2002年5月の映画


スパイダーマン SPIDER-MAN

2002年 米国 121分 コロンビア映画
監督 サム・ライミ(「死霊のはらわた」 
「XYZマーダーズ」 「シンプル・プラン」 「ギフト」)
脚本 デビッド・コープ
原作 マーヴルコミックブック/スタン・リー/スティーブ・ディック 1962年
撮影 ドン・バージェス A.S.C.
美術 ニール・スピサック
特殊効果 ソニーピクチャーズ イメージワークス
視覚効果スーパーバイザー ジョン・ダイクストラ A.S.C.
衣装デザイン ジェームズ・アシェソン
音楽 ダニー・エルフマン
出演 トビー・マグワイア(スパイダーマン/ピーター・パーカー 「アイス・ストーム」 「カラー・オブ・ハート」 「サイダーハウス・ルール」)/ウィレム・デフォー(ブリーン・ゴブリン/ノーマン・オズボーン)/キルスティン・ダンスト(メリー・ジェーンJM「インタビュー・ウイズ・ヴァンパイア」「ジュマンジ」)/ジェームズ・フランコ(ハリー・オズボーン「25年目のキス」)
メモ 2002.5.31 千日前セントラル
あらすじ
幼くして両親を亡くし伯父伯母と暮らしているピーターの毎日は、遅刻してスクールバスを追いかける事からはじまる。ドジで同級生達のからかいのマトのピーターだったが、科学が得意で友ハリーのパパを尊敬している。ハリーパパのノーマン・オズポーンは天才科学者兼実業家。マッドサイエンティストのケのあるノーマンは軍の仕事を逃すまいと自ら「スーパー人間」へ変身する新薬の人体実験第一号となる。副作用のはてノーマンの人格はジキル&ハイドと分裂し自分に邪魔だてする人間を血祭りにあげはじめる。
一方ピーターは見学にいったコロンビア大学の実験室でクモにせいのーパクッと噛み付かれた。そのクモは遺伝子を組み替えた「スーパー蜘蛛」であり、糸を出し自由に操れるのみならず逃亡する知恵と予知能力まで持ち合わせていた。「ザ・フライ」ばりに噛み付かれた次の日からピーターの体には異変が起こる。体はムキムキ、飛んでいる物も止まって見える動体視力、神業の跳躍力、その上手首からはなにやら糸状の物が飛び出すのだった。しかし体が変わっても心は変わらない。ピーターの心は若干6才の時に一目惚れした隣の女の子メリー・ジェーン(JM)のものなのだ。
感想
「121分は長い」 「もっとコメディタッチの方がいいかも」 と文句はあるんやけど好みの映画。バットマンよりもスーパーマンよりもメテオマンよりもさぼてんはスパイダーマンが好き。まずアミアミ模様がよろし。のデザインがおしゃれ。身が柔らかくジャングルの王者ターザンよりも美しくなめらかに高層ビルから高層ビルへと飛ぶ姿がかっこいいのだ。
そしてこの映画は悪役もいいねん。ウィレム・デフォーが生き生きと楽しそう。何しろグリーン・ゴブリン(緑鬼)は孫悟空のきんと雲のメカニック版みたいなのに乗って空を飛ぶねんから。青空でスケボー乗っているみたいでうきうきしているハズ。

これって「愛」の映画なんです。監督サム・ライミからスパイダーマンへの。

メリー・ジェーン役のキルスティン・ダンストって方は「インタビュー・ウイズ・ヴァンパイア」で太陽の光を浴びて灰になっちゃった吸血鬼少女役だったよう。こんなにおっきくなりはったんです(しみじみモード)。

うっとこの蜘蛛について− ベランダにこんまい蜘蛛が巣をはっている。「蜘蛛」は(人間にとって)益虫と教えられてきたせいか賢そうに見えるせいか完璧に退治できない。といっても軒先貸して母屋とられたらなんですから時々巣を取ったりはするんですけれど、またもやどこかに巣をはっている。両者睨み合い様子見の十年間。
おすすめ度★★★★
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発狂する唇

