1変数関数の単関数列による近似トピック一覧  

 定理非負実数値関数に各点収束する単関数列/非負有界実数値関数に一様収束する単関数列  
     
非負実数値関数の単関数列近似は可能
 
定理非負広義実数値関数に各点収束する単関数列/非負「広義実数値」関数の単関数列近似は可能
 定理実数値関数の単関数列近似は可能 

 1変数関数からなる関数列関連ページ
   
関数列・関数項級数とその極限の定義/一様収束判定条件/極限関数の連続性/関数列の極限と積分 
 
一般化:実数値関数一般の単関数列による近似 
 
総目次

定理: 非負実数値1変数関数に各点収束する関数列

要旨

任意の非負実数値1変数関数 f にたいして、「f に各点収束する単関数の単調増加列」が存在する。

設定

この定理は、以下のように設定された舞台上で成立する。
Step1実数を全てあつめた集合(実数体)Rを用意する。 
Step2R部分集合をひとつきめて、Dと名づける。
Step3D定義域とする「非負実数値1変数関数y= f (x) 
    つまり、 
     
1変数関数fDR」であって、
     
任意の xDRにたいして、f (x)≧0
    を満たすもの
    を用意する。
    
y= f (x) は有界関数でなくてもよいので、
    たとえば、
(,1 ]を定義域とするy= f (x)=1/xなどでもよい。

[文献]
ルディン『
現代解析学10.20(p.267)
志賀『
ルベーグ積分3018(p.138)):図解付,可測関数のケース。
新井『
ルベーグ積分講義』定理7.12(p.103):図解付,可測関数のケース。
伊藤清三定理
10.1(p.63):図解付,可測関数のケース。
Malliavin,Integration and Probability, 6.4.2Corollary(p.28);可測関数のケース。

定理

任意のxDRにたいしてf (x)≧0を満たす限りで任意の実数値1変数関数
  
y= f (x)
に対して、
次のように定義された
関数列fn}={ f1 , f2 , f3 , }は、[性質1] [性質2] [性質3]を満たす。
[関数列{ fn(x)}={ f1 , f2 , f3 , }の定義]
 
Step1:関数fn(x)の定義
 ある自然数
nを一つ決める。
 
x軸上の「y = f (x) 定義域Dを、
 
(n2n1)個のR上の点集合 
  
E(n,) f -1 ( [/2n, 1/2n ) ) { x DR | /2nf (x)1/2n }  
  
E(n,1) f -1 ( [1/2n, 2/2n ) ) { x DR | 1/2nf (x)2/2n }  
  
E(n,2) f -1 ( [2/2n, 3/2n ) ) { x DR | 2/2nf (x)3/2n }
  E(n,3) f -1 ( [3/2n, 4/2n ) ) { x DR | 3/2nf (x)4/2n }
   :
  
E(n,n2n1) = f -1 ( [n1/2n, n ) ) { x DR | n1/2nf (x)n}  
  E(n) f -1 ( [ n, + ) ) { x DR | nf (x) }  
 に切り分け、  
 これらの
定義関数を用いて、
 
1変数関数fn(x)=0χE(n,0)(x)+(1/2n)χE(n,1) (x)+(2/2n )χE(n,2) (x)+(3/2n )χE(n,3) (x)+
                  
                      
+nχE(n) (x)   
 を定義する。
 
Step2:関数列{fn(x)}の定義
 ・上記の
1変数関数fnで、n1とした
             
f1 (x)=0χE(1,)(x)+(1/2)χE(1,1) (x)+1χE(1) (x)  
 ・上記の
1変数関数fnで、n2とした
             
f2(x)=0χE(2,)(x)+(1/4)χE(2,1) (x)+(1/2)χE(2,2) (x)+(3/4)χE(2,3) (x)+1χE(2,4) (x)
                     +(5/4)χE(2,5) (x)+(3/2)χE(2,6) (x)+(7/4)χE(2,7) (x)+2χE(2) (x)  
 ・上記の
1変数関数fnで、n3とした
             
f3(x)=0χE(3,)(x)+(1/8)χE(3,1) (x)+(1/4)χE(3,2) (x)+(3/8)χE(3,3) (x)+(1/2)χE(3,4) (x)
                    +(5/8)χE(3,5) (x)+(3/4)χE(3,6) (x)+(7/8)χE(3,7) (x)+χE(3,8) (x) 
                    
