上野健爾・砂田利一・深谷賢治・神保道夫:現代数学の流れ1

作成日:2021-09-05
最終更新日:

概要

現代数学の流れ2」と合わせて、オムニバス形式で現代数学の流れをたどる。計5章からなる。 本分冊は「岩波講座 現代数学への入門」の第5回配本である。

感想

第1章 現代数学への歩み

上野健爾氏の執筆になる本章は、数学の歴史を概観したあと、 本シリーズ「現代数学への入門」の読み方について解説している。 p.43図1.7 『現代数学への入門』分冊相関図は参考になる。 青字は私が読んだことがある冊子を表わす。なお、次の書籍

については、分冊形式の配本ではなく、 その後単行本された書籍を読んでいる。

幾何入門1 微分と積分1 行列と行列式1 代数入門1 数論入門1 幾何入門2 微分と積分2 複素関数入門 行列と行列式2 代数入門2 力学と微分方程式 電磁場と ベクトル解析 双曲幾何 曲面の幾何 熱・波動と 微分方程式 微分と積分3 解析力学と微分形式 数論入門2 現代数学の基礎

p.25 に楕円積分に関連してレムニスケートの弧長うんぬんという記述が出てくる。 レムニスケートとは何だろうと考えて、 かつて自分が作った曲線のカタログを見たら、 レムニスケートがその中にあった。 日本語では連珠形という。

第2章 無限を数える

砂田利一氏の執筆になる本章は、―選択公理をめぐって―という副題がついている。 本章を読むと、無限を扱うことの怖さを感じる。

いっぽうでこんな記述を目にすると、数学者も人間であることを知り、安心する。p.60 から引用する。

ボレルやルベーグは選択公理に反対する立場をとり, アダマールは容認する立場をとったことが知られている. しかし皮肉なことに, 当のルベーグも彼の創始した測度論において無意識に選択公理を使っているのである.

第 3 章 高次元の発見

深谷賢治氏の執筆になる本章は、高次元にまつわる各種の話を交えていて、なかなか熱がこもっている。 この文章が理解できるための数学的な素養が私には乏しいので、理解できるところがほとんどないのが残念だ。

書誌情報

書 名現代数学の流れ1
著 者上野健爾・砂田利一・深谷賢治・神保道夫
発行日1996 年 3 月 5 日
発行元岩波書店
定 価2分冊合計定価 3495 円(本体)
サイズA5版 177 ページ
ISBN
その他越谷市立図書館にて借りて読む

まりんきょ学問所数学の本 > 上野健爾・砂田利一・深谷賢治・神保道夫:現代数学の流れ1


MARUYAMA Satosi