1999年10月の映画


吸血鬼ボボラカ Isle of the Dead/死の島
米国 1945年 73分
制作 バル・リュートン
監督 マーク・ロブソン
脚本 ジャック・マッケンジー
音楽 リー・ハーライン
出演 ボリス・カーロフ/エレン・ドリュー/マーク・クレイマー

メモ 1999.10.31(日)CSスターチャンネル
あらすじ
第一次世界大戦の前哨戦・バルカン戦争(1912年)最中のギリシャ。戦場ではペストが蔓延していた。戦場に駆けつけるのが遅すぎたと親友をも責任を取らせ自殺に追い込む鬼将軍ニコラス(ボリス・カーロフ)。国民と軍のために生きている将軍にも、昔は愛する妻がいた。亡くなった妻を葬っている島に従軍記者を連れて墓参りに行く将軍。その島に住んでいる考古学者の屋敷で一晩泊めてもらう。と、朝には客のひとりだった英国のブリキ商人が死んでいた。敗血症らしい。伝染性の病気を軍隊にうつさないため、「南風」が吹くまで客人達は島に隔離状態になる。島にいるのは領事夫妻、夫人の話し相手の若いシア、元屋敷の持ち主キーラ、考古学者、将軍、従軍記者と医者の8人だったが、ひとり、またひとりと病に倒れていく。
感想
吸血鬼ボボラカは待っても待っても出てこない、何が言いたいのかわからないという、とらえ所のない映画だった。とはいえ、私はバル・リュートン5作品(「死体を売る男」 「キャット・ピープル」 「私はゾンビと歩いた!」「恐怖の精神病院」)の中で一番好きだ。映画全体に漂う死(黄泉の世界)を感じとる作品だと思う。死の島に閉じこめられた人々の不安と静かに死を受け入れる姿、台風前のなま暖かい風を思い出すような南風等々。幻想的で雰囲気のある映画です。
ベックリンの絵「死の島」をモチーフにしたホラーとの事。
おすすめ度★★★1/2
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ダーティ・ボーイズ BULLETPROOF
米国 1996年 85分
監督 アーネスト・ディッカーソン
出演 デイモン・ウェイアンズ(ロック「ラスト・ボーイスカウト」)/アダム・サンドラー(アーチー
「ビリー・マディソン」)/ジェームズ・カーン(コルトン 「ローラーボール」
メモ 1999.10.31(日)CSスターチャンネル
あらすじ
チンピラのアーチーは、ダチになったロックをボスに紹介する。兄弟も同然だとボスに太鼓判を押すアーチーだったが、ロックは潜入捜査官だった。
感想
アリゾナの砂漠を手錠をはめられ、ロックに引きずり回されながらアーチー(サンドラー)が、タチションをするのに10秒しかくれなかったといって復讐をわめく。「お前が寝たら俺がおしっこかけてやる。俺だけじゃないぞ、他の人間も連れてくる。人間だけじゃないぞ。犬も、猫も、馬も、牛のおしっこもかけてやる!」とピスピスピスピスの連発。なんてお下品なの(^^)

最初の10分間はなまぬるくて、見るのやめよかなーと思っていたのですが、銃撃戦が始まって俄然テンポがよくなる。ブルテリアを犬質にとる所で爆笑。アダム・サンドラーが銃を撃つのは初めて見た。さぼてん男の評価はなんと破格の★★★1/2。「ど、ど、どうして?」と聞くと「おもろいやん、コレ。」
ジェームズ・カーンがテンガロン・ハットをかぶった麻薬組織のボス役。B級コメディのこういうずっこい役が板についてきましたねぇ、このお人(ため息)。
おすすめ度★★★1/2
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タイムトラベラー <昨日から来た恋人> BLAST FROM THE PAST
米国 1999年 113分
監督・制作・脚本 ヒュー・ウィルソン
脚本 ビル・ケリー
撮影 ホセ・ルイス・アルカイネ
衣装 マーク・ブリッジス
出演 ブレンダン・フレイザー(アダム・ウェバー 
「ハムナプトラ」「くちづけはタンゴの後で」)/アリシア・シルヴァーストーン(イブ・ラストコフ 「バットマン&ロビン」)/クリストファー・ウォーケン(カルヴィン・ウェバー 「タッチ」)/シシー・スペイセク(ヘレン・ウェバー「ミッシング」「ロンリー・ハート」)/デイブ・フォーレイ(トロイ)/ジョーイ・スロトニック(店員)
メモ 1999.10.29(金)梅田ピカデリー
あらすじ
1962年10月22日キューバ危機さなかの アメリカ、所はロサンジェルス。天才か狂人か紙一重と囁かれる発明家ウェバー家ではパーティが開かれていた。が、パーティ途中でケネディ大統領のTV演説を聞いたコチコチの反共の天才は、客達を追い返し身重の妻・ヘレンとともに地下に作ったシェルターに入る。「ほんの数日だけ」といっていたが、上空ではアメリカ軍の偵察機がエマージェンシーを起こしウェバー家に墜落してきた。その衝撃でシェルターは自動的に閉まり発明家一家は35年間「核戦争で世界は滅んだ。」と信じ、暮らす事になる。
感想
愉快! 大好きな映画だ。ブレンダン・フレイザーの「カラの大きさ」が十二分に生かされていた。
芸達者なフレイザーも見れるよ。「めっちゃかわいい」ブレンダン・フレイザーももちろんいいですが、クリストファー・ウォーケンが抜群。世界が破壊され35年も閉じこめられる事になっても、絶望に陥るどころか、嬉々として地下生活をおくり出すウォーケン・パパ。いやあ、兄貴が喜びそうな「地下生活場面」の続出でした。そして「シシー・・・・・スペイセク・・・?」。 驚きました。ママ・ヘレンがシシー・スペイセク。映画「キャリー」のキャリー。アダムの35歳の誕生日プレゼントのジャケットを「ママの手作りだ。」と言って渡すウォーケンに、「他に誰が作るの?」と言うシシー(笑)。
初めて地上に出た「純粋培養男」アダムが発する「彼は他の男のパンツを持っていくの?」という「バック・トゥー・ザ・フューチャー」と同じ「カルバン・クライン」物のギャグ。35年ぶりに地上に出たパパ・ウォーケンが見る地上=ブレードランナーの世界(夜。しのつく雨。残飯をあさる人間達)。よく出来ている。映画館ガラガラでもいい。私が認める。めっちゃ楽しかった。   

