1999年7月の映画


豚と軍艦
日本 1960年 108分 日活
監督 今村昌平
原作・脚本 山内久
撮影 姫田真佐久
音楽 黛敏郎
出演 長門裕之(欣太)/吉村実子(春子)/南田洋子(勝代)/大坂志郎(星野)/丹波哲朗(鉄次)/中原早苗(弘美)/小沢昭一(軍治)/三島雅夫(日森)/東野英治郎(貫市)/山内明(二世・崎山)/西村晃(矢島)/殿山泰司(陳)/加藤武(大八)
メモ 1999.7.30(金)ビデオ
あらすじ
アメリカ海軍の基地・横須賀の歓楽街で、もぐりの売春宿を摘発され商売あがったりの地回りやくざ「日森組」は、新規事業「養豚」に乗り出す。基地の残飯を回してくれるよう、米軍の通訳・日系二世の崎山にも金を積んだ。日森組の使い走り欣太は、恋人の春子と一緒になりたいと豚の事業に期待をかけている。がんばれば、ボーナス15万円が貰えるのだ。春子はやくざをやめて、まっとうに暮らそうというが「まっとうな勤め人」なんてちゃんちゃらおかしい。絶対やだの欣太はぽん引きもする毎日であった。
感想
有名過ぎて、もはや言う事はないのですが、いや、濃い映画だった
店で、春子と欣太が言い合うシーンがいい。ぽん引きをしている欣太に「おっきな黒い兵隊連れてきな。やってやるから。」とたんかをきる春子。「○○になるぞ」といわれ、「いいもん、アメリカいくもん」 (わからんちんのおたんこなす、バカタレ〜と言っている。) 
いい顔のやくざ・鉄治(丹波哲朗)が癌と思いこんで、知り合いの殺し屋に金を渡し「すっぱり殺してくれ」と頼む。しかし、胃潰瘍とわかり「この金、ニセ金」と追ってくるだけの殺し屋に、殺されると思い込みオタオタ逃げ回る。丹波哲朗って昔からとぼけた役(今では地と判明したが)もできる人だったのね。
春子の姉・弘美は米兵のオンリーさんで、自由奔放に生きているように見えながら、実は弟や妹のために尽くしているという昔の長女・孝行娘のまま。反面、妹はこの基地の街に見切りをつけて出ていくという戦後の新しいタイプの女性。

見たことのない映画と思っていたのですが、ワンシーン見覚えがあるような気がしてきた。欣太が豚を三頭盗み出して肉屋に売りにくる所。「あの豚さんどーなんの?」と父親に聞いたら、「肉屋でつぶして豚肉になる。」と言われ、もともとお肉が好きではなかった私は、「一生豚肉は食べへん。」と幼心に誓ったような記憶が残っている、ような気がする。(今ではトンカツもバンバン食べる)
戦争直後の話と思っていたのですが、朝鮮戦争も終わり「もはや戦後ではない」と言われていた頃みたいですね。基地の街の戦後はなかなか終わらないのだな。
おすすめ度★★★★1/2
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肉弾鬼中隊 THE LOST PATROL
米国 1934年 75分 
監督 ジョン・フォード
原作 フィリップ・マクドナルド(
「秘密殺人計画書」
脚本 ダドリー・ニコルズ
撮影 パルド・ウェンストロム
音楽 マックス・スタイナー
出演 ヴィクター・マクラグレン(「男の敵」)/ボリス・カーロフ/ウォーレス・フォード
メモ 1999.7.30(金)ビデオ
あらすじ
第一次世界大戦中、メソポタミアの砂漠で英国軍の中隊が彷徨っていた。隊長が狙撃され、偵察にでたはずの自分たちの任務も目的地も、ここがどこかすらわからないのだ。灼熱地獄のなか小さなオアシスが見つかる。古い回教寺院のあるこのオアシスはアラブの聖地なのかもしれない。一晩休んで、本隊に合流するため北に向かうはずが夜中のうちに見張りは喉をかっ切られ、馬はすべて盗み出されていた。
感想
勇ましい邦題とはまったく違う異色戦争映画。
姿を見せないアラブが「プスッ」という軽い音と共に、何日もかけて英国軍をひとりまたひとりと狙撃していく。暑さと出口のない焦燥感から心理的にも追いつめられていく英国軍。
この戦争でアラブは英国の敵ではなく、何故狙撃されるのかもわからない。ただ、「彼らの土地で戦争しているだけ」のはずなのだ。