2000年 日本 85分
監督 佐々木浩久
脚本 高橋洋
出演 三輪ひとみ(倉橋里美)/夏川ひじり(倉橋かおり)/吉行由美(倉橋)/鈴木一真(倉橋ミチオ)/由良宜子(霊媒師)/下元史朗(トーマ)/阿部寛(FBI成本)/大杉漣(FBI大佐)/栗林知美(FBIルーシー)/諏方太朗
メモ 2002.5.26 レンタルDVD
あらすじ
倉橋家は昔父親が死刑になり夜逃げをしたという過去を持つ。ところが今度は長男のミチオが連続殺人事件の容疑者として全国指名手配された。家から一歩出ればTVのリポーターに追っかけられ、家に嫌がらせ電話はかかってくるわ、石を投げ込まれるわで息をひそめてくらしている。兄の容疑を晴らそうと次女の里美が連れてきた霊媒師はミチオは犯人ではないと告げる。ところが霊媒師はカルト集団で倉橋家でおぞましい儀式を始めるのだ。こやつらがよんでいるのは神なのか、それともサタンなのか。
感想
やれやれ・・・やれやれ。
スプラッターあり歌謡シーンありバトルありと物語の構成は「血を吸う宇宙」と同じなんですけれど何処が違うかっていうと・・・とてもエロい。三輪ひとみってヒロインが、細くてきれいでスカウトされて東京来たけれど、寂しそうで華がないもんでモデルでも女優でも鳴かず飛ばず。1年たったら「ひとみちゃんもイメージチェンジして殻破らなあかんよ」と事務所に説得されいい仕事まわしたげると因果を含められてアダルトビデオに出た売れない女優に見える。このはかなさが男心をそそるんちゃうかな。
さぼてんはこの映画、雌叫び揚げる霊媒師がうるさくよろしくないと思う。霊媒師の出番が少ない「血を吸う宇宙」の方がよかった。
おすすめ度まあ
「D坂の殺人事件」小林少年役の三輪ひとみのマゾカルト姿を見たかったらお薦めします。
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ロード オブ・ザ リング LOAD OF THE RINGS

2001年 米国 178分 ニューライン・シネマ
監督 ピーター・ジャクソン(
「ミート・ザ・フィーブル/怒りのヒポポタマス」 「ブレインデッド」 「乙女の祈り」 「さまよう魂たち」)
原作 J・R・R・トールキン「指輪物語」
脚本 フラン・ウォルシュ/フィリッパ・ボウエン/ピーター・ジャクソン
美術 グラント・メイジャー
撮影 アンドリュー・レスニー,A.C.S.
衣装 ナイラ・ディクソン
音楽 ハワード・ショア
出演 
ホビット族 イライジャ・ウッド(フロド「わが心のボルチモア」 「フォーエバー・ヤング」「アイス・ストーム」「ディープ・インパクト」)/ショーン・アスティン(サム「グーニーズ」 「原始のマン」 「トイ・ソルジャー」 「ルディ/涙のウィニングラン」)/ビリー・ボイド(ピピン)/ドミニク・モナハン(メリー)/イアン・ホルム(ビルボ「ダンス・ウィズ・ア・ストレンジャー」 「エイリアン」)
魔法使い イアン・マッケラン(ガンダルフ「ゴッドandモンスター」「X−MEN」)/クリストファー・リー(サルマン「ブラム・ストーカー(番外)」参照
人間 ヴィゴ・モーテンセン(アラゴルン「刑事ジョン・ブック/目撃者」「インディアン・ランナー」「デイライト」「クリムゾン・タイド」「アルビノ・アリゲーター」)/ショーン・ビーン(ボロミア「パトリオット・ゲーム」)
エルフ族 オーランド・ブルーム(レゴラス)/リヴ・タイラー(アルウェン)/ケイト・ブランシェット(ガラドリエル「オスカーとルシンダ」 「エリザベス」)/ヒューゴ・ウィービング(エルロンド「プリシラ」 「マトリックス」
ドワーフ族 ジョン・リス=ディヴィス(ギムリ「インディ・ジョーンズ」の猿を肩にのせていたアラブ人かも)
メモ 2002.5.24 梅田松竹ピカデリー
あらすじ
ロングロングアゴー、闇の冥王サウロンは魔力を持つ指輪を作り出す。世界を支配したいという野望をかなえる指輪だ。しかしサウロンと戦う連合軍のイシルドゥアが激しい戦いの果て指輪ごとサウロンの指を切り落とす。悪は退いたかにみえた。が、指輪は魔力を発っし指輪を持つ者を惑わして悪へ破滅へとおいやるのだった。500年の間指輪は行方知れずだったが、ホビット族が持っているのがしだいに明らかになりはじめる。災いのタネ「指輪」を始末するにはサウロンの陣地にあるオルドルイン山の火口「滅びの亀裂」に投げ込まなければならない。ホビット族フロド(イライジャ・ウッド)達の長い旅がはじまる。
感想
ホビット族、魔法使い、人間、エルフ族、ドワーフ族の連合軍「旅の仲間」9人は、草原を歩き荒野を歩き雪山を歩き森を抜けひたすら歩き続ける。というのは本来二本足で歩くものかもしれない。その二本足がなんかしら偉大に感じられる。影像はハイテクながら、昔々の話なもんで剣や弓矢や斧で戦うそのアナログさがいい。この影像は雄大な自然の中の叙事詩なんだ。やりましたね、ジャクソン監督。

