1999年2月の映画


デイライト DAYLIGHT
アメリカ 1996年 115分
製作 ジョン・デイビス/ジョゼフ・M・シンガー/デビッド・T・フレンドリー
監督 ロブ・コーエン(「ドラゴンハート」)
脚本 レスリー・ボーエン
撮影 デビッド・エグビー
音楽 ランディ・エデルマン
美術 ベンジャミン・フェルナンデス
出演 シルベスター・スタローン/エイミー・ブレネマン/スタン・ショー/ヴィゴ・モーテンセン/ジェイ・O・サンダース/クレア・ブルーム(「ライムライト」)/セイジ・スタローン
メモ 1999.2.28(日曜日)ビデオ録画
あらすじ
ニューヨークのマンハッタン島とニュージャージーを結ぶ海底トンネルで大事故が発生。科学物質を積んだトラックが爆発し、出口は壊れトンネル内では火災が発生。酸素は後3時間しかもたない。元緊急医療班で現在はタクシーの運転手をしているキットは、トンネルに閉じこめられた生存者を救出すべく単身トンネルの中に潜り込む。
感想
成長したねスタローン。「クリフ・ハンガー」では「他の人にもちょっとは、エーカッコさしたれよ。」と思うくらいのワンマンショーやったのに、今回は生存者達と力を合わせて脱出を試みる(笑)。
ハラハラどきどきあり、ドラマありのパニック大作。思っていたよりもずーっと面白かった。

実業家で冒険野郎のヴィゴ・モーテンセンって方
「アルビノ・アリゲーター」のメガネかけた人だったんですね。全然ちゃうやん・・・。
おすすめ度★★★1/2
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血を吸うカメラ PEEPING TOM
英国 1960年 102分
監督 マイケル・パウエル(「赤い靴」)
脚本 レオ・マークス
撮影 オットー・ヘラー
音楽 ブライアン・イスデール
美術 アーサー・ローレンス
出演 カール=ハインツ・ベーム(マーク・ルイス)/アンナ・マッシー(ヘレン「フレンジー」)/モイラ・シアラー(ビビアン「赤い靴」)/マキシン・オードリー(ステファン夫人)/エズモンド・ナイト(アーサー・バーデン)
メモ 1999.2.27(土曜日)扇町ミュージアムスクエア
あらすじ
ある夜、街頭で娼婦を拾った男はカメラで隠し撮りをしていた。部屋に連れ込んだ娼婦の顔が恐怖に歪んでいく。翌朝、犠牲者が運び出される様子を撮影している男がいた。その男マーク・ルイスは、映画撮影所のカメラマンであり、アルバイトにヌード写真の撮影をしていた。彼の亡くなった父親は高名な心理学者であり、研究テーマは人間の<恐怖>に対する反応。マイクは幼児期から父親の研究対象とされ恐怖の体験をカメラやテープに録音されて育っていた。
感想
5、6年前にCSで放送していたのを見逃した作品。40年前、時代を先取りしたため理解されなかったカルト・ムービー
「硝子の塔」 
「殺人論文 テシス」の原点がありました。
300円のパンフを読むとなかなか力の入った解説です。サイコ・ホラー、スナッフ・ムービーとはいえ、人間の深層心理、業に迫っています。以下パンフからの引用です。

ホラー映画というのは元々ドイツの伝統であり、英国人は好まないため製作当時激しいパッシングを受け、興行的にはおおコケしたそうです。この映画は心理学者の父親からモルモットとして育てられ社会不適応、異常性格者となった主人公もまた犠牲者として描いています。これは当時としては許されない表現だったと思う。また、主人公は映画製作のスタッフであり、映画製作そのものもテーマです。つまり、映画の罪=映画を見ることは一種の覗き見であり、映画製作とは他人のプライバシーを侵害する行為でもあり得るという事。人がホラー映画を好むのは、殺人に対し魅惑を感じている気持ちがどこかにあるのを否定できない。これは明確に認識しておく必要があると思う。