映画中のTV番組は「ジャッキー・グリースン・ショー」というそうです。映画「ハスラー」のジャッキー・グリースンなのかな?
満足度★★★★★
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恐怖の精神病院
米国 1946年 80分
制作・脚本 バル・リュートン
監督・脚本 マーク・ロブソン
音楽 ロイ・ウェッブ
撮影 ニコラス・ムスラカ
出演 ボリス・カーロフ/アンナ・リー/ボロー・ハウス/リチャード・フリジャー
メモ 1999.10.28(木)WOWOW録画
あらすじ+感想
18世紀のロンドン、近代化が進む中貧富の差も大きい。篤志家達の寄付でなりたっている精神病院も待遇がひどく、院長のシムズは暴君の圧制者だった。このシムズ(ボリス・カーロフ)という男は、金持ちや貴族にはこびへつらい、弱い者を陰湿にいじめるという性癖の持ち主で、「今の地位を脅かされるのではないかとビクビクしている小心者」「あなたも病気なのよ。」と分析されておりました。最後は患者達の裁判で死刑判決を受け、生きたまま壁に塗り込められるというあわれな末路が待っています。
精神を病んだ人々がモノのような扱いを受け、見せ物にされたり、余興で笑い者にされていた時代に、果敢に社会改良に乗り出した女性の話。。。。か?。まあ、そういう側面もなきにしもあらずでしたが、やはりこれはホラー映画ですな。19世紀英国の画家ボガースの怪奇絵を再現したという、格調高いゲテモノ映画かも。

またしても映画を見ながら、いらん事考えていたわけですが、主人公のネルという女性は現代でもときたま見かけるタイプ。ちょっと美人で、理が勝っていて、はっきり物を言う所がおもしろいと男の人が無責任にチヤホヤする。若い時はまあカワイイで済むんやけど、年とってもずーーーっとそのままで、自分は何を言っても許されると大いなる勘違いをしたままの幼稚な人達(アタシの事ではない・・・よな)。自分の好き嫌いをまっとうな批判・批評と勘違いしている。 ネルは頭を打った事で大人になってよかったなあと思ったのでござるよ、私。
おすすめ度★★★
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死体を売る男 The Body Snatcher
米国 1945年 79分
制作・脚本 バル・リュートン
監督 ロバート・ワイズ
原作 ロバート・ルイス・スティーブンソン
脚本 フィリップ・マクドナルド
出演 ボリス・カーロフ/ベラ・ルゴシ/ヘンリー・ダニエル
メモ 1999.10.25(月)CS録画
あらすじ
19世紀英国では、墓あばきが横行していた。医者が一枚かんでいるのではという黒い噂が流れている。マクファーレン医師(ベラ・ルゴシ)は優秀な医者を育てるため、密かにグレイ(ボリス・カーロフ)から死体を買っていた。人の道に反すると思いながらも、解剖授業のため人間の死体が必要と目をつぶっていたのだ。マクファーレン医師とは助手時代からのなじみの「死体を売る男」グレイは、その秘密でもって医師の後ろめたい心をいたぶるのを生き甲斐にしていた。

感想
「ボディ・バンク」と同じく、医学の進歩と医者の倫理観のせめぎ合いという今日でも色あせない問題作(そうか?)。
ローソクの光と暖炉の明かりだけで夜の闇が深かった時代のお話。つい昨日街で見かけた歌うたいの女が次の日には、水槽(ホルマリン?)沈んでいる。次はなんと下男が沈んでいる。そしてとうとう○○も・・・という一線を踏み越えた小説「OUT」のような怖さもあり。
 「キャット・ピープル」 「私はゾンビと歩いた!」に続くバル・リュートン作品第3弾。えーと、いつまで続くかと思われるでしょうが、録画に成功すれば「吸血鬼ボボラカ」 「恐怖の精神病院」と第5弾まで続く予定。乞うご期待!
ボリス・カーロフとベラ・ルゴシ最後の共演作だそうです。
おすすめ度★★★
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スパイ
仏 1957年 126分
監督 アンリ=ジョルジュ・クルーゾ(「恐怖の報酬」「悪魔のような女」「犯人は21番に住む」
「密告」
脚本 ジェローム・ジェロミニ
原作 エゴン・ホストフスキニ
撮影 クリスチャン・マトラ
音楽 ジョルジュ・オーリック
出演 ジェラール・セティ(精神病院の院長・マリク)/クルト・ユルゲンス(アレックス)/ピーター・ユスチノフ(ラジオのニュース記者ミシェル・カミンスキー)/ヴェラ・クルーゾー(患者ルシー)
メモ 1999.10.25(月)CS録画
あらすじ
パリ郊外の精神病院。持主で院長のマリクは頑張っているのだが患者はふたりしかおらず、スタッフは看護婦長のアンドレ夫人とやる気のない料理人クロチルドだけ。破産寸前のマリクの前に、合衆国戦争心理学研究所のハワード大佐があらわれる。「ある人物=アレックス」を病院に匿ってくれれば、500万フランを報酬として渡すという。わらにもすがりたいマリクは前金100万ドルを貰って酔っぱらいご機嫌さんだったが。。。次の朝目覚めると、病院にアンドレ夫人もクロチルドもおらず、得体の知れない女ひとり、男ふたりが病院に居着いていた。どうみても、看護婦や看護人、料理人には見えない。近所のなじみのカフェに行けば、バーテンのルイはビクトールという男に変わっていた。またこのビクトールが院長マリクの好みの酒とかよく知っているのだ。病院の前には男達がウロウロしだし、閑古鳥の病院に急に新しい患者がふたりもやってくる。ひとりは、ミシェル・カミンスキー、ラジオのニュース記者で盗癖があるという。もう1人の老人は「マッチ箱が・・」となにやらブツクサいっている英語の教師・サム・クーパーだった。一夜あければ、わけのわからん世界に落ち込んでいたという、ある種不条理モノ。