映画と原作は別物とは思いながらも、結局3回映画を見て原作も読んだちびさぼに「映画と原作本のどっちが好み?」と聞くと、すかさず「映画!」との答え。
何故かと言えば、
 1.映画はホビット族のフロド(イライジャ・ウッド)が若い! 美しい!
   (原作は平均寿命100歳のホビット族でフロドは50歳の中年。映画では30歳の青年)
 2.原作は詩が多く、またそれがやたら長い。たいくつ。詩のよさが理解がしがたい。難しい。
 3.おまけにフロド達がアラゴルン(ヴィゴ・モーテンセン)に出会う「踊る子馬亭」になっかなか
   着かない。長い長い話なん。
だからだとか。

女子中学生連にはエルフ族のレゴラスのファンが多いらしい。確かにひゅんひゅん弓を射る姿はうつくしい。剣や斧を暑苦しく汗だくで振り回すよりはきれいだ。でもやっぱりアラゴルン(ヴィゴ・モーテンセン)はいい男だと思う。次作が楽しみ。

ついでに−最近知ったんですけれどショーン・アスティン(フロドに仕えるサム)ってパティ・デューク(「奇蹟の人」のヘレン・ケラー役)の息子さんだったんですね。
おすすめ度★★★★
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血を吸う宇宙

2001年 日本 85分
監督 佐々木浩久
脚本 高橋洋(「リング」)
出演 中村愛美(里美)/阿部サダヲ(清彦)/三輪ひとみ/阿部寛/黒沢清(新聞配達)/中田秀夫/由良宣子(霊能力者)/吉行由実(変な家の主婦)/上田耕一(亀山パンチ)/諏方太朗
メモ 2002.5.21 レンタルビデオ
あらすじ
里美は死刑囚。処刑寸前シスターに懺悔している。あの事件は自分の妄想が犯してしまったのだと。里美が語る話は、、、、
時は戻りサトミは娘のミサトが誘拐されたと警察に訴えている。警察がサトミの家で犯人からの電話を待っているとサトミの夫・清彦が帰ってきて「うちには子供なんていないんですよ」と言うのだ。 子供は本当にいるのか? いないのか? 誰かに誘拐されたのか? サトミの妄想なのか? 
そこに突然霊媒師が現れ、首のない手に導かれサトミは一軒の家にいきつく。「きっとミサトはあの家にいるのよ!」 と怪しまれないようウグイス嬢に扮して乗り込むサトミ。その家の主婦をはり倒し家中探すサトミは突如もよおす。 緊急事態だ。 が、なぜかこの家にはトイレがない! トイレがないなんて・・・ここは宇宙人の秘密の巣なのか?(ものすごい飛躍だ)。
感想
変な映画を選んで見てるんとちゃうねんよ。割と有名な映画やと思うし。「血を吸う宇宙」って題名面白そうやんなあ。普通そう思うヤン?。そそられるやんなあ。そやから見たんやけど、面白いかなあ??? さぼてんは面白いと思う どないゆうたらええんやろ。けったいな映画でした。「なんなん? これはいったいなんなん?」って思っている内に映画は終わってしまっていた。チープでサービス満点ではあります。好みに合うかどうかは別。「ローズマリーの赤ちゃん」?って思ってたら「ダンサーインザダーク」になって。そしたら突然香港映画になって。訳わからへんよ。おぼろげな記憶やけど昔の「ウルトラQ」とかの和製SF物を彷彿させるような気がしたりせんかったり。ホラーというよりやっぱSFやと思う。最初の懺悔のシーンと最後のクモのシーンは昔々見たようなデ・ジャブがする。時がたったら「結局結末はどうやったっけ?」と思うやろうけど、1シーン1シーンは忘れへん、忘れたくても。そういう映画。
おすすめ度★★★1/2
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戦艦シュペー号の最後 THE BATTLE OF THE RIVER PLAT

