1999年12月の映画


ダーク・スター DARK STAR
<ドームから宇宙を眺めるタルビー>
1974年 米国 83分
制作・監督・脚本・音楽 ジョン・カーペンター(長編第1作)
脚本 ダン・オバノン
出演 ブライアン・ナレル/ドレ・バヒッチ/カル・カニホルム/ダン・オバノン
メモ 1999.12.31 ビデオ
あらすじ
宇宙船ダーク・スター号は、地球を遙か離れ宇宙を漂っていた。植民地計画のために”不安定惑星”を破壊する仕事を始めて20年になる。その間乗組員は3年しか年をとっていないが、パウエル司令官が原因不明の死をとげ、船は2年前に宇宙嵐(電磁雷)にもやられ片肺飛行中。長い間宇宙を眺め宇宙船では4人の顔しか眺められない生活を送ってきたため、乗組員達(ドリトル中尉、ピンパック軍曹、ボア)はかなりのヘンコになっていた。しかしそれは人間だけではなく機械達も同じであった。
感想
<サーフィンするドリトル中尉>
♪カントリー・ミュージックが流れる♪〜、星が流れる★〜、エイリアンが跳ねる((●))、爆弾20号が哲学的思索にふける*□*という、話には聞いていたんですがふざけた映画でした。でもシリアス。ふうぅ。。機械達が間違った命令を実行してしまうんじゃないかという不安の内に迎える2000年にふさわしい映画を、と考えてレンタルしたのですが想像以上。長髪の乗組員達(軍人)がヤクで頭がちょっとパーした売れないロック・ミュージシャンに見える(笑)。
落下装置が故障しダーク・スター号に貼り付いたまま自爆しようとする惑星破壊用爆弾20号に対し、「爆発したらあかん。」と説得する乗組員が始める禅問答がなんともいえずナンセンス。フレドリック・ブラウンの短編に似たような話があった。
あのビーチ・ボールのおばけにしか見えないエイリアンは「エイリアン('79)」の原型とかいう話ですが、本当なんでしょうか?
おすすめ度★★★★1/2
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ニルヴァーナ NIRVANA(涅槃)
1996年 伊=仏 113分
監督 ガブリエレ・サルヴァトレス(「マラケシュ・エクスプレス」「エーゲ海の天使」)
出演 クリストファー・ランバート(ジミー)/エマニュエル・セイナー(リサ、「フランティック」ロマン・ポランスキー夫人)/ディエゴ・アバタントゥオーノ(ゾロ)/アマンダ・サンドレッリ(マリア)/セルジオ・ルビーニ(ジョイスティック「殺意のサンマルコ駅」)
メモ 1999.12.28 ビデオ
あらすじ
時は2050年。クリスマスの人恋しくなる季節、ゲーム・クリエイターのジミーは鬱々とした日を過ごしていた。春に自分の元を去っていった恋人への思いから逃れられない。勤め先のゲームメーカー・オコサマ・スター社からは新しいゲーム「ニルヴァーナ」の完成期限まで後3日と催促されているが、仕事にも身が入らない。が、そうも言ってられずコンピューターに向かうとゲームソフトは未知のウィルスに感染していた。ゲームの主人公のゾロが記憶機能を持ち、「前にも、殺されたような気がする。」と言い出したのだ。人格を持ったゾロは、創造主のジミーに頼む「繰り返しが永劫に続くこの地獄から自分を解放して欲しい。」と。捕らわれ人になっているゾロに思い出に捕らわれている自分の姿を見たジミーは、オコサマ・スター社のコンピューターに侵入して、ゲームソフト「ニルヴァーナ」を消去する事を約束する。
感想
−−−−今回(も)ネタバラシ入ってます。−−−−
「極大射程」に取り組んでいるさぼてん男が、時々映画を眺めては「感心しませんな」という顔をして本に戻る中で見終える。もう一度始めから見る。
 ヨーロッパの耽美的なムード(これがあわんのだな、さぼてん男には)と、中国のパワフルな雑踏と、日本の金儲け主義と、インドの神秘的な雰囲気(ここんともイマイチなんだな、きっと)が混沌としたサイバーパンク系近未来SF。考えて見れば、ジミーさん一行は、あらゆる困難を乗り越え天竺を目指した三蔵法師一行に見えなくもないが、意味深く作りたかったであろう内容はその深みが私には捉えられず(だって、主人公の”悩み”は女への未練やもん)、ラストは主人公が深遠な悟りの境地にいる様にも見えず消化不良さが残る。
 と、文句言ってますがなかなか面白い内容ではあるんですよ。ただ、仮想世界の主人公が「この世界は誰によって作られたんだろう」と考え始めるのと同じく、「現実世界も誰が作ったんだろう。何のために?」を考えさせる・・・事はないんよねぇ。凡俗の私には難しいの。「朝のガスパール」の様に仮想世界が何層にもなっていて、ジミーの世界も実は仮想なんだ。あっと驚かせようというんだな・・・なんぞと勘ぐってたもんで(げすい)。テーマになるのは「人の記憶」なんだろうな、この作品は。人間は過去の記憶の捕らわれ人でもあるんだろうな(と、昔見た映画の話が好きな私は勝手に思う。)
 映像と音楽は好みです。 
「マトリックス」の先駆的作品とも思える。プログラムの羅列になるシーンが同じでびっくりしました。 そうか「マラケシュ・エクスプレス」の監督さんだったのか。ロードムービーも上手いはず。若い頃の友達の恋人と名乗る女が突然やって来て、彼がマラケシュで捕らわれているから保釈金を払って救い出して欲しいという頼みを聞き、仲間4人が金をかき集め車で救出に向かうという「マラケシュ・エクスプレス」も変わっているけどよかったよ。

