2000年5月の映画


ステイル・クレージー Still Crazy

監督 ブライアン・ギブソン(「ティナ」「陪審員」)
脚本 ディック・クレメント/イアン・ラ・フレネ
撮影 アシュリー・ロウ
美術 マックス・ゴット・リーフ(「シューティング・フィッシュ」)
衣装 キャロライン・ハリス(「ビフォア・ザ・レイン」「オセロ」)
音楽 クライブ・ランガー
出演 スティーブン・レイ(キーボード/トニー)/ビル・ナイ(ナルシスト・ボーカル/レイ)/ジミー・ネイル(ベース/レス)/ビリー・コノリー(ローディ/ヒューイ)/ティモシー・スポール(ドラム/ビーノ「秘密と嘘」)/ジュリエット・オーブリー(マネージャー/カレン)/ヘレナ・ベルクストローム(レイの妻元グルーピー/アストリッド)/ブルース・ロビンソン(天才ギタリスト/ブライアン)/ハンス・マシソン(リード・ギター/ルーク)/レイチャル・スターリング(カレンの娘/クレア)
1998年 英国 コロンビア映画 95分 
メモ 2000.5.29 OS劇場C.A.P
あらすじ
ボーカルのキースをドラッグの過剰摂取で失い、キースの兄のブライアンもヤク浸りで崩壊寸前だったロック・グループ”ストレンジ・フルーツ(スト・フル)”は、1977年のウィズベック野外ロック・コンサートでとうとう決裂、解散、メンバーは散り散りとなった。それから20年、キーボードのトニー(スティーブン・レイ)はスペインの保養地イビザ島でコンドームのセールスマンをして食っていた。肩書きはロック・ミュージシャンのままだが。ある日、ウィズベック野外ロック・コンサートのプロモーターだった男の息子に「ファンです」と声をかけられる。ブームだから再結成してウィズベック20周年記念フェスティバルに出てはと誘われたトニーは、昔の仲間を訪ね始める。まず最初に訪ねたのは天才ギタリスト・ブライアンの恋人でマネージャーだったカレン。昔からトニーはカレンが好きだった。
感想
「TOKYOフィスト」に続き、またしても不完全燃焼のままくすぶり続けているやつらが、”もうひと花咲かせて燃え尽きて真っ白な灰になってやろうじゃないか。指がふるえて演奏できなくなる前に”と笑い者になるのをも恐れず、それぞれ屈折した思いを抱えながらも頑張る。いい話だ。とてもいい。しみじみ笑った。中年ロッカー連がいい年こいて我が儘で熱いのもいいけれど、若いギタリストのルークとカレンの娘クレアの”うちの若いの”の風変わりなクールさもいい。
ロートル・ミュージシャン達はイカレ度もパワー溢れる・・・事もなくいささか疲れていて、アタシのくたびれたハートには丁度いい案配の刺激がビンビンきた!(笑)。 若い時代にあそこまで行ったえらい人達なのに等身大に感じ、青くていささかトチ狂っていた頃の自分を思い出しぃの今の守りに入った現実もダブりぃので「そのまま行け! 至福の時を過ごせ!」と胸の中で檄を飛ばす。
おすすめ度★★★★
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TOKYOフィスト TOKYO FIST

ロカルノ国際映画祭コンペティション部門<ヤング審査員特別賞> 
サンダンス・フィルムフェスティバル・イン東京’95<グランプリ>
監督・脚本・撮影・照明・美術監督・編集・主演 塚本晋也(
「バレット・バレエ BULLET BALLET」 「鉄男」 「双生児 GEMINI」 「妖怪ハンターヒルコ」)
原案 斉藤久志/塚本晋也
ノヴェライズ 塚本晋也
音楽 石川忠
劇中映画 「第三の男」「メトロポリス」
出演 藤井かほり(高崎映画祭最優秀助演女優賞)/塚本耕司(キネマ旬報日本映画新人男優賞)/宮田正明/柚木征吾/六平直政/竹中直人/輪島功一/田口トモロヲ
1995年 日本 海獣シアター 87分
メモ 2000.5.29 ビデオ
あらすじ
東京の高級マンションで美しく暮らしていた義春(塚本晋也)とひづる(藤井かほり)は、義春が偶然再会した高校時代の後輩小島拓司にひづるの魂が奪われた事から狂気の三角関係が走り出す。
感想
「『結婚』の二文字を持ち出すとはぐらかす。」 「昔の女の子を忘れられない。といって、片を付けるわけでもない。」 「詰めが甘い」といった不完全燃焼の男ふたりに「あたしが引導渡してあげるわ。成仏させてやろうじゃないの。燃え尽きて”真っ白な灰”になれい! 」とひづるがぶちかまし、それに刺激され翻弄される男ふたり といった迫力溢れる映画だった。ひづるの切るたんかがかっこいい。いやあ、ほんとすごみがあった。すっとした(笑)。
暴力的で劇画調の映画でありながら、くすくす笑え結構楽しい。「バレット・バレエ BULLET BALLET」の時は「この監督さんの描きたかった事はなんなんだ。」とあれこれ考えましたが、今回は、もうどうでもいい。身をゆだねる(笑)。「鉄拳」という「殴り合い」がテーマですが相手を痛めつけて快感を得るというより、自分を痛めつけその痛さが心地よいといった倒錯した感触がビシビシこちらに伝わってきてしまうじゃないぃ。それがまた気持ちいいやら悪いやら。