古いミステリ映画は「喜んじゃって」いっぱい書く悪い癖があるので、今回はこのくらいで我慢します(^^)
感想
最後の走る寝台車の狭い通路を、「オカリナ同好会」のオカリナの音を追っかけるのか、追われるのか混乱していく主人公の様子にビクビクしました。
ラストのラストの電話の「ジリジリジリジリ」鳴る音といい、ちょっと神経を痛めつけられるような恐さがある。
おすすめ度★★★★
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淑女超特急 THAT UNCERTAIN FEELING
米国 1941年
監督 エルンスト・ルビッチ
出演 マール・オベロン(ジル・ベイカー)/メルビン・ダグラス(ラリー・ベイカー)/パージェス・メレディス(アレキサンダー・セバスチャン「ロッキー」のトレーナー)
メモ 1999.10.24(日)TV録画
あらすじ
ベイカー夫妻は社交界でも有名なおしどり夫妻。35歳の夫は保険会社の副社長、24歳の妻は才媛、仕事一途の夫のため顧客の接待も大事な内助の功だ。傍目もうらやむ恵まれた生活の中、結婚六年目のジルは頭痛、しゃっくり、不眠症に悩まされている。いわゆる不定愁訴ってやつ。眠れない夜に横でグーグー熟睡している夫を見ているとイライラする。太ってみっともなくなってはいけないと妻には野菜サラダを食べさせ、自分はステーキをパクついている夫を思い出すだけで腹がたつ。
友達のすすめで精神分析医に通いだしたジルは、待合室で妙に絡んでくる男に出会う。無名のピアニスト・アレキサンダー・セバスチャンに退屈な夫にない刺激をうけ惹かれていくジル。それに気づいた夫・ラリーはジルの心を取り戻そうとするが、とうとう離婚することに。早く片をつけようと、離婚原因を夫の妻への暴力とするため弁護士事務所で酔っぱらいながらジルの頬をはたくラリー。そんなラリーを見ているとジルの心は揺れる。そしてアレクサンダーとの生活が始まったのだが、何しろピアニスト。毎日毎日ピアノの音の暴力に使用人は辞めていき、疲れ果てたジルがいた。そこに訪れた友人から「ラリーが昨夜クラブでデートをしていた。」と聞かされる。
感想
「この三人」の美しいマール・オベロンがジル役。ラリーが「50万ドルの契約が取れそうなハンガリーのマットレス会社の人達の接待」の重要さをとくとくと話す間の「やってらんないわ。」という顔、可笑しい。
見所は、「小間使」と同じく絵のシーン。関係があった女友達が「復讐のために僕を解剖した」とアレクサンダーのいうところの現代アート「A・セバスチャンの肖像」。音符はピアニストを表し、波形のラインはアレキサンダーの悩みを、12時15分を示している時計は「ふたりのある想い出」を示しているという。納得できるやらばかばかしいやらクスクス笑ってしまった。
テンポがよく洗練された喜劇です。ずいぶん以前にイトコが「貧乏ったらしいから嫌い」と言い放ってさぼてんを(・・)状態にしたチャップリンの喜劇とは対極に位置するのかもしれない。ルビッチ監督後期の代表作の一本との事。でも何故「淑女超特急」っていう邦題なんでしょう? 単に「極楽特急」があるから?(おお、「この三人」のミリアム・ホプキンスって「極楽特急」に出ていたのかと発見)
おすすめ度★★★1/2
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来るべき世界 Things to come (by さぼてん男)
英国 1936年 93分
監督 ウィリアム・キャメロン・メンジース
原作・脚本 H・G・ウエルズ
出演 レイモンド・マッセイ(「毒薬と老嬢」のボリス・カーロフそっくりさん)/セドリック・ハードウィック/マーガレッタ・スコット
メモ 1999.10.23 WOWWOW録画
あらすじ
近未来の英国のある都市。長い戦争と引き続く疫病を克服し、平和的な統一都市を建設するが、月への有人飛行を巡って煽動者が現れ、宇宙船発射台に向け暴徒と化した群衆が押し寄せる。架空の都市を舞台としたクロニクルといったところか。
感想
冒頭の戦争シーンや終盤の群衆シーンはミモノ。ひょっとしたら全体が実物大セットかと思わせるような、破綻のない合成が見事。「イントレランス」じゃあるまいし、まさかね。 親子何代かにわたるストーリーだが、ある登場人物の子孫として同じ俳優さんが出てくるのは、因果モノめいて面白い。
科学の進歩のためなら自分の娘の命も犠牲にしかねない、良く言えばジェンナーのような、悪く言えばオッペンハイマーのような主人公に対し、観る者はどう対処していいかわからない、一種の居心地の悪さを感じさせる結末ではある。それが制作者の意図なのかもしれないが、すっきりしない後味の悪さは否定できない。
それにしても1936年にこれだけの映画がよくできたものだ。第二次大戦の勃発とその後の科学技術の発達(及びその弊害)をも予見しているようで、原作者H.G.ウエルズの卓越した先見性には脱帽である。
おすすめ度
特撮でプラス、演出の古くささでマイナス、ウエルズで大プラスの結果、★★★ってトコか。
「禁断の惑星」と同様、SFファンは教養として観ておくべきであろう。
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HEART
英国 1998年 84分
監督 チャールズ・マクドガル
脚本 ジミー・マクガヴァン(「心理探偵フィッツ」「司祭」)
撮影 シュリアン・コート
音楽 スティーブン・ウォーベック
衣装 ジェームズ・キースト
出演 クリストファー・エクルストン(ゲイリー・エリス 
「エリザベス」)/サスキア・リーヴス(マリア・マカードル 「バタフライ・キス」)/ケイト・ハーディ(テス・エリス)/リス・エヴァンス(アレックス)/アンナ・チャンセラー(ニコラ・ファーマー)/ビル・パターソン(クレイトマン医師)/マシュー・リス(ジョーン・マカードル)
メモ 1999.10.23(土)シネマアルゴ梅田
あらすじ
心臓疾患をもつパイロットのゲイリーは、妻が浮気をしているのではという嫉妬から心臓発作を起こす。一命はとりとめたものの心臓移植しか健康体を取り戻す道はなかった。交通事故でなくなった17才の若者の心臓がゲイリーに移植される。それはそれは上等な心臓でゲイリーは今までにない活力を持つ。感謝の言葉を伝えたいと残された家族を捜すと、シングルマザー・マリアのひとり息子だったのだ。感謝の言葉を述べたゲイリーは肩の荷を降ろした気分だったが、残された母の方は息子あいたさにゲイリーの家をたびたび訪れるようになる。その姿に不気味さを感じだすエリス夫妻だった。
感想
予告編を見て「恐らく、あの血だらけのハートはあの人のだ。」と予想を立てそれを確認しに見にいったのですが、ものの見事にはずれ。
 「俺はお前を愛しているんだ!」「私はあの人を愛しているのよ。」「息子を愛していた。」といいながらも自分以外の人間を思いやることもなく破滅へ突き進むという人間の業の深さを描いていました。「あれが原因でこうなっていくんだな。」と納得できる展開の連続で脚本に破綻がない。「あの人ならああいう行動をするだろう。」という違和感のない人物設定もいい。妻の浮気疑惑に対し、芝刈り機に怒りをぶつけるだけだった男がファイターの心臓を持つことで変わっていくところもよくできている。こういうよく考えられた脚本は好きだ。

