・最大元max・最小元min/上界・上に有界/下界・下に有界/有界 ・上限sup・最小上界lub/m=supAの必要十分条件/supとmaxの関係 ・下限inf・最大下界glb/m=infAの必要十分条件/infとminの関係 ※実数関連ページ: ・実数体・実数の定義/デデキントの公理 ・実数の性質:加法/乗法/加法・乗法の関係/不等式/不等式と加法・乗法の関係 →総目次 |
設定R: 実数体 ≦: 実数体の定義によって、 実数体R上に定められている順序関係(特に全順序となるよう定められている)。 もちろん、実数体Rと順序"≦"とを組み合わせた(R,≦)は、順序集合。 (実数体の定義によって、(R,≦)は、特に、全順序集合となるよう定められている) A: Rの部分集合。ただし、空集合は除く。つまり、A⊂R , A≠φ ![]() m: Aの元。つまり、 m∈A 本題1 |
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・集合Aに属す実数mが「集合Aの最大元(最大数・最大値)」である m = max A とは、 集合Aに属すあらゆる実数aにたいして、a≦mが成り立つこと つまり、m∈Aが、( ∀ a∈A ) ( a≦m ) を満たすこと さらに言うと、「(∀a∈A) ( a≦m )かつm∈A」であること[本橋5.3a例2(p.91)] をいう。 ・集合Aの最大元maxAが存在するとは、(∃m∈A)( ∀a∈A ) ( a≦m )のこと。 ・最大元は、存在することもあれば、存在しないこともある。[→存在する場合] ・最大元が存在する場合、ひとつしかない。 |
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本題2・集合Aに属す実数mが「集合Aの最小元(最小数・最小値)」である m = min A とは、 集合Aに属すあらゆる実数aにたいして、m≦aが成り立つこと つまり、m∈Aが、( ∀a∈A ) ( m≦a ) を満たすこと。 をいう。 ・集合Aの最小元 min A が存在するとは、(∃m∈A)( ∀a∈A ) ( m≦a )のこと。 ・最小元は、存在することもあれば、存在しないこともある。[→存在する場合] ・最小元が存在する場合、ひとつしかない。
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・「上に有界な《実数の集合》」とは、 「属してる元は、すべて、この実数以下」 と言える《実数の集合》。 《この実数》を、その《実数の集合》の上界と呼ぶ。 ※ 厳密には? →【厳密な定義−予備知識なしに】 →【論理にこだわって…】 ・「上に有界でない《実数の集合》」とは、 「属してる元は、すべて、この実数以下」 と言えない《実数の集合》。 【例】 自然数をすべてあつめた集合N (アルキメデスの原理) ※ 厳密には? →【厳密な定義−予備知識なしに】 →【論理にこだわって…】 * 上界が存在する「実数の集合」(上に有界な「実数の集合」)もあれば、 上界が存在しない「実数の集合」(上に有界でない「実数の集合」)もある。 上界が存在する「実数の集合」(上に有界な数列)に限ってみても、 その上界は、 複数存在するかもしれないし、 無数に存在するかもしれない。 |
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・「下に有界な《実数の集合》」とは、 「属してる元は、すべて、この実数以上」 と言える《実数の集合》。 《この実数》を、その《実数の集合》の下界と呼ぶ。 ※ 厳密には? →【厳密な定義−予備知識なしに】 →【論理にこだわって…】 ・「下に有界でない《実数の集合》」とは、 「属してる元は、すべて、この実数以上」 と言えない《実数の集合》。 ※ 厳密には? →【厳密な定義−予備知識なしに】 →【論理にこだわって…】 * 下界が存在する「実数の集合」(下に有界な「実数の集合」)もあれば、 下界が存在しない「実数の集合」(下に有界でない「実数の集合」)もある。 下界が存在する「実数の集合」(下に有界な数列)に限ってみても、 その下界は、 複数存在するかもしれないし、 無数に存在するかもしれない。 |
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・「有界な《実数の集合》」とは、 上に有界かつ下に有界な「実数の集合」 すなわち、 「この実数以上、あの実数以下に、属してる元は、すべておさまる」 と言える《実数の集合》のこと。 《この実数》を、その《実数の集合》の下界、 《あの実数》を、その《実数の集合》の上界と呼ぶ。 ※ 厳密には? →【厳密な定義−予備知識なしに】 →【論理にこだわって…】 ・「有界でない《実数の集合》」とは、 「この実数以上、あの実数以下に、属してる元は、すべておさまる」 と言えない《実数の集合》のこと。 ※ 厳密には? →【厳密な定義−予備知識なしに】 →【論理にこだわって…】 ・「有界でない《実数の集合》」は、 (1) 上に有界でないが、下に有界な「実数の集合」 (2) 下に有界でないが、上に有界な「実数の集合」 (3) 上にも下にも有界でない「実数の集合」 に分類される。 (1) 上に有界でないが、下に有界な「実数の集合」とは、 「属してる元は、すべて、この実数以上」とは言えるが、 「属してる元は、すべて、あの実数以下」とは言えない《実数の集合》。 (2) 下に有界でないが、上に有界な「実数の集合」とは、 「属してる元は、すべて、あの実数以下」とは言えるが、 「属してる元は、すべて、この実数以上」とは言えない《実数の集合》。 (3) 上にも下にも有界でない「実数の集合」とは、 「属してる元は、すべて、この実数以上」とは言えるが、 「属してる元は、すべて、あの実数以下」とは言えない《実数の集合》。 |