1956年 英国 119分
監督・脚本・製作 マイケル・パウエル(
「血を吸うカメラ」 「将軍月光に消ゆ」)/エメリック・プレスバーガー
撮影 クリストファー・チャリス
音楽 ブライアン・イースデイル
出演 ピーター・フィンチ(豆戦艦シュペー号ラングスドルフ艦長)/アンソニー・クエイル(ハーウッド准将)/ジョン・グレッグソン(キャプテン・ベル エクセター艦長)/イアン・ハンター(キュプテン・ウッドハウス エイジャックス艦長)/ジャック・グイリム(キャプテン・パリー アキリーズ艦長)
メモ 2002.5.18 レンタルビデオ
あらすじ
1939年9月英国は独に対し宣戦布告し、ヒトラーは島国英国の輸送路を断つべく商船攻撃を指令する。「海の虎」豆戦艦シュペー号は南太平洋で商船を攻撃、次々と撃沈していた。船倉の捕虜は50人を超える。南太平洋海域を守っている巡洋艦隊エイジャックス,アキリーズ、エクセターの3隻はのんびりシュペー号を捜索している。旗艦のハーウッド准将は豆戦艦シュペー号は独に帰還せずラ・プラタ河海域に現れると予測し1939年12月13日の早朝、挟み打ちしようと待ち受けていた。

実話の映画化です。ラ・プラタ沖海戦についてはこちらのサイトに詳しく書かれています。
感想
伝統的に独は海軍が弱かったと聞いた事がある。戦艦ビスマルクが撃沈され独海軍はUボートの狼群戦法や豆戦艦が英国船に化けたりのゲリラ戦法に頼らざるを得なかったみたい。
第二次世界大戦初期の海戦というのは、空母中心ではなくまだまだ戦艦が活躍していたらしく戦闘態勢に入ると「戦闘旗」を揚げ「やあやあ、我こそは」となのりを揚げる鎌倉武士みたいな趣があったよ、この映画。独の軍人ラングスドルフ艦長を人道的人物に描く英国のふところは広い。ナチに祖国を乗っ取られ愛する艦を自爆せざるを得なかった独武人の悲しみが伝わってくる。生粋の船乗りなんですね。反面自国については「シュペー号は必ず現れる」という旗船のハーウッド准将を「ネルソンきどり」と言ったり、戒厳態勢でシュペー号が現れるのを待っている一方「しっかりみはりを。  提督の艦もな」という艦長達のユーモアが「将軍月光に消ゆ」と同じく英国的。国民性の違いか日本映画ではなかなかマネできない。シュペー号の捕虜達も「自軍には頑張ってもらいたい」けれど「そうしたら、この船は燃えたり沈んだりするわけでぇ」とのんびり考えている。必死でもなきゃせっぱ詰まっていない。じたばたしてもはじまらんって落ち着き払っているとこが紳士の国と言われるゆえんかもしれん。

