1998年2月の映画

ストレンジャー

米 1995年 87分
監督 ピーター・ホール
脚本 ルイス・グリーン/ジョーダン・ラッシュ
出演 アントニオ・バンデラス/レベッカ・デモーネ/ハリー・ディーン・スタントン/ジョージ・ミラー
メモ 1998.2.27(木曜)WOWOW
あらすじ
多重殺人犯(ハリー・ディーン・スタントン)の精神鑑定をしているサラ(デモーネ)は、突然現れた謎の男トニー(バンデラス)に強く惹かれる。
感想
射的場でデモーネが気を失うのを観てたら、さぼてんの頭の中に大昔のミステリ映画が突如現れ、いやマイッタ。展開が読めてしまった。にもかかわらず、ふたりの熱演で見せてくれる(なにを?)映画でした。
女の人を軽々と持ち上げはるあのごちょごちょっとしたシーンとかで、いつもさぼてん男に「すごいね」って言うと「あの女の人は軽い」とか言われるんです(>_<)。<注>けっして断じてまったく全然のろけではありません。
おすすめ度:★★★★
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ぶくろうの叫び セザール賞最優秀新人女優賞

仏=伊 1987年 102分
監督 C.シャブロル
出演 クリストフ・マラヴォワ(ロベール)/ウィルジニ・テヴネ(ヴェロニク)/マチルダ・メイ(ジュリエット)たぶんこの人が新人女優賞受賞。きれいな人です/ジャック・プノー(パトリック)
メモ 1998.2.24(火曜)ビデオ
あらすじ
妻と別居して傷心のロベールは、近所の美女を夜の庭からひっそり眺めるのを慰めとしていた。気持ちが高じて、とうとう彼女に声をかけてしまった。
感想
パトリシア・ハイスミス原作の映画化 題名に惹かれて観たのです。が.....
何を描いているのかさっぱり(・o・)。 覗き見された女の人の気持ちが全くつかめず。 ラストはどういう事だったのでしょう?

原作を読んで出直してまいります。
おすすめ度:★★
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ミルドレッド UNHOOK THE STARS

米国 1996年 106分
監督 ニック・カサベテス
脚本 ニック・カサベテス/ヘレン・カルドウェル
撮影 フェドン・パパマイケル
出演 ジーナ・ローランズ/マリサ・トメイ/ジェラール・ドパルデュー/ジェイク・ロイド/モイラ・ケリー/デビッド・ソーントーン
メモ 1998.2.22(日曜)CS
あらすじ
夫を亡くし息子は独立、娘は家を出てしまいひとりぼっちになったミルドレッドは、向かいに住むモニカが働きに出ている間、6歳のJJを預かることになる。生き甲斐を得たミルドレッドだったが・・・
感想
最後のミルドレッドの後ろ姿に感動。

ジョン・カサベテスとジーナ・ローランズの息子ニック・カサベテス初監督作品。ジーナ・ローランズは「グロリア」の人。

他の映画との比較は書かんとことは思っているのです。が、この映画を見てると「キャリア・ガールズ」のマイク・リー監督の役作りというのは手が込んでいるのだとわかるような気がする。その人を通して、過去まで透けてみえるような人物造形でした。
この映画のマリサ・トメイや、息子、息子の嫁、娘は、わりとステロタイプだったと思う。
といっても、ローランズとドパルデューはよかった。名優 ドパルデューは、けちょんけちょんにふられても、あったかく笑う顔がフランス男っぽくてステキですよね。
しかし、チーズ工場で働いていて、あんないい家に住めるんですね。(シクシク) 
おすすめ度:★★★1/2
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鬼火