映画そのものとは直接関係ありませんが、インドの文化は畏敬の念を持って描かれているのに比べ、日本に対しては「ゲームメイカー」「精密機器」「芸者ガール」「スシ」「ヤクザ」のキーワードしかないのが気になる。大いに気になる。
おすすめ度★★★1/2
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男の争い
1955年 仏 
監督 ジュールズ・ダッシン(「裸の町」「日曜はダメよ」「トプカピ」)
出演 ジャン・セルヴェ/マガリ・ノエル
メモ 1999.12.25 ビデオ
あらすじ
5年服役後出所したトニー・ステファヌワに、ギャング仲間のジョーとマリオが仕事を持ちかける。白昼堂々宝石店のショー・ウィンドウを破り中の宝石をいただこうというのだ。「もう俺にはできない。」と一度は断るトニーだったが、自分の女だったマドーがクラブの経営者ピエールの元にいると知ると、眠っていた”男”が目覚める。「どうせやるなら、金庫を狙う。」と仲間に告げイタリアのミラノから金庫破りのセザールを呼ぶ。ロンドンの故買屋と話もつけ、着々と準備を始める。
感想
まさしく傑作。30分近くにも及ぶセリフなしの強奪シーンは必見。チームワークのよさと職人芸に目が釘付け(・・)。
忍び込むのにこうもり傘が使われていて、「『トプカピ』でも同じようなシーンがあったような。」と思ったら、監督さん同じ人でしたね(汗)。ジュールズ・ダッシン監督自身もイタリアの女たらしスパゲティ野郎・金庫破りのセザール役を軽く好演。『トプカピ』の主役・ギリシャの名優メリナ・メルクーリと結婚されたそうです。
防犯ベルを始末したりするのに頭を絞るのですが、そのアナログな対応が面白い。現代はすべてコンピュータ制御されていて、パソコンでなにやらピポパポして「ほい、解除した。」という訳のわかったような全然わからんシーンで納得していますが、昔の映画はこういう手作りのところが面白い。

