2001年7月の映画


ホタル

2001年 日本 東映他
監督 降旗康男
撮影 木村大作
出演 高倉健(山岡秀治)/田中裕子(知子)/夏八木勲(竹本)/奈良岡朋子(山本富子)/井川比佐志(藤枝)/小林稔侍(緒形)
メモ 2001.7.25 心斎橋パラダイスシネマ
あらすじ
海の男山岡秀治には病弱な妻がいた。妻の名は知子。ふたりは長年連れ添った夫婦ながら、なぜかお互いいたわり合っているというか、気を使いあっている。何故だ? 藤枝という男が青森から自分が作ったというりんごを毎年送ってきて40年が過ぎ、昭和天皇が崩御する。その時、いいしれぬおもいがみんなの体をかけめぐる。
感想
健さんの映画だった。感傷的な映画だった。鹿児島の海、桜島、八甲田山の雪、桜、といった日本の四季の映像に綴られ情緒溢れる映画だった。鶴さんもでてはりましたな。
「こんなに美化してえーんだろうか」とさめた思いで映画を見つつ、何故か目頭がツーンとしてきた。。やばっ! 若くして亡くなった方々には言葉もない。黙祷。

(職業軍人は生き残り若い男を爆弾代わりにつかうという、これって作戦っていうの?)という特攻を代表として「日本も血の涙を流しました。」という世界(特にアジアに対し)その心情を発信している。黙ってないで、こう言う事って大事だとは思う。戦争の傷跡は日本も深い。「戦争は狂気ですワ」と理解を求めているのですね。もう五十回忌も済みましたし、と。

と、こ憎たらしい事を書いていますが、今ちびさぼと一緒に百人一首を覚えていて一句覚えては二句忘れるといったていたらくで苦労しています。熱帯の大阪のコンクリートの部屋で風情もへったくれもありませんが、それでも本当に「歌」って美しいです。日本の美です。失われる前にその心を残しておきたいという制作者の気持ちがわかるような気がする。

「映画の券があるから」と誘ってくれた人が映画を見終わって言う。「こんな映画を見ると『夫婦っていいわねぇ』と思うわあ」(独身で乙女チックなのだ)。
それに答えたさぼてん。「先輩。これって、ドラマですやん。『ドラマ』」(笑)。
おすすめ度★★★
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ドリフト TIME AND TIDE

2000年 香港 112分
製作・監督 ツイ・ハーク
脚本 コアン・ホイ/ツイ・ハーク
音楽 トミー・ワイ
撮影 コー・チウラム
出演 ニコラス・ツェー(タイラー)/ウー・バイ(ジャック)/アンソニー・ウォン(アンクル・ジー)/ジョベンティノ・コート・リモティギュー(ミゲル)/キャンディ・ロー(ジョー)/キャシー・チュイ(ウォン)
メモ 2001.7.25 心斎橋パラダイスシネマ
感想
展開が速い速い。アクションも速い速い。

さぼてんは香港映画、数える程しか見てない。こだわりもなければ思い入れもなし、知識もなければ見識もなし、ないないづくしで語れるものはないのですが、この映画のアクションはいままでとはだいぶ違うんではないの? あんたは「Xメン」のひきがえる男か、蜘蛛男か、エイリアンか、忍者か、レスキュー隊か、登山家か? というしゅるしゅるした動きですごい! 「マトリックス」のような大見得きったタメの画像やストップモーションは使いまへんという気概が面白い。
出演者も音楽関係者ばかりらしく、それなりに達者ながら「ちょっとだれるような」ドラマもセリフもなく、動き続け走り続けるアクションの邪魔にならない。そういいながらも出演者自身のキャラがいかされていて、いいと思う。

ものすごい訳ではないですが、この作品いいと思う。

あらすじっていうのは、まあちょっとした人間の関わりから始まった巻き込まれ型映画で、結局主役は誰だったの? そんな事はどうでもいいの、という映画でありました。妊婦も2人でてきてカウントダウン・サスペンスを盛り上げてはりました。とはいえ、どーでもいいようなドラマも「(守らなあかんほどはかなげでも可憐でもない、でもそれでも)女を守る」男の話でそれがいいのよ(笑)。
お昼から映画館に混み具合を訊ねたら、「水曜日レディスデーですから。」という混むようなお話だったので、広島から出張にこられた人にいただいた”もみじまんじゅう”片手に駆け込んだら3割程度の入り。なんか、もったいない。
おすすめ度★★★★
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血だらけの惨劇 Strait-Jacket

