2001年4月の映画


第三の犯罪 Homicidal
1961年 米国 モノクロ 88分
監督 ウィリアム・キャッスル
脚本 ロブ・ホワイト
音楽 ヒューゴ・フリードホーファー
出演 グレン・コーベット/パトリシア・ブレスリン
メモ 2001.4.28 WOWOW録画
あらすじ
金髪の美女がホテルのフロントに現れる。部屋まで荷物を運んだボーイに2千ドルで偽装結婚してくれないかと持ちかける。ケヴィン・ベーコンに似たこのボーイ(ああ、なんかの映画に出ていた、この人。思いだせん・・・思い出しました。サミュエル・フラー監督の
「殺人地帯USA」で殺し屋ガス役だったリチャード・ラストって俳優さんです。)は訳アリと感じながらも好奇心と金に目が眩んで承知した。夜中に車を飛ばし治安判事を叩きおこして結婚式を挙げたふたりだったが・・・・。
感想
ふうむ。なるほど。
ネタバラシをしてしまうと、この作品はどんでん返し物です。犯罪の動機がわからず最後まで好奇心を引っぱる。当時流行った「結末を決して誰にも話さないでください。」物のひとつ。
左(←)の映像は何かというと、ラスト「怖い人は今の内に、席を立った方がいいですよ。」と時計がチッチッと45秒間動くんですね。気を持たせる趣向なんですよ(笑)。初めて見ました。二度と出来ないな。車椅子が階段を下りたり昇ったりするシーンが有名(→)。

「ミステリ作家90人のマイ・ベストミステリー映画」で山口雅也氏が選んでいる作品のひとつ。みたぞ(笑)
おすすめ度★★★1/2
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どつかれてアンダルシア(仮)
1999年 スペイン 100分
監督・脚本 アレックス・デ・ラ・イグレシア(
「ビースト 獣の日」)
脚本 ジョルジュ・グエリケチェヴァリア
撮影 フラヴィオ・マルティネス・ラヴィアーノ
美術 ビアフラ&アーリ
音楽 ローク・バニョス
メモ 2001.4.21 心斎橋ビッグスッテップ パラダイス・シネマ
あらすじ
さっぱり笑いがとれない漫才コンビ。やけくそでブルーノが相方ニノのほっぺを叩いたらこれがバカ受け。それからふたりは受けに受けて人気は急上昇。叩くだけの芸で国民的人気者となる。が、その成功と裏腹にふたりの関係はこじれはじめ偏執的に相手をうち負かそうとするのだった。10数年にもわたって。
感想
濃ゆい。眉毛の濃い男とふとっちょおやじの汗がぽたぽたとあつくるしい。段々行動がエスカレートしていき狂気の淵にいるふたりのエネルギッシュさに「フランコ時代」「クーデター」「バルセロナ5輪」というスペインの歴史的映像が冷静にはさまって、なんとも言えず「意味なし」の個性的な映画に仕立て上がっている。
「ふたりの漫才がたいして笑えない」というのさえ、最初は欠点かと思っていたのに今思うと不条理な理屈でないシュールさを醸し出しているような気がするから、あら不思議。 「古畑任三郎」で任三郎のデコピンに段々今泉がおかしくなっていくでしょう? ああいう不気味さがあるの。

最期のオチを決めたかったからこんな映画をつくったんじゃなかろか、この監督さん。
おすすめ度★★★★
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処刑男爵 Baron Blood
1972年 イタリア・アルプレッド・レオーネ作品 105分
監督 マリオ・バーヴァ
原案・脚本 ヴィンセント・フォートル
脚色 ウィリマウ・A・バーン
撮影 エミリオ・ヴァリアーニ
音楽 ステルヴィオ・テプリアーニ
出演 ジョゼフ・コットン(ベッカー/フオン・クライスト)/エルケ・ソマー(エヴァ)/マッシモ・ジロッティ/アントニオ・カンタフォラ
メモ 2001.4.15 BS録画
あらすじ
米国人のピーター・クライストは学問にも飽き、修士から博士課程に進む前に父方の故郷オーストリアを訪ねる。出迎えたのは母方の叔父ハメル教授。父方の祖先16世紀に生きたクライスト男爵は、「処刑男爵」という異名をもち残虐さが今も伝えられる男であった。魔女エリザベートを火あぶりにした時に呪いをかけられ、非業の死をとげていた。ピーターは祖父の家で見つけたエリザベートの呪いの書き付けを持ってきていて、それは処刑男爵をよみかえらせる呪文であった。好奇心からピーターは血塗れ男爵を現代によみがえらせてしまう。
感想
建築家でありながら非常時にやたらオシャレ(あんたはモデルか)で化粧が濃く「ぎゃーぎゃー」叫ぶしか能のないうるさいエヴァに 「さっさと殺されば」 と冷たい視線をなげかけ、甦った男爵に3人も4人も殺されてるちゅうのに 「過去の人間と話すなんて、こんなチャンスは二度とない」 といつまでもほざいているピーターに「あほちゃう? あんたが悪いんや、あんたが。」とムカムカして見れるイタリアン・ゴシック・ホラー(笑)。

