展覧会/個展 各ページへのリンク |
私の立場 |
本展示の私的背景について |
序文 |
序文の各文節 | 意味 |
日本の製造業を取り巻く状況は、実に色々です。 | 文の通りです。十社十色。 |
ボロボロの老朽工場の奥で行われる 官民タッグの国外技術流出やら、 そこで自分たちをリストラした企業への復讐を企てる 老人たちやら、 |
自治体と隣国の巨大企業の横浜研究所が組んで リストラされた人員を受け入れる支社を作りました。 新聞発表では閉鎖されるT社半導体工場から 人員受け入れを目指すとのことでしたが、実際には 私の元いた会社(同時期に鳥栖工場を閉鎖)を ターゲットにしたものでした。 現在、多くの元同僚がそこで働いています。 また、地元関連の「色んな人たち=老人たち」が 上記支社の関連工場に出資しているようです。 |
知的障害者施設で行われる大手企業向けモジュールの 超低賃金組み立てやら、 |
仕事でお付き合いのあった商社の方に聞いた話です。 大手企業も知的障害者施設に組立業務を委託する ことがあるそうです。 とんでもなく低賃金で。 仕事で施設入所者を十分に疲れさせれば、 夜はぐっすり眠ってくれて、夜に暴れることが無くなり、 主に性的な問題を起こすことが無くなるそうです。 施設の請負仕事は収入の為ではなく、 「入所者を疲れさせること」が目的ということで、 発注者とは共に益のある話だそうです。 そうは言っても、何とも、いたたまれない話です。 |
商社の地方支社に囲われる天才老ロボット工学者やら、 | 機械と電子技術の融合を意味する工学上重要な 概念を提示した企業系の有名ロボット学者さん。 退職後、商社の地方支社に囲われたそうです。 「いつか彼の才能を活用する!」との、商社側の 老人たちの見果てぬ夢の未来の中に。 |
口先とフリーハンド手書きの図面のみで 仕様未定のまま設計製作をスタートさせる テンパった中小の社長たちやら、 |
中小企業の社長たち。 さすがに皆さん決断と行動が早いです。 ただし、中小企業がいつまでも大きくなれず、 小さいままでいるのには、やはり、何か個々の理由が あります。 もう少し、よく考えれば良いのにと思うこと多々。 |
大人のおもちゃを設計する20代女性ロボット技術者やら、 | あんなところで、そんな人が、とんでもない物を設計 していたりします。 本当に熱意と魂を注いで。 この人、結構美人さんで、かつ、メカおたくだそうな。 この会社の同年代の社長さんとは知り合いです。 私もちょっと無償で技術提案をしたことがあります。 |
そこに本国から電子デバイスを売り込む 米大手メーカーの営業員やら、 |
熱意ある会社には、熱意ある協力者が現れるもので、 是非うちの電子部品を使ってくれと、 技術屋なら、皆知っているアメリカのあの大企業が。 |
無償でプロジェクトに参加しろとドイツからメールをよこした 30才代のベンチャー野郎やら、 |
当ホームページのリンクにあるヴィオラフォンの開発者 の方のこと。メールの当時、ドイツにいました。 最近うまくいっているみたい。 |
古い時計装置を我らの発明だと嘘をつけと強要する 皮膚病に犯された画像処理技術の准教授と 拳闘に耽る塵芥処理業者。 |
ペットボトルキャップ色分別装置の話。 詳細ページ ![]() |
私は製造業の片隅で機械設計を営むもので、 あんなこんなで20年来の職場を失いました。 |
今の私は個人事業主。 なかなか収入、生活とも安定しません。。。 |
今、私の居る、製造業の水底から眺める 日本のありさまは、 実にきな臭く、生臭く、奇妙で、一所懸命です。 |
製造業の最底辺から眺める有様は本当に色々ですが、 皆、悪党や愚か者と言うわけではなく、 皆それぞれ、幸せになりたいがため、 こだわっている事や大事にしたい人のため、 必死なだけです。 私も含め、不確かで、愚かで、どこかずれていますが、 一所懸命ジタバタしているのです。 今回の展覧会タイトルと作品C−1の元になった文。 |