+(9/8)χE(3,9) (x)+(5/4)χE(3,10) (x)+(11/8)χE(3,11) (x)+(3/2)χE(3,12) (x)
                    +(13/8)χE(3,13) (x)+(7/4)χE(3,14) (x)+(15/8)χE(3,15) (x)+2χE(3,16) (x)
                    +(17/8)χE(3,17) (x)+(9/4)χE(3,18) (x)+(19/8)χE(3,19) (x)+(5/2)χE(3,20) (x)
                    +(21/8)χE(3,21) (x)+(11/4)χE(3,22) (x)+(23/8)χE(3,23) (x) 
                    
+3χE(3) (x)   
 :        

 :        
 という具合に、自然数nを一つずつ増やしながら、上記の1変数関数fnを並べていったものを、 
    
関数列 fn}= { f1 , f2 , f3 , }  
 として定義する。
 
この関数列fn}={ f1 , f2 , f3 , }について、もっと詳しい説明→詳細 
[性質1] この関数列の各項 f1 , f2 , f3 , …は、すべて単関数
なぜ?→証明  
[性質2] この関数列は、単調増加列。
     つまり、
      
任意のxDRにたいして、
      
xを固定して得られる数列 { fn(x ) }={ f1 (x ) , f2 (x ) , f3 (x ) , } が、
        
f1 (x )f2 (x )f3 (x )≦…
      を満たす。 
なぜ?→証明  
[性質3] この関数列{ f1 , f2 , f3 , }は、1変数関数f に各点収束する。 
なぜ?→証明 
     

   

[トピック一覧:単関数近似]
総目次

 

定理: 非負有界1変数関数に一様収束する単調増加単関数列

要旨

任意の非負有界1変数関数 f にたいして、「f 一様収束する単関数の単調増加列」が存在する。

設定

この定理は、以下のように設定された舞台上で成立する。
Step1実数を全てあつめた集合(実数体)Rを用意する。
Step2R部分集合をひとつきめて、Dと名づける。
Step3D定義域とする「非負有界1変数関数y= f (x)
   つまり、 
   
1変数関数fDR」であって、
   ・
任意の xDRにたいして、f (x)≧0
   かつ 
   ・ある正の
実数Mが存在して、
       
任意の xDRにたいしてf (x)M
   を満たすもの
   を用意する。
Step3実数体R距離dを定めて、
    
実数体R上に、距離空間( R , d )を設定。

[文献]
ルディン『
現代解析学10.20(p.267)
Malliavin,Integration and Probability, 6.4.1Proposition(p.27);可測関数のケース。

定理

任意のxDRにたいしてf (x)≧0を満たし有界である限りで任意の1変数関数
  
y= f (x)
に対して、
次のように定義された
関数列fn}={ f1 , f2 , f3 , }は、[性質1] [性質2] [性質3]を満たす。
[関数列{ fn(x)}={ f1 , f2 , f3 , }の定義]
 
Step1:関数fn(x)の定義
 ある自然数
nを一つ決める。
 
x軸上の「y = f (x) 定義域Dを、
 
(n2n1)個のR上の点集合 
  
E(n,) f -1 ( [/2n, 1/2n ) ) { x DR | /2nf (x)1/2n }  
  
E(n,1) f -1 ( [1/2n, 2/2n ) ) { x DR | 1/2nf (x)2/2n }  
  
E(n,2) f -1 ( [2/2n, 3/2n ) ) { x DR | 2/2nf (x)3/2n }
  E(n,3) f -1 ( [3/2n, 4/2n ) ) { x DR | 3/2nf (x)4/2n }
   :
  
