被覆 Covering : トピック一覧 

普遍集合の被覆の定義部分集合の被覆の定義 
開被覆の定義可算被覆の定義A-可算被覆有限被覆の定義 
部分被覆の定義有限部分被覆の定義  
※活用例:位相空間におけるコンパクト空間・コンパクト集合の定義/Rn上のコンパクト集合定義R2上ののコンパクト集合定義R上ののコンパクト集合定義 
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定義:普遍集合の被覆 covering 

集合族を用いた表現】


(設定)

  (普遍)集合X, X部分集合族Ц={ Uλ}λΛが与えられているとする。

(本題)

 「ЦX被覆である」、「{ Uλ}λΛX被覆するcover 」、「XЦ覆われる」とは、
     X部分集合族Ц={ Uλ}λΛunionが、Xに等しいこと、

 すなわち、 X
Uλ

λ∈Λ

     となることを言う。






[文献]
 ・『岩波数学事典』項目162集合D集合の族
 ・杉浦『解析入門I』p.70;


 ・斉藤『数学の基礎:集合・数・位相』5.2.1 (p.142)

集合系を用いた表現】


(設定)

  (普遍)集合X, X部分集合系Цが与えられているとする。

(本題)

  「ЦX被覆である」、「{ЦX被覆するcover 」、「XЦ覆われる」とは、
      X部分集合系Цunionが、Xに等しいこと、

 すなわち、 X
U

UЦ

      となることを言う。  






[文献]
 ・小平『解析入門Ip.62


 ・松坂『集合・位相入門』第5章§2.A (p.209)

【文献】


 ・杉浦『解析入門I』p.70.
 ・小平『解析入門I』p.62;
 ・斉藤『数学の基礎:集合・数・位相』5.2.1 (p.142);
 ・『岩波数学事典』項目14位相空間R被覆;項目162集合D集合の族;
 ・矢野『距離空間と位相構造』4.1.1 (p.123)]


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定義:部分集合の被覆  covering

 [杉浦『解析入門I』p.70. 小平『解析入門I』p.62; 斉藤『数学の基礎:集合・数・位相』5.2.1 (p.142);
  『岩波数学事典』項目14位相空間R被覆; 矢野『距離空間と位相構造』4.1.1 (p123);
  松坂『集合・位相入門』5章§2.A (pp.210)]
1.集合族を用いた表現
    
[岩波数学事典』項目162集合D集合の族; 杉浦『解析入門Ip.70;
      斉藤『数学の基礎:集合・数・位相5.2.1 (p.142);.]
(設定)(普遍)集合X,X部分集合AX部分集合族Ц={ Uλ}λΛが与えられているとする。
(本題)「Ц
部分集合Aの『Xにおける被覆』である」、「{ Uλ}λΛ部分集合A被覆する(cover )」、
    「
部分集合AЦ覆われる
     とは、
     
X部分集合族Ц={ Uλ}λΛunionが、部分集合A含むこと、

 すなわち、 A
Uλ

λ∈Λ

   となることを言う。
2.集合系を用いた表現 [小平『解析入門Ip.62; 松坂『集合・位相入門』第5章§2.A (p.209)]
(設定))集合
X,X部分集合AX部分集合系Цが与えられているとする。
(本題)「Ц
部分集合Aの『Xにおける被覆』である」、「Ц部分集合A被覆する(cover )」、
   「
部分集合Ц覆われる
     とは、
    
X部分集合系Цunionが、部分集合A含むこと、


 すなわち、 A
U

UЦ

    となることを言う。  


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定義:開被覆 open covering

   [『岩波数学事典』項目14位相空間R被覆;杉浦『解析入門I』p.70.小平『解析入門I』p.62;
    斉藤『数学の基礎:集合・数・位相』5.2.1 (p.142);. ; 矢野『距離空間と位相構造』4.1.1 (p123) ;
    松坂『集合・位相入門』5章§2.A (pp.210)]
A.開被覆の一般論


条件1: X被覆すること。    すなわち、 X
Uλ

λ∈Λ

      条件2.開集合*であること  任意のλΛに対して、Uλ=開集合*  
      
* 距離空間Xにおいて開被覆を考える際には、
        上記定義のなかの「開集合」を
距離空間Xにおける開集合定義として解し、
       
位相空間Xにおいて開被覆を考える際には、
        上記定義のなかの「開集合」を
位相空間Xにおける開集合定義として解せばよい。 
       なぜなら、
距離空間における開集合は、位相空間における開集合定義を満たすから。
       →
距離空間(R,d)のケース/距離空間(R2,d)のケース/距離空間(Rn,d)のケース/
         距離空間一般のケース   
 