1964年 米国 94分 モノクロ
製作・監督 ウィリアム・キャッスル
脚本 ロバート・ブロック
音楽 バン・アレキサンダー
撮影 アーサー・アーリング
出演 ジョーン・クロフォード/ダイアン・ベイカー/リーフ・エリクソン
メモ 2001.7.22 WOWOW録画
あらすじ
蒸し暑い土曜日の夜、留守をしていたルーシーが予定より早く帰り7才年下のいとしい夫はどこかしらと窓から家の中を見れば・・・・。夫フランクは昔つき合ってた女とベットイン。一戦終えた後かふたりとも眠りこけている。不運なことに、逆上したルーシーの目に入ったのは一本の斧だった。その斧を振りかざし夫とその愛人を40数カ所も叩き切る。その一部始終を幼い娘のキャロルが目撃してしまった。
ルーシーは裁判で心神耗弱と判断され20年間精神病院で過ごし、今娘の元に戻ってきた。娘のキャロルはルーシーの兄夫婦に育てられ彫刻家になっていた。ルーシーは戻ってきた日から不思議な出来事に悩まされる。
感想
続けてウィリアム・キャッスル監督作品を見る。ジョーン・クロフォードがギョロ目をむいた熱演の”母物”。最初から謎は謎ではなく「はっは〜ん。ヒッチコック監督のアレと同じか。(同年の作品らしい。娘のキャロル役のダイアン・ベイカーって女優さんアレにも出ていたのか。義理の妹役だったのね。)」と思ってました。。。。。違ってたんですけれど。

今見ると古い演出で時代を感じさせ、いささか退屈ではあります。が、斧を振り上げるシーンはなかなかの物。感心したのは↑のエンドロールの「COLUMBIA」の女神様。いくら映画の内容が斧で首をちょんぎるったって。楽しい演出だ。おまけですが、作男役のジョージ・ケネディも斧でばっさり首を落とされます。
おすすめ度★★★
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ティングラー 背筋にひそむ恐怖 The Tingler

1959年 米国 85分 モノクロ
製作・監督 ウィリアム・キャッスル
脚本 ロブ・ホワイト
音楽 ボン・デクスター
撮影 ウィルフレッド・M・クライン
出演 ビンセント・ブライス/ジュディス・イヴリン/ダリフ・ヒックマン
メモ 2001.7.19 WOWOW録画
感想
どう言ったらいいんかな、迷う。これだけは言える。変な映画だった。「お客さんに拍手を求める”漫才師”」みたいに「観客に”キャーキャー”言わせたい」という映画。
<↓これが映画のスクリーンいっぱいに写った我らの”ティングラー”>

主役の医者&科学者(ビンセント・ブライス)の研究テーマは”恐怖”。背筋がぞくぞくするという”恐怖”には実体があるんちゃうん? という仮説の元に、恐怖を味合わせて失神した女にレントゲンをあてて「背骨に説明できない不思議な物体がからまっている」のを見つけ、「恐怖の余り死んでしまった」女を解剖して、とうとう”ティングラー”(背筋ぞくぞくちゃん)と名付けた恐怖の元を捕まえる。 見ていてメン玉むいてしまいました。 本気で作ってるん? モノクロ映画とはいえ1959年の作品ですよ。。。。信じられない。 しかし、しょっちゅう”宇宙人”に出会う米国人の事やからもしかしたらもしかしたら本気かも?。

その”ティングラー”とやらは「恐怖の叫び」をあげるとへなへなになってしまうんですよ。 弱点が”叫び声(スクリーム)”なんです。 死にたくなけりゃ大声で叫ばなきゃなんないんです。 見ているこっちもへなへなになりました。 という訳で、捕まえるには「恐怖の叫び」をあげられない聾唖者が必要になったら、ちょーどいい具合にそういう女が現れるんです。と言う話から、またもや”神をも恐れない科学者の所業!”の話かと思っていたら違っていたんですよ(**)。

製作・脚本のウィリアム・キャッスルって人、続けてWOWOWで2作品放映するみたいで「誰やねん?」ってgooで検索したら、ギミック(からくり)の帝王とよばれたホラー映画の監督さんのようです。映画「マチネー」のジョン・グッドマンが扮した映画監督みたいな人だったらしいです。 ポランスキー監督の「ローズマリーの赤ちゃん」やらオーソン・ウェルズ監督の 
「上海から来た女」の製作でも有名らしい。 「ふ〜ん」と思いながらつらつら見ていたら、”さぼてんノートの「第三の犯罪」”が検索結果に・・・・載っていたの・・・・・・何考えて書いているんやら、はあぁ(ため息)。
おすすめ度★★★★
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コード HIDE & SEEK (cord)