ビデオの最後に塚本晋也監督と竹中直人氏の対談があり、「自分の映画を熱く語らず」「日本映画界をしょって立とうなどという気はさらさらなく」「自分の撮りたい映画を撮っていればいいんじゃないですか。」と飄々という塚本監督。面白い。あのすべすべのお肌はエステにでも通ってはるのであろうか。竹中直人氏が「(監督は)スーツ姿似合いませんね」というのに爆笑しました。
おすすめ度★★★★1/2
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オール・アバウト・マイ・マザー All About My Mother

カンヌ国際映画祭最優秀監督賞 アカデミー最優秀外国語映画賞
監督・脚本 ペドロ・アルモドバル
撮影 アフォンソ・ベアト
美術 アンチョン・ゴメス
音楽 アルベルト・イグレシアス
出演 セシリア・ロス(マヌエラ)/マリサ・パレデス(ウマ・ロッホ)/ペネロペ・クルス(ロサ)/カンデラ・ペニャ(ニナ)/アントニア・サン・フアン(アダラート)/ロサ・マリア・サルダ(ロサの母)
1999年 スペイン 101分
メモ 2000.5.26 テアトル梅田
あらすじ
マヌエラの仕事は移植コーディネーター。今日も命を救う仕事をしている。17才のひとり息子は作家志望で謎の多い母の事を書こうとしている。マヌエラはシングルマザーで息子には父親の事を話していない。なかなか言えない複雑な事情があるのだ。
感想
映画の最後あたりから、両手の親指の付け根がしきりにうずく。手というのは心の内を表すものなんだな。泣きたいけれど泣けない。

 男の人はテリトリーが大切なんとちゃうかな。男同士いる時にはどんなヤツなのかどんな仕事をしているのか、こいつは一目置くようなモノを持っているのか、自分との上下関係はどうなのか。それらを把握して自分の居場所や全体の中での自分の位置がわかってやっと落ち着いてくつろいだ気持ちになれる。ところが女はそういう事を全てすっとばして、はじめてあった人とも言葉を交わす事ができるし連帯感を持つ事ができる。ちっちゃな秘密をも共有できる。そりゃ中には権力欲の強い人や権力者の側にいるのが好きっていう人もいるけれども、少なくとも監督さんは物のわかった女性をそうとらえていると思う。
 女性のしなやかさ、したたかさ、「困っている人がいるとほっておけない」というタフさを描きたかったんだと思う。そして、いつまでもおしゃれで美しさのためなら時間を惜しまない生き物が好きで羨ましく思っている。それは監督のとても優しい気持ちの表れだと思う。そういう優しい心根が暖かく嬉しくもあり、一方自分は蚊帳の外かもしれぬという一抹の寂しさも同時に感じてしまうという複雑な感情を起こさせる。それでも年を取る事に勇気を持てる映画だった。

この映画名から「母性賛歌」のお話と思うかもしれないけれど、そういう単純な図式の映画とは違うよ。
おすすめ度★★★★1/2
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ホームドラマ Sitcom

監督・脚本 フランソワ・オゾン
撮影 ヨリック・ルソー
音楽 エリック・ヌブー
出演 エヴリーヌ・ダンドリイ/フランソワ・マルトゥレ/マリナ・ド・ヴァン/アドリアン・ド・バン
1998年 仏 80分
メモ 2000.5.23 WOWOW録画
あらすじ
両親と子供2人がこぎれいな家に住んでいる。ある日お父さんのジャンは真っ白のモルモットを買って帰ってきた。一目で気に入ったからと言う。お母さんは「ばい菌がいるんじゃない。」と嫌がるが、息子のニコラはかわいいとねずみを自分の体に乗せ這いまわさせる。と、その夜の晩餐の席でニコラが唐突に語り始める。「僕は同性愛なんだ。今気づいた。」
感想
パゾリーニ監督の「テオレマ」に似ていると思って見ていたのですが、違いました。「テオレマ」は突然ひとりの男がやってきて突然去っていくとブルジョワの四人家族がバラバラにあちこちの方向に走り出すが、この映画は家のメイドとその夫、長女の恋人をも巻き込んで今までより一層濃密に家族が絡み出すのだ、お父さんを除いて。 
「アメリカン・ビューティー」がごくノーマルに思えてくるような映画だった。子供の事を心配する妻に対し、「取り越し苦労のしすぎだ。事が起こってから考えればいい。」とか、ゲイの息子に「あるがままのお前を受け入れる。」と言う穏やかな父親に対し「それは優しさではない。無関心なんだ。」と厳しく追及しておりました、監督さん。 「お前達に何不自由のない生活をさせている。」「私の悩みをうち明けて困らせる事はないだろう?」「義務ははたしている。」「だから私をわずらわせないでくれ。」という言葉が語られないのに・・・語られていました。 自分が気に入って買ってきたねずみにも無関心で(妻子に対しても同じなんだろう)、他の家族と違い内面に沸き上がった欲望も飲み込み、言われるがままに処理してしまう。「お父さん、私達と面と向き合って!」という家族の叫びを感じるブラックで辛口の話だった。でもオシャレなんだな、これが。