シュペー号は11インチ砲を装備し、砲の大きさは飛距離に比例する訳ですなわち軍艦の戦いはまずは砲の大きさと数で決まり戦艦大和、武蔵が砲の大きさにこだわったはず。しかし時代は変わっていく。米国参戦前に米国のルーズヴェルト大統領は英国に調査隊を派遣し「英国は負けない」という調査結果を得ていたそうです。対し日本は「英国は負ける」とふんでいたみたい。でもって中国に深く侵攻していた日本は独に親しみを持っていた訳ではなくなにしろソ連を警戒していたんですね。ソ連を囲い込みたかった。そこんとこで目が曇っていた。一方空軍力で英国を凌駕していたはずのドイツはヒトラーの命令のもと「英国を恐怖に陥れるため」軍事基地を叩きのめすよりもロンドン空襲を繰り返す。しかし予想よりも英国はねばり強く闘い負けない。また米国は真珠湾攻撃を受けそれで学習して制空権を握るため機動部隊空母量産に励む。まあ結果から見れば、情報と冷静な判断に勝っていたというトップの力量に違いがあったんだろうな。
おすすめ度★★★★
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大災難P.T.A PLANES,TRAINS AND AUTOMOBILES

1986年 米国 93分
監督・脚本 ジョン・ヒューズ
出演 スティーブ・マーチン/ジョン・キャンディ/ライラ・ロビンス(「悲しみよさようなら」)/マイケル・マッキーン/ケヴィン・ベーコン
メモ 2002.5.11 レンタルビデオ
あらすじ
P.T.Aの役員になるってのは「大災難」・・・・ではなく(この前ふりは忘れてください)
ニューヨークのやり手の広告マン・ニール(スティーブ・マーチン)は家族と過ごすため早くシカゴに帰りたい。美人の妻とかわいい3人の子供が待っている。が、何故か2時間の快適な空の旅だったはずなのに全ての歯車が狂ってしまう。する事なす事裏目に出て弱り目にたたり目。しょっぱながクライアントだ。2時間も呻吟したあげく結論は保留。「6時の便には絶対乗る。なにがなんでも10時までには家に帰る。」のはずがタクシーはどこかのでぶっちょ(ジョン・キャンディ)にかすめとられてしまう。やっとこさ空港についたら飛行機は遅れている。飛行機(PLANES)に乗ったら一ヶ月前に予約したにもかかわらず、ファーストクラスは満杯。エコノミーに詰め込まれ隣はタクシーの因縁のでぶっちょ。シャワーカーテンのリングを売っている旅のセールスマンだそうだ。狭い席で我慢我慢の2時間後ついたのはカンザス州のウィチカ。シカゴのオヘア空港は雪で閉鎖になってしまっていた。シカゴまで300キロの所。ホテルも満杯で困り果てていたら耳に悪魔のささやきが聞こえる。「タクシー代を持ってくれたらなじみのモーテルに話をつけるよ。」。ささやいたのは、例のふとっちょだった。この親切な男は天使か悪魔か疫病神か。それからは、トラックの荷台で凍え、列車(TRAINS)に乗って故障で降りて、歩いて歩いて、レンタカー(AUTOMOBILES)に乗って燃えての珍道中。はたしてニール(スティーブ・マーチン)は感謝祭までに家へたどりつけるのか? お父さん頑張る。
感想
超有名なアメリカンコメディ。いまさらながらですが、オススメします。
「感謝祭を家族と過ごすために家に帰る」というごく単純な事柄が、次第に自らにかせられた使命となり、その前に立ちはだかる幾多の困難は神が与えた試練となる。勿論のこと最大の試練は事態を悪化させる「ジョン・キャンディ扮する人がよくて世話好きのデル」。まさに天路遍歴の様。このコメディ映画のメインテーマは”家族”。
ひげのジョン・キャンディが憎めない役ですてきだ。早くに亡くなって残念です。
おすすめ度★★★★
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ディディエ DIDIER