映画の描写についてですが、マークがナイフを犠牲者に突き立てて迫るのは性的な代償行為であり、また女性を憎んでいるのは、母が亡くなって6週間で再婚した父の再婚相手を嫌っている事を投影しています。マークは、その父の再婚相手をピンぼけの映像しか写せないノーなしと侮蔑しています。ヘレンの母親を盲目の人として設定しているのは、マークが唯一自分を見る事のできない人物にはじめて出逢った時のショック、いかに自分が「見る、見られる」事に支配されているかを現しているそうです。実に濃い内容の解説でした。
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宗家の三姉妹 THE SOONG SISTERS
香港・金像奨6部門受賞、中国・金鶏奨特別賞/百花奨励賞、台湾・金馬奨3部門受賞
香港=日本 1997年 165分
監督 メイベル・チャン(「誰かがあなたを愛している」)
脚本 アレックス・ロー
撮影 アーサー・ウォン
音楽 喜多郎/ランディ・ミラー
衣装 ワダ エミ
出演 ミシェール・ヨウ(宗靄齢)/マギー・チャン(宗慶齢)/ヴィヴィアン・ウー(宋美麗)/ウィンストン・チャオ(孫文)/ウー・シングォ(蒋介石)/チャン・ウェン(チャーリー宋)/エイレン・チン(宋夫人)/ニウ・チェンホア(孔祥煕)
メモ 1999.2.25(木曜日)心斎橋パラダシスシネマ
あらすじ
上海で印刷業を営み一代で財を築いたチャーリー宋は、3人の娘を因習にとらわれず勉学のためアメリカ留学をさせる。長女宗靄齢(あいれい)は孔子の末裔で大財閥の御曹司・孔祥煕と、次女宗慶齢(けいれい)は、父の親友革命家の孫文と、三女宋美麗(びれい)は国民革命軍の総司令官・蒋介石と結婚する。
感想
意外に歴史物の映画好きです・・・あまり見ていませんが(汗)。おおづかみですが、アジアの近代史を知る事ができました。宗家の三姉妹については、台湾(中華民国)の蒋介石夫人の宋美麗は美人で社交家だった事もあり、中国(中華人民共和国)の毛沢東夫人江青が目の敵にしていたと母から聞いた覚えがあります。育ちのよいすごく美しい小さな足に嫉妬したとかの噂は有名ですね。この時代にあって3人の女性は運命に翻弄されながらも主体的に人生を切り開いていきます。次女宗慶齢と三女宋美麗は相手に妻子があったという略奪婚です。

20世紀初頭から70年に及ぶ中国本土、台湾、香港、上海、日本、アメリカを巻き込んだ環太平洋映画。将来を見据えた内容です。激動の20世紀を「宗家の三姉妹」を通して総括する事で、大国中国は21世紀に向けて一歩ふみだしたなって感がある。
中国の人は家族の間でも策士です。比べて島国で世間知らずの日本は物事を疑わずお人好しなのではないかと思う。
おすすめ度★★★★
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飛べ!フェニックス THE FLIGHT OF THE PHOENIX
米 1965年 141分
監督 ロバート・アルドリッチ
原作 エルストン・トレバー
脚本 ルーカス・ヘラー
撮影 ジョゼフ・バイロック
音楽 フランク・デ・ボール
出演 ジェームズ・スチュアート/リチャード・アッテンボロー(「ジュラシック・パーク」)/ハーディ・クリューガー(「シベールの日曜日」)/ジョージ・ケネディ/アーネスト・ボーグナイン
メモ 1999.2.20(土曜日)WOWOW録画
あらすじ
乗員乗客14人を載せた石油会社の飛行機が砂嵐に巻き込まれ、サハラ砂漠に不時着する。英国の軍人、ドイツの技術者、メキシコの労働者、仏の医者、米国の労働者、パイロットという様々な男達が飛行機を改造し脱出を試みる。
感想
男だけのキャストという骨太な男の子映画。 
「キッスで殺せ」 「何がジェーンに起こったか?」 「特攻大作戦」 「北国の帝王」 「カリフォルニア・ドールズ」のロバート・アルドリッチ監督作品。
若いドイツの航空技術者(ハーディ・クリューガー)=緻密で自分の論理的な計算結果に絶大の自信を持っているデジタル人間 対 米国のパイロット(ジェームズ・スチュアート)=長い経験・知識・カンと天性のパイロットのアナログ人間が、初めは水と油のように相容れなかったのが最後はお互いをみとめあうという人間ドラマも描かれています。 オチがケッサク(笑)

