二項述語の二重量化 「∀xy P(x,y)」 : トピック一覧

【ポイント】

xy P(x,y)」は、

「どの《議論領域Xに属す対象》を選んで変項xへ代入しても、

 その《議論領域Xに属す対象》に応じて、
   《議論領域Yに属す対象》をうまく選んで 
       変項yへ代入してあげることによって、

     x-y間の関係・条件P(x,y)を成り立たせることができる」

 という主張。

【詳細】
 ・「∀xy P(x,y)の定義
 ・「∀xy P(x,y)意味
 ・「∀xy P(x,y)読み下し例 


二項述語二重量化一覧/多重量化一覧 

※論理関連ページ:古典論理/論理記号一覧/述語・命題関数

総目次


「∀xy  P(x,y)」 の定義 



【要旨】

 「xy P(x,y)は、

  P(x,y)存在量化普遍量化した

   「x (y  P(x,y) )

 を表す。


【詳細】

 「xy P(x,y)」とは、

 下記手順でつくった命題「x (y  P(x,y) )」の略記。


  【step1:存在量化】  
 
  二項述語P(x,y)

    「x,yは関係・条件Pを満たす

  の変項yを存在量化子で束縛して存在量化し、

  変項xのみを含む一項述語 y  P(x,y) 

     「xは、あるyにたいして関係・条件Pを満たす

  をつくる。


関連事項:
 ・「∀xSyT P(x,y)」の定義 
 ・「∀xy P(x,y)の定義/「∃xy P(x,y)の定義/「∃xy P(x,y)の定義 





【文献−数学一般】
 ●本橋『新しい論理序説』4.1∃x∃y(x loves y),∀x∃y(x loves y)(p.64);
             全称特称文∀x∈X ∃y∈Y P(x,y),単純全称特称文∀x ∃y P(x,y),
             特称全称文∃x∈X ∀y∈Y P(x,y),単純特称全称文∃x ∀y P(x,y)
            4.2単純∀∃文と単純∃∀の論理記号による書き方:例「yはxより大きい」「xはyが好き」「yはxの母親」(pp.67-69) 
            4.3単純∀∃文と単純∃∀の読み方:例「x<y」「yはxの母親」(pp.69-71) 
 ●齋藤『日本語から記号論理へ』2章§2全称量化子による二重量化(pp.52-54);§3存在量化子による二重量化(pp.60-61);§5異種の量化子による二重量化(pp.69-74);
 ・中内『ろんりの練習帳』2.3(pp.89-93):"∀xy",";2.5(pp.100-2):"∃xy";2.6(pp.103-5):∀∃,∃∀;

【文献−数学基礎論】
 ・井関『集合と論理』1.5 (pp.28-29)
 ・前原昭二『記号論理入門』第1章§7多変数(p.21-23);§8自由変数束縛変数(pp.23-25)。
 ・新井紀子『数学は言葉』3.2.6(p.100):まさに、この話。;2.3∃例題3.2.10∀∀(⇒∃)(p.90):変則的;∃∈∀∈(p.92);量化子が複数並んであらわれるとき、その影響の及ぶ範囲が明らかなときに限り、カッコをしょうりゃくしてよい。(p.100);4.1∀∃,∃∀の和訳・英訳(pp.123-5);4.2関数の定義∀xy f(x)=y・全射∀yx f(x)=y・単射∀∀(pp.128-9);例題4.2.2関数fは上に有界M ,∀a f(a)M)(pp.132-134):f,a,M3項述語の二重量化;例題4.2.2単調増加関数の定義 (pp.132-135):f,x,y3項述語の二重量化;例題4.3.1.1数列が極限値に収束するの定義:数列,極限値,ε,N,Mからなる5項述語の三重量化(pp.136-137);例題4.3.1.2関数の極限の定義:5項述語の三重量化(pp.136-137);例題4.4.3連続と一様連続:四重量化(pp.144-6);例題4.4.4数列・級数に極限値が存在して収束する:四重量化(p.147);

【文献−分析哲学・論理学】
 ・野矢『論理学』2-2-2-多重量化(pp.96-99)


 



