二つの2変数関数と一つの2変数関数との合成関数 :トピック一覧

 連続微分可能な関数の合成関数の連続微分可能性/全微分可能な関数の全微分/連鎖公式Chain Rule  
 n回連続微分可能な(Cn級)関数の合成関数のn回連続微分可能性/C級関数の合成関数もC/CnC級関数の多項式・有理式の連続微分可能性 
合成関数の微分関連ページ:1変数関数の合成関数の微分/二つの1変数関数と一つの2変数関数との合成関数の微分  
微分定義関連ページ:1変数関数の微分、 2変数関数の偏微分/高次の偏微分/微分演算子/全微分/方向微分
2変数関数微分の応用:平均値定理・テイラーの定理/極値問題/陰関数定理/逆関数定理/ ラグランジュ未定乗数法
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定理:連続微分可能な関数の合成関数の連続微分可能性

(設定)
   D,Eは、それぞれ、平面R2上の領域
   z = f (x,y)は、定義域領域D部分集合として含む2変数関数
   g(s,t),h (s,t)領域Eで定義された2変数関数
   ( s,t ) Eならば、つねに( g(s,t), h(s,t) ) Dであるとして、
   合成関数z = f ( g(s,t) , h(s,t) ) を考える。
(本題)
   このとき、g(s,t) , h(s,t)s,tについて連続微分可能f(x,y)Dx,y について連続微分可能ならば
   合成関数 f ( g(s,t) , h(s,t) )s,t について連続微分可能
(証明)
   小平『解析入門IIp.280;


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定理:全微分可能な関数の合成関数の全微分 

(設定)

 D,Eは、それぞれ、平面R2上の領域
 z = f (x,y)は、定義域領域D部分集合として含む2変数関数
 g(s,t),h (s,t)領域Eで定義された2変数関数
 ( s,t ) Eならばつねに( g(s,t), h(s,t) ) Dであるとして、
 合成関数z = f ( g(s,t) , h(s,t) ) を考える。

(本題)

  このとき、g(s,t) , h(s,t)s,t について全微分可能f(x,y)D全微分可能ならば
 合成関数 f ( g(s,t) , h(s,t) )s,t について全微分可能である。

 (証明)

  小平『解析入門II』p.281;和達『微分積分』p.122;  
   

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定理:連鎖公式  

(設定)

 D,Eは、それぞれ、平面R2上の領域
 z = f (x,y)は、定義域領域D部分集合として含む2変数関数
 g(s,t),h (s,t)領域Eで定義された2変数関数
 ( s,t ) Eならばつねに( g(s,t), h(s,t) ) Dであるとして、
 合成関数z = f ( g(s,t) , h(s,t) ) を考える。

(本題) 
 このとき、g(s,t) , h(s,t)s,t について偏微分可能f(x,y)D全微分可能 ならば
 合成関数 f ( g(s,t) , h(s,t) )s,tについて偏微分可能であり、
 以下が成り立つ。
    
    
(証明1〜微分differentialを用いて)
  [小平『解析入門II』.281;和達『微分積分』122;小林『Mathematicaによる微積分』105-6.]
   
(証明2〜1変数関数と2変数関数の合成則から導出)[吹田・新保『理工系の微分積分学』166]


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定理:n回連続微分可能な関数(Cn級関数)の合成関数のn回連続微分可能性  

(設定)

 D,Eは、それぞれ、平面R2上の領域
 z = f (x,y)は、定義域領域D部分集合として含む2変数関数
 g(s,t),h (s,t)領域Eで定義された2変数関数
 ( s,t ) Eならばつねに( g(s,t), h(s,t) ) Dであるとして、
 合成関数z = f ( g(s,t) , h(s,t) ) を考える。


(本題)

 このとき、g(s,t) , h(s,t) s,t についてn回連続微分可能
 f(x,y)Dx,y について n回連続微分可能ならば  
 合成関数 f ( g(s,t) , h(s,t) )s,t について n回連続微分可能

(証明)

 [小平『解析入門IIp.282;]  

 

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定理: C級関数の合成関数もC級  

(設定)

 D,Eは、それぞれ、平面R2上の領域
 z = f (x,y)は、定義域領域D部分集合として含む2変数関数
 g(s,t),h (s,t)領域Eで定義された2変数関数
 ( s,t ) Eならばつねに( g(s,t), h(s,t) ) Dであるとして、
 合成関数z = f ( g(s,t) , h(s,t) ) を考える。


(本題) 
 
 このとき、g(s,t) , h(s,t) s,t についてC級関数
 f(x,y)Dx,y についてC級関数ならば、 
 合成関数 f ( g(s,t) , h(s,t) )s,tC級関数

(証明)

 [小平『解析入門IIp.282;] Cn級関数の合成関数の証明から 

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定理: Cn級C級関数の多項式・有理式  

(設定) 

 g(s,t) , h(s,t) 平面R2上の領域Eで定義された2変数関数であるとして、
 その多項式、有理式 g(s,t) / h(s,t) を考える。 

(本題) 

 このとき、
 g(s,t) , h(s,t)s,t についてCn級関数ならば、
 g(s,t) , h(s,t) の多項式はCn級関数。 
 g(s,t) , h(s,t) の有理式は、その分母が0にならない限り、Cn級関数
 また、 
 g(s,t) , h(s,t)s,t についてC級関数ならば、
 g(s,t) , h(s,t) の多項式はC級関数。 
 g(s,t) , h(s,t) の有理式は、その分母が0にならない限り、C級関数


(証明)

  [小平『解析入門II』p.284;]  →Cn級関数の合成関数の証明から 



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reference

高木貞治『解析概論 改訂第三版』岩波書店、1983年、p. 60.
小平邦彦『解析入門II』 (軽装版)岩波書店、2003年 p.278-282。
和達三樹『理工系の数学入門コース1・微分積分』岩波書店、1988年、pp.121-123.126.
吹田・新保『理工系の微分積分学』学術図書出版社、1987年。pp.165-168.
高橋一『経済学とファイナンスのための数学』新世社、1999年、pp.154-159。
高橋陽一郎『岩波講座現代数学への入門:微分と積分2』 岩波書店、1995年、pp.93-96。n変数関数一般。
小林道正『Mathematicaによる微積分』朝倉書店、1995年、pp.106-7.
未チェック
神谷和也・浦井憲『経済学のための数学入門』東京大学出版会、1996年、pp.235-227.
杉浦光夫『解析入門』岩波書店、1980年、pp.118-126.  ただし、いきなり多次元。