2.集合系を用いた表現  
  
(普遍)集合Xの開被覆とは、以下の2条件を満たすX部分集合系Цのこと。
  


条件1: X被覆すること。   すなわち、 X
U

UЦ

     条件2.開集合*であること  任意のUЦに対して、U=開集合*  
      * 距離空間Xにおいて開被覆を考える際には、
        上記定義のなかの「開集合」を
距離空間Xにおける開集合定義として解し、
       
位相空間Xにおいて開被覆を考える際には、
        上記定義のなかの「開集合」を
位相空間Xにおける開集合定義として解せばよい。 
C.部分集合の被覆の開被覆版
 
1.集合族を用いた表現
  
(普遍)集合X部分集合Aの「Xにおける開被覆」とは、
  以下の
2条件を満たすX部分集合族Ц={ Uλ}λΛのこと。



条件1: A被覆すること        A
Uλ

λ∈Λ

      条件2.開集合*であること  任意のλΛに対して、Uλ=開集合*  
      * 距離空間Xにおいて開被覆を考える際には、
        上記定義のなかの「開集合」を
距離空間Xにおける開集合定義として解し、
       
位相空間Xにおいて開被覆を考える際には、
        上記定義のなかの「開集合」を
位相空間Xにおける開集合定義として解せばよい。 
       なぜなら、
距離空間における開集合は、位相空間における開集合定義を満たすから。
       →
距離空間(R,d)のケース/距離空間(R2,d)のケース/距離空間(Rn,d)のケース/
         距離空間一般のケース   
 
2.集合系を用いた表現  
  
(普遍)集合X部分集合Aの「Xにおける開被覆」とは、以下の2条件を満たすX部分集合系Цのこと。   


 条件1: A被覆すること     A
U

UЦ

     条件2.開集合*であること  任意のUЦに対して、U=開集合*  
      
* 距離空間Xにおいて開被覆を考える際には、
        上記定義のなかの「開集合」を
距離空間Xにおける開集合定義に解し、
       
位相空間Xにおいて開被覆を考える際には、
        上記定義のなかの「開集合」を
位相空間Xにおける開集合定義に解せばよい。 
       なぜなら、
距離空間における開集合は、位相空間における開集合定義を満たすから。
       →
距離空間(R,d)のケース/距離空間(R2,d)のケース/距離空間(Rn,d)のケース/
         距離空間一般のケース   

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定義:可算被覆countable covering  

 [岩波数学事典』項目14位相空間R被覆;志賀徳造『ルベーグ積分から確率論』付録A.1(p226);] 
A.可算被覆の一般論
 
1. 集合族を用いた表現
   
被覆Ц={ Uλ}λΛの添数集合Λを自然数Nとした被覆。   
 
2. 集合系を用いた表現 
   
被覆Цのなかでも特に、被覆Цに属す集合が可算無限個あるもののこと。
B.普遍集合の被覆の可算被覆版
 可算被覆においては、
 
被覆するX部分集合族Ц={ Uλ}λΛないしX部分集合系Цは、
 無限個の「
X部分集合列U1,U2,U3,… 
 で表せるから、
 
(普遍)集合X可算被覆とは、X=U1U2U3…、ないし、







X Un
 


n=1


 を満たすX部分集合列{ Un}={ U1,U2,U3,…}のことである。
C.部分集合の被覆の可算被覆版
 可算被覆においては、
 
被覆するX部分集合族Ц={ Uλ}λΛないしX部分集合系Цは、無限個のX部分集合列U1,U2,U3,… 
 で表せるから、
 集合
X部分集合Aの「Xにおける可算被覆」とは、AU1U2U3…、ないし、 







A   Un
 


n=1


 を満たすX部分集合列{ Un}={ U1,U2,U3,…}のことである。   
D. 部分集合のA -可算被覆
 集合
X部分集合AA -可算被覆とは、
  条件
1. X部分集合系Aに属す集合のみからなる可算無限個の「X部分集合列」であること
             つまり、
(nN) (Un A)   
  条件
2. X部分集合A被覆すること、