フランス期待の俊英31才の監督、長編第一作だそうです。
おすすめ度★★★★
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日本人の勲章 Bad Day at Black Rock カンヌ映画祭演技賞

1955年 米国 82分
監督 ジョン・スタージェス(「OK牧場の決闘」「大脱走」「荒野の七人」「老人と海」「墓石と決闘」「鷲は舞い降りた」)
脚本 ミラード・カウフマン
原作 ハワード・ブレスリン
撮影 ウィリアム・C・メラー
音楽 アンドレ・プレヴィン
出演 スペンサー・トレイシー(マクリーディ)/ロバート・ライアン(牧場主スミス)/ディーン・ジャガー(保安官ティム)/アーネスト・ボーグナイン(コーリー)/リー・マーヴィン(ヘクター)/アン・フランシス(リズ
「禁断の惑星」
メモ 2000.5.22 BS2
あらすじ
赤茶けた砂漠の駅で、大陸を横断する弾丸列車からひとりの男が降りる。ダークスーツ姿のよそ者をうさんくさげに見るカウボーイ達。ストレンジャーに冷たいのは田舎町ではよくある事だが、この土地は異常にピリピリしている。出ていけよがしをされても怒らずかわしている男に西部の男達は動揺する。「あの男は何をしに来たんだ?」
感想
前知識なしに見るともどかしい映画なのだ。何故男達はたったひとりの男にこれほど警戒するのか? 何があったのか? 異邦人は町に何をしに来たのか? それらがなかなか明らかにされない。が、このもどかしさがサスペンスをじりじり盛り上げる。アーネスト・ボーグナインもリー・マーヴィンも若いよ。四面楚歌の中でのたったひとりの戦いという何度見ても緊張する異色西部劇

最近日本の歴史に対するある見方が「自虐史観」と言われる事がありますが、だとすればこの作品は「米国の自虐史観」の映画になるのであろうか。いや、やはりアメリカの良心を描いた作品であると思う。
おすすめ度★★★★1/2
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ジェイド JADE

1995年 米国本 95分
監督 ウィリアム・フリードキン(「エクソシスト」「クルージング」「フレンチ・コネクション」)
出演 ディビッド・カルーソ/リンダ・フォレンティーノ/チャズ・パルミンテリ(「悪魔のような女」)
メモ 2000.5.20 ビデオ
感想
今に面白くなるかもなるかもなるかも・・・と思っている内に終わってしまった。「エロチックなムードに満ちている」というより、それしかないような。まず若き検事補コレリの友達が敏腕弁護士に見えない。そして、その敏腕弁護士の妻が学者に見えない。頭からっぽに見える。若い頃に検事補を振って選んだ夫のどこが魅力的だったのかさっぱりわからん。中国趣味に彩られた映画のその中国趣味の理由もわかりません。東洋の謎めいた雰囲気が西洋人にはエロティックに感じられるのでしょうか? 
どろどろした話なんです。大富豪が自分の屋敷で猟奇的に殺され、金庫からは現職知事のあられもない姿が写ったネガが見つかる。大富豪の別荘で若い女達と酒池肉林している組織があるらしい。富豪は屋敷の隠しカメラで写真を撮り恐喝していた模様。望遠鏡で覗いていた隣の家のおじいは驚異的な記憶力の持ち主で女達の顔を覚えている。その女達の中に一番人気のジェイドと呼ばれる謎の女がいた。ここまで書けばもうお気づきでしょうが、それが検事補の忘れられない女、友達の妻、学者の美女らしい。秘密の行為を楽しむのは、夫がヘタなのか冷感症なのか倒錯的な行為でしか感じられないのか、そこん所はよくわかりません。「昼顔」のような内容なのかな。そう思うとちょっとは面白かったような気がしてきた。
おすすめ度★★
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スクリーマーズ SCREAMERS (by さぼてん男)

1996年 カナダ=仏=日本 106分
監督 クリスチャン・デュゲイ
原作 P・K・ディック
脚本 ダン・オバノン(「ダークスター」「エイリアン」)/ミゲル・テファダーフロレス
出演 ピーター・ウェラー/ジェニファー・ルービン/アンディ・ラウアー
メモ 2000.5.20 TV
感想
この放映タイミングは「スクリーム3」にあやかろうとした? としか思えない「スクリーマーズ」。
だからあまり期待しないで見たのじゃが、存外良かったよ。

導入部分のチープさは確かに先行き不安を感じさせるが、敵基地への地下通路あたりからハナシが俄然面白くなってくる。味方基地に帰ってきたときが最高じゃな。子供たちがウジャウジャ湧いて出てくる怖さは、ワシの好きな「スターシップトゥルーパーズ」を連想させる。「エイリアン」に似たところがあるし、「ターミネーター」に似たところもある。「ゾンビ」っぽいところもある。あ、「THE THING」や「トレマーズ」にも似てるな。というわけで結構楽しめたよ。