4人の仲間にはそれぞれ女がついていて、その女達の動きで運命が変わっていく。前半のじっくりした動きに対比した、後半のたたみかけるような展開もいい。
おすすめ度★★★★1/2
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サンタクロースはゲス野郎 (原題はどちらかというと、「サンタクロースはクソ野郎」)
1982年 仏 92分
監督 ジャン=マリー・ボワレ
出演 アネモーネ/ジョジアーヌ・バラスコ/クリスチャン・クラヴィエ
メモ 1999.12.24 CSスターチャンネル
あらすじ
パリ。クリスマスイヴの夜だというのに「命の電話」係のピエールとテレーズは仕事中だ。しかしテレーズはピエールを憎からず思っているのでふたりで過ごす夜は仕事とはいえ楽しみ。そこに舞い込む災難の数々。まず、マダムがエレベータに閉じこめられる。救出劇の最中、テレーズの知り合いの出っ歯のジョゼットが大きいお腹で駆け込んでくる。同棲相手のフェリックスと喧嘩して家出したと言う。それを追っかけてやってくるサンタの衣装のフェリックス、不気味なお菓子を振る舞いにくるブルガリア人、寂しいからとピエールに会いに来るゲイが入り乱れての明け方までの狂走曲。舞台劇の映画化。
感想
メチャメチャ (**)
リュック・ベッソン監督セレクション7作品のひとつ。監督は「俺達は天使だ」、「おかしなおかしな訪問者」、
「ビジター」のジャン=マリー・ボワレ。私はこの方のギャグ、うるさいけれど楽しめる。オープニングのキャスティングにクリスチャン・クラヴィエのお名前が。どこに出てはるんやろとキョロキョロ。途中までわからず。たぶん恐らくゲイのカチア役です。片いっぽのヒールが取れてヒョコヒョコ歩く姿に笑う。
映像の右側のジョゼットの抱えている丸い物と、左側のテレーズが手に持っているくびれた物が何かは見てのお楽しみ。
おすすめ度★★★1/2
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デス&コンパス DEATH AND COMPASS
1996年 メキシコ=日本=米国 88分
監督・脚本 アレックス・コックス(「シド&ナンシー」「レポマン」)
原作 ホルヘ・ルイス・ボルヘス((アルゼンチン「ボルヘス/伝奇集」)
撮影 ミゲル・ガルソン
美術 セシリア・モンティエル
ビジュアル効果 ロコ・ジョフリィ
音楽 プレイ・フォー・レイン
出演 ピーター・ボイル(エリック・ランロット「あなたが寝てる間に」)/クリストファー・エクルストン( 
「HEART」)/ミゲル・サンドヴァル(トレヴィラヌス署長)
メモ 1999.12.23 ビデオ
あらすじ
時代も場所も不明のある所で、連続殺人事件が発生。敏腕で名が通っているランロット警部は署長の嫌味も聞き流し独自の捜査を始める。ラテン系の原色不条理物。
感想
上の映像は、でっかい蚊取り線香のようにもみえますが迷路のようです。蜘蛛の巣でもあるようです。しょっぱなから映像も音楽も凝っています。3というのがキーワードのようで、トレヴィラヌス署長は、ランロット警部は、悪魔のレッド・スカーラックは名前の通りの服装で主役3人が3色に色分けされていました。クリストファー・エクルストンは3役をこなし、時間軸も現在、過去、そしてそのまた過去と3つの時空を行き来します。迷宮が主テーマの謎に満ちた物語のようでした。
・・・・・・・・・・・・・・これって、面白い映画なんでしょうか?
「つまんなかった、時間返せ」という映画ではありませんが、好みの映画ではないなあ。不条理物は苦手なんかなあ。不条理物でも好きなのもあるんやけど。