戦争の恐怖から宗教に救いを求め、最後は発狂して十字架をかざしてアラブに向かって砂漠を歩いていくボリスー・カーロフ。アラブにとって当然十字架はなんの価値もない。偵察隊の隊長といい、ヒコーキでやってくる軍人といい英国のハイソサエティがえらくまぬけに描かれているのに対し、アラブ側を肯定する部分もある。映画「レッド・ムーン」に少し似ているように思う。

米国は、このような映画を作っていながら、地の利がありゲリラ戦術にたけたベトコン(南ベトナム民族解放戦線)の怖さが解らなかったのであろうか? 物量作戦で勝てると思ったのか? 解せない。M14ライフルという大口径の連発、密林にはまったく向かない銃器の使用もわからない。
おすすめ度★★★★
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D坂の殺人事件 だんござかのさつじんじけん
日本 1998年 91分 
監督 実相寺昭雄
製作 黒沢満
原作 江戸川乱歩「D坂の殺人事件」「心理試験」
脚本 薩川昭夫
撮影 中堀正夫
音楽 池辺晋一郎
出演 真田広之(蕗屋清一郎)/嶋田久作(明智小五郎)/岸辺一徳/吉行由美/大家由祐子/三輪ひとみ(小林少年)
メモ 1999.7.25(日)WOWOW録画
あらすじ
昭和2年東京団子坂の古本屋「粋古洞」の女将・時子は、天才贋作師・蕗屋清一郎に伝説の責め絵師・大江春泥(しゅんでい)の「しらぬい」「あけがらす」の贋作を依頼する。
感想
いや、エロい映画だったな(笑)。退廃的(デカダン?)、よく言えば耽美的? 
江戸川乱歩の「D坂の殺人事件」ってこういう話だっけ? はるか昔に読んだのでよく思い出せない。エドガー・アラン・ポーの「モルグ街の殺人」と似てたような覚えがあるんやけど。
紙で作った家や電車、人が昭和初期の雰囲気をうまく出しています。場面展開にも効果的に使われていた。ロッセーリーニ監督の
「殺人カメラ」にも紙の模型が出てきました。使い方が似ている。
おすすめ度★★★1/2
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非情の罠 KILLER'S KISS
米国 1955年 68分 
監督 スタンリー・キューブリック
出演 フランク・シルベラ(ディビット)/ジェイミー・スミス(グローリア)
メモ 1999.7.24(土)CSスターチャンネル
あらすじ
29才のデイビーはボクサーとしては下り坂。夜中、女の悲鳴を聞いて眠りから覚める。アパートの向かい側の窓を見ると誰かが争っているようだ。部屋を飛び出すデイビー。
感想
無駄なものを全てそいだシャープな映像。突き放したスリリングな展開。凝縮された単純なストーリーなんですが、見せます。
下からなめるように撮ったシーンあり、真上から撮ったシーンあり、遠景のシーンありでひとつひとつが絵になっている。
必見は、最後のマネキン部屋での死闘でしょう。斧とヤリ(洋服かけか?)で男ふたりは”ぜいぜいはあはあ”フラフラになりながら闘う。原始的な根元的暴力を感じさせる迫力です。

主人公デイビーが殺し屋から逃げるために、窓を突き破って下に飛び降りるところが「パルプフィクション」のブルース・ウィリスのシーンと似ててびっくりしました。 どこが似てるかっていうと、主人公がボクサー、ギャングから逃げるってとこ(笑)。

↓「孤独な場所で」とのラストの違いに考えさせられる。へりくつコネで繊細で難しい男は、いかんな(笑)。
おすすめ度★★★★
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孤独な場所で In a Lonely Place
米国 1950年 94分 
監督 ニコラス・レイ(「理由なきハンコ」とちゃうちゃう「理由なき反抗」)
原作 ドロシー・B・ヒューズ
脚本 エドマンド・H・ノース/アンドリュー・ソルト
出演 ハンフリー・ボガート/グロリア・グレアム(クールビューティな人。当時監督夫人)/フランク・ラブジョイ
メモ 1999.7.24(土)WOWOW
あらすじ
天才肌の脚本家ディクソンは、戦争から帰ってきてから仕事をする気のない毎日だった。そんなある日、次の映画の脚本書きのために読めと渡されていた本を勝手に読んでいたポールの店のクローク係を家に誘う。クローク係にあらすじを聞いてやっつけ仕事をしようという魂胆だったのだ。しかし、そのクローク係がディクソンの家から帰る途中襲われ他殺体となって発見される。とーぜん容疑はディクソンにかかる。まずい事に彼は癇癪持ちだった。
感想
辛口のラブ・ストーリーでした。終盤すごくスリリング。