設計技術者ハインリッヒに労働者のひとりが言う。「(そんなに優秀なのに)なんでドイツは戦争に負けたんだ?」 「僕はまだ従軍していなかったから」(笑)

この映画を見ていてさぼてん男が言う「あのナビゲータ役(リチャード・アッテンボロー)って「大脱走」で何度も脱走を繰り返しているリーダーの軍人とちゃうかな」・・・う〜ん、いまさらながら気づきました。見た当時はスティーブ・マックィーンとかジェームズ・コバーンに目を奪われていたから。

機械いじりのすきな子にはたまらん映画ではないでしょうか。兄もよくゴムでプロペラ回して飛ばす軽飛行機作ってました。竹ひごをろうそくの火で曲げて、翼の骨組みをつくり、骨組みに紙を貼ってマークを描いたり、接続部分はキビを使って切ったり貼ったり長い時間かけて作って、完成して空き地でいっぺん飛ばしたら墜落して、翼が折れて、それでもまた部品を買ってきて組み立てて・・・・いったい何がおもしろいんやろかと思って横で見ていました。
おすすめ度★★★1/2
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ワイルドシングス WILD THINGS(手を焼く、やっかいな連中)
米 1998年 108分
監督 ジョン・マクノートン(「ヘンリー」「恋に落ちたら・・・」)
脚本 スティーブン・ピーターズ
撮影 ジェフリー・L・キンボール、A.S.C.
出演 マット・ディロン(サム・ロンバート)/ネーブ・キャンベル(スージー「スクリーム」)/デニース・リチャーズ(ケリー「スターシップ・トゥルーパーズ」)/ケビン・ベーコン(刑事レイ・デュケ)/テレサ・ラッセル(「ボンデージ」)/ダフネ・ルービン=ベガ(刑事グロリア)/ロバート・ワグナー(弁護士トム・バクスター)/ビル・マーレー(弁護士ケン・ボウデン)
メモ 1999.2.19(金曜日)梅田ピカデリ
あらすじ
フロリダ州のブルー・ベイ。美しい海とアリゲーターが棲む湿地帯が広がっている町の高校生ケリーが、教師サム・ロンバートからレイプされたと訴える。生徒達から慕われているサムにはまったく身に覚えのない出来事。半信半疑の刑事達の前にもうひとりレイプされたと訴える生徒スージーが現れる。
感想
見終わった直後はちょっと食傷気味。ここまでするなら、いっその事
「真夏の出来事」のようにサスペンス・コメディにした方がよかったかも。
後から色々考えてみると、それぞれが考えている絵が違っていて、最後にはまったく違う絵になっているっていうのが良くできていました。
私には、あまり期待しないで見たら「わりと面白かったな」の作品。

<おまけ>ケリーのママ役だったテレサ・ラッセル主演の映画「ボンデージ」はコールガールの一夜なんですが、ごっつエロチックでした。監督は鬼才ケン・ラッセル。
おすすめ度★★1/2
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のど自慢
日本 1998年 分
監督 井筒和幸(「さすらいのトラブルバスター」)
脚本 阿倍照男
撮影 浜田毅(「僕らはみんな生きている」)
音楽 藤野浩一
美術 中澤克己(「家族ゲーム」)
出演 室井滋(赤城麗子・藤本鈴子)/尾藤イサオ(須貝)/小林稔侍(散髪屋・麗子の父)/大友康平(荒木圭介)/松田美由紀(圭介の妻・美代子)/佐々木すみ江(圭介の義母)/坂上香(ピーコちゃんの先輩)/伊藤歩(女子高生・高橋里香)/りりぃ(里香の母)/初瀬かおる(里香の姉)/北村和夫(孫と暮らす耕太郎)/竹中直人(タクシー運転手・近藤)/岸部一徳(審査委員長)/田口浩正(ディレクター)/由利徹(住職)/古小谷雅人(作曲家)/坂本冬美/大川栄策/金子辰雄
メモ 1999.2.16(火曜日)三番街シネマ2
あらすじ
群馬県の地方都市桐生には宇宙から降りてきた円盤かとみまごうばかりのピカピカの「市民文化会館シルクホール」がある。明日はこの会場で「のど自慢」の予選会なのだ。落ち着かない町の人達。カラオケも満員御礼。
感想
歌のある映画っていいもんだなあとしみじみ思う。選曲がすばらしい。一生懸命歌っている姿にがんばれといいたい。土のにおいがしてベタベタでダサダサで、おかしくてそして少し悲しい映画です。