確か、「法月綸太郎の新冒険」の冒頭に出てきた映画だったと思う。法月綸太郎氏はこの映画お好きなんでしょうかねぇ。
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処刑アーチスト FLINCH
1994年 米国
出演 ジャド・ネルソン(「ブレックファスト・クラブ」「セント・エルモス・ファイアー」)/ジーナ・ガーション( 
「タッチ」 「フェイス/オフ」 「バウンド」
メモ 1999.12.19 TV録画
あらすじ
元スリで今は足を洗って司法試験浪人生のハリーと、女優の卵ダフネはデパートのショーウィンドーでライブマネキンの仕事をしていた。ハリーはダフネとなんとか仲良くしたいと思っているが、ダフネの方は上昇志向が強く歯牙にもかけない。そんなふたりが、ダフネの恋人の浮気をきっかけにある夜デパートに忍び込み遊んでいる内に 偶然男が女を殺している所を目撃してしまう。しかもダフネは犯人の顔を知っていたのだ。恋人に連れられて行った個展の彫刻家マイルズではないか! 警察に訴えても取り合ってくれない。そうこうする内に犯人の魔の手はダフネに向かう。
感想
「もっとキビキビ話を進めんかい!」 「殺人鬼に追われて取り込みの最中、何いちゃいちゃしてんねん!」 「走るの遅いっ!」 とか色々思いましたけれど、基本的に大好きです。コメディ&ラブロマンス&サスペンス映画。夜にデパートではしゃぐ所なんか、チャップリン映画の・・・何だっけ?えーっと(あんまり見てない)「モダン・タイムス」だっけ? を思い出し楽しい。
犯人の彫刻家マイルズが、何故か「ニューヨーク・ストーリー」の画家ニック・ノルティに見えてしまう。ちょっと似ているような似てないような。。。
ドナルド・ダック口のジーナ・ガーションは大ブレイクしましたが、ジャド・ネルソンもがんばれ!
おすすめ度★★★
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レイト・ショー The Late Show
1977年 米国 94分
制作 ロバート・アルトマン
監督・脚本 ロバート・ベントン(「クレイマー、クレイマー」)
撮影 チャールズ・ロシャーJr
出演 アート・カーニー(アイラ・ウェルズ)/リリー・トムリン(マーゴ)/ビル・メイシー(チャールズ)
メモ 1999.12.17 WOWOW録画
あらすじ
アイラ・ウェルズは私立探偵。35年も探偵をしている。足の調子も悪いし、胃にも爆弾かかえているし、耳は補聴器つきだ。夜更けに、昔なじみの探偵ハリーがやってくる。ハリーは45口径で腹を撃たれていた。
感想
「米国では高い評価を受けながら、日本では劇場未公開、ビデオ未発売という”幻の傑作”」という紹介文を読んでは、見ずにいられようか。
続けて4度見る。死に逝くハリーに向かって「いい友達だった。。。。親友だった」と賛美を捧げるアイラ。もうこのファースト・シーンから映画に引き込まれる。
初老で保守的で「女はレディが一番」と思っているアイラと、女優崩れのいかれ女マーゴ(リリー・トムリン)の相棒物語。ここにペテン師のチャールズが絡む。爆発あり、カーチェイスあり、銃撃戦もあり、音楽もよし、脇役も見応え十分の探偵物の秀作。そしてしみじみした、いい映画だったよ。

上で拳銃をぶっぱなしている主役のアイラは、「ハリーとトント」で映画初出演でアカデミー主演男優賞を獲得したアート・カーニーです。猫を抱いていたじっちゃん。
おすすめ度★★★★
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ファイト・クラブ FIGHT CLUB
1999年 米国 139分
監督 デイビット・フィンチャー(「セブン」 
「ゲーム」
原作 チャック・ポーラニック
脚本 ジム・ウールス
撮影 ジェフ・クローネンウェス
音楽 ザ・ダスト・ブラザース
出演 エドワード・ノートン(”僕”)/ブラッド・ピット(タイラー・ダーデン)/ヘレナ・ボナム・カーター(マーラ・シンガー)
メモ 1999.12.14 南街会館
あらすじ
結構いい仕事についていて、収入もそこそこの”僕”は何故か満たされない毎日を送っていた。まず孤独なのだ。そしてやりたい事が何もない。意味ある事もしていない。趣味の北欧家具に金をつぎ込むだけ。ある日飛行機の中でひとりの男と出会う。石鹸のセールスマン・タイラーはアナーキーで攻撃的。人間の脂肪からきれいな石鹸も作るし、爆弾も作るという。彼のカリスマ性に惹かれ、暴力の歓びに取り憑かれた”僕”はタイラーとふたりで秘密クラブ”ファイト・クラブ”を作っていく。地下室に集まりただただ殴り合うというだけのクラブだった。
感想
オープニングから「ミクロの決死圏」を思わせる映像が凝っている。