私はハンフリー・ボガートのよさってあんまり解らないんです。好みの顔ではないなあとか、おじさんだなあとか思っているんです。なのにいつもハンフリー・ボガードの映画(あんまり見てませんが)を見ると、「セクシーやなあ」とか「鬱積したパワーを感じる」とか「可愛げのある人やなあ(母性本能をくすぐるタイプ)」とか思っているんです。すばらしい俳優さんですね。
おすすめ度★★★1/2
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悪魔のくちづけ GAMES
米国 1967年 101分 
監督・原作 カーチス・ハーリントン
脚本 ジーン・ケアニー
撮影 ウィリアム・A・フレイカー
音楽 サミュエル・マトロフスキー
出演 シモーヌ・シニョレ(リサ)/ジェームズ・カーン/キャサリン・ロス(ジェニファー)/ジョン・ストラウンド/ケント・スミス
メモ 1999.7.23(金)CSスターチャンネル
あらすじ
親の遺産を継いだジェニファー夫妻は、悠々自適の毎日。友人達を招いてヘンテコなパーティを開く毎日。みんなをひっかけるちょっとしたゲーム(悪ふざけ)が楽しみ。ある日、ジェニファーを訪ねて、ひとりの女がやってきた。ジェニファーの学生時代の友達の友達だという。
感想
シモーヌ・シニョレの目って、金色のように見える。貫禄ついた猫のよう。不可思議な魅力のある女優さんです。対するキャサリン・ロスの可憐で世間知らずな人妻を引き立ててた。キャサリン・ロスは「明日に向って撃て!」(1969年)より前の作品のようです。
石膏で作った等身大の人形とか、家の中のエレベーターが上がったり下がったり、ヒューズが飛んだり(ブレイカーが落ちているのか?)面白い。お約束通りのオチもなかなかよろしいですな(笑)。スーパーの店員、ジム・キャリーかと思った。

「GAMES」って原題、「悪魔のくちづけ」よりなんぼかええと思う。
おすすめ度★★★1/2
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プリンス・オブ・エジプト 
米国 1998年 99分 ドリームワークス作品
監督 ブレンダ・チャップマン/スティーブ・ヒックナー/サイモン・ウェルズ
主題歌 「ホエン・ヒー・ビリーブ」ホイットニー・ヒューストン/マライア・キャリー
声の出演 モーセ(ヴァル・キルマー)/ラメセス(レイフ・ファインズ)/ツィッポラ(ミシェル・ファイファー)/姉ミリアム(サンドラ・ブロック)/兄アロン(ジェフ・ゴールドブラム)/エトロ(ダニー・グローバー)/セティ(パトリック・スチュワート)/女王(ヘレン・ミレン)/司祭長ホテップ(スティーブ・マーティン)/ホイ(マーティン・ショート)
メモ 1999.7.21(水)試写会
あらすじ
旧約聖書の出エジプト記。この後、40年荒れ地をさまよったんちゃうかった?”約束の地”を求めて。
感想
”選ばれた民”やねんね、ヘブライ人(ユダヤ人)は。
映像はすばらしかったです。思っていたより、画面は暗かった。格調高く重厚というべきか。
お母さんが赤ちゃんをかごに入れて蓋をする所の手の動きのリアルさにのけぞりそう。ものすごく柔らかやねん。
エジプトの壁画が物語りを語り出すシーンとか、司祭のホテップとホイがモーセに対抗して魔術妖術 祭事を行うシーンがよかった。しかしこの祭り事のシーンがいかにもうさんくさく、まがまがしく作ってあったな。
教養がなく、よくわかりませんが
「ハムナプトラ」と同じ時代みたいです。
おすすめ度★★★
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周遊する蒸気船 Steamboat Round The Band
米国 1935年 
監督 ジョン・フォード
脚本 ドゥドリー・ニコルズ/ラマー・トルッティ
撮影 ジョージ・シュナイダーマン
出演 ウィル・ロジャース(ドクター・ジョン・バーリー)/アン・シャーリー(美女フリーティ・ベル)/アーヴィン・コップ(イーライ船長)/ユージン・パレット(ルーフ保安官)/ジョン・マクガイア(美男デューク)/バートン・チャーチル(新生モーゼ)
メモ 1999.7.18(日)ビデオ
あらすじ
時は1890年代前半のミシシッピー川、蒸気船で薬効あらかたなる「ポカポンタス」を売り歩いている通称ドク。彼は甥と外輪船クレアモア丸を買い、一船一城のあるじとなる。がクレアモア丸は、”にわとりの巣”と仲間(宿敵パドゥーカ丸)からからかわれるボロ船だった。
感想
めっちゃおもろいやん。
だれやねん、ミュージカルと思っていたの>それは、アタシ(汗)。
美男美女のカップルと黒白おとぼけ5人組。最初はとぼけた話と思っていたんやけれど、後半のカウントダウン・サスペンス。笑いました。3回見た。新生モーゼがなにやらわめきながら斧をふるう所、おかしいねん、おかし過ぎる(笑)。アル中直ってないやん。  ”横山ホットブラザーズ”のお家芸”のこぎりの演奏”がこんな所で見れるとは思いませんでしたわ。