E(n,n2n1) = f -1 ( [n1/2n, n ) ) { x DR | n1/2nf (x)n}  
  E(n) f -1 ( [ n, + ) ) { x DR | nf (x) }  
 に切り分け、  
 これらの
定義関数を用いて、
 
1変数関数fn(x)=0χE(n,0)(x)+(1/2n)χE(n,1) (x)+(2/2n )χE(n,2) (x)+(3/2n )χE(n,3) (x)+
                  
                      
+nχE(n) (x)   
 を定義する。
 
Step2:関数列{fn(x)}の定義
 ・上記の
1変数関数fnで、n1とした
             
f1 (x)=0χE(1,)(x)+(1/2)χE(1,1) (x)+1χE(1) (x)  
 ・上記の
1変数関数fnで、n2とした
             
f2(x)=0χE(2,)(x)+(1/4)χE(2,1) (x)+(1/2)χE(2,2) (x)+(3/4)χE(2,3) (x)+1χE(2,4) (x)
                     +(5/4)χE(2,5) (x)+(3/2)χE(2,6) (x)+(7/4)χE(2,7) (x)+2χE(2) (x)  
 ・上記の
1変数関数fnで、n3とした
             
f3(x)=0χE(3,)(x)+(1/8)χE(3,1) (x)+(1/4)χE(3,2) (x)+(3/8)χE(3,3) (x)+(1/2)χE(3,4) (x)
                    +(5/8)χE(3,5) (x)+(3/4)χE(3,6) (x)+(7/8)χE(3,7) (x)+χE(3,8) (x) 
                    
+(9/8)χE(3,9) (x)+(5/4)χE(3,10) (x)+(11/8)χE(3,11) (x)+(3/2)χE(3,12) (x)
                    +(13/8)χE(3,13) (x)+(7/4)χE(3,14) (x)+(15/8)χE(3,15) (x)+2χE(3,16) (x)
                    +(17/8)χE(3,17) (x)+(9/4)χE(3,18) (x)+(19/8)χE(3,19) (x)+(5/2)χE(3,20) (x)
                    +(21/8)χE(3,21) (x)+(11/4)χE(3,22) (x)+(23/8)χE(3,23) (x) 
                    
+3χE(3) (x)   
 :        

 :        
 という具合に、自然数nを一つずつ増やしながら、上記の1変数関数fnを並べていったものを、 
    
関数列 fn}= { f1 , f2 , f3 , }  
 として定義する。
 
この関数列fn}={ f1 , f2 , f3 , }について、もっと詳しい説明→詳細 
[性質1] この関数列の各項 f1 , f2 , f3 , …は、すべて単関数
  
なぜ?→必ずしも有界ではない非負実数値1変数関数をfとしたケースで証明済み。 
[性質2] この関数列は、単調増加列。
     つまり、
      
任意のxDRにたいして、
      
xを固定して得られる数列 { fn(x ) }={ f1 (x ) , f2 (x ) , f3 (x ) , } が、
        
f1 (x )f2 (x )f3 (x )≦…
      を満たす。 
  
なぜ?→必ずしも有界ではない非負実数値1変数関数をfとしたケースで証明済み。 
[性質3] この関数列{ f1 , f2 , f3 , }は、1変数関数f一様収束する。
  
なぜ?→証明 

   

[トピック一覧:単関数近似]
総目次

定理: 非負実数値1変数関数の単関数列近似は可能

要旨

任意の非負1変数関数 f にたいして、「f に各点収束する単関数の単調増加列」が存在する。

設定

この定理は、以下のように設定された舞台上で成立する。
Step1実数を全てあつめた集合(実数体)Rを用意する。
Step2R部分集合をひとつきめて、Dと名づける。
Step3D定義域とする「非負1変数関数y= f (x) 
    つまり、 
     