会社で仕事しながら、映画好きとメールで交わした会話は、
「ファイト・クラブ人気あるらしいですね。」
「火曜日の7時に飛び込んでミナミで見てきた。好き嫌い分かれるというか、理解できる感応できる人と受け入れられない人にわかれるんとちゃうかな。」
「ふ〜ん。−−−−−−−ほにゃらほにゃらら−−−−−暴力に意味ありですか?」
「それには深い意味があってねー。(無いんだけどねー)。挑戦的な監督さんよね。だから合わないとわかっていても「見てやろうやないの」とこちらも挑戦的になるん。」
「ふ〜ん。−−−−−−−ほにゃらほにゃらら−−−−− 難しそうですね。」
「う〜ん、そうかな。見てるとつい引き込まれる。映像も見る価値あると思う。くせ者よね。現代的というか時代の申し子みたいな監督。人間の根元的な暴力に向きがちな本能を描くという意味では、何か暴力事件があるとさぼてん男が「(男は)なにしろ元けものですから。」と揶揄する男の子映画なんかもしれん。甘えとるとも思うけど。傑作という人がいるのもわかる映画なんやけど、アタシが傑作とまで言えないのは、女だからなのか、それとも単に年くっているからなのか、それとも性差に関係なく素地がないのか、判断不能状態に陥っているトコ。」
「ふ〜ん。。−−−−−−−ほにゃらほにゃらら−−−−− 男の人向きですかね?」
「それがそう単純には言えない。「セブン」がケチョンケチョンだったさぼてん男に「90年代の『時計仕掛けのオレンジ』と言うてはる人がいる。」と言うと、「キューブリックは他人を楽しませようなんて思っていない。自分が作りたい物を作っただけ。フィンチャーは『人を驚かせてやろう』という魂胆があざとい。悪趣味極まりない。性格悪し。」と内容を説明しただけで、見てもいないのに断じてたからね。男だからって訳でもないみたい。だいたいそう認めちゃうと、女の本能は「セックス」みたいな事を認めざるを得ない映画だから。それは人によるしぃ。」
「ふ〜ん。。−−−−−−−ほにゃらほにゃらら−−−−− TVで見ようかな」
「おすすめは★★★★」

映画を見ている途中で、つい最近TVでちらっと見ていたドキュメンタリー番組を思い出してきた。「10年以上も続くベストセラー小説『アルジャーノンに花束を』」を題材にした話だった。「かくもこの小説が読まれる現代は、どういう時代なのか?」という内容だったと思う。その時に「戦争中の明日をも知れない頃にはストレスだのへちまだのと大騒ぎしないのに、平和で豊かな時代に何故悩み深い人が多いんだろう。」という話を家でしていて、「生き延びる事だけに一生懸命の時と違い、時間がありせっぱつまった困難がなくなると、『何故生きているんだろう』とか『何のためにここにいるんだろう』とか追求しても仕方ない事を考えはじめる動物なんだろうな、人間は」というのが一応の結論だった。
という話を思い出し・・・・そうか、なるほどね。今回はこうきたか。

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月光の女 The Letter
1940年 米国 95分
監督 ウィリアム・ワイラー(
「黒蘭の女」「この三人」
原作 サマセット・モーム「手紙」
脚本 ハワード・コッホ
撮影 トニー・ゴーディオ
音楽 マックス・スタイナー
出演 ベティ・デイビス/ハーバート・マーシャル/ジェームズ・スティーブンソン
メモ 1999.12.13 WOWOW録画
あらすじ
マレー半島のゴム園。深夜に銃声が響く。と、ひとりの男がよろめきながら家から出てくる。後を追って出てきた女が、何発も何発も男に銃弾を浴びせる。
女は夫と弁護士と島の検察官に「男が夫の留守にやって来て、私に暴力をふるおうとしたの。無我夢中で撃ってしまった・・・。」と話す。
感想
相も変わらず「犯罪映画」と思ってイソイソ見ていたら、文芸作品の色合い濃厚。原作はサマセット・モームの「手紙」だそうです。
「月光」が貞淑な妻ベティ・デイビスを狂わせる。「愛というものが、いかに自己本位なものなのか」と、キリキリ私を突き刺さす映画だった。

エキゾチックな雰囲気と高見から滑り降りるような、なめらかな動きのカメラがすばらしい。
おすすめ度★★★1/2
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ヴァーチャル・セクシュアリティ VERTUAL SEXUALITY
1999年 英国 92分
監督 ニック・ハラン
原作 コール・レイバン
脚本 ニック・フィッシャー
撮影 ブライアン・トゥファノB.S.C
美術 クリス・エドワード
編集 ジョン・リチャーズ
衣装デザイン ジョアンナ・フリードマン
オリジナル楽曲 ルパート・グレッグソン=ウィリアムズ
出演 ローラ・フレイザー(ジャスティン)/ルパート・ペンリー=ジョーンズ(ジェイク)/ルーク・ド・レイシー(チャズ)/キアラン・オブライエン(アレックス)/マーセル・デュプリー(フラン)/ナターシャ・ベル(フーヴァー)/
メモ 1999.12.11 国名小劇
あらすじ
ジャスティンはパンティを18枚、靴も14足持っているフツーの女の子。おとなし目だけれども、おしゃれにも気を使っている今時のコギャル。ただ問題はまだバージンなのだ。17才だというのに。でもって早く捨てたいけれど、最初が肝心。何時までも楽しい思い出になるような相手がいいな。どっかにいい男はおらんか?
感想
 
