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Fringed pink

撫子(ナデシコ)

撫子の出てくる物語や詩、漫画などをご紹介しています。

ナデシコ

ナデシコ科の多年草

〔別名〕常夏・日暮草 〔花期〕夏から秋

〔花言葉〕大胆・純粋な愛(ピンク一重咲き)・無邪気(白)

秋の七草の一つ。山野の日当たりのよいところに自生する。小さな淡紅や白の花を子どもになぞらえたのが、名前のいわれ。

 

<古典>


『伊勢物語』 第百三十四段

むかし、をとこ、えあふまじかりける人を恋ひわたりて、

 わが宿に 蒔きしなでしこ いつしかも
    花に咲かなむ よそへてもみむ

『枕草子』 第六十四段

草の花は、なでしこ、唐のはさらなり、やまとのもいとめでたし。女郎花。桔梗。朝顔。…

『枕草子』 第百十一段

絵にかきおとりするもの。なでしこ。菖蒲。桜。物語にめでたしといひたる男女のかたち。

『源氏物語』 常夏の巻

おまへに、乱れがはしき前栽なども、うゑさせ給はず、撫子の、色をとゝのへたる唐の大和の、ませ、いとなつかしく…

<短歌(和歌)・俳句>


なでしこの その花にもが あさなさな
  手にとり持ちて 恋ひぬ日無けむ
 (大伴家持/万葉集)

なでしこの 花見るごとに 娘子(おとめ)らが
   笑まひのにほひ 思ほゆるかも
 (大伴家持/万葉集)

※「万葉集」に二十六首あるなでしこの歌のうち、十一首が家持の歌です。

酔うて寝む なでしこ咲ける 石の上 (芭蕉)

かさねとは 八重撫子の 名なるべし (河合曾良)