しかしながら、いかんのはカメラじゃ。平板に、そのまま撮影してどうするんじゃ? ライティングもいかん。光が回りすぎで、まるで日本のSF並みじゃ。フィルムのラチチュード気にして撮影すな! なんでもかんでもクッキリ見せてどうする? 勉強が足りない君たちは 
「アドレナリン」を見て反省するように。あの、黒のツブレ。妙にズレた画面。見たいものを見せてくれない欲求不満の快感を、よっく理解したまえ。

というわけで、小ネタのオチは賛否分かれようが、ワシとしては、ま、及第としよう。P.K.ディックの原作とはだいぶ趣が異なるとの批判もあるようじゃが、映画と原作はしょせん別物じゃ。ケツの穴の小さい事を言ってないで独立の作品としてそれぞれ楽しめば良かろうが。
おすすめ度ハードSF好きには★1/2、やっつけSF好きには★★★というところか。
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殺意の香り STILL ON THE NIGHT(夜のしじま)

1983年 米国 98分
監督・脚本 ロバート・ベントン
撮影 ネストール・アルメンドロス
出演 ロイ・シャイダー/メリル・ストリープ/ジェシカ・タンディ
メモ 2000.5.20 ビデオ
あらすじ
ひとりの中年男が刺し殺される。2年前から被害者の精神分析を担当していたサム・ライスは警察から情報を提供するよう迫られるが守秘義務でつっぱねる。しかし気にはなっており患者のカルテを毎夜読み返していた。
感想
診療室の扉を開けて顔を見せるメリル・ストリープがハッとするほど美しい。そう、ヒッチコック監督「めまい」のキム・ノヴァク、「マーニー」のティッピ・ヘドレンに匹敵するくらい金髪が美しい。この映画にはひとり芝居のシーンもあり演技もうますぎるぐらいだ。
容疑者の3人が金髪、黒髪、ブルーネットと色分けされるシンプルなストーリーが映画全体に漂う静かな恐さをぶち壊さない。そして、被害者が精神科医に語った”夢”が被害者自身気づいていない深層の恐怖を明らかにしていたというのがよくできている。私は本でも映画でも「なるほど」と思え印象に残る所が一カ所でもあればそれで十分満足。じわじわした恐さはミステリファン必見。

この映画であらためて思う。ロイ・シャイダーは何を着ても様になる。肩ががっちりしていて腰回りが引き締まり遊びがあるからかな。ブレザーのセンスのよさにも見ほれたよ。
おすすめ度★★★1/2
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ミッション・トゥ・マーズ mission to mars

2000年 米国 114分
監督 ブライアン・デ・パルマ
脚本 グラハム・ヨスト(「スピード」)
音楽 エンリオ・モリコーネ
視覚効果 ジョン・ノール(「スター・ウォーズ エピソード1」)/ホイト・イートマン(「アルマゲドン」)
出演 ゲーリー・シニーズ(ジム)/ティム・ロビンス(ウッディ)/ドン・チードル/コニー・ニールセン/ジェリー・オコーネル/キム・デラニー
メモ 2000.5.18 フェスティバルホール試写会
あらすじ
2020年の米国。火星移住計画が本格的に始まり第一陣として四名が火星に降り立ち調査を始める。13ヶ月後、不思議な氷のような物体を発見したとの連絡後通信は途絶える。その後一度だけ宇宙飛行士のひとりラリーの乱れた映像が国際宇宙基地に送られてきた。生き残ったのは自分だけだと言う。第二陣の4名がラリー救出のため急ぎ火星に向かう。
感想
家に帰ってきてさぼてん男に「第二陣の4名の宇宙飛行士の中に夫婦者が一組いて長そうな結婚生活の割に異常にアツアツやねん。」とか、「最初の『宝島』の話が伏線になっているらしくてぇ」、「なんか貧弱な温室で人間4人が生きていけるだけの酸素が出来るねん。」、「火星に菩薩のようなおっきな顔があってー」、「『開けゴマ』ってゆーたら隙間が開いてー」、「新人類が誕生するってのがオチでぇ」とか身振り手振りで話終えたら、さぼてんの話がヘタなせいか映画がそうなのか

「なんやねんそれは。昔のC級ハチャメチャSF映画か?」とさぼてん男が問う。
「まじめなSF映画ちゃうかなあ。無重力状態の特撮とかわりとよさげな気がした。『2001年宇宙の旅』を越えるのは難しそうやけど。」
「特撮はまあええとして、お話はどうやねん。」
「人間ドラマというか、感動物・・・かな?」
「それで、感動するんかい。」
「感動しないの。感動さそ盛り上げよ盛り上げよとすればするほど、こちらは盛下がっていくというか。『真面目なSF映画で”なんでもあり”って言っちゃあおしまいよ。イマイチやる気がないのか?』とか『ゲイリー・シニーズって火星人顔だったのね。』とか『火星くんだりまで行かな生命の神秘を感じられへんの?』とかが頭の中をグルグル。」
「その監督、SFファン違うんとちゃうか」
「うーん、そうかも。映画マニアらしいけど。デ・パルマ監督らしい粘着質が感じられたのは最初の長まわしと最後のゲーリー・シニーズのドアップの宇宙人顔かな。」