サイレント映画のドタバタ劇を色濃く残した映画と思う。
ザナックというオーナーが切りまくりの編集をしてジョン・フォードが爆した映画らしいねんけど、結果的にはテンポがよくよかったんちゃうかな。
満足度★★★★★
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禁断の惑星 FORBIDDEN PLANET (by さぼてん男)
米国 1956年 98分 
監督 フレッド。M.ウィルコックス
原作 アービング・ブロック/アレン・アドラー
脚本 シリル・ヒューム
撮影 ジョージ・フォルシー
出演 ウォルター・ピジョン/アン・フランシス/レスリー・ニールセン
感想
テレビで「禁断の惑星」(1956年米 監督:フレッド・M・ウィルコックス)を見る。
実はきちんと最初から最後まで見たのは今回が初めてだった。部分的には何度か見たことあるんだけどね。
斬新な特撮、とりわけ風景や地下都市の描写がすばらしい。空気遠近法の多用によって、奥行きある映像を実現している。深層心理の怪物という着想も秀逸。公開当時は、いわゆるエポックメーキングな映画として話題になったかもしれない。
と、持ち上げるのはここまで。
演出はさすがに古い。特に女の使い方。男は大勢登場するが、女は一人だけ。ミニミニの衣装で、ロケットに乗ってやって来た男たちを幻惑する。おいらはてっきり、この女が夜な夜な怪物に変身するのだと思い込んでいた。
このホームページは誰も読んでいないので遠慮なくネタバレ(こんな古い映画のネタバレなどナンセンスだが)を書く。
結局は、異星人の機械を使って知能指数がアップした博士の深層心理が怪物を生んでいた。とはいえ、何も知らないミニミニ娘との二人暮らしとなると、怪物もむべなるかな。深層心理の怪物と言うより、リビドーの怪物じゃないのかなぁ。オヤジの深層心理なんて、想像するに、ちょっとヤだなぁ。
というわけで、はるばる銀河を超えてやって来た探検隊員たちは、大勢の犠牲者を出した挙げ句、美人ながら世間知らずで女房にしたら苦労しそうなタイプを一人、救出して帰っていくのであった。
これって徒労に思えてならないのだが? 結果的には、そっとしておけば、みんな幸せだったのに。