日本 1996年 89分
監督 望月六郎
出演 原田芳雄/片岡礼子/哀川翔/奥田瑛二
メモ 1998.2.21(土曜)朝日ベストテンシネマ リサイタルホール
あらすじ
刑務所から出所した火の玉男・伝説のヒットマン国広法康は、堅気の仕事につこうとするが、弟分の紹介で組長の運転手となる。やみ金融の取り立てで認められ、組員となる。高級クラブのピアノ弾きと知り合い、一緒に暮らしはじめる。
感想
「残りの人生をお前にやる。」とか、ちょっと恥ずかしくなるようなセリフが飛び交う任侠の世界で、結局たった1人の女のために大の男が次々と殺し合うという、よく考えたら滑稽やねんけど、そこがまたいい、哀愁ただよう映画でした。
大阪が舞台で、ゴーガタガタという環状線の音が何度も現れ、雰囲気作りに貢献していました。
原田芳雄は元々髪は短い方がいいと思っていたのですが、声とぼそっとした語り口がとてもよかった。
古本屋さんで「なんぼ?」「1800万円です」といわれて、200円わたして「つり、ええわ。家でも建てて」という100年も前から使い古されているくすぐりも、お約束どおりきっちり決めて面白かったなあ。
そういうベタベタなところと、プールで泳ぐ芸術的な美しいシーンが違和感なく融合されていました。

守口で上映中に映写機の故障でフィルムが破損したそうです。国内には1本しかないので急遽海外から取り寄せ、上映にこぎ着けたということで、やくざ映画で英語字幕いりというまか不思議な映像でした。火の玉男は「Fire man」 消防士みたいやん。
おすすめ度:★★★★1/2
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キャリア・ガールズ

英国 1997年 87分
監督・脚本 マイク・リー
出演 カトリン・カートリッジ(ハンナ「奇跡の海」)/リンダ・ステットン(アニー)
メモ 1998.2.20(金曜)OS劇場 C.A.P
あらすじ
アニーは、大学時代4年間ルームメイトだったハンナと週末を過ごすためロンドンへやってくる。駅に出迎えてくれたハンナと最初はちょっとぎこちないけれど、大学時代を思い出したりしている内に、だんだんうちとけてくる。
感想
アシッド映画館で「よかった」と言われていたので、見に行って来ました。うん、いい映画でした。脚本がなく、俳優は監督と語りあいながら創り出していくキャラクターになりきってはりましたね。セリフももちろんですが、ファッション、音楽も考えぬかれていました。あのトレンチコートの着こなしはすごかったな。マグリットのポスターの使い方もうまいんです。チラってみせるだけ。
忘れ果てていた過去が突如、品よく襲いかかってきて、心というごくミクロの世界で右往左往するママをみて、破局へと突き進むのかと最後には硬直状態で観ていた「秘密と嘘」にくらべ、やさしく明るい展開です。ちょっとファンタジーでもありました。

6年ぶりに会いに来たのは、それなりの理由があったからと想像されるにもかかわらず、それには深くふれない所とか、将来の計画についても根ほり葉ほり問いつめない所とか、ただ会って、昔を思いだし旧交を温め、そして「前進あるのみ」と別れていくという、多くを語らないけれど、わかりやすい映画でした。

中華料理店での2人の会話を聞いていて、思い浮かべたのが「じゃりんこチエ」。どーしてこういう連想になるかよくわからないんですが。2人を見ていると、チエちゃんとヒラメちゃんが、親友でお互いとても大事に思っていて、だから気を使って話をして時々互いに誉めあったりしている姿がなんだかそっくり。
私とは、境遇が違っていて、共鳴できる部分が少なかったことがとても残念でした。鳥居さんは、「キャリア・ガールズ」の方が好きと言われてましたが、私は「秘密と嘘」の方が好みかな。(いやべつに境遇が同じというわけではありませんが(^_^))
おすすめ度:★★★1/2
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ロンリー・ウーマン 1986年モントリオール国際映画主演女優賞