心臓というのは、臓器の中でも特殊ですね。音もたてるし。たとえば胃とかだったら、ドナーの家族が移植相手の胃にさわって「あの人がここで生きている」なんて思う事は少ないだろうし。サスペンス映画ながら「臓器移植」という今日的な問題提起もされていました。脳死による臓器移植にいささかためらいがあるのは「お医者さんは本当にドナーの臓器を人として大切に扱ってくれるんだろうか?」という不信感があるのだ、私の場合。医者にその余裕がないなら、移植を受けた人やドナーの家族へのケアはそれ専門の人がいるわけで、その辺りをなおざりにし時間がないといって「脳死による臓器移植」を既成の事実として走っていいのだろうか。
ミステリ・サスペンス映画ながら色々な事を考えた映画でした。ミステリとかには問題提起やら、人間を描くやらは必要ない、それにはそれ専門の本を読めばいいんだという意見を聞きますが私はそうは思わない。薄っぺらな社会派はえーねん、娯楽作品に徹してと思う作品も多くありますが、私は専門に書かれた本は読まないから。エンターティメントの小説や映画を見ながらでも少しでも物を考えないとほんまのアホになってしまうから。
おすすめ度★★★1/2
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告白 THE CONFESSIONS(懺悔)
米 1981年 107分
監督 ウール・グロスバード
撮影 オーウェン・ロイズマン
音楽 ジョルジュ・ドルリュー
出演 ロバート・デ・ニーロ(デス)/ロバート・デュバル(トム)/チャールズ・ダーニング/パージェス・メレディス
メモ 1999.10.20(水)TV録画ノーカット。字幕スーパーと最初にでてきたのに吹き替えでちょっとびっくり。
あらすじ
第二次世界大戦後まもないニューヨークの草むらで若い女性の惨殺死体が発見される。事件の捜査を担当する刑事・トムには司祭の弟デスがいた。二人の家系はアイリッシュ&カトリックでデスは母親の自慢の息子。トムが事件を洗っていく内にひとりのとかく噂のある人物が容疑者として浮かび上がってくる。そやつもカトリックで罪滅ぼしのためかカトリック教会に多大な寄付をしていた。弟のデスは、そのお金で学校を設立したいという希望(野望か?)を持っている。しかしいくらかダーティな刑事トムには昔その男に利用されたという確執があった。その男を容疑者として逮捕すれば、カトリック教会との関係があきらかになり弟の立場は苦しくなるのは見えている。
「L.A.コンフィデンシャル」と少し雰囲気が似ています。
感想
20年近く前の作品とは思えません。主役ふたりは今とほとんど変わらないように見える。ただやっぱりお肌のハリが違う・・・か。
砂漠の教会で「身も心も洗われました。」というのも結構やけれど、学校や病院設立のために「金に貴賤はない」と清濁あわせ飲む方がなんぼか世の中の役にたつんとちゃうのと思うのは私だけ? 何をするにしても先立つものはお金やし。とはいえ、「濁」から距離を置いているつもりでも気がつけば「頭の上まで泥の中」という事はよくある事なんだろうな。