タイトルの重層構造と展示順序 |
![]() |
![]() |
個展全体、壁ごと、組作品として、冊子、各作品それぞれのタイトルと 序文や広報用の文書などの関係を示しています。 左の画像をクリックすると概要画像が別ウィンドウで開きます。 開いたウィンドウ一番上の 「クリックでPDF版を開く」 をクリック するとPDFファイルが開きます。 |
各要素の意味付け |
要素 | 意味 |
赤 |
覇気。相手への支配欲。上を目指す熱意。 自分を中心として力、価値を集約させる感じ。 「勝ち組」の色。 |
青 |
信仰。帰依したいと言う気持ち。自分を卑下する諦観。 崇拝の対象に自分や持ち物、生贄を捧げる感じ。 「負け組」の色。 |
金 |
実体的価値。金本位制における金(きん)の色。 あるものが価値を保持している状態。 |
銀または白 |
信用的価値。変動為替制における紙幣の紙の色。 価値が形骸化、相対化した状態。 |
糞(くそ) |
貨幣、通貨、有価証券、株式、ブランド価値など。 上記の金と白の定義により、彩色により別な意味を持つ。 金色の人糞は、実体的価値のある現金/実物と交換可能な 通貨/債権/本質的なアイデアや会社組織、ブランド。 白い人糞は、価値が形骸化/ジャンク化した債権/株式 /弱小国通貨/形骸化したブランド。 糞自身の色により、人糞を「金色(こんじき)」と呼ぶのはわりあいに 一般的な符丁(スラング)です。 また、通貨/金(カネ)も同様に「黄金(おうごん)」と別称します。 「人糞の白化」は元々価値のあったものが価値の本質を失っていく 様子の暗喩として使用しています。 白化する人糞のイメージは草間彌生の小説の一文から発案。 「見渡すかぎりの風景を白が消している。・・・・ あの樹肌くっついた黄金の糞も白くメタモルフォーゼしてしまった。」 (草間彌生著 「クリストファー男娼窟」) |
蝉(せみ) |
時代を駆け抜けた短命な成功者。 自らの男性性を声高く叫ぶもの。 その成功はたくさんの敗残者の中から、偶然に生まれた事例に過ぎ ないが、その生き様こそが絶対であると信奉を集めるもの。 スティーブ・ジョブズ/弘法大師(空海)/イエス(キリスト)のイメージ。 作品A−1の男根状の中央の突起にとまっている。 |
蝿(はえ) |
成功者のごく近く、実体的価値のすぐ近くに集うもの。 使徒、司祭たち。 株式や金融、債権などを操るもの。 成功者の回りに集って、教会を形成する。 成功者自身よりも多くの利益を、信者より吸い上げた収益を享受 する者。 作品A−2では中央の白濁液(精液)上に13匹集っている。 13はユダを含むキリスト教の使徒の数。 AB壁角の作品「すみっこで死んでいるよ」ではアルコールに浸って、 蝉とともに死んでいます。 |
蝿の卵 (直径1mmのガラスビーズ) |
蝿の子供たちが更に生まれてくることを示す。 蝿の饗宴の末、増えていくもの。 作品A−1、A−2は「蝿の卵まみれ」 |
精液 (半透明のメディウムで薄めた パールホワイトや金色) |
仏教言うところの甘露のイメージ。 覇気ある男性の男根からほとばしるもの。 経済論争で言うところのトリクルダウン(滴り落ちるもの)。 甘露を受ける=強いものから施しを受ける。 作品A−1では蝉のとまる男根状の突起の下(壁側)に多数在る 口を広げた青い突起(蛆虫の口先)に黄色い精液が滴っている。 作品A−2では中央の窪みが白い精液で満たされており、蝿が13匹 それを啜って(すすって)いる。精液には多量の蝿の卵。 作品C−1では上部の「落下する鳥」も下部の「伸び上がる蛆虫」も 黄色い精液でその身を汚している。 |