<みじん切りしているジェニファー・ティリー>
2000年 カナダ 100分
監督 シドニー・J・フューリー(「エンティティー」)
製作 ピーター・クローネンバーグ
脚本 ジョエル・ラデセック/ヤズ・タカタ
出演 ダリル・ハンナ/ヴィンセント・ギャロ/ジェニファー・ティリー/ブルース・グリーンウッド
メモ 2001.7.9 レンタルビデオ
感想
題名の「コード」ってなんの事だと思います? 「へその緒」なんですよ。まあはっきりいってサイコホラーというより猟奇物かも。 
「60セカンズ」までして映画館で見たかった自分がわからん(笑)。趣味の悪〜〜〜い映画。
「そんなに赤ちゃんが欲しかったら、妊娠三ヶ月の妊婦を誘拐して飼育するより、生まれた赤ちゃんを誘拐したら楽やん。」というのは正常人の考えで、ヴィンセント・ギャロとジェニファー・ティリーの夫婦は左巻きが切れてる。。びょょ〜んとバネが頭から飛び出している。全てがそれで説明済んでるの。
キャシー・ベイツが結構かわいかった映画「ミザリー」よりもロバート・アルドリッチ監督の「何がジェーンに起こったか?」に近いと思ったな。 ジェニファー・ティリーは現代のベティ・ディビスかも。
おすすめ度★★★(なんやかんや言っても満足度はもうちょっと高い)
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ハムナプトラ2 THE MUMMY RETURNS
2001年 米国 分
メモ 2001.7.8 南街会館 
あらすじ
 
「ハムナプトラ」から9年後。ふたりの息子も8歳になった。

感想
「えっ、えっ、ネフェルティティなん?(大英博物館でちょっとだけ写るレリーフの人だと思う)、 アナクスナムンちゃうかったん?」というこちとらの戸惑いなんか木っ端みじんにぶっ飛ばし、辻褄も時代考証もなんもかも「そっちのけ」という正統派大活劇映画

この映画、惜しげもなく新しいキャラを登場させるんですが「スコルピオン」という割にさそりの出番が少ない。前作のスカラベとは大違いと思っていたら、最後にさそりの親玉がご登場。笑った。ブレンダン・フレーザーはお腹が出てきたような気もして、ちょっと心配。脱がないし。まあ他のふたりが裸同然だからしかたないか。男ばかりの殴り合いでは観客もあきるだろうと、女の戦いのシーンもありでサービス満点でした。

「全編これ見せ場」の中でも、ロンドン名物真っ赤な2階建てバスでのミイラ戦士との乱闘シーンが一番。
  「『頭上注意(確か)』と書かれた『英語が読めなかった』ミイラ戦士があわれやったわ。」
  「ミイラってあほなんとちゃう? 原住民も爆弾をたいまつやと思って奪い合いしてたし。」
  「ミイラやからひからびてるし。頭もスカスカやねん、きっと」
とちびさぼと言いあう。
鷹がやられたと知ったら半泣きになった、聖地を守っているアーデス・ベイがええやん(笑)。さぼてんはこの2作目の方がより好みです。
満足度★★★★1/2
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ザ・コンヴェント The Convent
1999年 米国 80分
監督 マイク・メンデス
脚本 チャトン・アンダーソン
撮影 ジェイソン・ロウ
音楽 ジョセフ・ビシャラ
特殊メークアップ ディーン・ジョーンズ
出演 エイドリアン・バーボー/ジョアンナ・カントン/クーリオ/ビル・モーズレィ/デヴィッド・ガン メモ 2001.7.6 国名小劇
感想
1960年聖フランシス修道院に一人の若い女がガソリン片手に乗り込み、尼僧をバットで殴るわ、ナイフで刺すわ、ショットガンをぶっぱなすわ、最後はガソリンをまいた中くわえ煙草を投げ捨て修道院を燃やしてしまう。
その殺戮から40年、廃墟になった修道院に落書きするお遊びが大学生達に代々伝わっていた。7人の男女と犬一匹がほんの軽るーいお遊びで封印されている修道院に入り込む・・・。とそこには資料となった死霊となった尼僧達が今もまだいたのですよ。ぼわぁーと光って。