霧の街やら、16世紀のお城やら、拷問道具やら美術にみるべきものが多くあり。
おすすめ度★★★
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チャイニーズ・ディナー
2001年 日本
監督 堤幸彦
主題歌 「凪」吉田美奈子
出演 柳葉敏郎/IZAM/翠玲
メモ 2001.4.14 心斎橋ビッグステップ パラダイスシネマ レイトショー
あらすじ
経済ヤクザの星野は、自分が経営する中華料理店で夕食を始めようとしていた。でっかい取引目前、成功の美酒に酔いしれようとしていた時部屋に見知らぬ男がいるのに気づく。男は殺し屋だという。身に覚えはもちろん多数ある星野は、自分の頭の中の膨大な情報からなんとか自分が殺される原因を探り活路をみいだそうとする。
感想
「真昼の決闘」と同じく、映画の時間と現実の時間がリアルタイムで進むという映画(監督って一度はこういう映画撮ってみたいのだな)の上、登場人物は3人ぽっきり、密室内の心理サスペンスという実験的な作品で、ミステリファン必見ですよ、コレ。
日本映画をなめてはいけない(笑)。
 
空いていると思ったのに、映画館は3割程度の入り。チャパツやら赤毛やら「ミュージックスクールか、デザインスクールの学生が多そう。なんでかな?」と思っていたのですが、映画を見始めてわかりました。IZAMを見に来たのですね。スタイリスト志望の子には話題作だと思う。
おすすめ度★★★★
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スナッチ SNATCH(強奪する)
2000年 米国 102分
監督・脚本 ガイ・リッチー

製作 マシュー・ボーン
撮影 ティム・モーリス=ジョーンズ
美術 ヒューゴ・ルチック=ワイコスキー
音楽 ジョン・マーフィー
出演 ジェイソン・ステイサム(ターキッシュ)/スティーブン・グレアム(トミー)/ブラッド・ピット(ミッキー・オニール)/ジェイソン・フレミング(ダレン)/ソーチャ・キューザック(ママ・オニール)
デニス・ファリーナ(アビー)/ベネチオ・デル・トロ(フランキー・フォー・フィンガーズ)/マイク・リード(ダグ・ザ・ヘッド)/ビニー・ジョーンズ(ブレット・トゥース・トニー)/ラデ・シェルベッジヤ(ボリス・ザ・ブレイド)
アラン・フォード(ブリック・トップ)
ロビー・ジー(ビニー)/レニー・ジェイムズ(ソル)/エイド(タイロン)/ゴールディ(バッド・ボーイ・リンカーン)
ウィリアム・ベック(ニール)/アンディ・ベックウィズ(エロル)/オーエン・ブレムナー(マレット)/ニッキー・コリンズ(アレックス)/ティーナ・コリンズ(スージー)/サム・ダグラス(ローズバッド)/アダム・フォーガティ(ゴージャス・ジョージ)/スティーブン・グレアム(トミー)
メモ 2001.4.13 阿倍野アポロシネマ
あらすじ
宝石強奪に成功したフランキーとアビーだったが、何故か単純な仕事のはずがどんどん複雑になっていくのであった。
感想
えーやないの、この映画。計算つくされていて好きだ。
あんまり評判にならなくて映画館も空いてたというのは「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」に比べて衝撃度が少ないって事なんかな。
計算され尽くした映画ってあざとく感じることも多々あるけれど、これはコミカルで面白い。個性ありまくりのおじちゃん達のぶつかり合いがつぶし合いになってないところがうまい。旨すぎるぐらいだ。
ただ、ブラピがねぇぇ。ブラッド・ピットである必要があったんだろか。 「ファイト・クラブ」とどこ違うの?よりきちゃなくなっていたけど。う〜ん、この暑苦しいお顔が好みでないからこう感じるのかも。でも。ベネチオ・デル・トロは 「トラフィック」とこの映画とどっちがいいかわからへんなあ。どっちもえーもんなぁ。
おすすめ度★★★★
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SWING MAN
2000年 日本 87分
監督・脚本 前田哲
原作 池内広明(「ノックする人々」)
脚本 森らいみ
撮影 山本英夫
出演 木下ほうか(木田ほづみ)/粟田麗(志尾亜希)/宮崎あおい(水瀬双美)/北村一輝(北岡一貴)/田口浩正(溝口)/なにわゆうじ(刑事朽木)/小島聖/麿赤兒/大河内奈々子/村上淳/小島可奈子/加勢大周/役所広司
メモ 2001.4.1 
あらすじ
目覚めるとそこは病院のベットだった。白昼路上で殴られたらしいが、犯人はまだあがっていない。殴られ頭に怪我を負った俳優の木田は、刑事に「心当たりはないか?」と聞かれ気分が悪い。マネージャーからは「仕事は当分休んでてくれ。」と言い渡され気分が悪い。目撃者6人を訪ねて犯人を見つけようとするが「犯人って木田さんに似ていたよね。なんとなく」と言われ気分が悪い。この世界のどこかに金属バットで殴るほど俺を憎んでいるヤツがいるのかと思うと、一層気分が悪い。袋小路につきあたりイライラがつのる。犯人はどんな気持ちだったのだろうとバットをスイングしてみれば、それがなんとなく気持ちにしっくり来てしまったのよ。
感想
怨念の映画だった。殺されたり、殺したりの役に重宝がられる個性派俳優と、「映画製作のため」という大義名分の下にこき使われるスタッフの怨念がこもっていて、恐い。

この間新聞に載っていた深作欣二監督へのインタビュー記事を読んだら「これから日本はどうすればいいですか?」と聞かれたのに対し「もう手遅れだね。」とのおこたえ。それはないんでないの。何度も言われている事ですが、大御所にはひいてもらって若手監督にお金を出すべきなんじゃないでしょうか。そういう理由でさぼてんはこの映画を応援したい。
でも所詮は男の映画であり「きれいで若いおねぇちゃんに黙ってだっこされたら、そら幸せやろな。」と感じさせる所にこの世の真実とこの映画の限界があると思う。
おすすめ度★★★
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