町の散髪屋では父親ふたりがそれぞれの娘を自分達なりに案じている。
父が失業している家では娘三人が父親に元気になってほしいと思っている、そして父はそれに答えたい。
隣の町では祖父は学校に行かない孫に勇気を持って欲しいと思う。
父親を知らない高校生は姉に幸せになって欲しいと願う。
そして地元に帰ってきている売れない演歌歌手赤城麗子は思いっきり歌を唄いたい、大勢の人に聞いて欲しいと思う。
それぞれの口に出せない思いがひとつの舞台に結実しパワー溢れる映画となっています。

赤城麗子のマネージャー尾藤イサオがよかった。
何故この業界から足を洗わないのか、どうしてずっと地方回りをしているのかわからないなりに、よかった。
夢をもっている男だと思う。最後のクレジットではあいかわらずステキな声でした。

パンフに載っていた大友康平の「下手に唄おうとしても自分には無理なんです。」というまじめな言葉がマジに可笑しい。
演歌は気恥ずかしくて苦手。でも向田邦子さんの本を読んだ時「人生ふんばらなければならない時には演歌があう」という一行で「演歌の底力」というのを私は知りました。
おすすめ度★★★★
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アパートメント・ゼロ APARTMENNTO ZERO(0)
米 1986年 124分
監督・脚本 マーチン・ドノバン
製作・脚本 デビッド・コープ
撮影 ミゲル・ロドリゲス
音楽 エリア・クミラン
出演 コリン・ファース(エイドリアン)/ハート・ボックナー(ジャック)/ベリル・レイド
メモ 1999.2.14(日曜日)WOWOW録画
あらすじ
フォークランド戦争後のアルゼンチン南米の楽園ブエノスアイレス。名画座を経営するエイドリアンは大使の父と英国で16年過ごした英国紳士風。閑古鳥が鳴く映画館、療養中の母の病院代のためルームメイトを募集する。部屋番号は0号。
感想
「アナザー・カントリー」(アナカン)のコリン・ファース主演。いつもこうもり傘を手放さず、爪を噛み内股のマザコン、内向的で孤独な異邦人エイドリアン役。
ブエノスアイレスというのはゲイの多い都市なんでしょうか?ありがちなサスペンスではありますが、そこはそれコリン・ファース様がでてらっしゃるから(*^^*)

この映画の見所はやはり「主役以外の3人の出演者から映画名をあてるゲーム」ですね。勉強になります。
「ロバート・デュバル、ハリソン・フォード、テリー・ガー」 → 「カンバセーション/盗聴」、ワーこれだけで「アパートメント・ゼロ」はいい映画だゾ。なんだか嬉しいゾ。「カンバセーション」は好みではぜんぜんないけれど、ユニークな作品。フランシス・フォード・コッポラ監督。ラストのジーン・ハックマンのサックスシーンは必見。
おすすめ度★★★
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殺られる
仏 1959年 88分
監督 エドアール・モリナロ
原作・脚本 G・モリス・デュムラン
脚本 アルベール・シモナン
撮影 ロベール・シュイヤール(「居酒屋」)
音楽 アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズ
出演 ロベール・オッセン(ピエール)/フィリップ・クレー/エステラ・ブラン(ベアトリス)/マガリ・ノエル
メモ 1999.2.14(日曜日)WOWOW録画
あらすじ
ところはマルセイユ、ピエールが仕事を終えて帰ってくると婚約者のベアトリスが出かけるところだった。「最近夜遊びが過ぎやしないか?」「まだ、結婚もしていないのよ」と振り切っていくベアトリス。彼女が心配で後をつけるピエールは男に襲われる。パーティに若い美人を集めだまくらかして外国へ売り飛ばす組織だった。
感想
フィリップ・クレーが演じた殺し屋が有名ですが、ほんまいっぺん見たらあのギョロ目は忘れられへんね。本業はシャンソン歌手だそうです。モリナロ監督にご面相を買われて出演とか。チューインガムをくっちゃくっちゃ噛みながら、クールでなんかユーモアもちょっぴりあって、でも殺しは素早い。この映画のクレーを見て悪役の研究している役者さん、多いんとちゃうかな。
音楽はアート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズのモダン・ジャズ。フィルム・ノワールの傑作群の一つです。
おすすめ度★★★★
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X線の眼を持つ男 "X":THE MAN WITH THE X-RAY EYES
米 1963年 88分
製作・監督 ロジャー・コーマン(
「リトル・ショップ・オブ・ホラーズ」
脚本 ロバート・ディロン/レイ・ラッセル
出演 レイ・ミランド/ディナ・バン・デル・ブリス/ジョン・ボイト
メモ 1999.2.13(土曜日)CS録画
あらすじ
医師のジム・エグゼイビアは、人間の体を透視する目薬を発明する。けっしてドレスの下を覗こうというゲスな目的のためではなく、患者の治療のために役立つ画期的な発明のはず・・だった。
感想
電磁波には多くの種類があるが、人間の眼にはそのうち一部の電磁波(可視光線)しか見えない。しかし、物体を透過する電磁波(たとえばX線)も存在する。この映画はそんな電磁波を見ることができるようになった男の話。

