関数列・関数項級数の一様収束判定条件トピック一覧  

関数列の一様収束についてのコーシーの判定条件/関数項級数の一様収束についてのコーシーの判定条件/ 
    
ワイエルストラスのM判定法  

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関数列・関数項級数とその極限の定義/極限関数の連続性/関数列の極限と積分/単関数列近似 
一般化:実数値関数一般からなる関数列の一様収束判定条件 
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定理: 関数列の一様収束についてのコーシーの判定条件

   

[文献]
吹田新保『
理工系の微分積分学』第53(p.140);
小平『解析入門I』第53a)(pp.216-7)
黒田『微分積分』第35(p.116)
ルディン『現代解析学7.8 (p.149)

 

関数列{ fn(x)}区間I上一様収束することの必要十分条件は、
 
|fl(x)fm(x) |=0
が成り立つことである。

ε-N論法
による
厳密な表現

関数列{ fn(x)}区間I上一様収束することの必要十分条件は、
任意の正数εに対して、
  
xIを満たす限りの全てのxにおいて、
  
l,m >Nならば|fl(x)fm(x) |<ε
を成立させるある自然数
Nが存在することである。

論理記号
を用いた
表現

関数列{ fn(x)}区間I上一様収束
 (ε>0) (NN) (l,mN) (xI) ( l,m >N|fl(x)fm(x) |<ε)

ポイント

どのようにxIをとっても、xの値に関わりなく、共通のNをとれなければならない点に注意。

証明

吹田・新保『理工系の微分積分学』第53(p.140)
小平『解析入門I』第53a)(pp.216-7.)
黒田『微分積分』第35(p.116.)
を参照せよ。

[トピック一覧:関数列の一様収束条件]
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定理: 関数項級数の一様収束についてのコーシーの判定条件

   

[文献]
吹田新保『
理工系の微分積分学』第53(p.140);
小平『解析入門I』第53a)(p.217)
黒田『微分積分』第35(p.120)

ε-N論法
による
厳密な表現

関数項級数区間I上一様収束することの必要十分条件は、
任意の正数εに対して、
  
xIを満たす限りの全てのxにおいて、
  
lm >Nならば|fm+1 (x)+ fm+2(x)++ fl(x) |<ε
を成立させるある自然数
Nが存在することである。

論理記号
を用いた
表現

関数項級数区間I上一様収束
 
(ε>0) (NN) (l,mN) (xI) ( l>m >N|fm(x)+ fm+1(x)++ fl(x) |<ε)

ポイント

どのようにxIをとっても、xの値に関わりなく、共通のNをとれなければならない点に注意。

証明

関数項級数区間I上一様収束するとは、
 部分和列{
sm(x)}={ s1(x), s2(x), s3(x),…}={ f1(x), f1(x)+f2(x), f1(x)+f2(x) +f3(x),…}
 が、
s(x)関数列として一様収束することであるとして定義された。
よって、
関数項級数区間I上一様収束することの必要十分条件とは、
関数列{ s1(x), s2(x), s3(x),…}={ f1(x), f1(x)+f2(x), f1(x)+f2(x) +f3(x),…}が一様収束することの必要十分条件であって、これは、関数列{ s1(x), s2(x), s3(x),…}={ f1(x), f1(x)+f2(x), f1(x)+f2(x) +f3(x),…}に関数列の一様収束についてのコーシーの判定条件を適用してえられた
 
(ε>0) (NN) (l,mN) (xI) ( l,m >N|sl(x)sm(x) |<ε)
である。ここで、
lmならば、sl(x)sm(x)={ f1(x)+f2(x) ++fl(x)}−{ f1(x)+f2(x) ++fm(x)}= fm+1(x)fm+2(x)++ fl(x)  
となって、関数項級数が一様収束するためのコーシーの判定条件が得られる。
[小平『解析入門I』第53a (p.217);]

[トピック一覧:関数列の一様収束条件]
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定理: ワイエルストラスのM判定法

   

[文献]
吹田新保『
理工系の微分積分学』第53(p.140);
黒田『微分積分』第35(p.120-1)
ルディン『現代解析学7.10(p.150)

   

[トピック一覧:関数列の一様収束条件]
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定理:

   

[文献]
黒田『
微分積分』第35(p.116)

 

関数列{ fn(x)}区間I上一様収束するならば
区間
Iに含まれる任意の区間J上でも、
関数列{ fn(x)}一様収束する。

定理:

   

[文献]
黒田『
微分積分』第35(p.116)

 

関数列{ fn(x)}区間I上一様収束し、
かつ
関数列{ fn(x)}区間J上一様収束するならば
区間
Iに含まれる任意の区間Jでも、
関数列{ fn(x)}区間IJ上一様収束する。

 

(reference)

吹田・新保『理工系の微分積分学』学術図書出版社、1987年、第53(pp.137-9). 標準的。
小平邦彦『
解析入門I (軽装版)岩波書店、2003年、第53a)(pp.216-217.)。標準的。
黒田成俊『
21世紀の数学1:微分積分』共立出版、2002年、第35(p.116.)。標準的。非常に丁寧。
Walter Rudin, ,Principles of Mathematical Analysis,Mcgraw-Hill,1953-1976.
=ウォ−ルタ−・ルディン『現代解析学』共立出版、1971年、第77.1-:。ただ定義と定理を説明するのではなく、関数列で扱う主要問題と狙いを深いところから説明していて助かる。特に、連続関数列の極限が連続であるかどうかという問題が、極限の順序交換可能性の問題にほかならないなどとあらかじめ説明している点。
高橋一『
経済学とファイナンスのための数学』新世社、1999年、第22.1I(p.43):10行だけの説明。
Fischer,Emanuel
.Intermediate Real Analysis(Undergraduate Texts in Mathematics),Springer-Verlag New York Heidelberg Berlin,1983,ChapterXI-II.