996年 94分
監督 サロメ・ブレジナー
出演 トム・ベレンジャー/バレリア・ゴリノ
メモ 1998.7.12(日曜)CS
あらすじ
大学教授が森の中でカーセックスの真っ最中に射殺され、ガールフレンドは行方不明というスキャンダラスな事件が発生。大学教授の妻は、容疑者と疑われるが、元刑事で、現在は大学で文学を教えているアーネストに事件の捜査を頼む。
感想
トム・ベレンジャー、かったるい演技やなあと思っていたら、そういう役だったのですね。犯人に意外性がなく、あまり不気味でない所が惜しい。元刑事(デカ)の心境を描く方に傾き過ぎたのかもしれない。
トム・ベレンジャーは好きな俳優さんです。「山猫は眠らない」「プラトーン」のイメージが強く、サスペンス物に出演が多いですが、この人、家族をテーマにした作品の「お父さん役」も似合うんじゃないかな。脇役もええと思うんやけど。竜雷太に、また似てきはりました。

若手女流監督の作品です。
おすすめ度:まあ、トム・ベレンジャーがでてるから★★★
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絆−きずな−

日本 1998年 123分
監督 根岸吉太郎
脚本 荒井晴彦
原作 白川道「海は涸いていた」
撮影 丸地納
音楽 朝川朋之
出演 役所広司(伊勢孝昭・芳賀哲郎)/渡辺謙(佐古章生)/麻生祐未/斉藤洋介/木下ほうか/土屋久美子
メモ 1998.7.8(水曜)阪急ナビオ梅田劇場
あらすじ
肉親の”情”、そして赤の他人やけど心通じあう人達の”情”が描かれた映画です。
感想
あざといっちゃあ、あざといんですけどね、やっぱ「コンサートシーン」では大粒の涙がポロッときた。バイオリンの本物の迫力はすごい。「shall we ダンス?」といい”ほんまもん”を使う事で映画が生きてる。

役所広司が「落としまえ」をつけるためチャンスを狙うホテルのシーン、カメラもグルグルして緊張したな。
思いがけない偶然から暴かれそうな過去を封印するという所と話にクラシックがかむ所は「砂の器」似。
「多くを語らない男の胸の内」という映画。そういう人達で構成されている。言葉で説明するという所が少なくて、うまいこと作られていると思う。
「鬼火」と同じく、ヒロインがクラシック演奏家でとても清楚で”やんちゃな男の人”が惹かれるというのもよくわかる。また、年の離れたちっちゃな妹をかわいがって、大切にしているというのが・・ああ、あざといよなあ、でもグッとくんねんなあ。

大阪のホテルは、茶屋町アプローズの「ホテル阪急インターナショナル」みたいでした。飛天(劇場)もある。トウモロコシみたいな形したてっぺんがひらぺったくてヘリポートがあるビルです。中に入ったことがないので確かではありませんが(^^)。梅田ロフトのマクドも写ってたみたい。あそこでロケしてはったんかなあ。大阪の街が写っていて嬉しかった。(東宝の映画で阪急のCMか?)
おすすめ度:★★★★
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ラジュー出世する

インド 1992年 159分
監督 アズィーズ・ミルザー
出演 シャー・ルク・カーン(ラジュー)/ジュヒー・チャーウラー(レヌ)/ナーナー・パーテーカル(ジャイ)
メモ 1998.7.5(日曜)CS録画
あらすじ
ダージリンの大学を卒業し一旗揚げようとボンペイにやってきたラジューは、ジャイという男と知り合いになり下町に住みはじめる。同じ町内のレヌと出会い恋に落ちる。
インド映画は、日本では42年ぶりのロードーショだそうです。
感想
なんかいい事があると、突如音楽がはじまりにぎやかに歌い踊りまくる~(^^)~という超楽しい映画。マサラ映画(マサラとはスパイスを意味するらしい)といわれる恋愛活劇大衆娯楽映画。歌あり踊りあり涙あり笑いあり怒りのアクションもありの大エンターティメント。
ラジューがボンペイへ行くためにみんなに見送られて駅に向かう道中は、映画「会議は踊る」のウィーンへ向かう馬車のシーンを思い出す。

単刀直入というか単純なお約束通りの筋立てながら、狂言回しのオブザーバー役のようなシッブイ野師(やし)のおやじ(ジャイ:マカロニウエスタンかとみまごうお姿)が話を所々引き締めている。ここんとこ「誘惑のアフロディーテ」みたい。6年前の映画とはいえ古さが感じられない。武蔵丸似やら、レッツゴー3匹のじゅんちゃん似の男の人達が出てきて親近感あり。若造と小町娘の恋の行方を見守るおじちゃん達(私にいわれたない?)がいい。

映画にたまーに「ロケを見物している人達」が見え隠れして、大勢の人が楽しく温かく見守っているような感じがします。ミュージカルがあまり得意ではない私も十二分に楽しみました。

映画とは関係ないのですが、夢物語とはいえ「女の人の持参金が少ないと大変な事になる」と思っていたインドとは、だいぶイメージが異なりました。もうひとつ、ヒンドュー語なのに所々「アイムソーリー」「エクスキューズミー」とか会話に英語がはさまるとこ。香港映画でもそうですね。フィリピンとかも英語が公用語だからでしょうか。日本ももし公用語が英語になっていたら、世界に冠たる経済国になり孤立することもなかったのかもしれない。
おすすめ度:★★★★1/2
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水の中のナイフ ベネチア映画祭批評家連盟賞