旧ソ連 1986年 89分
監督 ヴャチェスラフ・クリシトフォォーヴィチ
出演 イリーナ・クプチェンコ/アレクサンドル・ズブルーエフ/エレーナ・ソロヴェイ/マリアンナ・ヴェルチンスカヤ
メモ 1998.2.17(火曜)国名小劇(くにめ)
あらすじ
婦人服の裁断師として働くクラウジアは、一人暮らし。ふと気がつくと43才になっている。あと10年くらいしかチャンスは残っていない。突然焦って「孤独な独身女性。交際相手を求む」と街に張り紙をしてみた。あらわれたのは、アル中でプータローのワレンチノだった。
感想
野球と同じで、人生にもチャンスは2、3度しか訪れないような気がする。走っているチャンスの神サンは、前髪は長いけど後ろ頭はツルツルで、待ちかまえていないと捕まえられない。後から追いかけてもダメっていうのを思い出した。

北に交際相手を求む孤独な女性がいて、南に慰めてくれる相手を求めている男性がいて、需要と供給が一致しているにもかかわらず、何かが邪魔して、ピッタリはまらないのはなんでやろね。(だいたい、ピッタリはまる相手なんていないのだ。それは錯覚)お互いの思いがズレルのが人生やねんね(しみじみモード)
おすすめ度:★★★1/2
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リング・らせん

日本 1998年 分
監督 中田秀夫/飯田譲治
プロデューサー 河井真也(「スワロウテイル」)/仙頭武則(「萌の朱雀」)/一瀬隆重(「帝都物語」)
出演 中谷美紀/真田広之/佐藤浩市
メモ 1998.2.16(月曜)南街東宝

感想
「恐いらしい」とヒソヒソ言うと、さぼてん男が「ほんなら、ワシが一緒にいったる」(←ほんとは、自分が観たい。)と言う。「恐いからヤー」とだいぶごねたんやけど、あーやこーや言いくるめられて、観に行くことに・・・・。
2作で1800円より、「リング」が1200円、「らせん」が600円の方がよかったのではないでしょうか。さぼてんは、「リング」の恐いのが「らせん」で薄められてよかったんやけどね。家に帰って「暗いとこイヤ」とかいうと、「えー年して何ゆーてんねん」とか言われるんですけど、年と関係あるんでしょうか?

「らせん」のあの”からみ”はなんなんだ。(それもたいした事ない<<さぼてん男評) なんで、あんなとこで、ビデオを壊すの。あの陳腐なセリフは何? 佐藤浩市まで使ってぇ、と2人のシーンがマイナスだったなあ。
おすすめ度:★★★
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息子の告発 東京国際映画祭京都大会グランプリ

香港=中国 1994年 101分
監督 イム・ホー
出演 トゥオ・ツォンオワ/スーチン・カオワー
メモ 1998.2.15(日曜)NHK教育
あらすじ
24才の関健は、冬の朝、警察にやってきて殺人の告発をする。10年前に自分の父が亡くなったのは、母親が毒殺したのではというものだった。(実話を元に映画化)
感想
佐藤忠夫さんの解説は、私に「この映画を見る視点」というのを教えてくれる。
香港育ちで英国風の教育を受けた制作者たちは、自分たちは切り離された国で育っており、同じ漢民族の母体中国とは”どこが違うのか、どこが同じなのか”というのをテーマにしている。中国では儒教思想による親孝行が尊ばれていたが、「息子が実の母親を告発する」ように中国は変わってきているのか、というのをじっと見つめている。というものでした。
都会にでて、親兄弟と縁切り状態の主人公が、何故過去を葬らずに告発をするのか。 疑いをあきらかにし、真実を知りたいと思うのか。それは、殺されたと思われる父親への親孝行なのか、自分たちを捨てた母親への復讐なのか?

