2003年3月の映画  戻る


13ゴースト Thir13en Ghosts

2001年 米国 93分 ダークキャッスル・エンタテインメント
監督 スティーヴ・ベック
製作 ギルバート・アドラー/ジョエル・シルバー「マトリックス」/ロバート・ゼメキス
出演 トニー・シャロープ(パパアーサー)/エンベス・デイヴィッツ/マシュー・リラード(「スクリーム」)/シャノン・エリザベス(キャシー)/ラー・ディッガー(マギー)/アレック・ロバーツ(ボビー)/F・マーレイ・エイブラハム(サイラス「アマデウス」「薔薇の名前」)
メモ 2003.3.30 レンタルビデオ
あらすじ
叔父サイラスの屋敷を相続した父、娘、息子、その子守、そして弁護士5人が屋敷にやってくれば、そこにいたのは・・・・・修理人(マシュー・リラード)だった。美しい屋敷に入ってみれば、地下牢に閉じこめられていたのは・・・・・12ゴーストだった。(なお画像は「MIB2」)
ホラー専門プロダクション「ダークキャッスル社」の「TATARI」に続けの2本目。ウィリアム・キャッスル監督(「マチネー」のモデルだったかな。)の「13ゴースト(1960)」のリメイクとか。ちなみに「TATARI」は『地獄へつゞく部屋』のリメイク。ウィリアム・キャッスルは
「第三の犯罪」 「ティングラー −背筋に潜む恐怖−」 「血だらけの惨劇」の監督さん。
感想
ほお13番目のゴーストとは自分の死ぬ場面を見てしまったあの人だったのか。硝子と鏡を多用した硬質で美しいビュジュアルは凝っている。力入りまくり。ゴーストの造形もなかなかの物。しかし、そこで力が尽きたか、金が尽きたか。ぶっちゃけた話裏切り者が出てからぐぐっと話はさがりB級からC級への崖っぷちとなりやした。必然性がわからん。まあそれなりに面白いけど。あくまでそれなりに。
閉鎖空間でのサバイバルと機械がギッチョンギッチョン動いて扉が閉まったり空いたりともちろん「CUBE」に似ている。
驚いたのはパパ役のトニー・シャロープって人がこの間見た「名探偵 Mr.モンク」のミスター・モンクだった事。調べたら「MIB」「MIB2」のジーブス(画像最下段真ん中の人)だったのか。質屋で発明家ね。それと「ギャラクシー・クエスト」のチェン技術主任だったとわ。
おすすめ度★★★
戻る

スパイダー −少年は蜘蛛にキスをする− Spider

  2002年トロント国際映画祭 最優秀カナダ映画賞
2002年 フランス/カナダ/イギリス  98分 ブエナビスタ配給
監督・製作 デイビット・クローネンバーグ(
「eXistenZ」
原作・脚本 パトリック・マグラア
撮影 ピーター・サシツキー
美術 アンドリュー・サンダース
音楽 ハワード。ショア
出演 レイフ・ファインズ(デニス・グレッグ 「ストレンジデイズ」「シンドラーのリスト」)/ミランダ・リチャードソン(イヴォンヌ・グレッグ 「スリーピー・ホロウ」)/ガブリエル・バーン(ビル・グレッグ 「ミラーズ・クロッシング」)/リン・レッドグレーブ(ウィルキンソン夫人「ゴッドandモンスター」)/ジョン・ネビル(テレンス・ネビル)/ブラッドリー・ホール(スパイダー)
メモ 2003.3.29 敷島シネポップ
あらすじ
ロンドンの駅に列車が着いた。たくさんの人々が降りてくる。そして最後に降り立った男はぶつぶつ独り言をつぶやいている。男の頭の中は様々なモノが絡み合っているようだ。他の人間と交わらない男は毎日ロンドンの街をさすらい、頭の中の子供の頃の記憶をたぐってはノートにメモをしている。あの頃は父と母と自分の3人暮らしだった。
感想
ヤラレマシタ。言葉モアリマセン。恐るべしミランダ・リチャードソン。この題材がこんなミステリになるのか。恐るべしクローネンバーグ。
多くは語れませんが、隣に座ってはった年輩のご婦人が終わった途端、「なんやったん?」と隣のご主人に聞かれていた事とそれに対しお返事がなかった事のみ付け加えます。