「go」 「ハード・キャンディ」に続くNPG「NEW POWER GENERATION」シリーズ第3弾。土曜日の朝から空いた映画館で映画を見るって極楽。
「転校生」 「スウィッチ」、ちょっと違うけれど「いつも一緒にいて欲しい」 「彼女はハイスクール・ボーイ」 「君さえいれば/金枝玉葉」 「ジュニア」 「ミセス・ダウト」 「トゥツィー」、異色作では「オール・オブ・ミー」等と同じ、別の性に入ったカルチャー・ショックを描くドタバタコメディ。
この系のコメディは大好きだ。目新しさはないけれど、予想していたよりずっと面白かった。ヒッピーのような風変わりなチャズの両親も面白い。アメリカ映画よりも親しみがもてた>家が狭いってところが(笑)。
 最初はティーンの女の子の話かと思っていたら、中盤からダサクてオタクでもてないけれど、心優しいチャズの青春物にも変わっていく。コンピューター・システム「ナルシス」で生み出されたジェイク役のルパート・ペンリー=ジョーンズは、最初ちょっとボッとしている様に見えて「カッコだけで中味は大丈夫か?」と危惧しましたがコミカルな上、バイセクシャル風でやたら物がわかった超越した雰囲気を好演。
 最後は現実的過ぎて少しカナシイ・・・かな。そういうもんなんかな。このさめた感じが、英国映画らしいとも思える。
幾人かからラブレターもらったし、何人かとデートもしたけれど、私は男の人と別れた経験がない。この映画を語るには任が重い。負けた。

プロデューサーのクリストファー・フィグという方は、ジョン・ヒューズ監督の大ファンで「すてきな片思い」 「プリティ・イン・ピンク/恋人たちの街角」のような映画を目指したとパンフに書いてありました。
おすすめ度★★★1/2
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ハード・キャンディ JAWBREAKER(ジョーブレーカーというキャンディ)
1998年 米国 86分
監督 ダン・スタイン 26才の監督2作品目
脚本 ダレン・スタイン
撮影 エイミー・ビンセント
美術 ジェリー・フレミング
編集 トリオ・タカキ
衣装デザイン ビキ・ブリンコード
出演 ローズ・マッゴーワン(コートニー・ジェーン
「スクリーム」)/レベッカ・ゲイハート(ジェリー・フリーマン「スクリーム2」「ナッシング・トゥー・ルーズ(どこに出てたの?))/ジュリー・ベンツ(マーシー・フォックス「恋愛小説家」)/ジュディ・グリア(ファーン・メイヨー/ヴァイオレット)/チャド・クリスデーン(ザック・タータック)/シャルロット・ロールダン(リズ・バー)/パム・グリア(ベラ・クルーズ刑事「ジャッキー・ブラウン」
メモ 1999.12.10 国名小劇
あらすじ
レーガン高校で一番目立っている女の子四人組。その中でも一番人望のあるリズ。優しい人柄なのだ。そのリズの誕生日の朝、眠っているリズを突如襲い拉致する三人組。びっくりパーティのはずであったが・・・。
感想
 「go」に続くNPGシリーズ第2弾。なんやかや言ってもやっぱ見に行きましたな。いやあ時間がちょうど都合よかっただけー(と言い訳)。
キレがあるような無いような、一種独特の華やかな雰囲気があるような無いような、面白いような普通のような、判別つきかねる「世界は地球は私達のためにあるのよ。」という恵まれた国アメリカの青春映画。個性的ではあると思う。
最後がプロム・パーティで終わるという「キャリー」のパロディでもあるということで、死んでしまったリズの父親役にウィリアム・カットがでてはりましたねぇ(ため息)。

  「悪魔のよう」と例えられる↑上の画像の真ん中のローズ・マッゴーワンを「誰かに似てる」と思い続けていたらハタと気が付きました。林寛子に似ている(他意はありません)。
おすすめ度★★★
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オルランド Orland

1992年 英国=ロシア=イタリア=オランダ=フランス 94分
監督・脚本・音楽 サリー・ポッター
原作 バージニア・ウルフ
撮影 アレクセイ・ロジオノフ
出演 ティルダ・スウィントン(オルランド)/ロテール・ブリュートー/ビリー・ゼーン/クエンティン・クリスプ
メモ 1999.12.8 BS録画
あらすじ
時は1600年、エリザベス一世の寵愛を受け「決して年を取ってはならぬ」という約束で広大な屋敷を貰い受けた青年貴族オルランド。それから現代までオルランドは、転生しながら時空を越えて生き続ける。

感想
みずみずしさと広がりを持つ映像、音楽、物語。その世界に身をゆだねて漂う。
家柄から生まれから財産から解きはなたれ何事にもとらわれない主人公の姿が、哀しい。そして同時に心地よい。はまってしまった・・・・。
この映画が語る物を総て捉える事が出来る人は、いるのだろうか? 