う〜ん、おいらはこの映画、あまり評価していないみたいだなぁ。全編を包むニヤけたヤンキー臭さがそう思わせるのかもねぇ。有名作だからケナすという偏狭さは持っていないはずだけどぉ(ヒトゴトモード)。
おすすめ度★★★(「メトロポリス」同様、教養として一応見ておく価値あり。)
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交渉人 THE NEGOTIATOR
米国 1998年 139分 
監督 F.ゲイリー・グレイ
脚本 ジェイムズ・デ・モナコ/ケビン・フォックス
撮影 ラッセル・カーベンター
美術 ホルガー・グロス
音楽 グレイム・レベル
衣装 フランシーン・ジェイミソン=タンジューク
出演 サミュエル・L・ジャクソン(ダニー・ローマン)/ケビン・スペイシー(クリス・セイビアン)/J.T.ウォルシュ(ニーバウム)/ポール・ジャマッティ(たれ込み屋ルーディ)/ディビッド・モース(アダム・ベック)/カルロス・ゴメス(イーグル「アステロイド」)/ロン・リフキン(フロスト本部長補佐)/ジョン・スペンサー(アル・トラビス署長)/ジボーン・ファーロン(助手マギー)/リジーナ・テイラー(妻カレン・ローマン)/ポール・ギルフォイル(ネイサン)/スティーブン・リー(NOと言ってしまう男ファーリー)
メモ 1999.7.17(土)阿倍野アポロシネマ8
あらすじ
シカゴ警察の凄腕「人質交渉人」ダニーは、身に覚えのない横領の罪を着せられようとしていた。相棒が漏らした「横領には、内務局のニーバウムの名も上がっている。」から真犯人を暴く手がかりはニーバウムしかないっと彼を人質にとり、交渉相手としてセイビアンを逆指名する。
感想
主役ふたりは実際に知的なんだな、声も風貌も中身も。 特にスペイシーは声がいい。
ダニーの”デニムのシャツに革ジャン”、セイビアンの”グレーとネイビーのチェックのシャツ”っていう衣装に感心した。賢そうなおしゃれで、個性の違いがよく出ていたと思う。
ただ、思っていたよりもネゴシエイターがネゴシエイトしないというのがちょっぴり不満。
たれ込み屋ルーディ(ポール・ジャマッティ)は、おいしい役でした。
真犯人は”映画の作り”からわかってもいいはずだったのに、わからなかった。なんだか口惜しいゾ。しかし、ラストのラストは実にクサイ演出だったな(笑)

最近昔のサミュエル・L・ジャクソンを「星の王子様ニューヨークへ行く」ではファースト・フード店を襲う強盗、
「グッドフェローズ」ではチンピラ役を見たけれど、スターの貫禄つきましたね。
おすすめ度★★★1/2
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10番街の殺人 10 Rillington Place
英国 1971年 111分 
監督 リチャード・フライシャー(「ミクロの決死圏」 「見えない恐怖」)
原作 ルドビク・ケネディ
脚本 クライブ・エクストン
音楽 ジョン・ダンクワース
出演 リチャード・アッテンボロー(
「飛べ!フェニックス」)/ジュディ・ギーソン/ジョン・ハート
メモ 1999.7.14(水)WOWOW録画
あらすじ
1944年のロンドン、リリントン通りの10番地では目立たない小男がひっそり住んでいた。
感想
「八月のクリスマス」を見てから、映画を見る気がしなくて・・・。
  三日しか続かなかったわけですが(汗)。
「あの煙草の吸っているシーンから思うと、肺ガンやったんかな」とか色々考えていて・・・。
  やっと(たった三日)見る気になったのが、この映画。いやはや。

リアル。気持ち悪い、、、、、、、、、、、、
   思わず、最後までくいいるように見てしまった。アッテンボローのあの目。悪夢みそう。

犯人のジョン・クリスティは実在の人物。あの狭い家で18人を葬ったそうです。
餌食になるティム役は、ジョン・ハート。「エレファント・マン」のエレファント・マン、「エイリアン」の胸が張り裂けてやられちゃう人。
おすすめ度★★★1/2
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八月のクリスマス
韓国 1998年 97分 
プロデューサー チャ・スンジェ
監督 ホ・ジノ
脚本 オ・スンウク/シン・ドンファン/ホ・ジノ
撮影 ユ・ヨンギル(「追われし者の挽歌」 
「ホワイト・バッジ」
音楽 チョ・ソンウ
出演 ハン・ソッキュ(ジョンウォン)/シム・ウナ(タリム)/シン・グ(ジョンウォンの父)/イ・ハンウィ(チョルグ、幼なじみ)/オ・ジヘ(ジョンスク)/チョン・ミソン(ジウォン、妹の友達)
  メモ 1999.7.10(土)シネ・ヌーヴォ九条
あらすじ
小さな写真館を営むジョンウォンは、父親とふたり暮らし。写真を撮り、現像し、引き延ばし、お客さんに届ける。仕事が終われば家に帰り父親と料理をする毎日だ。そして時々病院へ行く。
感想
夏の暑いさかりから秋がやってきて、雪の降る冬が訪れるまでの季節の移り変わりと、ひとりの男の日常が静かに描かれています。主人公と父親、妹、友達の秘められた悲しみと涙が、表面にある穏やかな優しさの下に見え隠れする。主人公ジョンウォンの清潔感が、暑い夏にもすずしげな情感を与える。そして何も知らないタリムとの交流が主人公に、もうひとつの世界を作る。