  セザール賞
1996年 仏蘭西 95分
監督・脚本 アラン・シャバ
音楽 フィリップ・シャニー
撮影 ローラン・ダイアン
出演 エリオット−アラン・シャバ(ディディエ「カンヌ映画祭殺人事件」)/ジャン=ピエール・バクリ(ジャン=ピエール・コスタ)/カロリーヌ・セリエ(アナベル)/イザベル・ジェリナス(マリア)
メモ 2002.5.10 レンタルビデオ
あらすじ
ママがお出かけしちゃったんで、今日からおじちゃんがパパなんだって。おじちゃんはジャン・ピエールって言ってちょっと怒りんぼなんだ。テーブルの上のチョコを黙って食べてたらテーブル壊して怒られちゃった。クゥーンしょぼん。
夜中に外から青い光がピカピカってなって目をパチパチしてたの。そしたら朝になってパパが出ていけっていうんだ。ズボンってのもはかないといけないって。???
ドアの外で待っているのも嫌いじゃない。床を引っ掻いたりできるから。パパがお出かけするから後をついていったら、パパが誰かに襲われている! 出番だああ! ガウウウッと相手の喉笛にくらいついたりの大活躍だったんだよ、僕。
家に帰ったらパパが大好きなパフパフを鳴らしてくれた。ハアハアアハアハ。やっとディディエだと思い出してくれたみたい。でも人間になったんだから手で食べなきゃいけないんだって。手って? どれ? オシリの匂いも嗅いじゃいけないしうろうろしちゃいけない。しちゃいけない事がいっぱいあるんだ。
家でおっきなテレビ見ていたらボール蹴っている人達がいたの。大好きなんだボール。公園に行ったらボール蹴ってたんで僕も蹴ったの。そしたらパパが有頂天で頭をなぜてくれたんだ。ほめられるの大好き。そして僕は”チーム”の一員になって”ひとりでボールを蹴る”んじゃなく、”チームプレイ”をするから”メランデスにパス”しなきゃいけないんだって。
感想
面白かった。「ムッシュ・カステラの恋」と同じアラン・ジャバ(ディディエ)とジャン=ピエール・バクリが主演ですが、さぼてんはこっちの方が好み。人間が犬になる(「名探偵ベンジー」)、男が女になる(「スウィッチ」)、大人と子供が入れ替わる(「ハモンド家の秘密」)と同じカテゴリながら、この作品はラブラドール犬が人間に変身しても当事者のディディエはまったくこの事態がわかっちゃいない所がユニーク。困っているのはジャン=ピエールただひとりなのだ。ディディエを扱う時は「犬にいいきかせる」風でなくちゃなんないし、そうすると周りからは「いくら外国人(リトアニア人という事にしてある)だからってあんまりじゃないか。人間らしく扱え」って怒られるし。(「だって犬なんだけど。。。」)と戸惑っている姿がおかしい。

人間が犬の仕草をするだけで、どうしてこんなにかわいいのかおかしいのか不思議。ディディエのよくわからないけれどご主人様の意に添いたいという一生懸命の姿が一途でけなげだ。それに比べディディエでもって難局を乗り切ろうとたくらみ、恋人のマリアとディディエが一晩一緒に過ごしたと知ってディディエを問いつめるジャン=ピエールの姿は悲喜劇的。「彼女としたのか?」「お前は日々犬としての本性を忘れている。」とディディエが犬か人間か混乱しているジャン=ピエールは最後に気づく。「ディディエはディディエなんだ。自分の意のままになるオモチャじゃない」と。
おすすめ度★★★★
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泥棒株式会社 Two Way Stretch

1960年 英国 78分 モノクロ
監督 ロバート・デイ
メモ 2002.5.7 レンタルビデオ
あらすじ
ドジャー・レーン(ピーター・セラーズ)と金庫破りのジェリー・ナイト、スリのレニーは刑務所で快適に暮らしていた。看守とはよきお友達関係だし、入り用のモノはなんでも手に入り、房には小さなキッチンもあって毎朝目玉焼きも食べれる。いれたてのコーヒーも飲める。金庫破りのジェリーの趣味は刺繍という優雅さ。あと少しで3年のおツトメも終わりだ。そんなある日レーンに牧師が面会に来る。この牧師に化けた男は3年前にドジを踏んだときの仲間で、ただひとりアリバイがあり逃げ延びたソーピーだった。また美味しい話を持ってきたという。まったく気の乗らないレニーだったが、「サルタンの二百万ポンドの宝石を頂く」計画に目が眩んでしまう。しかも今回は刑務所からそっと抜け出して、ちゃちゃっとお仕事を済ました後、刑務所にまたこっそり戻るもんで3人組には完璧なアリバイがあるってな話なのだ。人のいい看守を眠らせてーという楽勝な脱獄計画だったはずが、引退した看守の変わりに赴任してきたのは鬼のクラウトだった。
感想
たるんでいる3人の囚人を採石場で鍛え直そうとする鬼看守のクラウトの目を盗んで、3本のダイナマイトに引火しすたこら逃げる三人組。知らずに爆発に巻き込まれあわれクラウトは、、、、お釈迦になるわけではなく真っ黒けのずたぼろ。その上刑務所長に3人組の所業を訴えようとすると、爆発で石が飛ばされ所長の大事な瓜を直撃してしまっていたのであった。品評会に出そうと大事に育てていたのにぃと不興を買ってしまうあわれクラウトが、なかなかよい。主のストーリーよりもサイドストーリーがちまちましていて面白い。
英国のコメディです。お話も仕草もダイナミックではなく、何事も騒ぎ立てず変にみんな納得してしまう所が英国のコメディの味だと思う。

