定義:Rにおける集合の集積点 accumulating point, accumulation point , point of accumulation  極限点 limit point , cluster point

ビギナー向け「集積点」定義  
厳密な「集積点」定義 
 →集積点の定義ータイプ0:距離のみを用いた表現/開区間を用いた表現/近傍を用いた表現/除外近傍を用いた表現
 →集積点の定義ータイプ1:距離のみを用いた表現/開区間を用いた表現/近傍を用いた表現/触点を用いた表現/閉包を用いた表現 
 →集積点の定義ータイプ2:距離のみを用いた表現/開区間を用いた表現/近傍を用いた表現 
 →数列をつかった集積点の定義 
・厳密な「集積点」定義間の関係
 ・集積点定義タイプ0⇔集積点定義タイプ1/集積点定義タイプ0⇔集積点定義タイプ2/集積点定義タイプ0⇔数列をもちいた集積点定義  
 ・集積点定義タイプ1⇔集積点定義タイプ2/集積点定義タイプ2⇔数列をもちいた集積点定義 
・集積点と他の位相概念との関係
 →集積点と内点・外点・境界点との関係  
 →集積点と触点・閉包との関係  


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集積点の定義─タイプ2 : 距離表現


・「実数aが『R部分集合E集積点である」とは、

  εに設定した距離を変更して、《aからの距離ε以内のゾーン》の幅をどのように変えたときでも、

  《実数aから距離ε以内のゾーン》に、無限に多くの「Eに属す実数」が実在している

  ということ。

  [Lang, Undergraduate Analysis,Chapter2§1(p.36);Lang,ラング現代微積分学』2章§1(p.43):Eを「数の無限集合」に限定。]

論理記号で表すと、

   ∀ε>0  ( E { xR | |x-a|}  が無限集合

【文献】
Lang,ラング現代微積分学』2章§1(p.43)「数の無限集合Eの集積点」とは、次の性質を持った数aを意味するものとする。「与えられたεに対して、|x-a|<εなる無限に多くの元x∈Eが存在する。」このように、Serge Langは、Eを「数の無限集合」に限定しているが、これに対して、志賀『位相への30講』第4講(p.27)は、Eが「有限個の点からなる集合のときには、」Eの「集積点は存在しない」と述べている。
Lang,ラング現代微積分学』8章§1(p.175)Sの集積点は、Sの触点。
Lang, Undergraduate Analysis,Chapter2§1(p.36):a point of accumulation of the infinite set of numbers S .
Lang, Undergraduate Analysis,Chapter8§1(p.157):数列の集積点→無限集合の集積点→"In particular, a point of accumulation of S is adherent toS"




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集積点の定義─タイプ2 : 開区間表現


・「実数aが『R部分集合E集積点である」とは、

  開区間 ( a−ε, a+ε) の幅εをどのように変えたときでも、

  ( a−ε, a+ε) に、無限に多くの「Eに属す実数」が実在している

  ということ。[吹田新保『理工系の微分積分学』1章§2(p.16)]

論理記号で表すと、

 「実数aが『R部分集合E集積点である」とは、

  ∀ε>0  ( (a−ε, a+ε) E   が無限集合

【文献】
 ・吹田新保『理工系の微分積分学』1章§2(p.16)
 ・永倉・宮岡『解析演習ハンドブッ ク[1変数関数編]』4.1.7:同値条件。「すべてのaのδ近傍(a-δ,a+δ)は、aとは異なるAの点を含む。」「すべてのaのδ近傍(a-δ,a+δ)は、無限に多くのAの点を含む。」



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集積点の定義─タイプ2 : 近傍表現


・「実数aが『点集合E集積点』である」とは、実数aのいかなるε近傍を考えても、集合Eに属す実数が無限に多く含まれるということ[能代『極限論と集合論7章2集積点(p.128)]

      ∀ε>0 (Uε(a) E無限集合) [小平『解析入門I』§1.6(p.58)]

【文献】

 ・永倉・宮岡『解析演習ハンドブッ ク[1変数関数編]』4.1.7:同値条件。「すべてのaのδ近傍(a-δ,a+δ)は、aとは異なるAの点を含む。」「すべてのaのδ近傍(a-δ,a+δ)は、無限に多くのAの点を含む。」

・岡田『経済学・経営学のための数学』4.3(p.163)

【近傍をつかった定義1】【近傍をつかった定義2】の関連性
 [定義1⇒定義2の証明]
 ・能代『極限論と集合論7章2集積点定理1(p.129):実数aのいかなるε近傍にも、aと異なる「集合Eに属す実数」が少なくとも一つ含まれる(定義1)ならば、「実数aは『集合E集積点(定義2)』である
 ・ルディン『現代解析学』2.22定理(p.34)
      pがEの集積点(定義1)ならば、pの任意の近傍はEの点を無限に多く含む(定義2)。
 [定義2⇒定義1の証明]
  これは、自明か。



