1変数関数の全単射bijection :トピック一覧

1変数関数を「写像を用いない一般的な定義」で定義した場合の全単射について

1変数関数を「写像を用いた厳密な定義―タイプA」で定義した場合の全単射定義
  →「単射」「全射」概念を用いた表現  
  →「像」概念を用いた表現
  →「逆像」概念を用いた表現
  →解説 

1変数関数を「写像を用いた厳密な定義―タイプB」で定義した場合の全単射定義
  →「単射」「全射」概念を用いた表現  
  →「像」概念を用いた表現  
  →「逆像」概念を用いた表現  
  →解説  

具体例


【1変数関数全般】  定義:1変数関数とその属性・類型
【全単射関連ページ】 写像一般の全単射

* 総目次


1変数関数を「写像を用いない一般的な定義」で定義した場合の全単射について

Dで定義された1変数実数値関数fを、y=f(x)=xの式》とだけ記す限り、
 「Dで定義された1変数実数値関数f全単射である」とか
 「Dで定義された1変数実数値関数f全単射でない」とか、
 定義されない。

・そもそも、「全単射である/ない」という区別は、
  Dで定義された1変数実数値関数fが、自らの終集合に関して、どのように振舞うか、
 に関わるものであるから、

 終集合を指定して

   『f:DR
   『f:DSDRSR)』

 などと、Dで定義された1変数実数値関数fを表現しない限り、

 「全単射である/ない」という区別はできない。

1変数関数を「写像を用いた厳密な定義―タイプA」で定義した場合の全単射定義

「単射」「全射」概念を用いた表現   
「像」概念を用いた表現 
「逆像」概念を用いた表現  
解説 

「単射」「全射」概念を用いた表現

 





Dで定義された1変数実数値関数f:DR』が
             全単射(双射)である」
とは
 「f:DR」が単射かつ全射であること
  すなわち、
  「f:DR」がRの上への単射であること
をいう。










【一般化】写像の全単射 

【文献】
・笠原皓司『微分積分学』1.4例1(p.23)
赤攝也『実数論講 義』§1.7(p.24)
・加藤十吉『微分積分学原論』定義4.3(p.36)
黒田『微分積分学』3.1.2-例3.2(pp.86-7)



 

」概念を用いた定義

 






Dで定義された1変数実数値関数f:DR』が
             全単射双射)である」
 とは、

 どの実数yに選んでも、

 実数yが、
  ただ一個の『定義域Dに属す実数xに対してのみ、
  f(x)として
 割り当てられる 

 ということ。






 





Dで定義された1変数実数値関数f:DR』が全単射双射)でない」とは、

 ・ある実数yに選ぶと、
  その同一の実数yが、
     複数個の『定義域Dに属す実数x,x',x'',…に対して、f(x),f(x')f(x''),…として
  割り当てられてしまう
        (y=f(x)=f(x')=f(x'')=…)

 または

 ・ある実数yに選ぶと、
  その同一の実数yが、どの『定義域Dに属す実数xに対しても、f(x)として割り当てられなくなる

ということ。






逆像」概念を用いた表現 

 






Dで定義された1変数実数値関数f:DR』が
             全単射双射)である」
 とは、

 どの実数を一つ選んでも、
   その実数fによる逆像は、一元集合
    yRf−1(y)一元集合

 となること。





 






Dで定義された1変数実数値関数f:DR』が全単射双射)でない」

とは、

  ある実数yに選ぶと、
  その実数fによる逆像が、空集合または「複数元が属す集合」

となること。 






【解説】


1変数関数の定義によって、
 「Dで定義された1変数実数値関数f:DR』が同一の『定義域Dに属す実数xにたいして対応づけたf(x)は、
 一個の実数でなければならない。
 だから、
 「Dで定義された1変数実数値関数f:DR』が『定義域Dに属す実数xにたいして対応づけたf(x)が、
   複数個の実数であったり、
   0個で存在しない
  などということは起きない。(そのようなことがあったら、それは関数でない)