1変数関数fDR」であって、
     
任意の xDRにたいして、f (x)≧0
    を満たすもの
    を用意する。。

[文献]
ルディン『
現代解析学10.20(p.267)
志賀『
ルベーグ積分3018(p.138)):図解付

伊藤清三定理
10.1(p.63):図解付,可測関数のケース。

定理

任意のxDRにたいしてf (x)≧0を満たす限りで任意の1変数関数
  
y= f (x)
に対して、
次の条件を満たす
関数列{ f1 , f2 , f3 , }が存在する。
[条件1] 関数列{ f1 , f2 , f3 , }の各項 f1 , f2 , f3 , …は、すべて単関数
[条件2] 関数列{ f1 , f2 , f3 , }は、単調増加列。

  つまり、

   任意のxDRにたいして、
    
xを固定して得られる数列 { fn(x ) }={ f1 (x ) , f2 (x ) , f3 (x ) , } が、
      
f1 (x )f2 (x )f3 (x )≦…
    を満たす。 
[条件3] 関数列{ f1 , f2 , f3 , }は、1変数関数f各点収束する。
   つまり、
   
任意のxDRにたいして
    
xを固定して得られる数列 { fn(x ) }={ f1 (x ) , f2 (x ) , f3 (x ) , } が、
    同じ値に
xを固定して得られるf (x) に収束する。    

証明

条件1-3を満たす関数列{ f1 , f2 , f3 , }の実例を一つあげることができるから。
 →
その実例 

[トピック一覧:単関数近似]
総目次

定理: 広義の実数値をとる非負1変数関数に各点収束する関数列

要旨

任意の非負「広義実数値1変数関数 f にたいして、「f に各点収束する単関数の単調増加列」が存在する。

設定

この定理は、以下のように設定された舞台上で成立する。
Step1実数を全てあつめた集合(実数体)R広義の実数の集合R*を用意する。
Step2R部分集合をひとつきめて、Dと名づける。
Step3D定義域とし、広義の実数値をとる「非負広義実数値1変数関数y= f (x)
   つまり、 
   
1変数関数fDR*」であって、
     
任意の xDRにたいして、0≦f (x)+
   を満たすもの
   を用意する。
Step3実数体R距離dを定めて、実数体R上に、距離空間( R , d )を設定。

[文献]
ルディン『
現代解析学10.20(p.267)
志賀『
ルベーグ積分3018(p.138)):図解付,可測関数のケース。
猪狩惺『
実解析入門』定理3.4(p.58):可測関数のケース。
伊藤清三定理
10.1(p.63):図解付,可測関数のケース。

定理

任意のxDRにたいしてf (x)≧0を満たす限りで任意の広義実数値1変数関数
  
y= f (x)
に対して、
次のように定義された
関数列fn}={ f1 , f2 , f3 , }は、[性質1] [性質2] [性質3]を満たす。
[関数列{ fn(x)}={ f1 , f2 , f3 , }の定義]
 
Step1:関数fn(x)の定義
 ある自然数
nを一つ決める。
 
x軸上の「y = f (x) 定義域Dを、
 
(n2n1)個のR上の点集合 
  
E(n,) f -1 ( [/2n, 1/2n ) ) { x DR | /2nf (x)1/2n }  
  
E(n,1) f -1 ( [1/2n, 2/2n ) ) { x DR | 1/2nf (x)2/2n }  
  
E(n,2) f -1 ( [2/2n, 3/2n ) ) { x DR |2/2nf (x)3/2n }
  E(n,3) f -1 ( [3/2n, 4/2n ) ) { x DR | 3/2nf (x)4/2n }
   :
  
E(n,n2n1) = f -1 ( [n1/2n, n ) ) { x DR | n1/2nf (x)n}  
  E(n) f -1 ( [ n, +] ) { x DR | nf (x) } { + } 
 に切り分け、  
 これらの
定義関数を用いて、
 
