→ 距離空間(R,d)一
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小学校では数直線をおぼえさせられた。
中学では、x軸とy軸からなる2次元の座標であらわされた平面をおぼえさせられた。
高校では、x軸、y軸、z軸からなる3次元の座標であらわされた空間をおぼえさせられた。
平面上の2点 P (x1, y1), Q (x2,y2) 間の距離は、 |
![]() |
(x1−x2)2 +(y1−y2)2 |
で、 |
空間上の2点 P (x1, y1, z1), Q (x2 ,y2 ,z2)間の距離は、 |
![]() |
(x1−x2)2 +(y1−y2)2 +(z1−z2)2 |
で、 |
求められるものなのだと。
思考が停止するほど大量の問題を解かせられることを通して。
いま、僕らは
自らに
問わなければならない。
はたして、
このような距離と、
数直線・平面・空間の上で考えなければ
すべて間違いになるのか、
これら以外の地平で考えることはできないものなのだろうか、
と。
つまり、
・4次元以上の座標空間の上で考えることはできないのか。
・このような距離でなければならない必然性があって、それ以外の距離を考えることはすべて間違いになるのか、それとも、これらの距離とは別の「距離」を用いて考えることもできるのか。
・実数で示される座標の上でしか、距離を測れないものなのか。
・そもそも、近さは、実数で示される距離を用いなければ、考えられないものなのだろうか。
数学者たちのこたえは、
「すべて、間違いではない、すべて、できる」。
こういったことを考えることができるように、
数学者たちは、「距離空間」という、より一般的な概念をデザインした。
「距離空間」は、
小中高でおぼえさせられた数直線・平面・空間をその特殊例として理解できるように、
デザインされている。
つまり、
小学校でおぼえさせられた、数直線とそこでの距離は、1次元ユークリッド空間という特別な距離空間、
中学でおぼえさせられたx-y座標平面とそこでの距離は、2次元ユークリッド空間という特別な距離空間、
高校でおぼえさせられたx-y-z座標空間とそこでの距離は、3次元ユークリッド空間という特別な距離空間、
といったように。
4次元以上の座標空間も、「距離空間」のなかのひとつとして理解できるように、「距離空間」はデザインされている(距離空間(Rn,d))。
距離の概念も、
小中高でおぼえさせられた距離は、ユークリッド距離という特別な距離であって、ユークリッド距離ではない距離も考えられるように、
ゆるく、可変的に、デザインされている。
さらに、実数で示される座標の上以外で距離を定義した距離空間もつくれるように、「距離」「距離空間」はデザインされている。
そして、数字で示される距離とはことなった近さを考えられるように、「距離空間」の上位概念として、「位相空間」なる概念まで用意されている。
位相空間
┣(距離dが定義されないと)
┃ 距離空間でない位相空間
┗(距離dが定義されると)
距離空間(X,d)
┣(集合Xが実数の集合ではないと)
┃ 一般の距離空間 (X,d)
┗(集合Xが実数の集合だと)
距離空間(R1,d)・距離空間(R2,d)…距離空間(Rn,d)
┣(距離dがユークリッド距離だと)
┃ 1次元ユークリッド空間・2次元ユークリッド空間…n次元ユークリッド空間
┗(距離dがユークリッド距離ではないと)
さまざまな非ユークリッド空間
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