という説明を聞いたら、「そしたら物の外側も内側も両方見えるわけ? それとも中味だけ見えるの?」という疑問がわくはず。
最初は外側だけ、内側だけと調節でき「パーティにきている美女のすっぽんぽん」も楽しめるが、お約束通り機能が狂ってきて、そして見えすぎる眼の行き着く先は・・・ラストは少し衝撃的です。低予算B級カルト映画。
おすすめ度★★★1/2
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ガタカ GATTACA
米国 1997年 120分
監督・脚本 アンドリュー・ニコル初監督作品(「トゥルーマン・ショー」の脚本家)
撮影 スワヴォミル・イジャック(「トリコロール/青の愛」)
音楽 マイケル・ナイマン(「ピアノ・レッスン」)
美術 ヤン・ロルフス(「オルランド」)
製作 ダニー・デビート
出演 イーサン・ホーク(ビンセント)/ユマ・サーマン(アイリーン)/ジュード・ロウ(ユージーン)/ローレン・ディーン/アラン・アーキン/アーネスト・ボーグナイン
メモ 1999.2.11(木曜日)ビデオ
あらすじ
シャワーを浴びながら、体中の毛をこすり落としている若い男がひとりいた。近未来、優秀な遺伝子(DNA)をデザインされた”適正者“たちのみがエリートとしての道を歩める。両親が偶然にまかせて生まれたビンセントは、生まれた直後の血液検査から寿命は30才と烙印を押されていた。断ちがたい宇宙へのあこがれから、彼は勝負にでる。
「GATTACA」はDNAに含まれる4つの物質(g:グアニン、a:アデニン、t:チミン、c:シストシン)から取られているそうです。
感想*ネタバレあり*
SF物と思っていたのですが、違いました。サスペンス仕立てでもの哀しい青春物語。男の成長物語。イーサン・ホーク、ユマ・サーマン、ジュード・ロウがピタリとはまる無機質で硬質な美しい映像と音楽(ガタカ・ワールド)です。おそらくもう地球に帰ってこない事を覚悟した若者は、宇宙の果てを見るために飛び去りました。

ストーリーとしては、ショーン・アステン(「トイ・ソルジャー」)主演の「ルディ/栄光のウィニングラン」と似ています。体が小さく、アメフトは無理とされた主人公の努力、努力、努力の感動物語です。この話も最初は大学の掃除人でした。そういえば、
「グッド*ウィル*ハンティング」のマット・デイモンも掃除人でしたね。
 アラン・アーキンなかなか見つけられませんでした。年とった方の刑事役でした。若い方の刑事役ローレン・ディーンかっこよかった。「くちづけはタンゴの後で」で、リッキー・レイクを捨てる男のカスです。「アポロ13」ではなんの役だったか思い出せません。
アーネスト・ボーグナインは、掃除人の親方でしたね。お元気でした。ほんまスイマセン。