・ところが、
 同一の実数yが、
 何個の『定義域Dに属す実数xf(x)となってよいか、
 という点については、
 1変数関数の定義は、なんら規定していない。
 
・つまり、
 「Dで定義された1変数実数値関数f:DR』が
 同一の『定義域Dに属す実数xにたいして対応づけたf(x)は、
 いつでも、一個の実数となるものの、
 同一の実数yが、何個の『定義域Dに属す実数xf(x)となってよいか、という点については、
  ・同一の実数yが、ただ一個の『定義域Dに属す実数xに対して、f(x)として割り当てられるケース (ただ一個のxに対して、y=f(x))
  ・同一の実数yが、複数個の『定義域Dに属す実数x,x',x'',…に対して、f(x),f(x')f(x''),…として割り当てられるケース (y=f(x)=f(x')=f(x'')=…)
  ・同一の実数yが、どの『定義域Dに属す実数』に対しても割り当てられないケース
       (同一の実数yが、0個の『定義域Dに属す実数』に対してとして割り当てられるケース)
 のいずれもが起こりえる。
     
・しかし、
 「Dで定義された1変数実数値関数f:DR』のなかには、
   ・同一の実数yが、複数個の『定義域Dに属す実数x,x',x'',…に対して、f(x),f(x')f(x''),…として割り当てられるケース (y=f(x)=f(x')=f(x'')=…)
   ・同一の実数yが、どの『定義域Dに属す実数』に対しても割り当てられないケース
       (同一の実数yが、0個の『定義域Dに属す実数』に対してとして割り当てられるケース)
 が皆無で、
 どの実数yに選んでも、
 実数yが、ただ一個の『定義域Dに属す実数xに対してのみ、f(x)として割り当てられる(ただ一個のxに対して、y=f(x)となる)
 特殊な関数もある。

・このような関数では、
 同一の『定義域Dに属す実数xにたいして対応づけたf(x)の個数も、 
 同一の実数として割り当てられる『定義域Dに属す実数』の個数も、 
 常に「1個」となる。

・このような特殊な性格を有す関数を、関数全般と区別して、
  全単射と呼ぶ。

先述の全単射の定義にある「全射かつ単射」は、
 この、
  ┌どの実数yに選んでも、
  └実数yが、ただ一個の『定義域Dに属す実数xに対してのみ、f(x)として割り当てられる(ただ一個のxに対して、y=f(x)となる)
  という事態、
  すなわち、
  ┌どの実数yに選んでも、
  │ その実数yfによる逆像は、一元集合
  └ (yR )( f−1(y)一元集合)   
  となる事態
 という事態を指す。

・なぜなら、
 単射とは、
  ┌どの実数を一つ選んでも、
  └その実数fによる逆像は、空集合一元集合のいずれか。
 となる事態
   (yR )( f−1(y)φ または f−1(y)一元集合 ) 
 を指し、
 全射とは、
    ┌ どの実数を一つ選んでも、
    | その実数fによる逆像に、少なくとも一つ以上の実数属す 
     |  (yR) (f−1(y)φ)   
    └
 となる事態
 を指すのだから、
 「全射かつ単射」とは、
  ┌どの実数を一つ選んでも、
  | その実数fによる逆像は、空集合一元集合のいずれか
  │ かつ
  │ その実数fによる逆像に、少なくとも一つ以上の実数属す
  └ 
  (yR )( f−1(y)φ または f−1(y)一元集合かつf−1(y)φ
 であり、
 要するに、これは、
  ┌どの実数を一つ選んでも、
  │ その実数fによる逆像は、一元集合
  └ (yR )( f−1(y)一元集合
 のことにほかならない。


トピック一覧:1変数関数の全単射
トピック一覧:1変数関数とその属性・類型 
総目次

1変数関数を「写像を用いた厳密な定義―タイプB」で定義した場合の全単射定義

「単射」「全射」概念を用いた表現   
「像」概念を用いた表現 
「逆像」概念を用いた表現  
解説 

「単射」「全射」概念を用いた表現

 





Dで定義された1変数実数値関数f:DSD,SR)』が全単射(双射)である」

 とは

 「f:DS」が単射かつ全射であること

   すなわち、 「f:DS」がSの上への単射であること

 をいう。






 