ポーランド 1962年 94分
監督・脚本 ロマン・ポランスキー
脚本 イエジー・スコリモフスキー/ヤクブ・ゴールドバーグ
撮影 イエジー・リプマン
音楽 クシシュトフ・T・コメダ
出演 レオン・ニエンチク/ヨランタ・ウメッカ/ジグムント・マラノウッツ
メモ 1998.7.4(土曜)梅田シネ・ヌーヴォ
あらすじ
車で湖へバカンスに出かける途中の中年夫婦が、あやうく轢きそうになったヒッチハイカーの若者を車に乗せる。ヨット遊びを3人で楽しむが・・。ポランスキー監督長編処女作品。
感想
色つきの世界に住んでいる身から見ると、モノクロの世界は異次元に感じる。それも登場人物が3人だけとなると不思議な世界にすぅーっと引き込まれるような気持ちになる。

うぎゃードギャーと椅子から飛び上がりポップコーンこぼれまくりの怖さではなく、体が椅子に張り付き硬直するような心理サスペンスです。

 この映画も、
「赤い航路」「袋小路」、「死と乙女」も、夫婦2人に突然見知らぬ他人が1人が混じり、夫婦間の今まで秘められていた感情が表に現れ出すという話ですね。女の人達はみんな珍しくしゃべりではなく(珍しくない?)、じっと観察しているという猫科が多い。夫婦間の力関係というのを強烈に感じさせる。親子、兄弟関係という状況設定ではなく夫婦なのは、元は他人で猛烈に燃えた時期もあった近い関係の二人、深く知っているようで全く知らないような人間関係の奥底をのぞき見ているのか。はたまた単純なサスペンス映画なのか。ミステリだ、謎だ。

「ローズマリーの赤ちゃん」「テナント」は周りの人達に取り囲まれ徐々に輪をせばめられていくというストーリーです。「地獄の逃避行」みたい。(全然ちゃうか)
「虎か美女か」風のラストも息が詰まる。「これからこの夫婦はどうなるんだろう」
おすすめ度:★★★★1/2
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凶弾

スペイン 1988年
監督 フェリクス・ロタエタ
出演 マチュー・カリエール(アンドレア)/アントニオ・バンデラス(ルイス)/ビクトリア・アブリル
メモ 1998.7.2(木曜)TV録画
あらすじ
麻薬の密売人ルイスと、大学教授のアンドレアは本業のかたわら、報酬なしで殺しを請け負っていた。
感想
アントニオ・バンデラスのスペイン時代の作品。
ストーリーは解説の山城新伍さんが「奇妙な味」と表現されていました。恐い話です。

インテリで、強くて恐いお母さんに支配されているマザコンで、人間関係にも仕事にも飽き飽きしているアンドレア役のマチュー・カリエールって俳優さん、忘れられない。クールでグッときた。「サンスーシの娘」っていう映画に出演のドイツの方だそうです。
バンデラスの若造って雰囲気、いいです。「欲望の翼」のレスリー・チョンを思い出す。今まで、ちょっと暑苦しそうと思ったりしていたのですが、セクシーだった。
ルイスの恋人役のビクトリア・アブリルっていう女の人も○。よくわかる。「アタメ!」っていう映画に出演。

おすすめ度:「大いなる遺産」より「凶弾」の方に気持ちが引き寄せられるのは、何故?★★★★
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大いなる遺産

米国 1997年 110分
脚本 ミッチ・グレーザー
原作 チャールズ・ディケンズ
音楽 パトリック・ドイル
出演 イーサン・ホーク(フィネガン・ベル)/グウィネス・パルトロウ(エステラ(「セブン」)/ウォルター・ブレイン(ウォルター)/クリス・クーパー(ジョー)/アン・バンクロフト(ディンズムア夫人)/ロバート・デニーロ
メモ 1998.7.1(水曜)梅田三番街シネマ
あらすじ
フロリダの海に面した小さな町に住んでいるフィンは、絵を描くのが好き。息をするように絵を描いている。偶然出入りした大金持ちディンズムア夫人邸の庭で、美少女エステラに魅せられる。
感想
話が唐突に展開し、その度に引き寄せられつつあった気持ちがすっと引いていくという事の繰り返しで、寄せては返す波のようにフラフラして没頭できませんでした。大作を2時間にしたのであらすじを追っているだけようになったのか、古典を現代に置き換えたのに無理があったのか。
もしかしたら、お話を知らないせいでわかりにくかったのかも。デヴィット・リーン監督の「大いなる遺産」を見てみたい。

↓ものすごーくハズした感想です。映画を見ていて、気持ちが散漫になってしまった証拠。
最後、数年間画家として満足できる仕事をしてきたフィンに対して、エステラは「いったい何をしてたの?」と思ってたら、そうかあ。ため息。大事な事やし、私がいちゃもんつける事もないし、人それぞれでエエねんけどね。現代感覚で見てしまうのがまちがいか。それとも「道楽」としか思えない、現実味のない仕事(小説家とか、ファッションデザイナーとか)をしていると、とってつけたような設定より「金持ちで仕事はしたことがありません。」の方がずっとスッキリしているか。単にさぼてんがひがんでいるだけか。このあたり、そういう事の気にならない人向きの「男の成長物語」ロマンス風味映画と思う。

一番の見所は、天才画家フィンが描く現代アート。イタリア出身のフランチェスコ・クレメンテという方の創作だそうです。
**おまけ**
一日つらつら考えていたんやけど、この話は貧しい中から立身出世して、しかも汚い仕事ではなく才能を生かした美しい仕事で成功し、少年ような純な気持ちのまま、あこがれの身分違いのお姫様をゲットするというサクセスストーリーなんだ。あるタイプの男の人の夢物語なんだな。(←いいすぎ?)
おすすめ度:★★1/2
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