さりげなく挿まれた一コマ一コマが、物語全体をしっかり支えています。
はじめにジョンウォンが知り合いのお葬式に出かけたシーンでは、葬儀の後男性が「悲しんでたって仕方ないだろ。食事しよう。食事ができているから向こうへ」と皆を呼びにくる。ここでは、残った者には生活が続く事がはめ込まれている。
主人公の父親が「地上より永遠に」のビデオを見るシーンでは、「昔、母さんと一緒に見たんだ」と言う。逝ってしまった人との思い出はこういう形で日常に浮かび上がってくる事がわかる。
女のちょっとしたきままさをかわいいと笑っているジョンウォンは、私には「妹のいるお兄ちゃんなんだ。」とよく理解できる。
幼い頃に母を失った主人公は「死」に対しある種諦観した気持ちも持っている。どちらも5才の時に母親を亡くした両親を見ている私にもわかるような気がする。
この映画は、せつないラブ・ストーリーを遙かに越えていました。
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エヴァの匂い EVA
仏=英 1962年 112分 モノクロ
監督 ジョゼフ・ロージー(エリザベス・テーラーが撮影中すごく幸せそうだったと聞いた、リチャード・バートンとの共演作「夕なぎ」)
原作 ジョームズ・ハドリー・チェイス「悪女イブ」
脚本 ユーゴ・バトラー/エヴァン・ジョーンズ
撮影 ジャンニ・ディ・ベナンツィオ
音楽 ミシェル・マーニョ/ビリー・ホリディ「柳よ泣いておくれ」
出演 ジャンヌ・モロー(エヴァ)/スタンリー・ベイカー/ビルナ・リージ
  メモ 1999.7.9(金)ビデオ
あらすじ
ウェールズの炭坑労働者だった新進作家のセルジオ・タイビィアンは、デビュー作が映画化され美人のフランチェスカとも恋人の中。が、世の中好事魔多し。映画祭で訪れたヴェネチアで、だれのものでもない奔放なエヴァと出会いがしら、ノックアウトされてしまった。
感想
「エヴァの匂い」という邦題は、原題「EVA」を越えていると思う。 パトリック・ジュースキントの
「香水」は正解かもしれない。
こういう結末になるんですね。ほぉ
男の愛情を必要としないエヴァを悪女としてのみ描くのではなく、その存在が肯定的に捉えられているのが印象に残る。

原作は、ジョームズ・ハドリー・チェイスの「悪女イブ」。中年ジュリーさんに教えていただいた作品です。
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殺しの接吻 NO WAY TO TREAT A LADY
米国 1968年 109分
監督 ジャック・スマイト
原作 ウィリアム・ゴールドマン
脚本 ジョン・ゲイ
出演 ロッド・スタイガー(クリストファー・ギル「夜の大捜査線」)/リー・レミック(ケイト「或る殺人」「オーメン」)/ジョージ・シーガル(モリス・ブラメル「ウィークエンド・ラブ」←ずいぶん昔に一度みたっきり。この映画また見たい)
メモ 1999.7.8(木)WOWOW録画
感想
すごいよ、この映画。なんとあのいかついロッド・スタイガーの女装が見れる(笑)。
一人暮らしの中年女性ばかり5人殺して”額に唇を描く”というシリアル・キラーの話という事だったので、暗いかと思ったら結構明るく、コミカル。それだけに気持ち悪いところもあり。
マザコン男ふたり(ロッド・スタイガーの犯人とジョージ・シーガルの刑事)の話っちゃあ、身も蓋もないか。 刑事のママの「ユダヤのママ」ぶり、実にうまいです。母と息子のやりとりに思わず笑ってしまった。
 息子が口笛を吹いていただけで>「女のことを考えているんでしょ(彼女ができたのね)」と見抜く(恐いぞ〜)
 「ユダヤ人?」
 「知らない。宗教の話はしない。」
 「異教徒なの! もういいわ。聞きたくない。頭がいたいわ。・・・・・・・・それで?」
 「聞かないんじゃ?」
 「私だって聞きたくないけど・・・・・使命感よ」(^^)