ソーピー役のウィルフレッド・ハイド・ホワイトって俳優さんはよく執事や英国紳士や牧師でお目にかかる人です。「マイ・フェア・レディ」で「イライザが淑女になれるか」とヒギンズ教授と賭をした人みたい。さぼてんが一番記憶に残っているのは「刑事コロンボ ロンドンの傘」の執事役です。マクベスとマクベス夫人を恐喝して哀れな末路になる人。それから確か「そして誰もいなくなった」の映画版で雪山が舞台なのがあったと思う。白黒映画。ネットで検索したら「姿なき殺人者 TEN LITTLE INDIANS 1966年英国」みたいです。その映画の判事役の人だったような気がする。この映画を先に見ていたから原作読んだ時にゃラストに「へっ? あれれれ?」ってなったんだっけ(ロングロングアゴーの回想)。
おすすめ度★★★1/2
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鬼戦車T-34  ЖАВОРОНОК

1964年 90分 ソ連
監督 ニキータ・クリーヒン/レオニード・メナケル
撮影 ニコライ・ジーリン/ウラジミール・カラセフ
出演 バチュスラフ・グレンコフ(イワン)/ゲンナージ・ユフチン(ピョートル)/ヴァレリー・ポゴレリツェフ(アリョーシャ)/バレンティン・スクルメ(ジャン)
メモ 2002.5.5 レンタルビデオ
あらすじ
1942年6月独東部の捕虜収容所である実験がされていた。ソ連戦車T−34に手を焼いている独軍が、捕虜を使って新兵器の野外演習を行っていたのだ。ぶんどったT−34を捕虜に修理させた上操縦させ、実弾で被甲射撃を繰り返している。もちろんそんな事はジュネーブ条約違反なもんで、野外実験で生き残った捕虜は機銃掃射の餌食になっていた。そんなある日、捕虜のイワンはたくみな操縦と煙幕で3人の仲間を乗せ戦車T−34と共にまんまと逃走する。
感想
実話に基づいた映画化とか。無名戦士を讃えるソ連のプロパガンダ映画であり、本物のT−34戦車/76ミリ砲を使って映画を撮っている所が戦車マニアには垂涎物らしい。が、それ以上のものがこの映画にはある。

原題はЖАВОРОНОК=LARK=ひばりみたい。戦争物でありながら明るい日差しや小鳥のさえずりがそこここで聞こえ、それは自由や平和への賛歌なのだと思う。ラスト近く戦車がヒトラーとナチと洗脳された独国民が映っているスクリーンにつっこんでいく。そこには誰も観客がいない。とてもシュールだった。名場面ではないかと思う。

だいたいこの戦車は弾を持っていない。そこんとこもこの映画を個性的にしている。T−34は一発も撃たない。撃てない。それでも砲を向け威嚇するT−34は恐い。崩壊した建物の下敷きになってもびくともせず、橋を壊し、銅像を壊しつきすすんでいくT−34は強い。こうなんていうか、、、かっこいい。
潜水艦とか戦車ってメカニックなんだな。色々な所に出入り口があったりして。そこんとこが好きな理由なんだ。

第一次世界大戦は3ヶ月で済むだろうと予想されていたのに、塹壕戦という消耗戦にはまり4年という歳月が費やされたとか。第二次世界大戦のヨーロッパの死者数は第一次世界大戦を下回るそうです。つまり緒戦と最終戦を除いて第二次世界大戦は独対ソ連、日本対米国戦の様相が強かったとか。戦争映画というのはヨーロッパ中心ですが、ここんとこを押さえておかないといけない。
おすすめ度★★★★
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戦闘機対戦車−砂漠の対決− Death Race