「スタイリッシュ過ぎるのが鼻につく」というさぼてん男は「身代わりに宇宙に行くんやったら、「新生人 MR.アンドロイド」の方が面白かった。」と言ってますが、芸術家肌のさぼてんは(うそ)「ガタカ」がよかったです。このびったりの映画名からしてセンスいいと思う。ちなみに「新生人 MR・アンドロイド」は「仮面の男」のアトス役、名優ジョン・マルコビッチ主演+二役のSFコメディ映画という一度見たら忘れたくても忘れられん映画です(^^)。
おすすめ度★★★★
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HANA−BI ベネチア国際映画祭金獅子賞
日本 1997年 103分
監督・脚本・挿画 北野武
撮影 山本英夫
音楽 久石譲
出演 ビート・たけし(西)/岸本加世子/大杉漣(堀部)/寺島進(中村)/白竜/渡辺哲/薬師寺保栄/大家由祐子/芦川誠(田中)/逸見太郎
メモ 1999.2.10(水曜日)肥後橋リサイタルホール・朝日ベスト10シネマ
あらすじ
銃を持ち逃走している犯人を張り込んでいる刑事達。「自宅にはまいもどって来ないだろう」と踏んだ堀部(大杉漣)は西(ビート・たけし)に「奥さんの入院している病院が近くだから、見舞いに行って来たら」と勧める。西が病院に行っている間に、堀部は犯人に撃たれ、駆けつけた西の目前で田中が射殺される。
感想
やはり、いい映画でした。
幼い子供を失い、妻は不治の病で長くなく、同僚を失い、そして刑事という職も失うという手の平から砂が止めどもなくこぼれ落ちるような”喪失”を描いた作品。最後に残ったのは西の”妻と夫の絆”と堀部の”生への絆”。
堀部が初めは「去年の夏、家族3人で遊びに行った海」「大きかった花火」「見上げた夜空の天の川」の絵を次々描いていって、「春爛漫の桜の下で車椅子に乗った自分が、ひとり」の絵まで行き着き、現実と向き合う気持ちを持っていく過程がとても映画に彩りと奥行きを与えている。
「男の責任の果たし方」という北野監督の美学がつらぬかれています。

岸本加世子が少し苦手で躊躇していたのですが、寡黙な役柄好演でした。迷った末、時間をおいてスクリーンで見てとてもよかった。
おすすめ度★★★★
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ヴァンパイア/最期の聖戦
米国 1998年 108分
監督 ジョン・カーペンター
出演 ジェームズ・ウッズ(最終回見終わって出てきたら売店は閉められ映画館の人はどこにも見あたりませんでした。パンフ買えず。ボールドウィン兄弟の何人目かもでてはりました。マクシミリアン・シェルのお名前もあったような気がします。)
メモ 1999.2.9(火曜日)梅田東映パラス2
あらすじ
ヴァンパイア・ハンター(聖戦士・スレイヤーズ)のクロウは、軍団を率いて元祖ヴァンパイアのヴァレックを追っていた。
感想
ヴァンパイア物というよりは、正調マカロニ・ウェスタン(うそ^^)。音楽もウェスタン調なん。クロウ(ジェームズ・ウッズ)が親の敵をうつという復讐物やし。ひさしぶりにウェスタン見たなという気がしました。ラストも哀愁あり。カワイソだったね。スプラッタは思っていたより上品(なわけない)。「フロム・ダスク・ティル・ドーン」ほどの事はないっす。

しかし、ボウガンでヴァンパイアの体に矢を打ち込み、ワイヤーでひっぱり太陽の光のもとに引きずり出すという力技。馬が車に変わっただけで、やっぱウェスタンだぞ(誰もちゃうってゆーてへん)。西部劇好き必見(か)。

