Kudzu
葛(クズ)
葛の出てくる和歌などをご紹介しています。
マメ科のツル性多年草
〔別名〕裏見草 〔花期〕8月〜9月
秋の七草の一つ。日本各地の山野に自生する。根からは葛粉がとれ、ツルは行李などを編む材料として用いられる。夏から秋にかけて、赤紫色の蝶形の花を穂状に咲かせる。
<古典>
『源氏物語』 総角の巻
見し人も なかい山里の 岩垣に
心ながくも 這へる葛かな
『徒然草』 第百三十九段
…秋の草は、荻、薄・桔梗・萩・女郎花・藤袴・紫苑・吾木香・刈萱・竜胆・菊。黄菊も。蔦・葛・朝顔。いづれも、いと高からず、さゝやかなる、 墻に繁からぬ、よし。…
<短歌(和歌)>
真葛原 なびく秋風 吹くごとに 阿太の大野の 萩の花散る (万葉集)
雁がねの 寒く鳴きしゆ 水茎の 丘の葛葉は 色づきにけり (よみ人しらず/万葉集)
ちはやぶる 神のいがきに はふくずも 秋にはあへず うつろひにけり (紀貫之/古今和歌集)
葛の花 踏みしだかれて、色あたらし。この山道を行きし人あり (釈迢空)
<俳句>
葛の花 水に引ずる 嵐かな (一茶)
葛の葉の 吹きしづまりて 葛の花 (正岡子規)
山路に 石段ありて 葛の花 (高浜虚子)
あなたなる 夜雨の葛の あなたかな (芝 不器男)