記憶違いかもしれませんが、ロッキード疑惑のただ中、フィクサーで右翼の大物・児玉誉士男が持病の心臓病のために東京女子医大病院に入院するという事があったと思う。「病院は疑惑の人物を匿うのか」という非難が起こったな、確か。榊原記念病院の高名な榊原教授(東京女子医大名誉教授だったか)が児玉誉士男から以前病院の設立資金の寄付を受けたという事情があったからだったような覚えがある。とかく噂のある人物から寄付を受けるのに大いに悩んだ榊原教授が、心臓病専門病院の設立という 大義のために飲んだ苦い水だった。それが後年世間の非難を浴びる事になってしまった。この映画を見て、そういう運命の皮肉があるとしても大義ある人には頑張って欲しいと凡人の私は思う。凡人に出来ることは物事をよく見て理解する事だと思う。
おすすめ度★★★1/2
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この三人 These three
米 1936年 93分
監督 ウィリアム・ワイラー(「ローマの休日(1953)」「必死の逃亡者(1955)」「ベン・ハー(1959)」「コレクター(1964)」)
原作・脚本 リリアン・ヘルマン(戯曲「子供の時間」)
音楽 アルフレッド・ニューマン
撮影 グレッグ・トーランド
出演 ミリアム・ホプキンス(マーサ・トビー
「極楽特急」)/マール・オベロン(カレン・ライト)/ジョエル・マクリー(ジョー・カーディ。「昼下がりの決斗」「サリヴァンの旅」「海外特派員」)
メモ 1999.10.19(火)WOWOW録画
あらすじ
大学を卒業したマーサとカレンは、係累もなく自分たちで人生を切り開いていかなければならない。いや、マーサにはいないほうがマシの女優の叔母・モーターがいた。箸にも棒にもかからない困ったお人なのだが、この映画のキーパーソン。ふたりはカレンの祖母が残してくれた田舎の屋敷で学校を開こうとするが、やっとこさついてみればそこは荒れ放題のお化け屋敷。呆然と見ている二人の前に、屋根から怪しい男が蜜蜂をひきつれて降りてきた。宇宙人のような姿。病院が休みの時には、蜜蜂が巣を作っている屋根裏部屋で勝手に蜜の採集をしていると言う。「いつから病院に入っているの?」と聞くカレン。「僕はドクターなんだ。」というジョー。
こうやって、3人は最初の出会いをはたした。ジョーの助言でマーサとカレンは銀行からお金を借り屋敷を改装して学校を開くところまでこぎ着ける。カレンの祖母の友達だったという地元の名士ディルフォード夫人も放校されたとこの孫娘・メアリーを学校に行かせると約束してくれたことから、生徒も集まりこぎ出す事ができたのだ。そこに突如現れたマーサの叔母。「演劇を教えるわ。」と言って学校にいついてしまう。
順調にいっていた寄宿学校だったが、ジョーがカレンに喧嘩腰で結婚を申し込んだことから小さな不協和音がひとつ起こる。カレンもジョーも察していないがマーサもジョーに一目惚れしていたのだ。が、鼻の利く叔母は姪の気持ちに気づいていた。といって、それを姪へのあてこすりに使うだけだったが。。。そこに大きな爆弾が炸裂する。嘘つき娘のメアリーが嘘をついて罰せられた事を逆恨みし、「ジョー先生とトビー先生(マーサ)が夜中に学校で変な事をしていた。」と祖母にいいつける。孫に大甘とはいえ嘘つきの孫娘のいうことを真にはうけなかったディルフォード夫人だったが、メアリーが連れてきた証人・ロザリーが同じ事を言うと、態度を硬化する。「みんなに学校を推薦した自分に責任がある。そんな学校には子供をいれておけない。」と決心した夫人が他の父兄に連絡をとり、生徒は全員学校を去ってしまった。
マーサ、カレン、ジョーの三人は、ディルフォード夫人に対し名誉毀損の民事訴訟を起こすが敗訴。もうひとりのキーパーソン・ロザリーの証言を崩せないのだ。何故あの子があんな嘘の証言するのか? 何もかもなくし失意の3人の元に突如、事件の直前に解雇されたマーサの叔母が現れる。裁判で証言してくれるよう電報を打ってもなしのつぶてだった怒りの叔母だったが意外な事実をおしゃべりしだす。
オードリー・ヘップバーン、シャーリー・マクレーン、ジェームズ・ガーナー主演の「噂の二人(1961)」は、ワイラー監督自身の自作リメイク。
感想
「噂の二人」は、同性愛を示唆するスキャンダラスな内容とショッキングなラストが印象的で、子役の事はあまり記憶に残っていないのですが、この映画の子役ふたりメアリーとロザリーはすごい。文句無くすごい
ワイラー監督は、不用意なクローズアップが無い監督さんだそうです。構図が決まっているこの映画は舞台劇の様。原作は戯曲か。原作者のリリアン・ヘルマンという方は映画「ジュリア」でジェーン・フォンダが演じた役の方ですね。ダシール・ハメットのパートナーだった人。レッド・パージで干されたハメットをリリアンの筆が支えたとか読んだことがあるようなないような。いや違うな、何かの本の印税のおかげで飢えなくてすんだと読んだんだっけ。
カレン役のマール・オベロンという方は東洋的で品があり美しい方でした。ワイラー監督の「嵐が丘」にも出ておられるそうです。後年アーサー・ヘイリーの「ホテル」にも出演されているとか。黒髪で落ち着いたオベロンと芸術家肌で繊細な金髪のホプキンスの好対照がいいです。そこにはまる鼻の頭の丸いジョエル・マクリー。大きい人ですね。
おすすめ度★★★★
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キャット・ピープル CAT PEOPLE
米 1942年 73分 RKO映画低予算ホラーの一本
監督 ジャック・ターナー
脚本 ダウィット・ボディーン
撮影 ニコラス・ムスラカ
音楽 ロイ・ウェッブ
出演 シモーヌ・シモン(イレーナ)/ケント・スミス(オリバー)/トム・コンウェイ(Dr.ルイス・ジャド)
メモ 1999.10.17(日)WOWOW録画
あらすじ
造船会社の設計技師・オリバー・リード(関係ないんですが、この間亡くなった俳優のオリバー・リードってキャロル・リード監督(「第三の男」)の甥っ子だったんですね)は、動物園で黒豹をスケッチしているイレーナと知り合う。イレーナは服飾デザインを仕事にしている。アメリカに移住したセルビア人だった。イレーナの生まれた村には、「猫族の女は、人間と結ばれると相手を喰い殺してしまう。」という古い言い伝えがあり、それを信じているイレーナは、結婚したオリバーとキスもできない。欲求不満と心労のあまり同僚のアリスに相談したオリバーだが、それを知ったイレーナは嫉妬のあまり黒豹に変身し、アリスをつけ狙う。
感想
「私はゾンビと歩いた!」↓に続くバル・リュートン作品第2弾。 えっ、知らないですか?(笑) 私も今回初めて知りました。BSファンによると、制作者のバル・リュートンという方はロシアからの亡命貴族で「文学、美術への造詣が映画に深みを与えている」そうです。そう思って見ると、モダン・ホラーの原点を見るように思えくるから不思議。恋愛の部分が多少時代を感じさせるとはいえ、姿をあらわさないものへの恐怖の描き方は必見!。
おすすめ度★★★1/2
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私はゾンビと歩いた! I Walked With a Zombie
米 1943年 69分 RKO映画低予算ホラーの一本
監督 ジャック・ターナー
脚本 カート・シオドマク
音楽 ロイ・ウェッブ
出演 ジェームズ・エリソン/フランシス・ディー/トム・コンウェイ(ポール)
メモ 1999.10.17(日)WOWOW
あらすじ
雪の降るカナダで一人の看護婦が面接を受けている。砂糖農園のお金持ちが病弱な妻のために看護婦を求めていた。場所は西インド諸島の常夏の島、ヤシの木の茂る楽園と聞き看護婦カーネルは胸を弾ませる。島は、奴隷として連れてこられた祖先を持つ島人や使用人達の上に少数の白人が君臨するというピラミッド型の社会だった。農園主の一家は、主人ポール・ホランド、妻のジェシカ、弟のウェズリー・ランド、兄弟の母親の4人。兄のポールは英国で教育を受け堅苦しくいささか陰気くさい。弟のウェズリーは米国で教育を受け気さくで陽気な人柄。ふたりは父親違いの兄弟で弟の父は牧師であったが牧師が亡くなった後、母親は村の診療所をひきつぎ島民に尽くしていた。看護する主人の妻ポーラは、夢遊病のように息をして目もあけているが、自分の意志で動くという事がない「生きる屍」状態。
感想
「なんてセンセーショナルな邦題なんだ」と思っていたら、原題そのままなんですね。
どこに焦点を合わせて見たらいいのか判断がつきかねる映画だった。恋愛映画か名門の悲劇の映画か怪奇映画かどれやねん。
『「正気をなくしている妻を持つ夫」と「若いインテリの使用人」との禁断の恋』という筋立ては、言われて見れば「ジェーン・エア」。
ラストシーンは、『兄の妻と愛し合う弟、名門一家崩壊の悲劇』。
しかし映画全体をおおっているのは、夜の島に響くブードゥーの太鼓の音が生みだす不安さでしょう。島は白人の大農園主が支配しているように見えながら、闇の支配はブードゥー教がにぎっているという怪奇映画。ブードゥー教の司祭フンガンが人形を使って美女ジェシカを呪術で呼び寄せるシーンと、木で作った人形かと思ったまばたきしないカラフォー番人は見所。今では、こういうシーンを大まじめに作れないと思う。貴重な作品です。
おすすめ度 異色作を押さえておこうという人は是非。 
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恐竜時代 When Dinosaurs Ruled The Earth (by さぼてん男)
米=英 1969年 92分
メモ 1999.10.16(土)WOWOW録画
あらすじ
まだ地球に月がなかった頃(オイオイいつのことや?)、太陽信仰の部族には、太陽への生け贄として金髪の人間を捧げる習慣があった。今日も儀式を執り行おうとしたところ、月が生まれ、その際の暴風(?)に乗じて、金髪美女がひとり逃走してしまう。女は海の部族の男に助けられるが、男の恋人の嫉妬も絡んで、二人は「不吉、悪者」と忌み嫌われ、殺されそうになる。あわや、というところで(なぜか)大津波が来襲。助かったのはこの二人と他2名の計4名だけだった。
感想
題名とは裏腹に、恐竜の特撮シーンは少ない。ストップモーションアニメを大トカゲの喧嘩の実写で水増ししている。卵の殻に隠れている金髪美女をみつけた母親恐竜が、自分の子供と勘違いしてエサを与えてくれるのが笑える。母竜から娘と間違われた金髪美女が他の卵から孵った恐竜には姐さん風を吹かして高飛車に出るのも可笑しい。母親恐竜は役柄設定から、いかにも優しげな表情で「お母さん」しているのも面白い。 月が生まれたのも津波が来たのも金髪美女のせいではないが、逃走したおかげで大勢の人間が死んだり傷ついたのは事実。そのうえちゃっかり生き残るから、死んだヤツは浮かばれん。メインストーリーよりも、生け贄から逃れるために金髪の娘の髪を黒く染めてやる母親などの細かなシークエンスのほうが興味深かった。
金髪の人間をユダヤとか共産主義者に、これを助ける男をレジスタンスとかシンパに置き換えれば、集団ヒステリーに追われる状況もそれなりにサスペンス的に見ることができるかもしれない。とは言え、そんな立派な主張を隠した社会派映画にはちっとも見えないな。4人を残して全員洗い流されてしまうという、大味にしてずいぶんサッパリした映画であった。
おすすめ度★(大げさな原題に期待して見ないように)
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密告 Le Corbeau
仏 1943年 97分
監督 アンリ=ジョルジュ・クルーゾ(「恐怖の報酬」「悪魔のような女」「犯人は21番に住む」)
原作 ルイ・シャヴァンス
脚色 アンリ=ジョルジュ・クルーゾ/ルイ・シャヴァンス
撮影 ニコラス・エーエ
音楽 トニ・オーバン
出演 ピエール・フレネ(「犯人は21番に住む」)/ピエ−ル・ラルケ
あらすじ
ある日、フランスの田舎町の公立病院に勤める産婦人科医師を中傷する手紙が町中に届く。内容といえば、「堕胎医だ。」 「人妻と不倫している。」。署名はカラス。これを皮切りに、人々のスキャンダルを暴く手紙が不吉な黒いカラスのように町中飛び交う。とうとう自殺者まで出てしまう。犯人は誰だ? そして目的は? ただの愉快犯なのか? 
感想
いつ秘密がバラされるかわからない、あることないこと中傷されるかも、密告しているのは妻か? 夫か?、友人か?という疑心暗鬼が普通の人間にどういう「歪んだ心理状態」を生み出すかと言えば・・・。