  【step2:普遍量化】  

  step1で得られた

  変項xのみを含む一項述語  

    y  P(x,y)   「xは、あるyにたいして関係・条件Pを満たす」 

  の変項xを全称量化子で束縛して普遍量化

  得られた命題が

   x (y  P(x,y) )  「すべてのxは、あるyにたいして、関係・条件Pを満たす。」

具体例
  → 「∀xy ( x loves y )」 / 「∀yx ( x loves y )」
  → 「∀xy ( yxの師匠 )」 / 「∀yx ( yxの師匠 )」
  →「∀nx ( n>x )」/「∀xn ( n>x )」   




xy P(x,y) 
二項述語二重量化一覧 
論理記号一覧/述語・命題関数
総目次 

「∀xy  P(x,y)」 の意味



P(x,y)を、
変項xの議論領域X, 変項yの議論領域Yとする二項述語・2変数命題関数とすると、 

xy P(x,y)」すなわち「x (y  P(x,y) )」は、

 「どの《議論領域Xに属す対象》を選んで変項xへ代入しても、
  その《議論領域Xに属す対象》に応じて、
    《議論領域Yに属す対象》をうまく選んで変項yへ代入してあげることによって、
     x-y間の関係・条件P(x,y)を成り立たせることができる」

 と主張する命題を意味する。


具体例
  → 「∀xy ( x loves y )」 / 「∀yx ( x loves y )」
  → 「∀xy ( yxの師匠 )」 / 「∀yx ( yxの師匠 )」
  →「∀nx ( n>x )」/「∀xn ( n>x )」   
関連事項: 
 ・「∀xSyT P(x,y)」の意味 
 ・「∀xy P(x,y)意味/「∃xy P(x,y)意味/「∃xy P(x,y)意味 




【文献−数学一般】
 ●本橋『新しい論理序説』4.1∃x∃y(x loves y),∀x∃y(x loves y)(p.64);
             全称特称文∀x∈X ∃y∈Y P(x,y),単純全称特称文∀x ∃y P(x,y),
             特称全称文∃x∈X ∀y∈Y P(x,y),単純特称全称文∃x ∀y P(x,y)
            4.2単純∀∃文と単純∃∀の論理記号による書き方:例「yはxより大きい」「xはyが好き」「yはxの母親」(pp.67-69) 
            4.3単純∀∃文と単純∃∀の読み方:例「x<y」「yはxの母親」(pp.69-71) 
 ●齋藤『日本語から記号論理へ』2章§2全称量化子による二重量化(pp.52-54);§3存在量化子による二重量化(pp.60-61);§5異種の量化子による二重量化(pp.69-74);
 ・中内『ろんりの練習帳』2.3(pp.89-93):"∀xy",";2.5(pp.100-2):"∃xy";2.6(pp.103-5):∀∃,∃∀;

【文献−数学基礎論】
 ・井関『集合と論理』1.5 (pp.28-29)
 ・前原昭二『記号論理入門』第1章§7多変数(p.21-23);§8自由変数束縛変数(pp.23-25)。
 ・新井紀子『数学は言葉』2.3∃∃,∃∈∃∈(p.57-);例題3.2.9∀∀(pp.89-90);例題3.2.10∀∀(⇒∃)(p.90):変則的;∃∈∀∈(p.92);量化子が複数並んであらわれるとき、その影響の及ぶ範囲が明らかなときに限り、カッコをしょうりゃくしてよい。(p.100);4.1∀∃,∃∀の和訳・英訳(pp.123-5);4.2関数の定義∀xy f(x)=y・全射∀yx f(x)=y・単射∀∀(pp.128-9);例題4.2.2関数fは上に有界M ,∀a f(a)M)(pp.132-134):f,a,M3項述語の二重量化;例題4.2.2単調増加関数の定義 (pp.132-135):f,x,y3項述語の二重量化;例題4.3.1.1数列が極限値に収束するの定義:数列,極限値,ε,N,Mからなる5項述語の三重量化(pp.136-137);例題4.3.1.2関数の極限の定義:5項述語の三重量化(pp.136-137);例題4.4.3連続と一様連続:四重量化(pp.144-6);例題4.4.4数列・級数に極限値が存在して収束する:四重量化(p.147);