ロッド・スタイガーの6変化が見れます。カトリックの神父、ドイツ人の配管工、フランス人のカツラのセールスマン(ゲイっぽい)、警察官(アイルランド系か?)、娼婦、ウェイター(愛川欽也にちょっと似てた)に変装すんねんけど、やっぱ警察官が一番似合ってた。
おすすめ度★★★1/2
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男の敵 THE INFORMER 1935年度アカデミー監督賞、主演男優賞、脚色賞、作曲賞
米国  1935年 92分 モノクロ
製作・監督 ジョン・フォード
脚本 ダドリー・ニコルズ
撮影 ジョゼフ・H・オーガスト
音楽 マックス・スタイナー
出演:ヴィクター・マクラグレン(ジッポ)/ヘザー・エンジェル/プレストン・フォスター
メモ 1999.7.4(日)CS録画
あらすじ
アイルランド独立運動の秘密組織の一員だったジッポは、大男で怪力の持ち主だが頭がない。幼なじみで知恵者の相棒フランキーが警察に追われ逃亡中に、組織の仕事をしくじり除名されてしまった。うらぶれて街をさまようジッポはフランキーの懸賞金のポスターを見る。情報提供者には20ポンド与えると書いてある。20ポンドあれば恋人とアメリカへ行ける。母親と妹にひとめ合いに帰ってきたフランキーをジッポは警察に売ってしまう。フランキーは実家で警察と銃撃戦となり母と妹の目の前で撃ち殺された。組織をあげて密告者探しが始まる。ジッポは20ポンドの金が入り気が大きくなり、あそこの酒場でおごりここの酒場で散財しと、抜け目ない人々にたかられむしり取られてしまう。
感想
4度アカデミー賞を受賞したジョン・フォード監督の第1回受賞作。
仲間に見放され金も職もなく好きな女は街娼になりそうという、これ以上落ちる所がないほどのどん底状態がまだ天国だったと思えるような転落の一晩です。
アイルランド・ダブリンの夜の暗さと霧の不気味さ、追われさまよう男の息づかいが聞こえてきそうな映像がすばらしい。

ヴィクター・マクラグレンという方が演じたジッポ、「滅びゆく恐竜」のようなチエの回らない哀れな大男は、とても演技とは思えませんでした。アカデミー主演男優賞もうなづける。
おすすめ度★★★
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悪魔のワルツ THE MEPHISTO WALTZ
米国  1971年 109分
製作総指揮 クイン・マーチン
監督 ポール・ウェンドコス
原作 フレッド・マスタード・スチュアート(角川文庫)
脚本 ベン・マドウ
撮影 ウィリアム・W・スペンサー
音楽 ジェリー・ゴードスミス
出演 アラン・アルダ(
「世界中がアイ・ラブ・ユー」)/ジャクリーン・ビゼット(ポーラ)/バーバラ・パーキンス(ロクサーヌ)/クルト・ユルゲンス(「眼下の敵」「眼には眼を」)
メモ 1999.7.4(日)CSスターチャンネル
あらすじ
音楽評論家のマイルズ(アラン・アルダ)は、名ピアニスト・ダンカン(クルト・ユルゲンス)にインタビューをしたのが縁で頻繁に彼の屋敷を訪れるようになる。ラフマニノフの手をしているとダンカンに絶賛されたマイルズは、昔ジュリアード音楽院で学びピアニストとしてデビューしたが、評論家達の酷評で挫折した過去があった。
感想
あんまり面白くないなあと思って見ていました。「悪魔崇拝」というホラーなのに怖くないんです。死んだダンカンが夫に乗り移り、不安と恐怖で狂いそうな妻ポーラ役のジャクリーヌ・ビゼットは美しい人だけれど演技派ではないんかしらんとか思ってなめた気持ちで見ていたんですけれど・・・。
この話、よくできていますね。そう思って検索したら原作がありました。フレッド・マスタード・スチュアートという人の作品で角川文庫から出版されているようです。
冗長でキレのない演出がもったいない。でもクルト・ユルゲンスはよかったです。
おすすめ度★★
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裸のキッス THE NAKED KISS
米国 1964年 92分
制作・監督・脚本・撮影 サミュエル・フラー(
「殺人地帯USA」
撮影 スタンリー・コルテス
美術 ユジェーヌ・ルリエ
音楽 ポール・ダンラップ
出演 コンスタンス・タワーズ/アンソニー・アイスリー/マイケル・ダンテ/バージニア・グレイ
メモ 1999.7.4(日)ビデオ
あらすじ
ヒモを殴りお金を奪って小さな田舎町に逃げてきた娼婦のケリーは、ここで新しい生活を始めようとする。病院に勤め、子供たちからも同僚からも慕われ白衣の天使になる。町の名士からは結婚を申し込まれ永遠に幸せな日々が待っているはずであった。
感想
ビデオ屋さんではカルト映画の棚にありました。この映画のどこがカルトなんかなあと思いながら見ていたら、そうか、そうだったのか。少し時代を感じさせるなあとか現代では作りにくい映画かなあとか、気を緩めて見ていたので考えが及びませんでした。