1変数関数fn(x)=0χE(n,0)(x)+(1/2n)χE(n,1) (x)+(2/2n )χE(n,2) (x)+(3/2n )χE(n,3) (x)+
                  
                      
+nχE(n) (x)   
 を定義する。
 
Step2:関数列{fn(x)}の定義
 ・上記の
1変数関数fnで、n1とした
             
f1 (x)=0χE(1,)(x)+(1/2)χE(1,1) (x)+1χE(1) (x)  
 ・上記の
1変数関数fnで、n2とした
             
f2(x)=0χE(2,)(x)+(1/4)χE(2,1) (x)+(1/2)χE(2,2) (x)+(3/4)χE(2,3) (x)+1χE(2,4) (x)
                     +(5/4)χE(2,5) (x)+(3/2)χE(2,6) (x)+(7/4)χE(2,7) (x)+2χE(2) (x)  
 ・上記の
1変数関数fnで、n3とした
             
f3(x)=0χE(3,)(x)+(1/8)χE(3,1) (x)+(1/4)χE(3,2) (x)+(3/8)χE(3,3) (x)+(1/2)χE(3,4) (x)
                    +(5/8)χE(3,5) (x)+(3/4)χE(3,6) (x)+(7/8)χE(3,7) (x)+χE(3,8) (x) 
                    
+(9/8)χE(3,9) (x)+(5/4)χE(3,10) (x)+(11/8)χE(3,11) (x)+(3/2)χE(3,12) (x)
                    +(13/8)χE(3,13) (x)+(7/4)χE(3,14) (x)+(15/8)χE(3,15) (x)+2χE(3,16) (x)
                    +(17/8)χE(3,17) (x)+(9/4)χE(3,18) (x)+(19/8)χE(3,19) (x)+(5/2)χE(3,20) (x)
                    +(21/8)χE(3,21) (x)+(11/4)χE(3,22) (x)+(23/8)χE(3,23) (x) 
                    
+3χE(3) (x)   
 :        

 :        
 という具合に、自然数nを一つずつ増やしながら、上記の1変数関数fnを並べていったものを、 
    
関数列 fn}= { f1 , f2 , f3 , }  
 として定義する。
 
この関数列fn}={ f1 , f2 , f3 , }について、もっと詳しい説明→詳細    
[性質1] この関数列の各項 f1 , f2 , f3 , …は、すべて単関数
なぜ?→f は非負一価関数であるから、 fが非負実数値関数であるケースと同様にして、
       
E(n,) , E(n,1) , E(n,2) ,, E(n,n2n1), E(n)定義域D直和分割となることが確かめられる。
     したがって、
fn(x)単関数の定義をみたす。 
[性質2] この関数列は、単調増加列。
     つまり、
      
任意のxDRにたいして、
      
xを固定して得られる数列 { fn(x ) }={ f1 (x ) , f2 (x ) , f3 (x ) , } が、
        
f1 (x )f2 (x )f3 (x )≦…
      を満たす。 
なぜ?→ fが非負実数値関数であるケースと全く同様にして確かめられるので略。  
[性質3] この関数列{ f1 , f2 , f3 , }は、1変数関数fに各点収束する
なぜ? 

定義域Dを、
  
f (x)<∞ を満たすxの集合DR= f -1 ( [, + ) )  
  
f (x)+ を満たすxの集合D= f -1 ( + )  と、 
に分けて考える。
DRにおいては、関数列{ f1 , f2 , f3 , }は、1変数関数fに各点収束する)。
 つまり、
DRに属す各xにおいて、
        
Dに属す各xについては、f (x)+ であるゆえ、
  
f1 (x)1 , f2 (x)2 , f3 (x)3 , , fn (x)n ,    
  つまり、{
fn (x ) }n 。 
  したがって、
     
  
f (x)+ だから、
     
以上から、定義域
Dに属す各xにたいして、
        
となることがしめされた。
すなわち、定義域
Dにおいて、関数列{ f1 , f2 , f3 , }は、1変数関数fに各点収束する

[トピック一覧:単関数近似]
総目次

定理: 非負「広義実数値」1変数関数の単関数列近似は可能

設定

この定理は、以下のように設定された舞台上で成立する。
Step1実数を全てあつめた集合(実数体)R広義の実数の集合R*を用意する。
Step2R部分集合をひとつきめて、Dと名づける。
Step3D定義域とし、広義の実数値をとる「非負広義実数値1変数関数y= f (x)
   つまり、 
   