主題とは関係ない話になりますが「外向きの顔と内向きの顔」という事がうまく描かれていました。父親の校長先生は、外向きは温厚な人物ですが、内向きは気むずかしく、愛情表現がヘタなのです。いっしょに暮らすには、その差が小さい人の方が楽だろうと思う。
おすすめ度:★★★★
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ジキル&ハイド MARY REILLY

米 1996年 109分
監督 スティーブン・フリアーズ
出演 ジュリア・ロバーツ(メアリー)/ジョン・マルコビッチ(ジキル&ハイド)/グレン・クローズ
メモ 1998.2.11(水曜)CS
あらすじ
メイドのメアリーの目から描かれた「ジキル博士とハイド氏」
感想
「試写会の券どう?」とおいしい誘いがあったのに、行けなかった作品。行きたかったな。
ジョン・マルコビッチの役者としての力量がはじめてわかった。ジキルとハイドのどちらも魅力的です。19世紀末のロンドンを映し出した映像も凝っていました。「何故、ジキル博士は研究に取り付かれたのか」という説明がほとんどされないのも、この雰囲気に水をささないでよかったです。ケネス・プラナーの「フランケンシュタイン」より好み。
全然関係ないねんけど、この時代の女の人が髪の毛をおろすのはご亭主の前だけだったんですね。
ジュリア・ロバーツは大口開けて、笑っている役の方が似合うと思う。
おすすめ度:★★★1/2
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冬のチェリー 1986年 第7回マドリード国際映画祭最優秀女優賞

旧ソ連 1985年 90分
監督 イーゴリ・マスレンニコフ
出演 エレーナ・サフォーノワ(オリガ)/ヴィターリー・ソローミン(ワジーム)/アレクサンドル・レニコ(ヴェニアミン)/イヴァル・カルヌィン(ゲルベルト)
メモ 1998.2.10(火曜)国名小劇(くにめ)
あらすじ
離婚して5歳の息子と二人ぐらしのオリガには、2年越しの恋人ワジームがいる。ワジームには20年連れ添った妻がいた。
感想
映画は、ベッドに横たわるオリガが、家に帰るためそそくさと身繕いしているワジームを眺めているシーンから始まる。このシーンで、オリガが抱えている寂しさ、満たされない心がすべて語られていました。

「冬のチェリー」という題名に惹かれて観た映画です。今は、”真冬の冷凍されたさくらんぼ”だけれど、チャンスがあればとけて、”みずみずしいさくらんぼ”になるの...という意味でした。

恋人のワジームに見切りをつけた後、二人が久しぶりに言葉をかわすシーン。ワジームが「もう友達でもないのかい?」「友達だった事があって?」。オリガは美しいせいか、男性と恋人関係は結べるんだけど、それ以上の友達関係を築く事ができない。これは、大きなテーマだと思う。

エリートのゲルベルトと結婚し新しい生活に踏み出そうとするオリガを、追いかけるワジーム。「タイタニック」でも思ったけれど、これは愛情からではなく、たぶん所有欲。
すごく地味な映画ですが、そこはかとないユーモアもあります。何度も出てくる「朝、オリガがマスカラで化粧する場面」の、「人生これからよ、まだ女は捨ててはいない」とだんだん気合いが入ってくる様子にガンバレといいたい。
おすすめ度:★★★1/2
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アンダーグラウンド UNDERGROUND 1995年カンヌ国際映画祭グランプリパルムドール大賞

仏=独=ハンガリー合作 1995年 174分
監督 エミール・クストリッツア(「アリゾナ・ドリーム」)
音楽 ゴラン・ブレゴビッチ(「王妃マルゴ」)
美術 ミリェン・クリャコヴィチ(「デリカテッセン」)
出演 ミキ・マノイロヴィチ(マルコ(「パパは出張中」)/ミリャナ・ヤコヴィチ(ナタリア「エバースマイル・ニュージャージー」)/ラザル・リストフスキー(クロ)
メモ 1998.2.9(月曜)ビデオ
あらすじ
1941年の第2次世界大戦中から現代にいたるユーゴスラビアを描いた映画です。第2次世界大戦中、独ファシストから逃れた人々が、ある屋敷の地下にひとつの町をつくっていた。戦争が終焉した事を知らされず、20年間も武器を生産する日々だった。
感想
悲劇をこんなに明るく美しく撮れるなんて...。「弟が兄を殺すなんて!」、「許すけれど忘れない」のセリフが重い。
最後に陸地が切り離されて漂っていくのを、どう観られました? 私には、この国はどこにいくんだろうとも、干渉されない自由な島国でありたいとも感じられました。色々な国と接している緊張感というのは計り知れないのか。
地下に住む人々が、外部に脅威を感じながら黙々と作業をする姿は、チトー政権下のユーゴスラビアを表しているんかな。圧倒的な知識不足。