ドイツ占領軍の指令で作られたそうです。この内容では、できあがった映画は当然上映禁止。ドイツ軍はどういう映画を作るように指示したのか知りたいところ。 「市井の人々をドキュメンタリー風に描く」とか「ごく自然な田舎の風景を描く」映画を作るようにとかの命令で、「いやあ、これが普通の人々ですねん」と、できあがったのがこの映画としたらすごい。たいした監督さんです。作品を少ししか見ていないのが残念です。
おすすめ度★★★★
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シックス・センス THE SIXTH SENCE
米国 1999年 107分
監督 ・脚本 M・ナイト・シャマラン
撮影 タク・フジモト(「羊たちの沈黙」「フィラデルフィア」)
出演 ブルース・ウィリス/ハーレイ・ジョエル・オスメント(「フォレスト・ガンプ」)/トニ・コレット(「
ミュリエルの結婚「ハッピィブルー」)/オリビア・ウィリアムス/ミーシャ・バートン
メモ 1999.10.13(水)ABCホール試写会
あらすじ
「薔薇の素顔」と同じく、ウィリスは精神科医の役。患者を救えなくて「赤色」が見えなくなってしまったというトラウマを持つ「薔薇の素顔」とこれまた同じトラウマを抱えている。そんなこんなで家庭もうまくいっていない。情緒不安定で心を病んでいる少年を救う事で自分も癒されるのではと治療に乗り出す事にした。
感想
舞台上の解説の人の「アメリカではリピーター(繰り返し同じ映画を見る人)が多い」という言葉からの単純な連想>わかりにくいのか・・・。
映画冒頭の「誰にもしゃべらないでください。」というブルース・ウィリス署名入りの箝口令(会場からは笑いが起こってました)。これは必死で見ないといけないと緊張しまくり・・・頭をフル回転して画面を食い入るように見つめる。一言一句一場面も見逃してはならない。
・・・・・「むむっ」・・・・・・見終わって、すれっからしの映画ファンになってしまったのかなあと、いささか寂しい。
「期待していたのとは違った話」という事でよかったような、残念なような気持ちは複雑。細かい所まで計算した考え抜かれた展開ではあります。