 
「アメリカン・ビューティー」のアネット・ベニングのようなアメリカ魂を感じた。前へ前へ、今よりよくもっとよくもっともっといいすばらしい未来が開けているに違いないというアメリカ魂を。「火星に初めて立てる国旗は星条旗でしょ? そうしたいでしょ?」というNASAの誘惑か?脅迫か?プロパガンダだったのかも。もしかしたらパロディ映画だったのかもしれん。
おすすめ度★★1/2
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連鎖犯罪−逃げられない女− FREEWAY

1996年 米国 102分
監督 マシュー・ブライト
メモ 2000.5.17 TV録画
あらすじ
15才のヴァネッサは学校で読み書きの勉強をしている。隣の席には恋人のチョッパーがいるし、今日はハッピーだった。「The cat drinks milk」を読めたんだから。モーテルに帰ると道行く車に声を掛けている女がいる。ママじゃない! ママ!売春はもうやめるっていったじゃないか!。
モーテルの室では義理の父のラリーがラリっている。「ハイウェイの殺人鬼」のTVニュースを見ているとラリーがちょっかいを出してくる。「ママに言いつける!」「ママが信じるもんか」。これでも親ふたりはラブラブだもんね。 しかたがないから相手しているとそこへ警官がどかどか入ってきた。ママが売春でパクられ、保釈中のラリーも麻薬が見つかり刑務所へ逆戻り。ママはまた6ヶ月帰ってこない。保護司のおばさんは里子にだそうとするけれど、まっぴら。里子をもらう家は金目当てなんだから。前の家ではボケ老人の世話をさせられたわ。真夜中杖をつきながら自分のイチモツを握ってせまってくるジジィを突き飛ばしたら、そこのオヤジに殴られあごの骨がおれちゃった。
保護司を出し抜いて車で逃げ出したヴァネッサはおばあちゃんの所へ向かう。死んじゃったパパの一度もあった事のないおばあちゃんは、きっと私をかわいがってくれるわ。
感想
どういう意図でもって作られた映画なんだろう。異色サイコ・サスペンスで結構面白いんだけど、見ていて居心地悪く感じる。ブラックに笑い飛ばせない所が居心地悪い。
ヴァネッサは学校もろくに行っていない。家庭はめちゃめちゃ。義理の父には11才の頃からSEXの相手をさせられている。ママが刑務所に入っている時からママの代わりをしていたってわけ。ハイウェイの殺人鬼を世のため人のためと撃ったら警察は捜査もせずティーンエージャーの物取り目当ての犯行と見なしてしまう。殺人鬼の表の顔は地位もお金もある男だから。少年刑務所の所長は上品そうだが目が笑っていない。底意地がワルイ。街で客を引けば中年のスケベおやじが未成年とわかっていて買おうとする。大人なんて信じられないやつらばかりだ。といったこれでもかというサイテーの話が乾いた調子で続く。まあ要するに大人は少女をくいものにしているわけなんだな。ひとりの人間としてまともに扱っていない割に罰しようとする。

万引き9犯、放火3犯の前科があるヴァネッサは、悲惨な境遇ながらそれでも友達も多いし親思いの子なのだ。ロクでもない親なのに。また、少年刑務所の所長を仲間が殺すのは黙って見ているが、自分と同じ不良少女達を殺す「ハイウェイ・キラー」は許さない。自分なりのモノサシを持っている。そこん所にもいささか居心地の悪さを感じる。なかなか理解しにくい、私には。 追いつめられた少女達は自分たちの仲間だけを信じているっていうところが。 少年少女が拳銃をいとも簡単にやりとりするし、それがなければ身をまもれないっていう社会もやるせない。ティーンエージャー達が疲れて老けて見える。オリバー・ストーンの制作なのか。権威が大っ嫌いなんだろうな。最後、拳銃で解決しない所はよかったかな。

おばあちゃんを訪ねていく少女を、オオカミが襲うというシチュエーションは「赤ずきんちゃん」をもとにしているそうです。悪趣味(笑)。でもあの童話自体も残酷だしね。オオカミの精神科医はキーファー・サザーランド。ねちこい笑いが忘れられない怪演。ますますお父上の域に近づいてきました。 キーファーの妻にブルック・シールズ。ヴァネッサの母を
「バタフライ・キス」のアマンダ・プラマー。義理の父を「ジェフリー」のスティーブ役マイケル・T・ワイス。ヴァネッサの恋人チョッパーが「ビッグ・ヒット」の「アダルトビデオ・レンタルチャンピオン」クランチ様役ボギーム・ウッドバイン。この映画ではまだまだ少年っぽいよ。 刑事のひとりがダン・ヘダヤという豪華メンバー。
その中でもとんがったヴァネッサ役のリース・ウィザースプーンがいい。悲惨な話でありながら陰湿にしていない。タフでとんがっている所がかわいく思えてしまう。「カラー・オブ・ハート」の双子の妹ジェニファーだった子。注目の若手俳優のはず。

