日本の製造業を取り巻く状況は、実に色々です。

ボロボロの老朽工場の奥で行われる
官民タッグの国外技術流出やら、
そこで自分たちをリストラした企業への復讐を企てる
老人たちやら、
知的障害者施設で行われる大手企業向けモジュールの
超低賃金組み立てやら、
商社の地方支社に囲われる
天才老ロボット工学者やら、
口先とフリーハンド手書きの図面のみで
仕様未定のまま設計製作をスタートさせる
テンパった中小の社長たちやら、
大人のおもちゃを設計する
20代女性ロボット技術者やら、
そこに本国から電子デバイスを売り込む
米大手メーカーの営業員やら、
無償でプロジェクトに参加しろと
ドイツからメールをよこした
30才代のベンチャー野郎やら、
古い時計装置を我らの発明だと嘘をつけと強要する
皮膚病に犯された画像処理技術の准教授と
拳闘に耽る塵芥処理業者。

私は製造業の片隅で機械設計を営むもので、
あんなこんなで20年来の職場を失いました。
今、私の居る、製造業の水底から眺める日本のありさまは、
実にきな臭く、生臭く、奇妙で、一所懸命です。