監督さんは29才、フィラデルフィアで育ったインドの方との事。
おすすめ度(期待は控えめに)★★★1/2
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接続/ザ・コンタクト The Contact
韓国 1997年 106分
製作 ミョン・フィルム
監督 ・脚本 チャン・ユニヒョン
脚本 チョ・ミョンジュ
撮影 キム・ソンボク
音楽 キム・ソグオン
 「Pale Blue Eyes」 「The Look of Love」 「Yesterday is here」 「With A GIRL Like you」
出演 ハン・ソッキュ(クォン・ドンヒョン
「八月のクリスマス」)/チョン・ドヨン(イ・スヒョン)/パク・ヨンス/チュ・サンミ/カン・ミナ
メモ 1999.10.11(月)NHK教育録画
あらすじ
ラジオ番組のプロデユーサー・ドンヒョンの元に古いLPが送られてくる。ベルベット・アンダーグラウンド「ペール・ブルー・アイズ」、思い出の曲だ。放送でかけたその曲をカー・ステレオで聞いていたイ・スヒョンはある出来事から曲を忘れがたくEメールでリクエストしてくる。そのEメールを見たドンヒョンは行方を捜している女性からかもしれないとパソコンからメールを送る。そうしてふたりは「女2」「ハッピーエンド」というハンドル名を使ってパソコン通信上でコンタクトする。ふたりはどちらも思いを届けられない人への恋心を抱え苦しんでいた。
感想
パソコン通信という現代の利器を巧みに使い、体裁は「CD屋、ラジオの深夜放送、コンビニ、地下鉄、そして映画館」と大都会ソウルの若者文化で彩った生活臭のないトレンディ・ドラマ風。しかしながら、中身は「君の名は」から変わらない「すれちがいメロドラマ」。
「A Lover's Concerto(ラバーズ・コンチェルト)(バッハ)が流れる中での映画館前のラスト・シーンは、数ある恋愛映画の中でも記憶に残る名場面

今回映画を見ながら、似ているようで異なる台湾、韓国と日本の若者文化の根本的な違いはなんだろう?と考える。それは「若い頃に徴兵制度があるかないか」と思う。大学時代、ゼミに台湾からの留学生が2人いて、ひとりは学業途中で徴兵のため国に帰られました。その当時、確か徴兵期間は3年とか聞きました。(違っているかもしれません)。財閥の一族だったと思うのですが免責は無いようでした。もうひとりはすでに徴兵を終えられていて「どうでしたか?」と聞くと「それはもう厳しい経験」とのお返事でした。
おすすめ度★★★★
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ラン・ローラ・ラン LOLA RENNT
独 1998年 81分
監督・脚本・音楽 トム・ティクヴァ
撮影 フランク・グリーベ
衣装 モニカ・ヤコブス
美術 アレクサンダー・マナッセ
音楽 ジョニー・クリメック/ラインホルト・ハイル
出演 フランカ・ポテンテ(ローラ)/モーリッツ・ブライプトロイ(マニ)/ヘルベルト・クナウプ(ローラの父)/ニナ・ペトリ(ハンゼン夫人)/アーミン・ローデ(警備員)/ヨアヒム・クロール(浮浪者)/ハイノ・フェルヒ(ロニー)
メモ 1999.10.8(金)梅田ガーデンシネマ
あらすじ
突然赤い電話が鳴る。電話に出たローラに、半べそかきながら恋人のマニが言う。「ボスに渡す10万マルクを地下鉄に置き忘れた。殺される。助けてくれ、ローラ」
後20分しかない! 恋人を救うため10万マルクを手に入れようと「親のすねかじり娘」ローラは街に走りでる。
感想
今日は「呪縛」を見るつもりだった。見た人からも「展開が速くて面白いし、お勉強にもなりましたよ。金曜日はレディース・ディで半額です。」と薦められていたし。が、最近仕事でへばっている事もあり浮き世の話はパスして選んだのがこの作品。