つまり、A(U1U2U3…) ないし、A   Un
 


n=1


 を満たす「X部分集合列」{ Un}={ U1,U2,U3,…}のこと。      


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定義:有限被覆finite covering

  [岩波数学事典』項目14位相空間R被覆;杉浦『解析入門Ip.70. 小平『解析入門Ip.62; ;
  松坂『集合・位相入門5章§2.A (pp.210); 矢野『距離空間と位相構造4.1.1 (p123)]
A. 一般に、有限被覆とは、
  
1. 集合族を用いた表現
    
被覆Ц={ Aλ}λΛの添数集合Λを有限集合とした被覆。   
  
2. 集合系を用いた表現 
    
被覆Цのなかでも特に、被覆Цに属す集合が有限個しかない(無限個はない)もののこと。
B.普遍集合の被覆の有限被覆版
 有限被覆においては、
 
被覆するX部分集合族Ц={ Uλ}λΛないしX部分集合系Цは、
 有限個の「
X部分集合列U1,U2,U3,,Un 
 で表せるから、
 
(普遍)集合X有限被覆とは、



n


X(U1U2U3Un) ないし、X Uk
 


k=1


 を満たすX部分集合列{ U1,U2,U3, ,Un}のことである。
C.部分集合の被覆の有限被覆版
 有限被覆においては、
 
被覆するX部分集合族Ц={ Uλ}λΛないしX部分集合系Цは、
 有限個の「
X部分集合列U1,U2,U3,,Un  
 で表せるから、
 集合
X部分集合Aの「Xにおける有限被覆」とは、



n


A(U1U2U3Un) ないし、 A   Uk
 


k=1


 を満たすX部分集合列{ U1,U2,U3,,Un }のことである。

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定義:部分被覆 

 [小平『解析入門Ip.62; 斉藤『数学の基礎:集合・数・位相5.2.1 (p.142);.矢野『距離空間と位相構造4.1.1 (p123)] 
A.普遍集合の被覆の部分被覆
 
1. 集合族を用いた表現
 (設定)
(普遍)集合X, X被覆Ц={ Uλ}λΛが与えられているとする。


 すなわち、 X
Uλ  とする。

λ∈Λ

 (本題)ΜΛを満たす「X部分集合族V={ Uλ}λΜX被覆となっているとき、


 すなわち、 X
Uλ  (MΛ)のとき

λ∈M

    Vを、被覆Ц部分被覆という。  
 
2. 集合系を用いた表現 
 (設定)
(普遍)集合X, X被覆Цが与えられているとする。


 すなわち、 X
U

UЦ

 (本題)(普遍)集合X被覆Ц部分集合V
   
(X被覆する集合系Цに属している全ての諸集合からその一部の諸集合を選んでつくった集合系)
  も
  
X被覆であるとき、


 すなわち、 X
U   (VЦ)のとき、

UV

 

  Vを、被覆Ц部分被覆と呼ぶ。
    
B.部分集合の被覆の部分被覆
 
1. 集合族を用いた表現
 (設定)
(普遍)集合X,X部分集合A部分集合Aの被覆Ц={ Uλ}λΛが与えられているとする。


 すなわち、 A
Uλ とする。

λ∈Λ

 (本題)ΜΛを満たす「X部分集合族V={ Uλ}λΜAの被覆となっているとき、


 すなわち、 A
UλMΛ)のとき

λ∈M

    Vを、被覆Ц部分被覆という。  
 
2. 集合系を用いた表現 
 (設定)
(普遍)集合X, X部分集合A ,Aの被覆Цが与えられているとする。   


 すなわち、 A
U  とする。

UЦ

 (本題)(普遍)集合X部分集合Aの被覆Ц部分集合V
   
(A被覆する集合系Цに属している全ての諸集合からその一部の諸集合を選んでつくった集合系)
  も
  
Aの被覆であるとき、


 すなわち、 A
U   (VЦ)となるとき、 

UV

 
  
Vを、被覆Ц部分被覆と呼ぶ。 


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定義:有限部分被覆

 活用例:位相空間におけるコンパクト空間・コンパクト集合の定義
      
距離空間におけるコンパクト集合定義、
      
Rn上のコンパクト集合定義R2上ののコンパクト集合定義R上ののコンパクト集合定義 
A.普遍集合の被覆の有限部分被覆
 
1. 集合族を用いた表現
 
(設定)(普遍)集合X, X被覆Ц={ Uλ}λΛが与えられているとする。


 すなわち、 X
Uλ  とする。

λ∈Λ

 (本題)
   Μ
Λを満たす「X部分集合族V={ Uλ}λΜX有限被覆となっているとき、           


 すなわち、MΛ かつ X
Uλ  かつ 添数集合M有限集合を満たすとき、

λ∈M

   Vを、被覆Ц有限部分被覆という。  
 
2. 集合系を用いた表現 
 
(設定)(普遍)集合X, X被覆Цが与えられているとする。 


 すなわち、 X
U

UЦ

 (本題)
  
