機界新種

   2年前(2003年)、EI−01が地表に落下した際、ミコトに植え付けた機界文明の、いわば保険としての新型種子。ゾンダーとは全く異質な存在であり、機界昇華が終結していたにもかかわらず覚醒、活動を開始している。長らくミコトの体内で中枢神経に成りすまし、潜伏を続ける間Gパワーを浴び続けたことによりGパワーへの適応に成功し、Gパワーをも超越した新たな機界種に進化した。本来機界文明の力とは対消滅してしまうGパワーをも吸収、ありとあらゆるエネルギィ、物質を土塊としてしまう物質昇華を行なう人類にとって最恐最悪の存在へと成長し、Zマスターにすら勝利したほどのGGG機動部隊をほんの数分で無力化してしまった。なおこの物質昇華の能力を手に入れたのが意図的なものであったとは考えにくい。機界文明の目的はあくまでも「マイナス思念を消去する、そのための機界昇華」であり、物質昇華は物質文明、即ち機械文明そのものすらも否定するものである。つまり、機界新種の誕生は機界31原種にとっても予期せぬ出来事だったのではないだろうか。
   何にせよ機界新種はミコトの身体を乗っ取り、ゾヌーダと称した。オービットベース中のエネルギーを吸収、昇華しつつ、アマテラスを占拠。オービットベースより強制分離して地球への降下に成功する。大破したアマテラスの艦体を吸収、再構成して巨大ロボットへと変体を果たし、周囲の物質を一瞬で昇華しつつ都庁を目指して進撃した。マモル少年の排除を意図していたかは定かでない。
   その後追跡してきたGGG機動部隊と交戦するが、ガオーマシンと一体化したGGG機動部隊を相手に余裕すら感じさせるほどの強さを発揮し、ブロウクンファントムプロテクトウォール、挙げ句ゴルディオンハンマーをも昇華して、ガオガイガーを追いつめ、また強力なGパワーを誇るはずのマモル少年をも衝撃波でいとも簡単に排除してしまった。が、これがミコトの意識を覚醒させる結果となってしまい、機界新種の強力なバリアに綻びを生み、そしてそれはガオガイガーが掴んだ最後の勝機であった。
   壮絶な格闘戦の末、機界新種はガオガイガーにを抉り出され、敗北する。核から再びゾヌーダへと変体し、敗北を拒むかのようにガオガイガーを、そしてガイを昇華する機界新種。それは死に対する怯えに似たものを感じさせるほど、弱々しいものに思えた。いや、怯えはガイが決断するやもしれぬ、素体「卯都木命」の死に対してか。それはZマスターが否定した生命のあがきそのものであり、その意味でも機界新種は機界31原種にとっても異端児だったのではないだろうか。