1973年 70分 米国TV映画
監督 デビット・ローウェル・リッチ
メモ 2002.5.3 レンタルビデオ
あらすじ
第二次世界大戦・北アフリカの戦いは、1940年9月イタリア軍が英国領エジプトに侵攻した事で始まった。1942年11月
”砂漠の狐”ロンメル将軍率いる独アフリカ軍団とモントゴメリー将軍が指揮する英国軍はアレキサンドリア近くのエル・アラメインで激突。敗北した独軍はリビアまで撤退する。独第6師団のバイムラー司令官は敵の爆撃でひとりだけ生き残り砂漠を彷徨っていた。そこへパンサー戦車がひょっこりあらわれる。おいてけぼりになり砂漠で迷子になったというのだ。味方の陣地をめざすかと思いきや、司令官はこの地に残って最後の一兵卒まで闘うと目をギラギラさせる。

一方砂漠の英国軍基地では、喰えない司令官が給油に寄った米国軍戦闘機340をこれ幸いと「お前の上司とは話がついている。地雷原を空から探して爆弾を落としてこい。」とこき使う。砂漠の道案内のための英国兵といやいや任務についた米国兵は二機で飛び立つ。この英国の兵隊がただ者じゃなかった。元々はカンザス出身のアメリカ人らしい。女に振られてやけになったのか、米国参戦前に英国空軍イーグル隊に入隊したらしい。飛行機の胴体にはハーケンクロイツが九つ描かれている。エル・アラメイン攻防戦で9機も撃ち落としたのか。

地雷原を探していた英国軍の戦闘機は、独軍の敗走するトラックを見つけるやいなや銃撃する。と、そこに行き会わせたパンサー戦車がバイムラー司令官指揮の元、戦闘機に対し迎撃を始めた。被弾した戦闘機は墜落し、英国兵は落下傘で緊急脱出。足首を折った英国兵を助け、飛び立とうとする米国軍戦闘機340に対しまたもやパンサーは砲撃する。その爆撃で左翼に穴があいた戦闘機は飛び立てない。どうしよう。

逃げるんですよ。走って。戦闘機がトコトコと。戦車はやはりのろいですから差はひらく。ところがラジエーターに破片がささって冷却水が漏れている戦闘機はあまり走るとエンジンがヒートしてしまう。もう大丈夫だろうと休んでいると、執拗にパンサー戦車が砂漠を追ってくる。しかたなしにまた走って逃げる戦闘機。広い砂漠で鬼ごっこが始まる。
感想
この作品はTV映画らしいです。「戦闘機が走って逃げる」というアイデアだけ、ですがよくできている。たまーに飛ぶっていうか跳ねるんですけどね。ぴょょ〜んとバッタみたいに。異色戦争物。誰やねん。戦車モノがダイナミックなんて言ってたのは。執拗な追跡が「マーフィの戦争」にちょっと似ている。

独軍の狂った司令官役がロイド・ブリッジス。ボー・ブリッジスとジェフ・ブリッジスのパパだと思う。英国のマクラミン飛行隊長役がロイ・シネス。「インベーダー」の人です。
常道を逸した司令官に「もうこれ以上ついていけません」のドイツ兵が「特攻ギャリソン・ゴリラ」の”ナイフ投げのアパッチ”役のブレンドン・ブーンだったのが嬉しかった。「特攻大作戦」のTV版として作られたんだと思う「ギャリソン・ゴリラ」は「西部二人組」と共に好きだった米国のTV番組。短命のシリーズだったけれど面白かったなあ。エピソードのひとつに米国に寝返った科学者の子供がナチに人質に取られていて、その子供を奪回するため敵地に潜入するってのがあった。ところが忍び込んだ子供部屋にいたのは4人の赤ちゃん。どれだー。しかたないのでひとりずつ赤ちゃんをだっこして逃げる(三人は誘拐でんがな)。金庫破りのカジノがイタリア野郎で「兄弟が多くて妹弟たちの世話したから」と赤ん坊に慣れていて、そのご指導の元逃げながらおしめを替えたり、ミルクを作ったり、おしめが乾かないと心配したりとドンパチするよりもうたいへんですわって話だったな。
おすすめ度★★★★
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