(普遍)集合X被覆Ц部分集合V
   
(X被覆する「X部分集合系Цに属している全ての諸集合から
     その一部の諸集合を選んでつくった「
X部分集合系)
  が
  
X有限被覆であるとき、     


すなわち、VЦ  かつ X
U かつ Vに属す集合が有限個にすぎない(無限個はない) を満たすとき、 

UV

  Vを、被覆Ц有限部分被覆と呼ぶ。

 3集合列を用いた表現
      上記定義のなかの、
      添数集合M有限集合であるような「X部分集合族V={ Uλ}λΜ
      
属している集合が有限個にすぎない(無限個はない) X部分集合系Vとは、
      
有限個の「X部分集合列」にほかならない。
      
そこで、「X部分集合列」を用いて、上記定義を言いなおすと、以下のようになる。
  
X被覆する「X部分集合族Ц={ Uλ}λΛないし「X部分集合系Цのなかから、
  「
X部分集合」を有限n個とってきて並べた「X部分集合列V= { U1,U2,U3, ,Un}が  



n


XU1U2U3Un  ないし X Uk
 


k=1


   を満たすとき、
   
V= { U1,U2,U3, ,Un}を、被覆Ц有限部分被覆という。 
    
B.部分集合の被覆の有限部分被覆
 
1. 集合族を用いた表現
 
(設定)(普遍)集合X,X部分集合A部分集合Aの被覆Ц={ Uλ}λΛが与えられているとする。


 すなわち、 A 
Uλ  とする。

λ∈Λ

 (本題)ΜΛを満たす「X部分集合族V={ Uλ}λΜA有限被覆となっているとき、


すなわち、 MΛ かつ A
Uλ   かつ  添数集合M有限集合を満たすとき、

λ∈M

     Vを、被覆Ц有限部分被覆という。  
 
2. 集合系を用いた表現 
 
(設定)(普遍)集合X, X部分集合A ,Aの被覆Цが与えられているとする。


 すなわち、 A
U とする。

UЦ

 (本題)
  
(普遍)集合X部分集合Aの被覆Ц部分集合V
    
(A被覆する「X部分集合系Цに属している全ての諸集合から
     その一部の諸集合を選んでつくった「
X部分集合系)
  が、A有限被覆であるとき、


すなわち、VЦ  かつ A
U かつ Vに属す集合が有限個にすぎない(無限個はない)を満たすとき、 

UV

    Vを、被覆Ц有限部分被覆と呼ぶ。 

 3集合列を用いた表現
      上記定義のなかの、
      添数集合M有限集合であるような「X部分集合族V={ Uλ}λΜ
      
属している集合が有限個にすぎない(無限個はない) X部分集合系Vとは、
      
有限個の「X部分集合列」にほかならない。
      
そこで、「X部分集合列」を用いて、上記定義を言いなおすと、以下のようになる。
  
X被覆する「X部分集合族Ц={ Uλ}λΛないし「X部分集合系Цのなかから、
  「
X部分集合」を有限n個とってきて並べた「X部分集合列V= { U1,U2,U3, ,Un}が  



n


A(U1U2U3Un) ないし  A   Uk
 を満たすとき、


k=1


   V= { U1,U2,U3, ,Un}を、被覆Ц有限部分被覆という。     


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reference

日本数学会編集『岩波数学事典(第三版)』 岩波書店、1985年、項目14位相空間R被覆、項目162集合D集合の族。
杉浦光夫『解析入門I』岩波書店、1980年、p. 70;
小平邦彦『解析入門I』 (軽装版)岩波書店、2003年、p. 62-65.;.
松坂和夫『集合・位相入門』岩波書店、1968年、第5章§2.A (pp.209-211)。
矢野公一『共立講座21世紀の数学4距離空間と位相構造』共立出版、1997年、4.1コンパクト性(pp122-5.)
志賀浩二『位相への30講』朝倉書店、1988年、pp.122-4。
志賀徳造『共立講座21世紀の数学第10巻ルベーグ積分から確率論』共立出版、2000年。
斉藤正彦『数学の基礎:集合・数・位相』東大出版会、2002年。第5章位相空間(その2)§2コンパクト性5.2.1 (p.142)


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