」概念を用いた定義

 






Dで定義された1変数実数値関数f:DSD,SR)』が
             全単射双射)である」
 とは、

  どの「Sに属す実数」をyに選んでも、
  実数yが、
    ただ一個の『定義域Dに属す実数xに対してのみ、
    f(x)として割り当てられる 

 ということ。






 





Dで定義された1変数実数値関数f:DSD,SR)』が全単射双射)でない」とは、

  ・ある「Sに属す実数」をyに選ぶと、
   その同一の「Sに属す実数yが、
       複数個の『定義域Dに属す実数x,x',x'',…に対して、
             f(x),f(x')f(x''),…として割り当てられてしまう(y=f(x)=f(x')=f(x'')=…)
  または
  ・ある「Sに属す実数」をyに選ぶと、
   その同一の「Sに属す実数yが、
     どの『定義域Dに属す実数xに対しても、f(x)として割り当てられなくなる

 ということ。






逆像」概念を用いた表現 

 






Dで定義された1変数実数値関数f:DSD,SR)』が
             全単射双射)である」
 とは、

 どの「Sに属す実数」を一つ選んでも、
  その「Sに属す実数」のfによる逆像は、一元集合
    ySR ( f−1(y)一元集合

 となること。





 






Dで定義された1変数実数値関数f:DSD,SR)』が全単射双射)でない」

 とは、

  ある「Sに属す実数」をyに選ぶと、
  その「Sに属す実数」のfによる逆像が、空集合または「複数元が属す集合」

 となること。  








【解説】


1変数関数の定義によって、
 「Dで定義された1変数実数値関数f:DSD,SR)』が同一の『定義域Dに属す実数xにたいして対応づけたf(x)は、
 一個の「Sに属す実数」でなければならない。
 だから、
 「Dで定義された1変数実数値関数f:DSD,SR)』が『定義域Dに属す実数xにたいして対応づけたf(x)が、
   複数個の「Sに属す実数」であったり、
   0個の「Sに属す実数」 〜要するに、「Sに属す実数f(x)は存在しない〜
  などということは起きない。(そんなことが起きるのなら、f関数でない!)

・ところが、
 同一の「Sに属す実数yが、
 何個の『定義域Dに属す実数xf(x)となってよいか、
 という点については、
 1変数関数の定義は、なんら規定していない。
 
・つまり、
 「Dで定義された1変数実数値関数f:DSD,SR)』が
 同一の『定義域Dに属す実数xにたいして対応づけたf(x)は、
 いつでも、一個の「Sに属す実数」となるものの、
 同一の「Sに属す実数yが、何個の『定義域Dに属す実数xf(x)となってよいか、という点については、
  ・同一の「Sに属す実数yが、ただ一個の『定義域Dに属す実数xに対して、f(x)として割り当てられるケース (ただ一個のxに対して、y=f(x))
  ・同一の「Sに属す実数yが、複数個の『定義域Dに属す実数x,x',x'',…に対して、f(x),f(x')f(x''),…として割り当てられるケース (y=f(x)=f(x')=f(x'')=…)
  ・同一の「Sに属す実数yが、どの『定義域Dに属す実数』に対しても割り当てられないケース
       (同一の「Sに属す実数yが、0個の『定義域Dに属す実数』に対してとして割り当てられるケース)
 のいずれもが起こりえる。
     
・しかし、
 「Dで定義された1変数実数値関数f:DSD,SR)』のなかには、
   ・同一の「Sに属す実数yが、複数個の『定義域Dに属す実数x,x',x'',…に対して、f(x),f(x')f(x''),…として割り当てられるケース (y=f(x)=f(x')=f(x'')=…)
   ・同一の「Sに属す実数yが、どの『定義域Dに属す実数』に対しても割り当てられないケース
       (同一の「Sに属す実数yが、0個の『定義域Dに属す実数』に対してとして割り当てられるケース)
 が皆無で、
 どの「Sに属す実数」をyに選んでも、
 「Sに属す実数yが、ただ一個の『定義域Dに属す実数xに対してのみ、f(x)として割り当てられる(ただ一個のxに対して、y=f(x)となる)
 特殊な関数もある。