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設定R: 実数体 ≦: 実数体の定義によって、 実数体R上に定められている順序関係(特に全順序となるよう定められている)。 もちろん、実数体Rと順序"≦"とを組み合わせた(R,≦)は、順序集合。 (実数体の定義によって、(R,≦)は、特に、全順序集合となるよう定められている) A: Rの部分集合。ただし、空集合は除く。つまり、A⊂R , A≠φ ![]() b : 実数のひとつ。つまり、b∈R 。 a : 実数のひとつで、特に、Aに属すもの。つまり、a∈A 定義【簡潔な定義】 集合Aの(Rでの)「最小上界 least upper bound」「上限 supremum」とは、 集合Aの(Rのなかでの)上界をすべてあつめた集合の最小元のこと。 【最小元の語義に遡った定義】 集合Aの(Rでの)「最小上界 least upper bound」「上限 supremum」とは、 集合Aの(Rでの)任意の上界bにたいして、 b*≦b を満たす集合Aの(Rでの)上界b* のこと。 【最小元,上界の語義に遡った定義】 集合Aの(Rでの)「最小上界 least upper bound」「上限 supremum」とは、 以下の2条件をともに満たすRの元b* のことをいう。 条件1. (∀a∈A) ( a≦b* ) 条件2. (∀a∈A) ( a≦b ) を満たす限りで任意のb∈Rにたいして、 b*≦b つまり、 (∀b∈R )( (∀a∈A) ( a≦b ) ⇒ ( b*≦b ) ) 記法・集合Aの最小上界・上限を、l.u.b. Aないしsup Aと書く。 ・集合Aが上に有界でないことを、supA=+∞と書くこともあるが、 supA=+∞はあくまで「Aが上に有界でない」という意味であって、 「+∞という数があって、supAが+∞に等しい」という意味ではない。 [笠原『微分積分学』1.1実数(p.6);吹田・新保『理工系の微分積分学』(p.5)]
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設定R: 実数体 ≦: 実数体の定義によって、 実数体R上に定められている順序関係(特に全順序となるよう定められている)。 もちろん、実数体Rと順序"≦"とを組み合わせた(R,≦)は、順序集合。 (実数体の定義によって、(R,≦)は、特に、全順序集合となるよう定められている) A: Rの部分集合。ただし、空集合は除く。つまり、A⊂R , A≠φ ![]() b* : 実数のひとつ。つまり、b*∈R 。 本題 |
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・b*=supA の必要十分条件は、 [条件1] b*はAの上界の一つであり、 かつ、 [条件2] b*より小さな実数はすべて、Aの上界ではない、 ということ。 ・つまり、 b*=supA ⇔ [条件1] (∀a∈A) ( a≦b* ) かつ、 [条件2] b<b*を満たす限りで任意のb∈Rにたいして、 b<a を満たすa∈Aが存在する。 |
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つまり、(∀b∈R )( ( b<b* ) ⇒ (∃a∈A) ( b<a ) ) (あるいは、 (∀ε>0 )( (∃a∈A) ( b*−ε<a ) )) ※この2条件をsupAの定義としているテキストも多い。 →ルディン『現代解析学』1.34(pp.12-3) ;吹田・新保『理工系の微分積分学』(p.4); ※上記が「b*=supA」の必要十分条件となるのは、 実数体のみならず、実数体をふくめた順序体全般において。 [斉藤『数学の基礎:集合・数・位相』2.5.1-命題2)(p.53)] |
証明b*=supA の定義は、条件1. (∀a∈A) ( a≦b* ) かつ、 条件2. (∀b∈R )( (∀a∈A) ( a≦b ) ⇒ ( b*≦b ) ) であった。 条件1は、全く同じであるから、 条件2が同値であると示しさえすればよい。 (∀b∈R )( (∀a∈A) ( a≦b ) ⇒ ( b*≦b ) )は、 ⇔ (∀b∈R )( ¬( b*≦b ) ⇒ ¬((∀a∈A) ( a≦b )) ) |
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∵ ¬( b*≦b ) ⇒ ¬((∀a∈A) ( a≦b )) は (∀a∈A) ( a≦b ) ⇒ ( b*≦b ) の対偶だから。 ⇔ (∀b∈R )( ( b<b*) ⇒ ¬((∀a∈A) ( a≦b )) ) ⇔ (∀b∈R )( ( b<b*) ⇒ (∃a∈A) ( b<a ) ) ∵全称記号の否定 |
