砂田 利一:曲面の幾何

作成日:2021-08-24
最終更新日:

概要

「まえがき」より 本書は「幾何入門 1, 2」の続編であり,「曲がった」空間の数学的モデルである曲面と多様体を対象とする, 現代幾何学への入門書である. とある。言い忘れたが、本書は「岩波講座 現代数学への入門」全 10 巻( 20 分冊) の「現代数学の流れ2」と同時配本である。 また、本書は後に単行本化されている。

感想

記述の程度は高く、私には理解できない個所がほとんどである。 問の解答は付されていない。たとえば、第1章 p.25 にある定義と次の問:

 空間 `E` に直交座標系を1つ選んでおく. 位置 `c(t)` の座標表示を

`c(t)=(x_1(t), x_2(t), x_3(t))`
としよう.以下,`c(t)` は `x_i(t) (i = 1, 2, 3)` が `t` の滑らかな関数 (何回でも微分可能)という意味で滑らかな曲線(smooth curve)とする.

問1 `c = c(t)` の滑らかさは, 座標系の取り方にはよらない概念であることを示せ.(ヒント.座標変換を考えればよい.)

うーむ、わからない。座標変換が滑らかだから微分可能性も合成関数の微分則で伝わるので滑らか、 という意味なのだろうか。p.26 は次の問がある。なお、私の MathJax に関する無知ゆえ、 太字のイタリックが表示できず立体になるのでお許しを。

問2 滑らかなベクトル値関数 `bba = bba(t), bb b = bb b(t)` に対して, `bb c(t) = bb a(t) xx bb b(t)` とおくと

`dot bb c (t) = dot bb a(t) xx bb b(t) + bb a(t) xx dot bb b(t)`
となることを示せ. (ヒント.外積の成分表示を使う.)

ヒントに従って成分表示をしてみよう。

` bb a(t) = ((a_1(t)),(a_2(t)),(a_3(t))), quad bb b(t) = ((b_1(t)),(b_2(t)),(b_3(t))), quad bb c(t) = ((c_1(t)),(c_2(t)),(c_3(t))) `

以下ベクトル `bb p(t)` の `x` 成分を `bb p_x` で表す。 まず右辺を計算してみる。`dot bb a (t) xx bb b(t)` の `x` 成分を計算する:

`(dot bb a (t) xx bb b(t))_x = dot a_2(t) b_3(t) - dot a_3(t) b_2(t)`

同様に、`bb a (t) xx dot bb b(t)` の `x` 成分は次の式で表わされる。

`(bb a (t) xx dot bb b(t))_x = a_2(t) dot b_3(t) - a_3(t) dot b_2(t)`

一方で `bb c(t) ` の `x` 成分は次の式で表わされる。

`(bb c(t))_x = a_2(t) b_3(t) - a_3(t) b_2(t)`

よって `bb dot c(t) ` の `x` 成分は次の通りとなる。

`(dot bb c(t))_x = dot a_2(t) b_3(t) + a_2(t) dot b_3(t) - dot a_3(t) b_2(t) - a_3(t) dot b_2(t)`

よって `x` 成分は等しいことが示された。`y` 成分と `z` 成分についてもサイクリックに成り立つ。 よって証明できた。

数式記述

このページの数式は MathJax で記述している。

誤植

書誌情報

書 名曲面の幾何
著 者砂田 利一
発行日1996 年 8 月 27 日
発行元岩波書店
定 価2分冊合計定価 3495 円(本体)
サイズ**版 204 ページ
ISBN
その他越谷市立図書館にて借りて読む

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MARUYAMA Satosi