・このような関数では、
 同一の『定義域Dに属す実数xにたいして対応づけたf(x)の個数も、 
 同一の「Sに属す実数」をとして割り当てられる『定義域Dに属す実数』の個数も、 
 常に「1個」となる。

・このような特殊な性格を有す関数を、関数全般と区別して、
  全単射と呼ぶ。

先述の全単射の定義にある「全射かつ単射」は、
 この、
  ┌どの「Sに属す実数」をyに選んでも、
  └「Sに属す実数yが、ただ一個の『定義域Dに属す実数xに対してのみ、f(x)として割り当てられる(ただ一個のxに対して、y=f(x)となる)
  という事態、
  すなわち、
  ┌どの「Sに属す実数」をyに選んでも、
  │ その「Sに属す実数yfによる逆像は、一元集合
  └ (ySR )( f−1(y)一元集合)   
  となる事態
 という事態を指す。
・なぜなら、
 単射とは、
  ┌どの「Sに属す実数」を一つ選んでも、
  └その「Sに属す実数」のfによる逆像は、空集合一元集合のいずれか。
 となる事態
   (ySR )( f−1(y)φ または f−1(y)一元集合 ) 
 を指し、
 全射とは、
    ┌ どの「Sに属す実数」を一つ選んでも、
    | その「Sに属す実数fによる逆像に、少なくとも一つ以上の『定義域Dに属す実数』が属す 
     |  (ySR) (f−1(y)φ)   
    └
 となる事態
 を指すのだから、
 「全射かつ単射」とは、
  ┌どの「Sに属す実数」を一つ選んでも、
  | その「Sに属す実数」のfによる逆像は、空集合一元集合のいずれか
  │ かつ
  │ その「Sに属す実数fによる逆像に、少なくとも一つ以上の『定義域Dに属す実数』が属す
  └ 
  (ySR )( f−1(y)φ または f−1(y)一元集合かつf−1(y)φ
 であり、
 要するに、これは、
  ┌どの「Sに属す実数」を一つ選んでも、
  │ その「Sに属す実数」のfによる逆像は、一元集合
  └ (ySR )( f−1(y)一元集合
 のことにほかならない。



トピック一覧:1変数関数の全単射
トピック一覧:1変数関数とその属性・類型 
総目次

全単射である1変数関数の具体例

[全単射である1変数実数値関数の例]
 ・R(−∞,∞{ xR }で定義された1次関数f(x)=-5x-2
             [『解析演習ハンドブック1変数関数編』]
 ・定義域D(0,∞{ xR | x>0 }で定義され、
  f(x)=logx と表される対数関数f:DR』 [赤]

 ・R(−∞,∞{ xR }で定義され、
  f(x)x3 と表される3次関数『f:RR』 [黒田]

[でない1変数実数値関数の例]
 ・R(−∞,∞{ xR }で定義され、
  f(x)x3x2x と表される『f:RR』は全射Rの上への写像)だが、
  単射ではない。[赤]
 ・R(−∞,∞{ xR }で定義され、
  f(x)=ex  と表される指数関数『f:RR』は、
  単射だが、全射Rの上への写像)ではない。[赤]
  ・R(−∞,∞{ xR }で定義され、
   f(x)x2 と表される2次関数『f:RR』は、全射でも単射でもない[赤;笠原-例2]
[→全単射冒頭]

[1変数関数の具体例についての全単射の検討]

  ・y=x / y=x2/ y=x3 / y=1/x  →べき関数
 ・定数値関数/比例/一次関数/二次関数/三次関数多項式関数  
 ・指数関数/対数関数 
 ・絶対値関数/三角関数/ガンマ関数

[文献]

黒田『微分積分学』3.1.2-例3.2(pp.86-7)
赤攝也『実数論講 義』§1.7(p.24)例3
・笠原皓司『微分積分学』1.4例1-3(p.23)
・『解析演習ハンドブック1変数関数編』ex.1.1.12(p.11)


トピック一覧:1変数関数の全単射
トピック一覧:1変数関数とその属性・類型 
総目次