【文献−分析哲学・論理学】
 ・野矢『論理学』2-2-2-多重量化(pp.96-99)


 




xy P(x,y) 
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論理記号一覧/述語・命題関数
総目次 

∀∃の読み下し例


「∀xy P(x,y)」というかたち

具体例
  → 「∀xy ( x loves y )」  
  → 「∀xy ( yxの師匠)」  
  →「∀nx ( n>x )」

【英語】

For all x, there exists y such that P(x,y). [新井4.1p.124]

For all x, there exists an element y such that the pair (x,y) has property P."
          [De La Fuente,p.8]

【日本語type1】   句読点の位置を変えると、意味が変わるので注意。

・「任意の(それぞれの)xにたいして、P(x,y)となるようなyが存在する。」
          [新井4.1p.124]
         [齋藤『日本語から記号論理へ』2章§5(p.70)]

・「任意のxにたいして、P(x,y)となるようなyをみつけることができる。」[新井4.2p.128]

・「任意のxについて、P(x,y)となるyがある」  [本橋4.3(p.70)]

  *句読点の位置が違う
   「任意のxについてP(x,y)、となるyがある」は、
   「yx P(x,y)」になってしまうので注意。[本橋4.3(p.70)]


・「どんなxについても、P(x,y)となるyがある」  [本橋4.3(p.70)]

関連事項: 
 ・「∀xSyT P(x,y)」の読み下し例 
 ・「∀xy P(x,y)読み/「∃xy P(x,y)の読み/「∃xy P(x,y)読み 




【文献−数学一般】
 ●本橋『新しい論理序説』4.1∃x∃y(x loves y),∀x∃y(x loves y)(p.64);全称特称文∀x∈X ∃y∈Y P(x,y),単純全称特称文∀x ∃y P(x,y),特称全称文∃x∈X ∀y∈Y P(x,y),単純特称全称文∃x ∀y P(x,y)
     4.2単純∀∃文と単純∃∀の論理記号による書き方:例「yはxより大きい」「xはyが好き」「yはxの母親」(pp.67-69) 
            4.3単純∀∃文と単純∃∀の読み方:例「x<y」「yはxの母親」(pp.69-71) 
 ●齋藤『日本語から記号論理へ』2章§2全称量化子による二重量化(pp.52-54);§3存在量化子による二重量化(pp.60-61);§5異種の量化子による二重量化(pp.69-74);
 ・中内『ろんりの練習帳』2.3(pp.89-93):"∀xy",";2.5(pp.100-2):"∃xy";2.6(pp.103-5):∀∃,∃∀;
【文献−数学基礎論】
 ・中谷『論理』6.3A多変数の命題関数の限定命題(p.142)
 ・井関『集合と論理』1.5 (pp.28-29)
 ・前原昭二『記号論理入門』第1章§7多変数(p.21-23);§8自由変数束縛変数(pp.23-25)。
 ・新井紀子『数学は言葉』4.1∀∃,∃∀の和訳・英訳(pp.123-5);4.2関数の定義∀xy f(x)=y・全射∀yx f(x)=y・単射∀∀(pp.128-9);例題4.2.2関数fは上に有界M ,∀a f(a)M)(pp.132-134):f,a,M3項述語の二重量化;例題4.2.2単調増加関数の定義 (pp.132-135):f,x,y3項述語の二重量化;例題4.3.1.1数列が極限値に収束するの定義:数列,極限値,ε,N,Mからなる5項述語の三重量化(pp.136-137);例題4.3.1.2関数の極限の定義:5項述語の三重量化(pp.136-137);例題4.4.3連続と一様連続:四重量化(pp.144-6);例題4.4.4数列・級数に極限値が存在して収束する:四重量化(p.147);
【文献−分析哲学・論理学】
 ・野矢『論理学』2-2-2-多重量化(pp.96-99)
 ●De La Fuente, Mathematical Methods and Models for Economists,1.2.a.Properties and Quantifiers(pp.8-9):二重量化。英語での読み下し例。