左の映像は、「SEX」の章で登場した恋人のシェルマティン。
この方、誰だと思います?
「タイタニック」ではケイト・ウィンスレットのいけ好かない婚約者、「真夏の出来事」ではキャメロン・ディアスの元恋人役だったビリー・ゼーン。この笑顔に魅力再発見です。
      

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5本の指 5 FINGERS

米国 1952年 108分
監督 ジョゼフ・L・マンキーウィッツ(「イヴの総て」「三人の妻への手紙」 
「幽霊と未亡人」
原作 L.C.モイズイッシュ
脚本 マイケル・ウィルソン
撮影 ノーバード・ブロダイン
音楽 バーナード・ハーマン
出演 ジェームズ・メイソン(ディエロ)/ダニエル・ダリュー(アンナ・スタビスカ伯爵夫人)/マイケル・レニー/オスカー・カールワース
メモ 1999.12.6(月)CSスターチャンネル録画
あらすじ
1944年4月3日、ノルマンディ前夜のこの日から話ははじまる。場所は中立国トルコのイスタンブール、英国大使付きの執事ディエロは、金のためドイツ側に情報を売る。コードネームをシセロと名付けられた祖国のない男は、金を握ってブラジルに移住する夢を持っていた。
感想
いやあ、面白かった。スパイ物は苦手というか、あまり見ていないのですがこれはお薦め。ミステリ好きの私としては、マンキーウィッツ監督のベスト作品。
スパイを挟んだ独国対英国の腹のさぐりあいもなかなかのもの。情報を得ても「敵の罠ではないか」と猜疑心いっぱいで情報を活かせられない人材不足の独が「ああ諜報戦に負けたんやな」と実感。情報を得るだけでは何の役にもたたんのだな。
米国映画ですから、独がおまぬけに描かれているのはまあそういうもんだろうとしても、英国の描き方もたいがい面白い。情報が漏れていると知って英国は調査を始めるんやけどそれがおっとりしているというか、落ち着いているというか、おさまりかえっているというか、動きが鈍い。米国は第二次世界大戦中の英国に対しては言いたい事がいっっっっぱいあるんやゾという風にもとれる。

とはいってもこの作品は実話の映画化だそうです。原作者のモイズイッシュという人は、ディエロと接触する独大使館の下級官僚のようです。↑上の映像の天眼鏡でフィルムを見ている人。事件の舞台の地でロケしたという臨場感溢れる映像とともに、始まりはトルコ首相のレセプションで聞くワーグナーのオペラ、そして場面が変わると夜中に虫の鳴く音が静かに聞こえるという音楽が印象的です。オーソドックスとはいえ映画を盛り上げるサスペンスフルな音楽がいい。

「第七のヴェール」に比べ、この映画では多少お太りになっていますが、ジェームズ・メイソンって名優ですな(いまさらですな)。英語がわからないながらも、スパイの時と執事の時では声のトーンとかまるで違う(ように感じる)。