空蝉(セミの抜け殻) |
強い上昇志向に駆られる、またはそれを煽られる者ども。 上げ潮に乗せられた者。バブル=泡沫。 もっと出来るはず、もっと上に行けるとおだてられるが、 労働に見合った報酬を受け取れない者/会社/株式/技術。 もっと良い食べ物を、もっと良い配偶者をと望んだ末、疲れ果てて、 ろくな食事も出来ず、暖かい交わり、子作りもしない者。 彼らが生み出した価値から支払われた対価を引いた差分は、 「蝿」たちに吸い上げられる。 作品A−2の青いひだの中に空蝉が置かれているのは、 このことを暗喩するため。 夏になると街路樹に枝先に残り、空に行けない空蝉を見て、 まるで地面より噴出した「地の泡」の様だと思ったことから発想。 作品B−1で大量に使用。 |
二枚貝 |
自己卑下に陥り、引きこもった者のイメージ。 君たちは駄目だから、君の仕事は誰にでも出来るから、 ノルマを満たしていないから賃金をもらえないなど、 労働に見合う十分な対価を得られず、得ることを諦めた者。 不当労働に抗議することを諦めた者。 引きこもり、交わらず、性欲は二次元(妄想)で満たす。 彼らが生み出した価値から支払われた対価を引いた差分は、 「蝿」たちに吸い上げられる。 作品A−2の青いひだの中に二枚貝の殻が置かれているのは、 このことを暗喩するため。 二枚貝など外骨格の動物は、哺乳類など内骨格の動物に比べ、 皮膚や肉が柔らかいことから、自己卑下の殻を被った結果、 心が弱くなる様子の比喩にしました。 作品B−2で大量に使用。 |
蝸牛(カタツムリ) |
両性具有のもの。( 冊子P5参照 ![]() 上記よりイメージして、相手と価値を等価交換する者。 ともに与え合う者。生産者であり、同時に消費者である者。 現行の経済システムに対するある種の対抗者。 作品A−1、A−2ともに作品の暗喩する社会構造を蝕み、 巣食うものとして中央付近に配置。 作品D−1、D−2のメインキャラクター。 |
蝸牛の卵 (直径3mmのガラスビーズ) |
現行経済社会に抗う者たちが更に生まれてくることを示す。 蝸牛たちの「愛ある」交換経済により増えていくもの。 A−1、A−2のあちこちに卵塊として配置。 作品D−1、D−2の交わる触手の間に配置。 |
蛆虫(百合の口先) |
しゃべる口と頭と、食べることしか出来なくなった者。 実際の工業的製造をする手段を失った者。 (手段=工場などの職場環境、 社員としての立場、 商品を発注できるだけの社会的信用) 喪失の結果、勝ち組の精液/トリクルダウンを啜る(すする)他は、 出来なくなった者。 私自身の現在の有り様のイメージ。 作品A−1の男根状突起の下(壁側)には、黄色い精液で汚れた、 青い蛆虫の口先が群れ集う。 作品C−1の下部では僅かに希望を孕んで伸び上がり、墜落する 鳥たちと向き合う。 元は鳥、すなわち船にいた会社員であったことを示す様に、回りには 鳥の羽が散らばっている。 |
手の無い鳥 |
手が無く、命じることだけをする者。舞い降りて命じる者。 親会社から天下ってくる者や、それに従う管理職たち。 作品C−1の「落ちてくる鳥」は手の無い鳥が会社組織(船)から 脱落し、天下ったり、転職するイメージ。 ( 冊子P4参照 ![]() イラストとしては本ホームページに既出。(落書き色々3 ![]() 作品E−1の部分としても登場。 |
乳房 |
百姓であった、私の祖母が乳がんの手術で失った物。 女性/母性の象徴であり、 女性としてかけがえの無いもののはずだが、 祖母はその喪失の傷跡さえも武勇伝として孫の私に見せてくれた。 ( 冊子P4参照 ![]() 「ものづくりの手段(会社/信用)」を失った私の自己卑下(絶望)と、 呵々(かか)と笑って強く生き延びた祖母の生き様との対比。 作品D−3の中央部分。 |