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設定R: 実数体 ≦: 実数体の定義によって、 実数体R上に定められている順序関係(特に全順序となるよう定められている)。 もちろん、実数体Rと順序"≦"とを組み合わせた(R,≦)は、順序集合。 (実数体の定義によって、(R,≦)は、特に、全順序集合となるよう定められている) A: Rの部分集合。ただし、空集合は除く。つまり、A⊂R , A≠φ ![]() 本題 |
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1の証明 |
2の証明 |
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設定R: 実数体 ≦: 実数体の定義によって、 実数体R上に定められている順序関係(特に全順序となるよう定められている)。 もちろん、実数体Rと順序"≦"とを組み合わせた(R,≦)は、順序集合。 (実数体の定義によって、(R,≦)は、特に、全順序集合となるよう定められている) A: Rの部分集合。ただし、空集合は除く。つまり、A⊂R , A≠φ ![]() b : 実数のひとつ。つまり、b∈R 。 a : 実数のひとつで、特に、Aに属すもの。つまり、a∈A 定義 |
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実数体は、順序集合の特殊例(実数体の定義を見よ)。 上記の、実数体における下限・最大下界の定義は、 一般の順序集合(X,≦)における「下限・最大下界」の定義を、 そのまま、(R,≦)に適用したもの。 |
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[文献]
・杉浦『解析入門I』§1実数[2]順序-定義2(p.6) ・高木『解析概論』§3.数の集合・上限・下限(pp.4-5) ・笠原『微分積分学』1.1実数(pp.6-7) ・小林昭七『微分積分読本:1変数』 1章4-[上界下界上限下限](p.8):数直線上に図解 ・小平『解析入門I』§1.5-a上限下限(pp.36-7.) ・神谷浦井『経済学のための数学入門』定義2.1.3(p.59):順序集合全般について。 |
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【類概念・関連概念】 | ||
※適用対象を一般化:順序集合の部分集合の下限inf ※適用対象を具体化:数列の下限 ※基礎となる概念 :下界 ※双対概念:上限sup |
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・集合Aが(Rのなかで)下に有界で、(Rのなかでの)下界が存在するならば、 | ||
集合Aの(Rでの)最大下界・下限は、必ず存在する (→実数体の定義―条件E:連続の公理・順序完備)。 [杉浦『解析入門I』(p.7) ] ・集合Aが(Rのなかで)下に有界で、集合Aの最大下界・下限が存在するとしても、 それが集合Aに属すこともあれば、属さないこともある。 集合Aの最大下界・下限が集合Aに属すならば、集合Aの最大下界・下限は集合Aの最小元である。 [斎藤『数学の基礎:集合・数・位相』1章§31.3.5(p.23);松坂『集合・位相入門』3章§1-C(p.92):証明付] |
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設定R: 実数体 ≦: 実数体の定義によって、 実数体R上に定められている順序関係(特に全順序となるよう定められている)。 もちろん、実数体Rと順序"≦"とを組み合わせた(R,≦)は、順序集合。 (実数体の定義によって、(R,≦)は、特に、全順序集合となるよう定められている) A: Rの部分集合。ただし、空集合は除く。つまり、A⊂R , A≠φ ![]() b* : 実数のひとつ。つまり、b*∈R 。 本題 |
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証明b*=infA の定義は、 |
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設定R: 実数体 ≦: 実数体の定義によって、 実数体R上に定められている順序関係(特に全順序となるよう定められている)。 もちろん、実数体Rと順序"≦"とを組み合わせた(R,≦)は、順序集合。 (実数体の定義によって、(R,≦)は、特に、全順序集合となるよう定められている) A: Rの部分集合。ただし、空集合は除く。つまり、A⊂R , A≠φ ![]() 本題 |
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1の証明 |
2の証明 |
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