1変数関数fDR*」であって、
     
任意の xDRにたいして、0≦f (x)+
   を満たすもの
   を用意する。
Step3実数体R距離dを定めて、実数体R上に、距離空間( R , d )を設定。

[文献]
ルディン『
現代解析学10.20(p.267)
志賀『
ルベーグ積分3018(p.138)):図解付,可測関数のケース。
猪狩『
実解析入門』定理3.4(p.58):可測関数のケース。
伊藤清三定理
10.1(p.63):図解付,可測関数のケース。

定理

任意のxDRにたいしてf (x)≧0を満たす限りで任意の広義実数値1変数関数
  
y= f (x)
に対して、
次の条件を満たす
関数列{ f1 , f2 , f3 , }が存在する。
[条件1] 関数列{ f1 , f2 , f3 , }の各項 f1 , f2 , f3 , …は、すべて単関数
[条件2] 関数列{ f1 , f2 , f3 , }は、単調増加列。

  つまり、

   任意のxDRにたいして、
    
xを固定して得られる数列 { fn(x ) }={ f1 (x ) , f2 (x ) , f3 (x ) , } が、
      
f1 (x )f2 (x )f3 (x )≦…
    を満たす。 
[条件3] 関数列{ f1 , f2 , f3 , }は、1変数関数f各点収束する。
   つまり、
   
任意のxDRにたいして
    
xを固定して得られる数列 { fn(x ) }={ f1 (x ) , f2 (x ) , f3 (x ) , } が、
    同じ値に
xを固定して得られるf (x) に収束する。    

証明

条件1-3を満たす関数列{ f1 , f2 , f3 , }の実例を一つあげることができるから。
 →
その実例 

[トピック一覧:単関数近似]
総目次

定理: 非正値実数値1変数関数に各点収束する関数列

要旨

任意の非正値実数値1変数関数 g にたいして、「g に各点収束する単関数の単調減少列」が存在する。

設定

この定理は、以下のように設定された舞台上で成立する。
Step1実数を全てあつめた集合(実数体)Rを用意する。 
Step2R部分集合をひとつきめて、Dと名づける。
Step3D定義域とする「非正値実数値1変数関数y= g (x) 
    つまり、 
     
1変数関数gDR」であって、
     
任意の xDRにたいして、g (x)≦0
    を満たすもの
    を用意する。

[文献]
ルディン『
現代解析学10.20(p.267)

   

定理

任意のxDRにたいしてg (x)0を満たす限りで任意の実数値1変数関数
  
y= f (x)
に対して、
次のように定義された
関数列gn}={ g1 , g2 , g3 , }は、
[性質1] [性質2] [性質3]を満たす。

[関数列{ gn(x)}={ g1 , g2 , g3 , }の定義]
 
Step1:関数gn(x)の定義
 ある自然数
nを一つ決める。
 
x軸上の「y = g (x) 定義域Dを、
 
(n2n1)個のR上の点集合 
  
E(n,) g -1 ( 1/2n,−0/2n ) { x DR | −0/2nf (x)>−1/2n }  
  
E(n,1) g -1 ( 2/2n,1/2n ) { x DR | 1/2nf (x)>−2/2n }  
  
E(n,2) g -1 ( 3/2n,2/2n ) { x DR | 2/2nf (x)>−3/2n }
  E(n,3) g -1 ( 4/2n,3/2n ) { x DR | 3/2nf (x)>−4/2n }
   :
  
E(n,n2n1) =g -1 ( n,(n1/2n) ) { x DR |(n1/2n)f (x)>−n}  
  E(n) g -1 ( −∞,n ) { x DR | nf (x) }  
 に切り分け、  
 これらの
定義関数を用いて、
 