しかし、「FREEWAY」というなかなかいい原題が「連鎖犯罪」となるとは。おまけに「−逃げられない女−」なんてわけわからん副題までくっついて。 やるきなさそ。
おすすめ度★★★1/2
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柔らかい殻 THE REFLECTING SKIN

1907年 英国 95分
監督・脚本 フィリップ・リドリー
撮影 ディク・ポープ
音楽 ニック・ビカット
出演 リンジー・ダンカン/ビゴ・モーテンセン/ジェレミー・クーパー/シーア・ムーア/ダンカン・フレイザー
メモ 2000.5.9 ビデオ
あらすじ
太平洋戦争後のアメリカ・アイダホ。うらぶれたセピア色のガソリン・スタンドと家。息子のセスはバランスを崩している母よりも気弱な父の方になついている。父は今読んでいる小説「吸血鬼」の話をセスに語ってきかす。そこに田舎には不似合いないかす黒塗りの車が立ち寄る。車には若い男達が乗っていた。
感想
黄金色にたなびく小麦畑、地平線に沈む赤い太陽が美しく、内容はおそろしく残酷な映画だった。冒頭からショッキング。
兄が財布に入れていた3枚の写真「弟を肩車している自分」「日本に落とされた原爆に被爆した赤ん坊」「美女のヌード写真」。これは兄の心の中だ。一番はどれなのか?と弟は机の上の写真を並べ替える。このシーンのうまさに感心した。未亡人のドルフィンを吸血鬼と断じる弟セスの視点で見ることがなかなかできなかったが、このシーンからやはりこの映画はセスになってみるべきかもと思い直す。視点が変わると同じ事が違って見える。いつも父をなじっているこわい母。黙って耐えて仕事もせずに三文小説に逃げ込むめめしい父。ド田舎でもしかしたら近親結婚が多いのかもと思わせるような村人達。閉鎖的なためか善良ながら曲がった納屋のように歪んでいる人々を美しい風景の中に無防備に置く。人間は正しい事と考えたならどれほど残酷になれるのか、という事を「戦争」「原爆」とからませる脚本に巧みさを感じる。
おすすめ度★★★1/2
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アイス・ストーム The Ice Storm カンヌ国際映画祭脚本賞

1997年 米国 113分
監督 アン・リー(「ウェディング・パンケット」「いつか晴れた日に」)
脚本 ジェイムス・シェイマス
原作 リック・ムーディ
撮影 フレデリック・エルムズ
音楽 マイケイル・ダーナ
出演 カーバー家  シガニー・ウィーバー(ジェイニー・カーパー)/ジェミー・シェリダン(ジム・カーバー)/イライジャ・ウッド (マイキー・カーパー)/アダム・ハン=バード(サンディ・カーパー)
フッド家 ケビン・クライン (ベン・フッド)/ジョアン・アレン(エレナ・フッド)/クリティーナ・リッチ(ウェンディ・フッド)/トビー・マグガイア(ポール・フッド)
メモ 2000.5.7 CSシネフィル・イマジカ録画
あらすじ
ベトナム戦争がやっと終息した所に落ちた爆弾”ウォーターゲート事件”。大国アメリカを牽引する人達が選択の間違いもするし嘘をつく事もわかってきた1973年の晩秋。ニューヨークの近郊のコネチカット州の森林の中に中流の上の豊さの2家族が暮らしている。木々に囲まれた広々とした静かな生活。カーバー家の夫は仕事で出張が多い。フッド家の夫はNYのビジネスマン。専業主婦の妻達はいつまでも若く美しく家も大きく洗練されている。カーバー家の子供は14才と12才のマイキーとサンディ。マイキーはちょっと変わっている。寡黙で孤独を愛する少年だ。サンディはGIジョーで遊ぶまだまだ子供。フッド家の16才のポールはNYの学校に寄宿している。末はイエールかハーバートへ進学するエリート校。早熟な妹のウェンディは14才。

このどこといって不幸の種のない家族が抱えていたのはぽっかり穴の空いた心。それは倦怠からか、価値観の喪失からなのか。誰も何も語らないが兄と妹は両親が幸せでないことを知っている。ベン・フッドはカーバー家のベッドで隣家の主婦ジェイニー・カーバーと寝ている。エレナ・フッドは万引き、ウェンディ・フッドは万引きもするし隣家のカーバー家の弟を誘惑する。自分の体の目覚めに素直だ。ネッキングがワルイ事なの? 早すぎる? 大人もしているのに。 
感想
停電で電車が遅れ早朝駅についた長男を一家で出迎えるシーンに悲壮感が漂う。重苦しい題材ながらもピュアな森林と透きとおった空気が美しい。空疎な心を抱えてひとり眠る隣家の主婦シガニー・ウィーバー。この人は何を考えているかわからない。恐らく本人にもわからないんだろう。いったい自分が何をしたいのか。何故こんなに虚しいのか。

