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秋海棠の出てくる物語や詩、漫画などをご紹介しています。
シュウカイドウ科の多年草(あるいは球根植物)
〔別名〕断腸花 〔花期〕8〜10月
〔花言葉〕未熟な私
中国原産で、日本には江戸時代の初め頃に渡来。観賞用に庭などに植えられている。ベゴニアの仲間。
<俳句>
秋海棠 西瓜の色に 咲にけり (芭蕉)
臥して見る 秋海棠の 木末かな (正岡子規)
節々に 秋海棠の 紅にじみ (高浜虚子)
<詩>
島崎藤村 「雲のゆくへ」
庭にたちいでたゞひとり
秋海棠の花を分け
空ながむれば行く雲の
更に秘密を闡くかな
<小説>
北村薫 『秋の花』 創元社
「私」の母校の文化祭が中止になった。しかも、原因は私の知り合いの女生徒が夜中屋上から落ちて死んでしまったからだった。生徒会のメンバーとして学校に合宿していたその少女をよく知っていた私は、友人と共になぜその少女が死んでしまったかを考える。
そんな時、私の家の郵便受けに高校の教科書のコピーらしきものが入れられていた。しかも、神の「見えざる手」の部分にチェックがしてある。たまたま会った、死んだ少女の親友は、そのコピーはとれるはずがない、政経の教科書は棺に入れてしまったから、と話すのだが……。
「……秋海棠」
「え」
「津田さんのうちの前に……」
私は、昨日、垣根で揺れていた可憐な花を思い出し、頷いた。今頃はあの小さい花も大粒の雨に打たれているだろう。和泉さんはいう。
「あの花の名前、津田さんのお母さんに教えてもらったんです」
「そうなの」
「(中略)……あの花の前で、わたしと津田さん、初めて会ったんです」
「秋だったのね」 (p.77〜p.78)
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落語家の春桜亭円紫が登場するシリーズ第三弾。別名の「断腸花」もしっかり出てきます。