1変数関数gn(x)=−0χE(n,0)(x)(1/2n)χE(n,1) (x)(2/2n )χE(n,2) (x)(3/2n )χE(n,3) (x)
                  
                      
+nχE(n) (x)   
 を定義する。
 
Step2:関数列{gn(x)}の定義
 ・上記の
1変数関数gnで、n1とした
             
g1 (x)=−0χE(1,)(x)(1/2)χE(1,1) (x)1χE(1) (x)  
 ・上記の
1変数関数gnで、n2とした
             
g2(x)=−0χE(2,)(x)(1/4)χE(2,1) (x)(1/2)χE(2,2) (x)(3/4)χE(2,3) (x)1χE(2,4) (x)
                     −(5/4)χE(2,5) (x)(3/2)χE(2,6) (x)(7/4)χE(2,7) (x)2χE(2) (x)  
 ・上記の
1変数関数gnで、n3とした
           
g3(x)=−0χE(3,)(x)(1/8)χE(3,1) (x)(1/4)χE(3,2) (x)(3/8)χE(3,3) (x)(1/2)χE(3,4) (x)
                −(5/8)χE(3,5) (x)(3/4)χE(3,6) (x)(7/8)χE(3,7) (x)χE(3,8) (x) 
                 −
(9/8)χE(3,9) (x)(5/4)χE(3,10) (x)(11/8)χE(3,11) (x)(3/2)χE(3,12) (x)
                  −(13/8)χE(3,13) (x)(7/4)χE(3,14) (x)(15/8)χE(3,15) (x)2χE(3,16) (x)
                   −(17/8)χE(3,17) (x)(9/4)χE(3,18) (x)(19/8)χE(3,19) (x)(5/2)χE(3,20) (x)
                    −(21/8)χE(3,21) (x)(11/4)χE(3,22) (x)(23/8)χE(3,23) (x) 
                     −
3χE(3) (x)   
 :        

 :        
 という具合に、自然数nを一つずつ増やしながら、上記の1変数関数gnを並べていったものを、 
    
関数列 gn}= { g1 , g2 , g3 , }  
 として定義する。
 
この関数列gn}={ g1 , g2 , g3 , }について、もっと詳しい説明 
[性質1] この関数列の各項 g1 , g2 , g3 , …は、すべて単関数
なぜ?→→f は非正値一価関数であるから、 fが非負実数値関数であるケースと同様にして、
       
E(n,) , E(n,1) , E(n,2) ,, E(n,n2n1), E(n)定義域D直和分割となることが確かめられる。
     したがって、
fn(x)単関数の定義をみたす。 
[性質2] この関数列は、単調減少列。
     つまり、
      
任意のxDRにたいして、
      
xを固定して得られる数列 { gn(x ) }={ g1 (x ) , g2 (x ) , g3 (x ) , } が、
        
g1 (x )g2 (x )g3 (x )≧…
      を満たす。 
なぜ?→  
[性質3] この関数列{ g1 , g2 , g3 , }は、1変数関数f に各点収束する。 
なぜ?→ 

・非正値実数値1変数関数g(x) から、非負値実数値1変数関数f (x)=g(x)を定義する。
 したがって、
g(x)=f(x)となる。
・また、
関数列gn(x)}= { g1(x) , g2(x), g3(x), }から、
    
関数列fn(x)}={−gn(x)}={−g1(x) ,g2(x),g3(x),…}を定義する。
 したがって、{
gn(x)}={−fn(x)}となる。
定理により、関数列fn(x)}は単調増加で、f(x)に各点収束する
 したがって、{
gn(x)}={−fn(x)}は単調減少で、−f (x)=g(x)に各点収束する
       ∵
収束数列の極限の演算則(1) 

[トピック一覧:単関数近似]
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定理: 実数値関数の単関数列による近似

要旨

任意の実数値1変数関数 f にたいして、「f に各点収束する単関数列」が存在する。

設定

この定理は、以下のように設定された舞台上で成立する。
Step1実数を全てあつめた集合(実数体)Rを用意する。 
Step2R部分集合をひとつきめて、Dと名づける。
Step3D定義域とする「実数値1変数関数y= f (x) 
    を用意する。