ここからは、映画の感想とは無縁の事をダラダラ書いています。
「ピース・メーカー」を観て、「観たい映画」から「観なければならない映画」に急上昇。
確か「第一次世界大戦の導火線」となったのは、サラエボでオーストリア皇太子夫妻をセルビア人が暗殺した事からと、高校の時に習ったような気がする。フームというわけで、ゴソゴソ世界史のアンチョコを探し出して読む。(ああ、学生時代は何をしてたんやろ)

もともとバルカン半島は「スラブ、ゲルマン、アジア民族の接触点として複雑な民族構成だった」なるほど...。どうも、トルコの勢力が弱まり、どの時代でもかわらぬロシア悲願の南下政策(ようするに、凍りつかない港が欲しい)汎スラブ主義と、独・オーストリア(英・仏にくらべ植民地獲得に遅れをとった)の汎ゲルマン主義がぶつかりあったあげくらしい(バルカン半島では2つの対立が「死の十字」を描いていた)。そうか、昔から色々火種があったのか。

ガッコで習うより映画見た方がよっぽど頭にはいるやん。(二十年遅いけどね)
おすすめ度:★★★★1/2
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アンダーワールド UNDER WORLD

米 1996年 104分
監督 ロジャー・クリスチャン
脚本 ラリー・ビショップ
撮影 スティーブン・バーンスタイン
美術 ジョン・エブデン
出演 デニス・レアリー(ジョニー)/ジョー・モントーニャ(フランク)(「赤ちゃんのおでかけ」)/アナベラ・シオラ(ドクター・リア)/ラリー・ビショップ(ネッド)/アベ・ヴィゴダ(ウィル)/ジミー・スキャッグズ(笑うフィル)
メモ 1998.2.2(月曜)扇町ミュージアムスクエア
あらすじ
仲間の裏切りから7年間服役していたジョニー・クラウンは、父親を植物人間にした謎の男エセックスに復讐をはたすため、この街に帰ってきた。
感想
異色作。「レザボア・ドッグス」が異様な緊張感と炸裂するようなバイオレンスの映画だとすると、この映画は気持ち悪い緊張感とスタイリッシュなバイオレンス映画でした。
真犯人を見つけだそうとするジョニーの語る言葉のひとつひとつが、意味のあるようなほとんどないような、結局最後までジョニーの父親が襲われたのは2年前なのか7年前なのかわからずじまい。
もうほとんど、一癖も二癖もありそな俳優と、不思議なバイオレンスに浸る世界です。
おすすめ度:★★★1/2
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スリ PICKPOCKET

仏 1959年 74分
監督・脚本 ロベール・ブレッソン
撮影 レオンス・アンリ・ビュレル
出演 マルタン・ラサール(ミシェル)/マリカ・グリーン/ピエール・レマイリー/魔術師カッサジ
メモ 1998.2.6(金曜)ビデオ
あらすじ
貧しい学生のミシェルは、手先が器用な事からスリの世界に入り込む。
感想
ながらく見たかった作品。オリンピックと同じで期待しすぎるとコケルんやけど、これは映像美の傑作。
パリ市内や北駅でロケされたというドキュメンタリータッチのスリの手の動きは、鮮やか。映画批評にも書かれているように陶酔感すら感じる。

