-TUZIE-
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特製工具
辻永式手縫いバイス
手縫いの時の固定具です。この手の工具は職人さんがいろいろ工夫していそうですね。レザークラフトのカタログに、市販の物もいくつか見受けられます。市販の物は使ったことがないので確かなことは言えませんが、写真などで判断する限り、機能面の制約が多いように思えます。
私の手縫いバイスも、使う人によって一長一短があるのではないかと思いますが、自分で使う分には十分役立ってくれています。 |
「椅子用」
椅子に腰掛けて使うタイプです。底板を足で踏む形で使います。高さは約80センチ。懐の寸法は約45センチです。
私の作るバイスに共通の構造は、ネジで締めて固定するということです。他に良い構造が思いつかなかったと言うこともありますが、実際に使ってみたら私には使いやすかったのです。単純に固定すると言うことだけを考えれば、左右の板をひざで挟んだり、ベルクロなどで調節がきくようにしたベルトなどで、固定することもできると思います。
このバイスは、私なりに機能はなかなか良いのではないかと思っています。しっかりと固定できますし、懐の深さが十分にあり、口の開きにも余裕があります。針休めもつけてありますが、これも大変便利なものです。側面に飛び出す形となるネジ部分は、底板を踏んだときに足の内側に当たり、ほとんどの場合は糸が引っかからないようになります。ですが、機能をより良くするためにも、糸が引っかからないようにする部品も取り付けてあります。
はさみ口の部分を簡略化したものを、販売用に今まで数十台作りました。納品しやすいように、底板と本体バイス部分は取り外しができるように作ってあります。
最初に使用説明書を作った時にレザーステッチングバイスという名前を付けました。一般名詞として使えそうな、ステッチングホースでもなくクラム(クランプ)でもない名称にしたかったのです。その後、アメリカの雑誌や日本のカタログでステッチングバイスの名称を発見して、なんだ普通だったのかと我ながら平凡は発想にがっかり。今回はより平凡に手縫いバイスとしました。辻永式が頭に着いているところだけが、みそです。 |
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「座敷用」
畳の部屋などで使うための形です。市販のこの手のものは、木の弾力を利用する構造になっているようですが、私のはやはりネジで固定です。口も大きく開きます。
高さは約45センチ。懐寸法は約30センチです。
底板を、座布団などの下に差し入れて使います。
イス用の方が基本的な機能は高いのですが、畳の部屋で座布団に座って使いたいという人からの希望で作った物です。
むかし、通っていた高校の近くに馬具屋さんがあり、木の弾力で開閉するタイプの手縫いばさみを使っていました。使い込まれた格好いい道具でした。縫うところを見せてもらったけど、ダイナミックで早かった。線も引かないのに、菱ギリで真っ直ぐに等間隔に穴をあけて縫ってしまうのです。職人技。すぐにできるよと言われたけど、いまでもまったく真似できません。手縫いのロウの作り方を教えてもらって、その次に尋ねたら、仕事場が無くなり親父さんもいなくなっていました。
イノシシの毛の針を使っていた靴の職人さんも、まだそのころには地元にいらっしゃいました。一度使い方を少し教えてもらったけど、ちゃんと覚える前にその方もいなくなってしまいました。職人さんたちから、もっといろいろ話を聞いておくべきでした。 |
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「卓上用」
高さは約26センチ。機能は限定されますが小物作りには十分利用することができます。Cクランプなどで作業台に固定して使います。はさみ口の形は簡易型ですが、多くの場合はこの形で間に合います。
ほかの3点とは、開閉の構造が少し違います。
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「卓上用ミニ」
高さは約20センチ。「卓上用」よりも、さらに小型のバイスです。
近所の高校に教えに行く機会があり、その時バイスの数が足りなくて、最小機能で作った物です。Cクランプなどで作業台に固定して使います。
機能はともかく、かわいいやつです。
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ここまで紹介した手縫いバイスは、いくつもつくりながら落ち着いてきた型です。イス用は7つ目くらいの型が基になっています。次は、最初に作った型や、ちょっとした小物の紹介をします。 |
「最初のバイスと自分用」
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1984年頃、最初に作った一本足型。ネジの位置や、足の長さに手を加え、今でも講習などで数が足りないときには使っています。最初の懐寸法は20センチくらいしかありませんでした。 |
これは、私の仕事用のバイス。とてもシンプルに作ってありますが、これ一個だけの特別な部分がいくつかあります。自己満足の世界なので、詳細は内緒ということで。 |
「手縫い用吊り具」
手縫いをしていて、ときどき必要になるちょっとした小物を一つ紹介します。これは作っておいた方が便利です。
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この道具は、山形クリップに当て革をつけたものです。クリップの穴にはひもを通してあり、天井から吊すことができるようになっています。このひもは、長さを調節できるような結び方にしてあります。使用法は下記の通りです。 |
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