家族を愛している大切に思っている・・がそれだけではつまらなくなってきて刺激を求めたくなった時、心に巣くう言葉「たった一度の人生を我慢して過ごすの? したいことしないと後悔するかも。」。その時にささやく声が・・・「ばれなかったら、いいじゃん。」
しかし人間の気持ちは複雑というか欲求はキリがないというか欲求のおもむくままに行動しても虚しく満たされない。自分を見失っている人達を襲ったアイス・ストームが奪ったモノと与えたモノは何か。家族愛が自分たちに与えるものは何なのか。それは恐らく根っこのようなもんだと思う。
おすすめ度★★★★
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アメリカン・ビューティー AMERICAN BEAUTY 
      アカデミー作品賞・監督賞・主演男優賞・オリジナル脚本賞・撮影賞


1999年 米国 122分
監督 サム・メンデス 初監督作品
脚本 アラン・ボール
撮影 コンラッド・L・ホール
音楽 トーマス・ニューマン
出演 ケビン・スペイシー(レスター・バーナム)/アネット・ベニング(キャロリン・バーナム)/ソーラ・バーチ(ジェーン・バーナム)/ウェス・ベントレー(リッキー・フィッツ)/ミーナ・スパーリ(アンジェラ・ヘイス)/ピーター・ギャラガー(バディ・ケイン)/アリソン・ジャーニー(バーバラ・フィッツ)/クリス・クーパー(フィッツ大佐)

メモ 2000.5.4 千日前国際劇場
あらすじ
アメリカ型成功社会に取り憑かれた妻と、ホルモンバランスが取れていないせいか”怒りのティーンエージャー”と化した娘と暮らしているレスターは42才。同じ雑誌社で広告とりの仕事を14年もしている。年棒6万ドルだがうだつが上がらずリストラの危機に瀕している(”うだつ”は上がらないが妻のおかげでりっぱな家に住んでいる)。家では妻に相手にされず娘には軽蔑され惰性で生きているようなもんだ。いつも疲れている。
感想
しょっぱなから観客は小さな絶望感を胸に抱いて映画を見始める事になる。といっても暗い話ではなく辛辣でブラックながらも、気が付けばニヤニヤして見ている面白い映画でもあるのだ。娘の友達アンジェラを見た途端虜になり鼻の下を伸ばすヤニ下がったオヤジ顔と、最後に大人の男を見せてくれたケビン・スペイシーはたいしたもんです。 この人の持つ冷静で第三者的な雰囲気がこの映画を軽いノリにしている。

家族みんなが幸せになるために、子供を育て生活を豊かにしていくうち疲れて「目的を見失ってしまった」人と「手段が目的化(社会的に成功する事)」してしまった人がいる訳なんだな。他人の家の事なら冷静に分析出来る(笑)。

妻のキャロリンは庭では赤い薔薇(アメリカン・ビューティー)を咲きほこらせ、家の中はピカピカに磨きたてている。近所の人にも笑顔の挨拶を欠かさない、娘がチアガールをするとなれば夫婦揃って晴れ姿を見に出かけ「すべてがハッピー」と円満家庭をまわりの人に見せている。家中自分の趣味で固め仕事もガッツガッツ前進あるのみ。すごいエネルギーだ。その妻にパワーを吸い取られた夫は疲れている。なにか特別な出来事があったわけではない。いつしか離ればなれになっていたというストーリーがうまいな。  
「アイス・ストーム」の1970年頃のアメリカの理想の主婦は、やさしく明るく夫の仕事にも協力してとてもいい妻いい母、家中を清潔にしその上いつまでも若くてきれい(「奥様は魔女」のサマンサ)、だがいつしか心にぽっかり穴が。子供が大きくなったせいかと次々子供を産むがそれでも満たされない。それは自分のために生きていないからだ、自己実現していないからだとベティ・フリーダンが「新しい女性」を造り出し社会に送り込んだが、それから30年。様々な生き方が認められるようになっても幸せになれるとは限らないのだな。他人に認められるために頑張っている限りどこかむなしいのね。ごく限られた生き方しか出来なかった時代は息苦しいとしてもそれはそれで心は安定していたが、価値観が多様化しても自分自身が満足できる生き方を選択するのが難しい、不安なのだ。フィッツ大佐もその口。素直に身をゆだねられない。自己責任とはかくも厳しいものなのね。もちろんの事食べていけるだけの収入が必要だし。割り切りが難しい。

キレて人生を切り売りして生きるのをやめ人生を自分の手に取り戻したレスターを見ている内に、気づけば「今の蓄えだったら、毎月最低いくら稼げたらなんとか暮らしていけるかな? 年金は当てになるんだろうか? 」と頭の中で計算しているさぼてんがいたわけであります(笑)。実際、羨ましいよ。
ドリームワークス作品だと思うとなぜだかクヤシイ。脚本、演出、演技、音楽全てがさりげなく”うまい”。完成されていて上手すぎるぐらいだ。へそ曲がりも「娘は幸せかい?」と聞くレスターに思わずホロッとなったぞ。笑いと寂しさが絶妙のアンサンブルを形作っている。
おすすめ度★★★★1/2
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eXistenZ   イグジステンズ