この作品の模倣はできないかと思ったら、リチャード・ギア主演「アメリカン・ジゴロ」(ポール・シュレイダー監督)で試みられているそうですね。あの映画もギアの手がセクシーだった。
おすすめ度:★★★★1/2
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ウェルカム・ドールハウス Welcome to The Dollhouse 1996年サンダンス映画祭審査員大賞

米 1995年 87分
監督・脚本 トッド・ソロンズ
撮影 ランディ・ドラモンド
出演 ヘザー・マタラーゾ(ドーン)/ブレンダン・セクストン・ジュニア(ブランドン)/エリック・メビウス(スティーブ)
メモ 1998.2.1(日曜)ビデオ
あらすじ
13才のドーンの家は5人家族。お兄ちゃんは優等生、妹は甘え上手、ドーン一人が鬼っ子。学校では「学校一のブス」と言われ、友達もなく行き場もない。
感想
超辛口。 これは、ビデオで観てよかった。映画館で観たらかなり落ち込んだと思う。
さえない者同士が、それなりに慰めあい助け合っていくという甘っちょろい事は、現実にはないという辛辣なストーリー。後味がもうひとつ。
しかし、この”半分子供で半分おとな”達の演技には舌を巻いた。
おすすめ度:いずれ、ちびさぼてんに見せたい映画ではあります。子供の方が直視できるかもしれない。
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ピースメーカー THE PEACEMAKER  ドリームワークス第一回作品

米 1997年 124分
監督 ミミ・レダー
出演 ジョージ・クルーニー(デヴォー大佐)/ニコール・キッドマン(ケリー博士)/アーミン・ミューラー=スタール(「シャイン」「ミュージック・ボックス」)/アレキサンダー・バルエフ/マーセル・ユーレス
メモ 1998.2.1(日曜)難波 南街シネマ
あらすじ
戦略兵器削減条約に従い廃棄処分にされる事となった核弾頭10基が、貨物列車でウラル山中を運ばれていた。その途中、核弾頭が何者かに強奪される。
感想
「ここからが、見せ場でっせえ!というタメ」のない映画です。全編ドバーッと疾走しています。速い、速い。
「ER」の緊張感、臨場感、スピード感あふれる映像と同じです。地図や、衛星写真が何回もでてきて効果的に使われていました。
古都ウィーンでのカーチェイスは、繰り返し繰り返しギアチェンジをクキクキクキして細かい演出です。力まかせの不死身のアクションシーンとは異なっています。謎は、たいした事はないのです。が、大作アクションにありがちな「それはないやろ」というシーンはありません。破綻のない脚本です。

ケリー博士は、プリンストン大学出の秀才、エリート、生真面目な分析屋、に対するデヴォー大佐は、すれっからしの結果オーライの実戦派。また、お顔もキッドマンが色白なのに対して、クルーニーは浅黒くて濃いと対照的なんやけど、ふたりとも仲間の死には涙するという根っこのところでは同じ気質を持っている。このあたりの演出も巧みです。

これは、現実にも起こりかねないという怖ろしい話です。

そうそう、「女性監督なのにスピーディなアクション」とか「女性監督ならではの細かい演出」とか感想があるみたいやけど、アクション映画で関係あるんかなあ。一昔前に「女性ならではの細やかな仕事をして欲しい」なんていう人達がいてはったけど、なんか夢みたはんのかなあとか思ってた。
もひとつおまけに、「ポール・レダーに捧げる」と映画の最後にあったね。

サラエボの光景にあった色あせた五輪マークが悲しい。私は歴史とか世界情勢に弱いのですが、昔読んだジョークに「右と左への分かれ路に、アメリカ車がやってきて、右のウィンカーを点滅させて右に曲がっていった。次にソ連車が走ってきて左のウィンカーを点滅させて左に曲がっていった。最後にチトー率いるユーゴスラビア車がやって来て、左のウィンカーをつけながら右に曲がっていった。」というのを思い出す。そういう国やったのに、チトー大統領が亡くなって、なんでこんなことになったんやろね。
おすすめ度:★★★★★
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