というような映画を1700円も払って400円も交通費を使ってなにゆえ見に行きたいのか。。。自分でもわからん。金曜日の夜、一週間の仕事を終え明日は休みだという開放感からか。暗い映画館の片隅にひっそり座っていると、ほんまに「シ・ア・ワ・セ・」をしみじみ感じるの(笑)。今日はふたりだったな、観客は。

生意気な若者達がなめて乗り込んだら、恐いおばけがいて、おっかけられて、噛み付かれて、首が飛んで血がどばあああ〜という定番の「ハートも痛まないしブレインも使わない映画」で”恐い”というより”コミカル”。とはいうものの、これが存外おもしろかったんですよ。キャッチフレーズは「総天然蛍光ホラー」
ゾンビはぶるぶるふるえ顔や体の落書きの筋がピカピカ光る。「スプラッターホラーというのはお金かかんないんやろな」と納得できる超B級ホラー映画。SF映画はお金がかかるから不利やねんな。クラシック・ホラー映画群に新たな金字塔を築いたよ(嘘)。一度騙されたと思って見てください。騙されたと思うよ。またしても「IMDb」で検索したら評価が5.7。↓の「マーダー・ロック」に0.1ポイント勝っているやん(笑)。

昔殺戮をおこなったクリスティーンの40年後が、俳優エイドリアン・バーボー。映画「クリープショー」でミルクにジンを混ぜて飲んだくれている恐い奥さんで、階段の下に閉じこめられていた「猿ような怪物」に食い殺される役の人。この方まったく髪型がかわらない。今回初めて知ったんですけれどジョン・カーペンター監督の元奥さんなんですね。
おすすめ度★★★1/2
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マーダー・ロック murderock
1984年 イタリア(と思う) 90分
メモ 2001.7.2 ビデオ
あらすじ
舞台はニューヨーク(らしい。時々摩天楼の映像がはさまる)。明日のスターをめざし猛レッスンに励む若きダンサー達。でも選ばれるのはごくひと握りなのだ。そんな熾烈な戦いのさなか、ひとりのすっごくおいしそうなダンサーが殺される。殺したのは仲間内しか考えられない! ライバルを殺してるのだ・・・ろう。
感想
「睡眠薬入りか、それともこの映画にはサブリミナル効果が入っているのかも・・・」と思うほど、見はじめて5分で眠い、たるい。見おえるのに4日もかかってしまった。

なにしろ殺人方法ときたら、ひとり目「突然襲いクロロホルムで眠らせる」そして「意識を失った美女のむきだしのパイにハットピンをゆっくりゆっくり心臓に向けて突き刺す」、ふたり目「突然襲いクロロホルムで眠らせる」そして「意識を失った美女のむきだしのパイにハットピンをゆっくりゆっくり心臓に向けて突き刺す」、3人目「突然襲いクロロホルムで眠らせる・・・・」の繰り返しで、なんて芸がないんだろうかと目をむいた。
健康美とはいえ、太股むきだしの若い美女がやたら踊り狂い「これはロマンポルノかも」という様な演技しているのか素人の寄せ集めかわけわからん演技陣で、もう見てるのがツライを通り越して「とことん付き合ってやろうやないの」とこちらをムキにさせる不思議な映画だった。一応謎解き物なんですけれど「あんたが犯人ちゃうかったら百万円あげる(誰に?)。」という謎で、もちろん誰にも百万円あげなくて済んだんですけれど。

誰がビデオにしたんや誰が。そやからさぼてんみたいなアホが借りるんじゃと思ったんですけれど、ビデオには一応「LUCIO FULCI COLLECTION」と書いてあるし。なんなんだと思って「IMDb」で検索したらなんとこの映画の評価が5.6なんですよ! 「サンゲリア」とか「エニグマ」「地獄の門」とかのその筋では(どの筋じゃ)有名なイタリアンホラーの巨匠らしいです、ルチオ・フルチって方は。そういや「墓地裏の家」って見たことがあるような気がしてきた。「マーダー・ロック」が「フルチの映画にしては破綻していない」らしいんですよ。他のを見るのが恐ろしいですね。おまけにこの映画にはレイ・ラブロックが出ているのですよ、「屋根の上のバイオリン弾き」の。
おすすめ度カルト、カルト、カルト
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