[文献]
ルディン『
現代解析学10.20(p.267)p.265
伊藤清三定理
10.1(p.63):図解付,可測関数のケース;p.78

定理

任意の実数値1変数関数
  
y= f (x)
に対して、
次の条件を満たす
関数列{ f1 , f2 , f3 , }が存在する。
[条件1] 関数列{ f1 , f2 , f3 , }の各項f1 , f2 , f3 ,…は、すべて単関数
[条件2] 関数列{ f1 , f2 , f3 , }は、1変数関数f各点収束する。
    つまり、
    
任意のxDRにたいして
     
xを固定して得られる数列 
      {
fn(x ) }={ f1 (x ) , f2 (x ) , f3 (x ) , } 
     が、同じ値に
xを固定して得られるf (x) に収束する

証明

Step1: 
f (x)から、f(x)max {f (x),0}, f(x)=−min {f (x),0} を定義する。
すると、 
 ・
f (x)f(x)f(x) …(1) 
 ・
f(x)は非負1変数関数だから、定理より、
  次の条件を満たす
関数列{ f1 , f2 , f3, }が存在する。
  
[条件1] 関数列{ f1 , f2 , f3 , }の各項f1 , f2 , f3 ,…は、すべて単関数。…(2-1)
  [条件2] 関数列{ f1 , f2 , f3 , }は、f各点収束する。…(2-2)
      つまり、
      
任意のxDRにたいして
       
xを固定して得られる数列 
        {
fn(x ) }={ f1 (x ) , f2 (x ) , f3 (x ) , } 
       が、同じ値に
xを固定して得られるf (x) に収束する。  
 ・
f(x)は非負1変数関数だから、定理より、
  次の条件を満たす
関数列{ f1 , f2 , f3, }が存在する。
  
[条件1] 関数列{ f1 , f2 , f3 , }の各項f1 , f2 , f3 ,…は、すべて単関数。…(3-1)
  [条件2] 関数列{ f1 , f2 , f3 , }は、f各点収束する。…(3-2)
      つまり、
      
任意のxDRにたいして
       
xを固定して得られる数列 
        {
fn(x ) }={ f1(x ) , f2(x ) , f3(x ) , } 
       が、同じ値に
xを固定して得られるf(x) に収束する
Step2: 
単関数どおしの和差は単関数だから、(2-1) (3-1)より、 
   
関数列{ fn(x ) fn(x )}={ f1(x )f1(x ) , f2(x )f2(x ) , f3(x )f3(x ) , } 
 の各項
f1(x )f1(x ) , f2(x )f2(x ) , f3(x )f3(x ) , は、すべて単関数。 …(4) 
収束数列の極限の演算則より、
 「収束数列の各項」と「収束数列の各項」との和を各項とする数列は、極限値どおしの和に収束するから、
 
(2-2) (3-2)より、 
  
任意のxDRにたいして
  
xを固定して得られる数列 
    {
fn(x ) fn(x )}={ f1(x )f1(x ) , f2(x )f2(x ) , f3(x )f3(x ) , } 
  は、
f(x)f(x)に収束する
  すなわち、
  
関数列{ fn(x ) fn(x )}={ f1(x )f1(x ) , f2(x )f2(x ) , f3(x )f3(x ) , } 
  は、
f(x)f(x)各点収束する。
 したがって、
(1)より、  
 
関数列{ fn(x ) fn(x )}は、f (x)各点収束するといえる。 …(5) 
Step3: 
 
(4)(5)より、
 
任意の実数値1変数関数f (x)に対して、
 各項がすべて
単関数であり、かつ、f (x)各点収束する関数列
    {
fn(x ) fn(x )}={ f1(x )f1(x ) , f2(x )f2(x ) , f3(x )f3(x ) , }
 が存在することが確認された。

 

[トピック一覧:単関数近似]
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