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reference ─ 集積点の定義タイプ2

・永倉・宮岡『解析演習ハンドブッ ク[1変数関数編]』4.1.6タイプ0で「aAの集積点」を定義(p.135):4.1.7:同値条件。「すべてのaのδ近傍(a-δ,a+δ)は、aとは異なるAの点を含む。」「すべてのaのδ近傍(a-δ,a+δ)は、無限に多くのAの点を含む。」
・吹田新保『理工系の微分積分学』1章§2(p.16):「実数aが『Rの部分集合E集積点』である」とは、任意のε>0につき、開区間(a-ε,a+ε)がEの点を無限個含むということ。開区間(a-ε,a+ε)を、aのε近傍と呼ぶ。6章§1(p.155):Eの内点はすべてEの集積点。Eの境界点は、Eの集積点か、Eの孤立点。Eの外点は、Eの集積点でも、Eの孤立点でもない。

・高木『解析概論』第1章7.集積点(p.14);「実数aが『集合E集積点』である」とは、実数aにどれほど近いところにも、集合Eに属す実数が無数にあるということ。ただし、実数aが集合Eに属すというのではない」
・能代『極限論と集合論7章2集積点(p.128):Rn上。「実数aが『集合E集積点』である」とは、実数aのいかなるε近傍を考えても、集合Eに属す実数が無限に多く含まれるということ。Eの集積点は必ずしもEには含まれない。
 定理1(p.129):集積点の定義は次のようにいいかえることができる。実数aのいかなるε近傍にも、aと異なる「集合Eに属す実数」が少なくとも一つ含まれるならば、「実数aは『集合E集積点』である」[証明付]
 定理3(p.130)点集合Eの集積点とEの点ばかりからなる点列の極限点とのあいだに次の定理がある。
   点PがEの集積点であるための必要かつ十分な条件は、Eの点ばかりからなる点列PnがあってすべてのnにたいしてPn≠PかつPを極限点とすることである。

・小平『解析入門I』§1.6(p.58):accumulating point.
  ・「PがSの集積点である」とは、すべての正の実数εにたいして、Uε(P)がSに属す無数の点を含む。すなわちUε(P)∩Sが無限集合であるということ。
  ・Sの内点はすべてSの集積点。(aが「Sの内点」ならば、aは「Sの集積点」。)
  ・Sの集積点は、Sの内点であるかまたはSの境界点。(aが「Sの集積点」ならば、aは「Sの内点」または「Sの境界点」。)
  ・Sの境界点PがSに属さないならは、PはSの集積点。[証明付]
    (ということは、aが「Sの境界点」ならば、aが「Sの集積点」になるときも、「Sの集積点」にならないときもある。) 

           集積点−内点。Sに属さないSの境界点。
           *孤立点−Sに属す点で、集積点ではないもの。
             *Sの閉包=Sの導集合(集積点の集合)+「Sの孤立点の集合」
                  Sの導集合(集積点の集合)=集合Sに属す内点+集合Sに属さない集合Sの境界点?
Lang,ラング現代微積分学』2章§1(p.43)「数の無限集合Eの集積点」とは、次の性質を持った数aを意味するものとする。「与えられたεに対して、|x-a|<εなる無限に多くの元x∈Eが存在する。」;8章§1(p.175)Sの集積点は、Sの触点。
Lang, Undergraduate Analysis,Chapter2§1(p.36):a point of accumulation of the infinite set of numbers S .;Chapter8§1(p.157):数列の集積点→無限集合の集積点→"In particular, a point of accumulation of S is adherent toS"

・岡田『経済学・経営学のための数学』4.3(p.163):実数xがRの部分集合Aの集積点であるとは、実数xの どんな近傍もAの点を無数に含むということ。accumulating point.{1/n|n∈N}の集積点は、0だけ。{1/n|n∈N}の元は集積点にならない。内点にはなるのか?→ならない。B-W定理:Rの有界な 無限集合は、少なくとも一つの集積点をもつ。4.5(pp.174-5):位相空間において、aがSの集積点であるとは、aの任意の近傍が Sの点を無限に含むこと。aがSの集積点でないとき、aをSの孤立点であるという。有限集合は集積点をもたずSの点はすべて孤立点。無限集合では、Nのよ うに、有界でなければ集積点を持たない。Rの有界な無限集合は集積点を持つ。



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