「現代数学の流れ2」と合わせて、オムニバス形式で現代数学の流れをたどる。計5章からなる。 本分冊は「岩波講座 現代数学への入門」の第5回配本である。
上野健爾氏の執筆になる本章は、数学の歴史を概観したあと、 本シリーズ「現代数学への入門」の読み方について解説している。 p.43図1.7 『現代数学への入門』分冊相関図は参考になる。 青字は私が読んだことがある冊子を表わす。なお、次の書籍
については、分冊形式の配本ではなく、 その後単行本された書籍を読んでいる。
p.25 に楕円積分に関連してレムニスケートの弧長うんぬんという記述が出てくる。 レムニスケートとは何だろうと考えて、 かつて自分が作った曲線のカタログを見たら、 レムニスケートがその中にあった。 日本語では連珠形という。
砂田利一氏の執筆になる本章は、―選択公理をめぐって―という副題がついている。 本章を読むと、無限を扱うことの怖さを感じる。
いっぽうでこんな記述を目にすると、数学者も人間であることを知り、安心する。p.60 から引用する。
ボレルやルベーグは選択公理に反対する立場をとり, アダマールは容認する立場をとったことが知られている. しかし皮肉なことに, 当のルベーグも彼の創始した測度論において無意識に選択公理を使っているのである.
深谷賢治氏の執筆になる本章は、高次元にまつわる各種の話を交えていて、なかなか熱がこもっている。 この文章が理解できるための数学的な素養が私には乏しいので、理解できるところがほとんどないのが残念だ。
書 名 | 現代数学の流れ1 |
著 者 | 上野健爾・砂田利一・深谷賢治・神保道夫 |
発行日 | 1996 年 3 月 5 日 |
発行元 | 岩波書店 |
定 価 | 2分冊合計定価 3495 円(本体) |
サイズ | A5版 177 ページ |
ISBN | |
その他 | 越谷市立図書館にて借りて読む |
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