おすすめ度★★★★
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惨劇の波止場 Min and Bill
米国 1930年 66分
監督 ジョージ・ヒル
原作 ローナ・ムーン
脚本 フランシス・マリオン/マリオン・ジャクソン
撮影 ハロルド・ウェンストロム
出演 マリー・ドレスラー(ミン)/ウォレス・ビアリー(ビル)/ドロシー・ジョーダン
メモ 1999.12.4(土)WOWOW録画
あらすじ
港にマグロを満載した漁船が戻ってくる。船長のビルはロスケから手に入れたウォッカを10ドルで下宿のガミガミ主人ミンに売りつける。ミンは下宿屋、安酒場、散髪屋を切り盛りしている。いつもミンにガミガミ言われているのは可憐な少女・ナンシー。学校にも行かせてもらえず、店でこき使われているのではと警察が調べにくる。ナンシーはミンの娘ではなく、赤ん坊の頃に下宿で死んでしまった母親の代わりに育てていた。口では冷たくあしらっているが、ミンはナンシーが生き甲斐で、取られてしまうのではといつも心の底で恐れている。学校の校長の「私の所で大事に育てましょう」という申し出をピシャっとはねつけたミンであったが、船員のアレックスに誘惑されかけたナンシーを見て、「こんな所にいつまでもいさせられない。」と決心する。そこにやって来た自堕落なアル中女ベラ。実はベラは14年前にナンシーを置き去りにした母親であった。ベラに取り憑かれてはナンシーの人生がめちゃめちゃになると、ベラには娘は6年前に死んだと嘘をつき、何も知らないいやがるナンシーを無理矢理校長の家に連れていく。
寂しさに胸が押しつぶされるような気持ちで店に帰ってくれば、ベラとビルが酒を飲んでいちゃついていた! 「私の苦労も知らずに」と大噴火! ベラを叩き出し、「この30年間いつもいつも」とビルに襲いかかるミン。ふたりは30年も続くなじみの間柄であった。

感想
キングコングかと見間違うミン役のマリー・ドレスラーが62歳でアカデミー主演女優賞を獲得した作品。「ステラ」系の母物。が、かなり異色作。迫力満点のマリー・ドレスラーの怪演が必見。チャップリンとも共演したサイレント時代の恐い女優さんだそうです。

ミンとナンシーを乗せたモーター・ボートが港中を暴走する。白い波しぶきの上の黒い点は、海に投げ出されるミンです。サイレント時代の活劇テイストを残したスピーディーな展開。
 
 
 
怒髪天にきたミンがビルが隠れた部屋のドアを斧で叩き壊すシーン。キングコング対押されまくりのゴジラの闘い。

 
 
 
まるでストーカーのように見えますが、ミンが人混みに隠れながら花嫁姿のナンシーを見ているという胸ジーンの感動場面。

  
  
 
おすすめ度★★★★
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レックレス−逃げ切れぬ女− reckless
米国 1995年 92分
監督 ノーマン・ルネ
脚本 クレイク・ルーカス
撮影 フレデリック・エルムズ
出演 ミア・ファロー(レイチェル)/スコット・グレン(ロイド「バック・ドラフト」「羊たちの沈黙」)/メアリー・ルイーズ・パーカー
「グッバイ・ラバー」)/トニー・ゴールドウィン(トム「ゴースト−ニューヨークの幻」)/デボラ・ラッシュ(トリッシュ)/スティーブン・ドーフ(トム「スペース・トラッカー」)/ウィリアム・フィッチナー(パパ 「アルビノ・アリゲーター」 「アルマゲドン」
メモ 1999.12.3(金)TV録画
あらすじ
シンシンと雪が降る、おとぎの国みたいな白一色の世界。おもちゃのような白い小さな2階建ての家では、レイチェルとトムがクリスマス・イブの夜をベッドでTVを見てくつろいでいた。「シアワセ。私多幸症かしら。」と満足げにつぶやくレイチェル。と、急に泣き出すトム。後5分で殺し屋がやってくるという。レイチェルを殺すよう雇ったというのだ。「話し合いで解決すべきだった。逃げろ。」と二階の窓から嫌がるレイチェルを無理矢理押し出すトム。
感想
不思議な映画だった。。。。奇妙な味というか。。。
まとまりがあるような、ないような。クリスマス・ストーリーなのか? 巻き込まれ型サスペンスなのか?。数奇な運命を辿る主婦の話。

レイチェルのパパ役でウィリアム・フィッチナーがちらっと顔を見せる。ううっ、いい男だ。スコット・グレンがニコッと笑う。ううっ、渋い、かわいい。スティーブン・ドーフが淡々と語る。やはり注目の若手ですな。

豪華共演者とともに、注目は主役のミア・ファロー。初めてこの方を見たのは確か「おんぼろアン」だったかと思うのだが・・全然変わっていない(**)。この人だけ時間が止まっているようだ。いつも同じような役ながら、とらえ所のないこの人を見ているといつもいつも懐かしいような切ないような気持ちにさせられるのは何故? 映画「ジョンとメリー」のせいなんだろうな。いつかあんな恋をしてみたいと思ってたからなんだな。(と恥ずかしげもなく書く)
おすすめ度★★★1/2
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