-TUZIE-
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特製工具:辻永の工具箱
8.骨製ヘラ類
ある日ある時、骨製の磨きヘラの話題になり、それをきっかけにいくつかのヘラを作ってみました。「皮を使わば骨まで?」。最初は気が進まなかったのですが、どんな物なのか手にしてみたくて自作しました。 |
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上の画像は、牛骨製のヘラです。一番上のヘラは印を付けたりするためのヘラで、残りの3丁は磨きようです。
素材は、「げんこつ」という通称で販売されている、大腿骨です。食肉店で必要な長さにカットしていただき、82〜88度で4時間煮ました。骨の加工自体は、ノコギリや軽金属用のヤスリ、そして紙ヤスリで簡単に加工が出来ます。ヘラの長さは180ミリを目安に作っています。この長さは、後ろ足の骨でないとダメなんです。前足の「げんこつ」はもっと短いそうです。
食肉店さんのご厚意で、他の部位の骨も試させていただきましたが、試した中では上記の部位がもっとも適していました。「お天気屋」さんありがとうございました。 |
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これも牛骨製のヘラですが、和裁の印付けようの市販のヘラを利用しています。一番上のヘラの形状が、市販の形状に近いもので、ごくわずかしか手を加えていません。
一番下のヘラは磨き用です。上の2丁は印付けようです。
完全に自作したヘラがマットな白だとすると、市販のこのヘラは透明感がありクリーム色がかっています。充実感もあって、好感が持てます。長さは145ミリです。もう少し長くて紐を通すための穴があいていなければ、素材としてはもっと都合がいいのですが、この145ミリというのは市販のヘラの中では大きめのヘラだと思われます。革の工具の、へら付きへり磨きと似たような長さですね。
私がこの和裁用のへらを購入したのは、こちらのサイトです。
http://www.sewing-cominica.net/ |
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こちらは、鹿の角から作りました。ベテランクラフターから鹿の角を勧めていただいたので、手持ちの角を加工しました。緻密で硬さがあって、コバの磨きに適しているようです。
見慣れない形に仕上がっていますが、それぞれにそれなりの用途があります。下の細い2丁は、鹿角製の箸を加工しました。
ところで、このヘラを作って間もなく、動物の専門家と話をする機会がありました。同じ角素材として、トナカイの角も緻密で良い物だそうです。もしもトナカイの角を手にすることがあったなら、やはり1丁ヘラを作ってみたいものです。 |
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この画像にあるのは、上段左から、象牙・水牛の角(黒)・水牛の角(白・オランダ水牛?)。そして下段は、なんとクジラの骨です。和楽器の梅屋楽器店のご主人が、これも磨きに試してみたらと出してくださったものです。
象牙はですねー、さすがに磨いた感じがいいんです。磨き心地というのかな、とても良かったです。ヘラの形状のものが欲しいところですが、価格を考えるとおそろしいですね。
水牛の角は、黒はけっこう磨きやすかったのですが、白は水気を吸ってしまって、やや使いづらかったです。ただし、水牛の角も部位や磨き方によって、一様ではないと思います。
そしてクジラの骨は、やや荒い組織の所なのですが、磨きには十分使うことが出来ました。緻密な部分であればもっと良いかもしれません。
和楽器やさんにはいろいろな素材がありそうですね。三味線の材料の堅い木も、ヘラの材料には良いかも! |
ヘラの材料には、いろいろなものが使うことが出来ると思われますが、今回は骨や角の素材のものを紹介しました。
どんな素材であれ、自分で使いやすい1丁があると良いですね。 |
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