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Aster

紫苑(シオン)

紫苑の出てくる物語や和歌などをご紹介しています。

シオン

キク科の多年草

〔別名〕しおに・鬼の醜草(しこぐさ) 〔花期〕8月〜10月

〔花言葉〕君を忘れず・御機嫌よう・追憶・追想

秋に淡い紫色の花を咲かせる。根を煎じると鎮咳、去痰の効果がある。「孔雀草」もこの花の仲間。平安時代から栽培され、庭で鑑賞されてきた。

 

<古典>


『枕草子』 第百三十七段

御簾のそばのあきたるより見入れつれば、八、九人ばかり朽葉の唐衣、薄色の裳に、紫苑、萩などをかしうてゐ並みたりつるかな。…

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この場合の「紫苑」は色のことです。

『源氏物語』 野分の巻

…紫苑・撫子、こき薄き袙どもに、女郎花の汗衫などやうの、…

『徒然草』 第百三十九段

…秋の草は、荻、薄・桔梗・萩・女郎花・藤袴・紫苑・吾木香・刈萱・竜胆・菊。黄菊も。蔦・葛・朝顔。いづれも、いと高からず、さゝやかなる、 墻に繁からぬ、よし。…

<短歌(和歌)・俳句>


ふりはへて いざふるさとの 花みんと
  こしをにほひぞ うつろひにける
 (よみ人しらず/古今和歌集)

※「しをに」(シオン)が読み込まれています。

栖より 四五寸高き しをにかな (一茶)

<小説>


モンゴメリ 『可愛いエミリー』 新潮文庫

父親を亡くしたエミリーは、親戚の名前を書いたくじ引きで、母方のマレー家のエリザベスおばさんに引き取られることになった。ニュー・ムーンに住むエリザベスおばさんのところには、ローラおばさん、母親のいとこのジミーも住んでおり、エミリーをあたたかく迎えてくれた。
愛情深い父親をなつかしみながらも、エミリーはしだいに新しい環境になじみ、友だちや仲間が増えていく……。エミリーの成長を生き生きと描いた物語。

エミリーがちょうどかがとをかえして帰ろうとしたとき、堤の突端に生えている見事なシオンの花が目にとまった。彼女はそれをどうしてもとりたいと思った。そんなに濃い紫色のシオンを見たのは、はじめてだったので取ろうとして足をふみだした。 (p.385)

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エミリーとある人との出会いのシーンに出てくる花です。