おすすめ度★★★★
戻る

ロード・オブ・ザ・リング −二つの塔−
   THE LORD OF THE RINGS −THE TWO TOWERS−


2002年 米国 179分
出演 バーナード・ヒル(セオデン王)/ブラッド・ドゥーリフ(蛇の舌グリマ)/アンディ・サーキス(ゴラム)/デヴィッド・ウェンハム(ファラミア)/ミランダ・オットー(エオウィン「女と女と井戸の中」「ラブ・セレナーデ」)/カール・アーバン(エオメル)/クレイグ・パーカー(ハルディア)
メモ 2003.3.26 梅田ピカデリー
あらすじ
「ロード オブ・ザ リング−旅の仲間」に続く「二つの塔」。
旅の仲間9人はふたりを失い7人になり3組に分かれてしまう。フロド(イライジャ・ウッズ)とサム(ショーン・アステン)は指輪を捨てるため滅びの山への苦難の旅を続ける。メリー(ドミニク・モナハン)とピピン(ビリー・ボイド)を探すアラゴルン(ヴィゴ・モーテンセン)とレゴラス(オーランド・ブルーム)、ギムリ(ジョン・リス=ディヴィス)は”エントの樹の髭”にふたりが守られている事を知る。そして3人は旅の途中であったローハンの騎士の一団とローハンの城を守るためエドラスへと旅立つ。それがフロドとサムを援護する事になるのだ。ローハンの城はサルマンに狙われていた。
感想
この壮大な映画の感想を書くには役不足である。とてもとても。言葉にできない。
しかしあえて書く。その理由は見終わった時に「3部作あわせていつかはアカデミー賞を取るやろな」と思ったから。受賞などどうでもよいが取れなかったらそれは「間違っている」と思う。よそ様のお国の映画賞にいちゃもんつけているわけだ。これが取らなかったら何が取るというの?(まだ決まってないって)
見所は多々あるが、まず城攻めの攻防がすばらしい。決死の覚悟で城から城外へ切り込んでいくシーンは必見。ふたつめは怒り心頭のエントの遠投。みっつめはゴラムに誘惑されるフロドの苦悩とかわらないサムの献身。
満足度★★★★★
戻る

スカーレット・ストリート Scarlet Street

1945年 米国 203分 モノクロ
監督 フリッツ・ラング
脚本 ダドリー・ニコルズ
音楽 ハンス・J・サルター
撮影 ミルトン・クラスナー
出演 エドワード・G・ロビンソン(クロス)/ジョーン・ベネット(キティ)/ダン・デュリエ(ジョニー)
メモ 2003.3.22 BS録画
あらすじ
私はクロス。銀行の出納係として実直に勤め25年勤続のお祝いに金時計を貰った。シャンパンに酔って気持ちよく帰る途中若い女が男に殴られているのを目撃! 「おまわりさ〜ん」と助けを呼ぶが若い女は警察沙汰にしたくないらしい。女の名前はキティ。女優の卵とか。美しい人だ。家に帰れば口うるさい妻がガミガミと言い、生き甲斐の油絵もバスルームでしか描けない毎日。反対にキティと会っている時は天国にいるここちだ。
アタシはキャサリン.マーチ。キティと呼んで。いつもお金がないのよ。一文無し。でもって惚れ込んでいるジョニーを一人前の男にする事もできやしない。ジョニーのためならなんだってするつもりよ。哀れなジジイを騙す事も平気よ。
俺はジョニー。いずれはハリウッドの映画スターになるんだ。今はこのおつむを使って一攫千金を狙っている。キティがくわえ込んだオヤジは絵描きらしい。ヘンテコリンな訳わからん絵だが金になるのか? 馴染みの故買屋に持ち込むがけんもほろろ。ほんとにアイツは画家なのか? 路上の絵描きに売りを頼んだ所が有名な美術評論家の目にとまりなんと50ドルで売れた! ジジイには内緒で持ち出したもんだし、絵を描いたのは誰だとしつこく評論家と画廊主に問いただされ切羽つまった俺はキティだとでまかせ言ったんだ。まあなんとかなるだろ。
感想
蚤なみの頭しかないひものジョニーと美人だが自堕落なキティにたぶらかされふぬけにされ、クロスは落ちていく。妻の前夫の保険金を盗み銀行のお金に手をつけ、それでもジョニーはキティの友達ミリーの恋人だと言う言葉を信じたい。しかしいつかは真実を知る時が来るのだ。その衝撃は激しい。

と定番の「中年の危機」のお話なのですが、この映画を個性的にしているのはクロスが描く”絵”。クロスのモデルはアンリ・ルソーのように思う。独学で絵を描いているクロスは遠近法をものにできなかった。それでも描くだけで幸せだった。が、その絵が金を生み、金は悪者2人を有頂天にさせ不幸をよんでいく。そして3人が滅んだ後も絵は生き続けるのだ。
おすすめ度★★★1/2
戻る