 



・「どんなxをとっても、P(x,y)を満たすyの存在を主張」 [井関1.2 (式2.4)(p.9): 「∀xRyR (x<y) 」;例1(5) (p.10): 「∀xZyZ  (xy=x) 」]

・「どんなxをとっても、P(x,y)を満たすyがとれる(存在する)」  [井関(式2.4)(p.8): 「∀xRyR (x<y) 」]

・「すべてのxにたいして、P(x,y)となるyが存在する。」  [新井4.2p.128]

・「すべてのxについて、あるyP(x,y)となるyがある」 [本橋4.3(p.70)]

・「すべてのxについて、P(x,y)となるようなyがある」 [中谷p.142]

・「どんなxをとっても、(それぞれのxに応じて)P(x,y)が真になるようにyが存在するとき、このときにかぎって真になる命題」[井関『集合と論理』1.5 (p.28)]


【日本語type2】

・「任意に与えられたxに対して、あるyを選ぶと、p(x,y)成り立つ。」   [齋藤『日本語から記号論理へ』2章§5(p.70)]

・「任意のxにおいて、xに対応した上手なyの選び方があって、必ずP(x,y)にできる」  [松井2.6(p.38)]

・「すべてのxについて、あるyがあってp(x,y)である。」   [中内例2.6.1(p.103)] 

・「どんなxをとっても、あるy0をとればP(x,y0)は真になる」 [井関『集合と論理』1.5(p.28)]

【日本語type3】

・「『P(x,y)を満たすyがある』がすべてのxについて成り立つ」   [本橋4.3(p.70)]


  
「∀yx P(x,y)」というかたち
  

【英語】

For all y, there exists x such that P(x,y)   [新井4.1p.124]


【日本語type1】   句読点の位置を変えると、意味が変わるので注意。

・「任意の(それぞれの)yにたいして、P(x,y)となるようなxが存在する。」[新井4.1p.124][齋藤『日本語から記号論理へ』2章§5(p.70)]

・「任意のyにたいして、P(x,y)となるようなxをみつけることができる。」[新井4.2p.128]

・「任意のyについて、P(x,y)となるxがある」  [本橋4.3(p.70)]
  *句読点の位置が違う「任意のyについてP(x,y)、となるxがある」は、「xy P(x,y)」になってしまうので注意。

・「どんなyについても、P(x,y)となるxがある」  [本橋4.3(p.70)]

・「どんなyをとっても、P(x,y)を満たすxの存在を主張」 [井関1.2 (式2.4)(p.9): 「∀xRyR (x<y) 」;例1(5) (p.10): 「∀xZyZ  (xy=x) 」]

・「どんなyをとっても、P(x,y)を満たすxがとれる(存在する)」  [井関(式2.4)(p.8): 「∀xRyR (x<y) 」]

・「すべてのyにたいして、P(x,y)となるxが存在する。」  [新井4.2p.128]

・「すべてのyについて、あるyP(x,y)となるxがある」 [本橋4.3(p.70)]

・「すべてのyについて、P(x,y)となるようなxがある」 [中谷p.142]

・「どんなyをとっても、(それぞれのyに応じて)P(x,y)が真になるようにxが存在するとき、このときにかぎって真になる命題」[井関『集合と論理』1.5 (p.28)]


【日本語type2】

・「任意に与えられたyに対して、あるxを選ぶと、p(x,y)成り立つ。」   [齋藤『日本語から記号論理へ』2章§5(p.70)]

・「任意のyにおいて、yに対応した上手なxの選び方があって、必ずP(x,y)にできる」  [松井2.6(p.38)]

・「すべてのyについて、あるxがあってp(x,y)である。」   [中内例2.6.1(p.103)] 

・「どんなyをとっても、あるx0をとればP(x0,y)は真になる」 [井関『集合と論理』1.5(p.28)]

【日本語type3】

・「『P(x,y)を満たすxがある』がすべてのyについて成り立つ」   [本橋4.3(p.70)]

具体例 : 「∀yx ( x loves y )」 /「∀yx ( yxの師匠 )」 /「∀xn ( n>x )」   



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