ヴァンパイアは元神父で異端審問により生まれたという誕生秘話がなかなかバチあたりな映画で面白かった。
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オスカーとルシンダ OSCAR and LUCINDA
オーストラリア 1997年 97分
監督 ギリアン・アームストロング
脚本 ローラ・ジョーンズ
撮影 ジェフリー・シンプソン(「シャイン」)
音楽 トーマス・ニューマン
原作 ピーター・ケリー・ブッカー賞受賞作
出演 レイフ・ファインズ(オスカー「ストレンジ・デイズ)/ケイト・プランシェット(ルシンダ)/サイアラン・ヒンズ(ハセット牧師)/トム・ウィルキンソン(ヒュー・ストラットン牧師)/リチャード・クロスボロウ(ジェフリス)
メモ 1999.2.6(土曜日)ビデオ
あらすじ
時代は19世紀なかばの英国、かなり変わった父に育てられたオスカーは父の宗教に疑問を持ち、賭で決めたイギリス国教会に走った。オックスフォード大での学費欲しさから競馬、カード、闘犬あらゆるギャンブルにも走る。ルシンダはオーストラリアの農場育ち。両親が亡くなり多くの遺産を受け継ぐ。しかし彼女には遺産が重荷であった。ふとした事からカードの味を覚え、ギャンブルにのめり込む。オーストラリア行きの船で二人は出逢い意気投合するが、当時はギャンブルは反社会的であり階級社会の中で孤立する。
感想
「ギャンブル好きで風変わりなふたりの風変わりな恋物語」
いやー・・・退屈でした。特に後半が長かった。欲求不満気味。ちょっと苦手系の映画かな。キリスト教+文学的内容というダブルパンチ(^^;)。

オーストラリアの雄大な自然の中、河をゆらゆら漂ってくる「ガラスの教会」はとてもよかったです。
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シエスタ SIESTA(お昼寝)
米国 1987年 97分
監督 メアリー・ランバート
脚本 パトリシア・ルイジアナ・ナップ
撮影 ブライアン・ロフタス
出演 エレン・バーキン(クレア)/ガブリエル・バーン(オーガスティン)/ジョディ・フォスター/イザベラ・ロッセリーニ/マーティン・シーン
メモ 1999.2.3(水曜日)ビデオ
あらすじ
目覚めると飛行場で倒れていたクレア。ここはスペインらしい。昔の恋人の「結婚する」という手紙を受け取りはるばるスペインまで来たことは覚えている。しかしそれからの記憶がない。深紅のドレスには血がこびりついている。いったい何があったの?
感想
マイルス・ディビスの音楽、スペインの暑い日差し、ぬけるような白いエレン・バーキンの肌、光る金髪、不思議な人々との出会い、何度もフラッシュバックし過去と現在を行き来するという幻想的な作りの映画です。

目の玉飛び出すような驚きがある・・・わけではなく「どっかで見たような気がする」ラストですが、ミステリファン一見の価値あり。エレン・バーキン好きな人も押さえておきましょう。
しかし、ガブリエル・バーンはなんてかっこしいなんだ。またそれが様になってやんの(^^)。
ジョディ・フォスターやイザベラ・ロッセリーニという美女を脇に、鼻にしわをよせて笑うエレン・バーキンが主役というのが、女流監督らしい。
興ざめな”ぼかし”が入るという官能的なシーンもあります。いったいあの”ぼかし”には何が隠されているというのでしょうか? エレン・バーキンがんばってるのに。
おすすめ度★★★1/2
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TAXI
スペイン=フランス 1996年 114分
監督 カルロス・サウラ
撮影 V.ストラーロ
出演 イングリッド・ルビオ(パス)/カルロス・フェンテス(ダニ)
メモ 1999.2.1(月曜日)ビデオ
あらすじ
18才の少女パスは大学入学資格試験をしくじる。髪を刈り上げ、父と同じダクシー・ドライバーとして働き始める。
感想
最初は冗談かと思った(**)。
青白い月の光に照らされた森が美しい。モノクロサスペンス大好きなのですが、それを上回るサスペンスフルな雰囲気、大。
*** ネタバレあります。***
高校時代に読んだ「夜と霧」で一番印象に残っているのは「戦争犯罪人の裁判」で強制収容所や捕虜収容所で犯した罪が次々と明らかにされている時に、数多くの手紙が送られてきたそうです。被告人の隣人や友人達が「○○は、よき隣人(友人)だ。そんな事をするはずがない。(連合軍のでっちあげだ)」という内容。私も内在しているかもしれない善人の狂気というか、イマジネーションの欠けた人々というか、自分の物差しでしか判断しない人達というか、身近な人達であるだけに一層恐いです。
おすすめ度★★★1/2
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