殺し屋は放たれた  THE KILLER IS LOOSE

1955年 米国 73分 モノクロ
監督 バッド・ベティカー
出演 ジョセフ・コットン(サム)/ロンダ・フレミング(ライラ)/ウェンデル・コーリイ(レオン・プール)
メモ 2003.3.21 WOWOW録画
あらすじ
レオン・プールはローン会社の窓口係。そのローン会社が強盗に襲われた。プールは勇敢にも犯人に飛びかかったが殴られ逃げられてしまう。英雄になるはずだったプールだがぶっちゃけた話強盗の一味で内部から手引きをしていたのだ。警察はプールの電話を盗聴し動かぬ証拠を掴み、家に乗り込む。プールは立てこもり警察と撃ち合いになった最中、妻のドリスが過って撃ち殺されてしまう。ここからが逆恨みの始まり。元々プールはどじなタイプでからかわれる対象。11年振りにあった陸軍時代のフランダース軍曹からいまだに「プール”マヌケ”伍長」と呼ばれる始末。妻だけが自分をバカにしなかった。罪のない妻を撃ち殺したサムへの怨みは深い。10年の刑となるが、模範囚で過ごしもう少しで仮釈放という時に看守を殺して逃走。狙うのはサムではなく、サムの妻ライラ。2000人の警官を動員した包囲網を突破しひたひたとサムの家に近づく。プールの狙いを知ったサムはライラを安全な場所に移そうと画策するが一筋縄ではいかない。夫を愛するあまり「警察をやめて。私と警察とどっちが大事なの。」と言い続けているライラが素直に言う事をきくはずもない。おバカなライラは隠れ家を抜け出し、犯人が来るのを待ち受けている囮の我が家に向かうのだった。
感想
オーソドックスなサスペンスだった。ライラとプールは似たもの同士なのね。いわゆる”愛”のためなら盲目になってしまうというタイプ。そのためには躊躇なく強盗もするし人殺しもする男と、危険やし足手まといにしかならないし何の役にもたたないのに夫の元に向かう女なのだ。そのふたりのラストシーンがいい。夜道を家に向かうライラと後をつけるプール。プールはライラだと確信を持てず、家へ入るなら撃とうと狙っている。外で見張っている警察はプールが女物のコートを着ているので「大女なのか、プールなのか」判断が付かない。つけられているのに気づいたライラは家の前を素通りするのか、それとも愛するサムの元に走るのか・・・。
おすすめ度★★★
戻る

名探偵 Mr.モンク Monk

2002年 米国 80分
監督 ディーン・パリソット
脚本 アンディ・ブレックマン
出演 トニー・シャロープ(モンク)/ビッティ・シュラム(シャローナ)/テッド・レビーン/スタンリー・キャメル
メモ 2003.3.16 WOWOW録画
あらすじ
ミスター・文句モンクは4年前まではサンフランシスコ市警の名刑事だったが、妻が乗っている車が爆破されてから神経を病み休職中。妻の事件はいまだ解決せず、コツコツひとりで捜査している。神経症にかかっているモンクは社会生活を送るために准看護士のシャローナの世話を受けている半分幼稚園児状態。それでも市長の信任は厚く難事件になるとオブザーバーとして出動を要請される。それが元上司の悩みの種。俺と同じ物を見ているのにあやつは何故謎を解明できるのだ? げにいまいましきはモンクめ。
感想
TV映画らしい。それもパイロット版。それが日本のWOWOWで放映されるのだからかなり個性的。主人公ミスター・モンクは「恋愛小説家」のニコルソンはおろか「おつむてんてんクリニック」のビル・マーレーをもしのぐ脅迫神経症のかたまり。非常はしごが上れずおめおめ殺し屋を逃がしてしまう「高所恐怖症」。泥だらけの急斜面を降りれず現場検証ができない、それは靴が汚れるからの「潔癖性」。黒川博行氏の「カウント・プラン」と同じくなんでも数えてしまう「計算症」。エレベータに乗れない「雑踏恐怖症」。他にも「暗闇恐怖症」、ミルクも恐いという神経やみの歩く見本市。しかし、ブラインドのひもがよじれている事から犯人の身長を割り出し、保護者シャローナのデート相手を「結婚詐欺師」と見抜き、スナイパーに狙われた市長候補の奥方の浮気をあっさり当てる推理する。
市長候補の身代わりに射殺されたボディーガードが自分のお葬式でお棺の中から”敬礼!”するシーンは見物よ。