ファースト・シーンで観客を映画に引き込む事を重要なポイントと考えていた監督らしく、美女が男を殴り続ける暴力シーンから始まるという作品です。
おすすめ度★★★1/2
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ハムナプトラ /失われた砂漠の都 THE MUMMY
米国 1999年 125分
監督・脚本 スティーブン・ソマーズ(「ザ・グリード」)
クリーチャー ニック・ダドマン(「インタビュー・ウィズ・バンパイア」)
視覚効果 ジョン・バートン(「MIB」)アレクサンドル・カザンツェフ、パーヴェル・ウルシャンツェフ
特殊効果 クリス・コーボールド(「ゴースト&ダークネス」)
音楽 ジェリー・ゴールドスミス
出演 ブレンダン・フレーザー(リック・オコンネル
「くちづけはタンゴの後で」)/レイチェル・ワイズ(エヴリン「アイ・ウォント・ユ−」)/ジョン・ハナ(エヴリンの兄ジョナサン「スライディング・ドア」)/アーノルド・ボスルー(イムホテップ「ハード・ターゲット」のランス・ヘンリクセンの子分NO1)/ケビン・J・オコナー(日和見ベニ)/エリック・アヴァリ(博物館長「ID4」)/ジョナサン・ハイド(エジプト学者)/オーディド・フェール(ハムナプトラを守る衛兵の子孫アーデス・ベイ)
メモ 1999.7.3(土)道具屋筋 千日前セントラル
あらすじ
紀元前1290年エジプト第19王朝の時代、(TV番組「不思議発見!」で何度もお勉強している「王の中の王ラムセス2世」の)父親セティ1世には愛妾がいた。その愛妾アナクスナムンは、高僧イムホテップと密かに愛し合っていた。しかしその命を賭けた禁断の恋をセティ1世が感づき2人はセティ1世を殺害してしまう。衛兵に追われアナクスナムンは自害する。逃げ延びた高僧イムホテップは、愛するアナクスナムンを蘇生させようとするが、途中で取り押さえられる。この悲しい恋物語は、イムホテップが世にも恐ろしい極刑”ホムダイ”に処せられた事で封印されてしまう。極刑”ホムダイ”とは、死の直前の苦しみもがく状態で永遠に生き続けなければならないという恐ろしい刑であった。この刑は両刃の剣であり、封印された呪いが解かれた時、エジプトには10の災害が降りかかるのだ。
感想
肩の凝らない、怖くて、楽しくて、ちょっと気持ち悪い冒険活劇。面白かったわあ。ブレンダン・フレーザー好きやし大大満足(^^)v
こういう活劇は、作り手も楽しんでいる感じが伝わってくる映画が好き。「フォー・ウェディング」のゲイ・カップルの片割れ役で印象深いジョン・ハナが兄ジョナサン役など、脇もいい。超有名俳優は、いらんね。
ミイラ連中も怖いというよりコミカルでした。ミイラ衛兵との闘いが「アルゴ探検隊の大冒険」の骸骨軍団との闘いを思い出し楽しい。
英国の俳優さんが多数参加している事から、英国風味濃厚。エンディングロールもよいゾ。

この映画は、ミイラが昔の女を捜してウロウロするという「ミイラ再生」のリメイクかなとさぼてん男が言う。「THE MUMMY」という原題が同じ事からもそうかもしれませんね。
満足度★★★★1/2
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