勢いで見る映画 ビデオで見ると恐らくこの勢いにのりきれず魅力は半減する。

  落ち着いた美しいベルリンの街を、ローズがかった赤い髪をしたパンク・ネーチャンが走る、走る。黄昏(たそがれ)ているヨーロッパの人々はこの映画のパワーに、新しい世界が開かれるような明るさが感じられ嬉しかったのではなかろか。
映画冒頭のアニメーションで走るローラが「渦巻き状の世界に」入っていく所を見て「タイムトンネルみたいやん」(昔のTV番組)と思っていたら、こういう趣向が凝らされていたんだな。
マニがローラに「俺が死んだら、お前はあーしてこーしてこうなって俺の事なんか忘れちまうんだ。」とイジイジ言う所が好き。ちょっとかわいくて面倒みたろやないかと女心をくすぐる演出がうまい。
おすすめ度★★★★
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将軍月光に消ゆ ILL MET BY MOONLIGHT
英国 1957年 109分
監督 マイケル・パウエル(
「血を吸うカメラ」)/エメリック・プレスバーガー
出演 ダーク・ボガード/マリウス・ゴーリング
メモ 1999.10.6(火)CS録画
あらすじ
1944年第二次世界大戦末期、エーゲ海に浮かぶ島クレタはドイツ軍に占領されていた。島民は抵抗組織をつくり山岳地帯に立て籠もる。人はこれを”狼”と呼んでいた。密かにクレタ島に潜り込んだ英国軍のファーマ少佐とモス大尉は、抵抗組織と協力してドイツ軍司令官・師団長のクライベ将軍を拉致し、カイロに連行し独軍に大ハジをかかせようという計画をぶちあげる。
第二次世界大戦中の実話を映画化。
感想
題名に惹かれて見た映画。英国軍の軍人ファーマ少佐を、あのダーク・ボガートが演じているというのにも惹かれた。「ベニスに死す」「愛の嵐」のあの名優ダーク・ボガード。今まではその知的さとナイーブな魅力に目がいってましたが、お髭がないとなかなか渋いハンサムですな。再発見。
銃を撃つシーンが2回しかないという異色戦争映画。その内一回は音だけ。6ヶ月もお風呂に入っていなくて、ロバもその臭いに負けるという抵抗軍のサンディ大尉の造型がいい。みかけはただのとぼけた田舎のおじちゃんなのだ。
海岸にやっとこさたどり着いて、いざ沖で待っている味方の船にモールス信号で合図を送ろうとすると、アマチュアの英国軍人は誰もモールス信号を知らない。。それを知った職業軍人の独軍将軍が嘆く「アマチュアに誘拐されたのか。。。」というたるい英国ユーモアが漂う、月がきれいなモノクロ映画でした。
おすすめ度★★★
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アダム・サンドラーはビリー・マディソン/一日一善 BILLY MADISON
米国 1995年 
監督 ダムラ・ディビス(「CB4」)
出演 アダム・サンドラー
メモ 1999.10.4(月)CS録画
あらすじ
27才になっても悪友とつるんでは、昼間っから酒をかっくらってウダウダしたりぃいたずらしたりぃワーワー騒いで一日遊びほうけているビリー、9才の悪ガキの頃から成長しない毎日だ。パパはホテル王、大邸宅に住むおぼっちゃまで働く必要がない。父親の側近エリックは、このバカ息子をけ落としてホテルを乗っ取ろうと虎視眈々。父親はバカ息子に見切りをつけてエリックにホテルの経営を譲ろうとするが、ビリーは心を入れ替え「小学校から高校までもう一度やり直す」という。そこで、スクールバスを待つ27才の1年坊主ができあがったってわけ。
感想
録りだめビデオを「なんとかせなあかん。」とゴソゴソ整理していたらひょっこり出てきた作品。うううっ、何でも録画してある。
アダム・サンドラー主演作品を見るのは、「プロゴルファー・ギル」、
「ウェディング・シンガー」 「ウォーターボーイ」に続いて4作品目。これが一番好きかもしれない。
どっかで見たような気がする脇役も楽しめる。貫禄の女中頭(ナニー)とか、デブのアダムソン校長、ライバルのエリック、毛深いバスの運転手、眉毛の濃い1学年の女のセンセとか、主役そっちのけで個性をアピールしてはりました。子供が大人っぽく、大人が子供っぽい映画。ナンセンス・ギャグが炸裂・・・って訳ではありません。そしてやはりアメリカ映画のパロディが多いようで、知識不足のため十分に理解ができず幾分寂しい気もします。が、映画冒頭からビリーにしか見えない人間大のペンギンが出てきたのが楽しかった。ここは、 「ハーヴェイ」のパロディか。

私は、アダム・サンドラーってコメディ映画に出ている時のロビン・ウィリアムズとキャラがかぶる。恐らく、ガキを演じるのがまるで地のように見えるのと、「ホンマにええ人なんとちゃうかなあ」と思ってしまうからなんだな。
おすすめ度★★★1/2
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双生児  GEMINI
日本 1999年 89分
監督・撮影・脚本・編集 塚本晋也
原作 江戸川乱歩(「双生児」)
美術 佐々木尚
衣装 北村道子
ヘア・メイク 柘植伊佐夫
音楽 石川正
出演 本木雅弘(雪雄/捨吉)/りょう(りん)/藤村志保(雪雄の母)/筒井康隆(雪雄の父)/もたいまさこ/石橋蓮司/魔赤兒/竹中直人/浅野忠信/田口トモロウ/村上淳/内田春菊 
メモ 1999.10.1(金)心斎橋シネマ・ドゥ
あらすじ
明治末期、代々医者の名家・大徳寺家の跡取り雪雄は激戦の日露戦争から無事生還し、名医と人望が高い。雪雄の妻・りんは、記憶喪失のまま雪雄と出会ったため育ちが不明で雪雄の母との仲は難しい。それでも夫婦仲は熱く満ち足りた毎日だった。しかし、その日常を脅かすかすかな不安が雪雄にはあった。いつも誰かに見られているような気がするのだ。そんな折り、両親が相次いで急死する。
感想
監督さんの「自分はこう作る」というイメージが、迷いなく一分の隙も狂いもなく明確に表現されたカルト映画。カルトでありながらエンターティメント性も合わせもっているのは、ストーリーのわかりやすさだと思う。そういう意味では、何もかも違っているけれど
「ガタカ」に似ていると感じた。単に青い色が印象的ってのが同じだっただけかもしれん。。。私の場合、よく知った俳優さん達が出ているのも好印象。浅野忠信はあいかわらずかっこいいのぅ。

今回、映画を見終わってから、ネット上の感想を2、3読んだのですが「双子だと何故捨てられるのかわからん。」という感想がいくつかあり、驚きました。
おすすめ度★★★★
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