しょぼくれたおやじのモンクに比べ、殺された奥さんがブロンドのえらい美形。何故このふたりが? このドラマ最大の謎じゃ。殺された理由は警察官モンクへの逆恨みだったのか、それともトルーディ・モンクを巻き込んだよからぬ色欲嫉妬があったのか。ああ知りたい。このレベルの推理を続けられるんやったら5回くらいのシリーズ物として見たかったな。
おすすめ度★★★
戻る

ボーン・アイデンティティー THE BOURNE IDENTITY

2002年 米国 119分 ユニバーサル
監督 ダグ・リーマン
原作 ロバート・ラドラム「暗殺者」
脚色 トニー・ギルロイ/ウィリアム・ブレイク・ハーロン
撮影 オリバー・ウッド
音楽 ジョン・パウエル
出演 マット・デイモン(ボーン)/フランカ・ポテンテ(マリー)/クリス・クーパー(コンクリン
「アメリカン・ビューティー」「真実の囁き」)/クライヴ・オーウェン(教授)/ブライアン・コックス(アボット)/アドウェール・アキノエ=アグバエ(ウォンボシ)
メモ 2003.3.1 アポロシネマ8
あらすじ
嵐の地中海でひとりの男が漁船に助けられる。背中に数発の弾丸がめり込み、お尻にはカプセルが埋め込まれていた。男は意識を取り戻すものの記憶を失っている。自分が何者なのか、どうして海の上でただよっていたのか思い出せない。イタリアの漁村で船を降りた男はスイスのチューリッヒへと向かう。おしりのカプセルにはチューリッヒ相互銀行の口座番号が記されていたのだ。貸金庫の中から出てきたのはアメリカ合衆国のパスポート。名前はボーン。パリ在住。そうか、俺はボーンなのかと一安心したボーンだったがパスポートはそれひとつではなかったのだ。
感想
「ボーン・アイデンティティ」と聞いて「生まれと存在証明」などと思って見に行ったら、ボーンは名前だった・・・・。生まれるは「be born」か。と前知識ゼロだったのに、か、ゼロだったからか面白かった。
スパイ映画はあまり見たことがない。まあはっきり言ってスパイになりたい人の気持ちはとんとわからない。言葉を尽くされても。この映画はそういう辛気くさい部分はばっさり切り捨ててる。なりたいからではなくなってしまう(だって、俺はスパイだから殺し屋だから)。話がスピーディでフィルムに無駄がない。CGを多様しないアクションもいい。映画では添え物のように扱われていたが、「マッチポンプ」って言うのかな、脅威を造り出す事で自己の権力と存在を生き残らせるCIA。それに踊らされるアメリカ議会。今、フセインを倒さないと時機を逸し後々大変な事になるのか。それともそれは大国の妄想なのか。北朝鮮のテポドンの脅威にさらされている我が国も人ごとではない。最後の一兵卒まで戦うなどと言わずすんなり亡命して欲しい。どちらさんも。戦争をするのに国連の承認がいるとかいらないとかモタモタややこしいし艦隊を待機させるのにも多量のエネルギーがかかるしおお事だしできればいっそ暗殺者にピンポイント攻撃をってのもわからないではない(ためしただろうが)。いやいや、わかってはいけない。それはテロだ。国連もいらなくなってしまう。

ダグ・リーマンって方は、「スウィンガーズ」と、「go」の監督さん。カメラも脚本もいいな。

マリーは赤毛でなくても「ラン・ローラ・ラン」のローラとわかる。硬い英語が似合っている不敵な面構えの女優さん。一方わかんなかったのは、殺し屋・教授のクライヴ・オーウェン。「グリーン・フィンガーズ」の主役の人だったのか。CIAのクリス・クーパーもええねんけどね。指を鳴らす所が「逃亡者」のトミー・リー・ジョーンズみたいでちょっと残念だった。
マット・デイモンは影のある役が多い。そして頭のいい役が多い。あほではスパイは務まるまい。ベン・アフレックとジェニファー・ロペスの結婚に反対しているくらいだから実際頭の良い人なんだろう。(人の恋路をじゃまするヤツは馬に蹴られて死んじまえというが、魂抜かれたベンはあほだ。)。「リプリー」とこの映画はどこが違うかと言うと、アクションしている所。体も鍛えている。役作りでは見えないところでかなり努力をしていると思う。はっきり言ってハンサムではないゆえに自分の才能を見極めうぬぼれていない姿に好感を持つ。

先週末風邪で熱をだす。熱は引いたもんの息も絶え絶えの一週間を会社で過ごし今週末扁桃腺で熱が出ると絶不調。薬で頭グルグル。という訳で感想もグルグル。
おすすめ度★★★★
戻る