1999年 米国 97分
監督・脚本 ディビッド・クローネンバーグ
撮影 ピーター・サスキツキー
音楽 ハワード・ショア
出演 ジェニファー・ジェイソン・リー(アレグラ・ゲラー)/ジュード・ロウ(テッド・パイクル
「ガタカ」)/イアン・ホルム(キリ・ビヌカー)/ドン・マッケラー(イェフゲニー・ノリッシュ)/クリストファー・エクルストン(「エリザベス」 「HEART」)/ウィレム・デフォー/サラ・ポーリー(「スウィートヒアアフター」 「go」
メモ 2000.5.1 梅田ピカデリー
あらすじ
教会の地下のような部屋での新作発表会。選ばれた十数人が新作ゲーム”eXistenZ”の開発者アレグラ・ゲラーと一緒にゲームポッドに繋がれ体にゲームをダウンロードした直後事件が起こる。見ていたひとりの男が銃を持ち出しゲラーに向けて発砲したのだ。
感想
へその緒のような「アンビコード」の先っぽをジェニファー・ジェイソン・リーが舐めて、ジュード・ロウの腰骨の上に空けられた「バイオポート」(形状はと言えば、えーい言っちゃおう、「オシリノ穴」)にぎゅるぎゅると差し入れる。うぅぅ・・・キショイ。チコツあたりがムズムズしてくる。視覚でとらえた物をこれほど体感させてくれる監督はクローネンバーグ監督をおいてない。
この映画はかなり洗練された印象、目新しさは少なくその分パワーは低いかな。それでもねちょねちょぐちゃぐちゃべったりぬめりの感触は健在。両生類を解体する工場の隣が中華料理店という「なんでこうする?」という神経をきぃーっと引っ掻く感覚も健在。この映画の最大の見物は胎盤を思わす「ゲームポッド」とへその緒を思わす「アンビコード」、動物の骨から出来て人間の歯を銃弾にしている「グリッスル・ガン」。またその歯の銃弾を見てジェニファー・ジェイソン・リーが平然と「虫歯があるわ。」なんて言うのよね。ああぁぁぁ、気色悪い。

さぼてんがこの監督を好きとは言い切れないが魅力を感じるのはまずお話のシンプルさだと思う。シンプルなんだけれど哲学的というか(大嘘)。そして言葉で説明しないこと。「理由はない。ただこうなる。」という突き放した姿勢がいい。観客に媚びない。「ビデオドローム」のような哀愁はありませんが、結構ラストはスピィーディで好きだな。今まで仮想世界に入るのには頭の上になにやらメットのようなものを付けていた事が多いのにこの映画は違うんやなあとか、「仮想世界」と「現実世界」にあまり違いがないんやなあという疑問はラストで納得。この監督さんは肉体に何かが起こった時神経にはどのように影響するかとか、反対に精神に何かが起こった時肉体はどう変化するかとかいう題材が好きなんだな。視点が内に内に向かっている。体の表面も内臓も脳も目も全て一枚の物から出来ているというか、内臓も体の表面とずっと繋がっていて内に入っているだけという感覚を実感できる、したくない?(笑)。

映画冒頭クリストファー・エクルストンが出てきたのを見て、(^^);。ジェームズ・ウッズ、クリストファー・ウォーケン、ジェフ・ゴールドブラム、ジェレミー・アイアンズ、ピーター・ウェラー、ジェームズ・スペイダーときてエクルストンときたか。ギョロ目の人が好き(爬虫類顔が好き)なのね。
満足度★★★★
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ダーク・ウィンド The Dark Wind
1991年 米国
監督 エロル・モリス
出演 ルー・ダイアモンド・フィリップス(ジム・チー)/ゲーリー・ファーマー(”カウボーイ”)/フレッド・ウォード
メモ 2000.5.2 ビデオ
あらすじ
アリゾナ砂漠のネイティブ・アメリカン居留地で巡査をしているナヴァホのジム・チー(ルー・ダイアモンド・フィリップス)の仕事は、風車の見張りと麻薬密売人の張り込みだった。新米なので密売人の車を追っかける途中みごと罠にはまり穴に突っ込む。事務所で警部補(フレッド・ウォード)に絞られていると、死体が見つかったと連絡がはいりホピ族の”カウボーイ”巡査(ゲーリー・ファーマー)と調査に出かける。
感想
ビデオパッケージの文句「ツイン・ピークスを凌ぐ謎」・・・わけわからんかも・・・・不安だ。迷った末レンタルする。
ところがところが、危惧は杞憂に終わりちゃんと解決し、期待していなかった分よかった。

まず音楽がいい。アリゾナ砂漠の乾いた大地もいい。そして、夜の湖のように暗く静かなルー・ダイアモンド・フィリップスが、いい。静かでありながら強靱な魂を感じる。ストーリーは原作と違うらしく(未読)少し冗長かとも思いましたが私はこの作品買う。ルーばっかり見ていた(ようするにそれがよかったわけ(笑))。ホピ族の巡査が「デッドマン」のNobody金太郎で、この人もいいよ。
原作はトニー・ヒラーマンの「黒い風」。
おすすめ度★★★1/2
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