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【上記の「集積点」定義の曖昧さ】 ・自然数や整数のなかで考えるときは、自然数nの「直前」「直後」「隣」は、ハッキリしている。 たとえば、「3の直前」は2、「3の直後」は4、したがって、「3の隣」は2と4、というように。 ・ところが、実数の範囲に広げて考えると、実数aの「直前」「直後」「隣」は、何を指すのか、不明確になってしまう。 ・たとえば、πの「直前」「直後」「隣」とは、何を指すのだろう? ・3は、πの「前」にはあるけれど、 3よりは、3.1のほうが、πの「直前」には相応しい。 ・しかし、3.1よりは、3.14のほうが、πの「直前」には相応しい。 ・しかし、3.14よりは、3.145のほうが、πの「直前」には相応しい。 ・しかし、3.145よりは、3.1459のほうが、πの「直前」には相応しい。 : : ・こんな具合で、 実数aの「直前」「直後」「隣」は、確かにあるはずなのだけども、 これだと思って捕まえようとした途端、もっと、実数aに近い「直前」「直後」「隣」が必ず現れてくるので、 どこまでいっても、どの実数が実数aの「直前」「直後」「隣」なのか、明示できなくなってしまうのだ。 どの実数が実数aの「直前」「直後」「隣」なのか、明示できないということは、 実数aの隣(直前・直後)が、「Eに属す実数」なのかどうかも、明示できない。 だから、上記の定義に照らし合わせて、 「実数aが『Eの集積点』である」がどうか判定しようとしても、 その結果を明示することは出来ないということになる。 ・こうした事態は、《切れ目がない》という実数の性質に起因する。 実数には《切れ目がない》から、実数aの「直前」「直後」「隣」にあたる実数は?という発想が不適切になるのだ。 ・それでは、実数aの「直前」「直後」「隣」にあたる実数がEに属すかどうかを問うのをやめて、 「実数aに限りなく近い実数」が、「Eに属す実数」かどうか問うことにすれば、 事態は改善するだろうか? ・残念ながら、改善の見込みはない。 やはり、 どの実数が「実数aに限りなく近い実数」なのか、明示できない、 したがって、「実数aに限りなく近い実数」が「Eに属す実数」なのかどうかも、明示できない。 これでは、 ネーミングが、 実数aの「直前」「直後」「隣」から、 「実数aに限りなく近い実数」に変わった というだけの話だ。 ・いっそのこと、 《切れ目がない》という実数の性質に逆らわず、 《切れ目がない》という実数の性質に素直に従ってみたらどうだろうか。 《切れ目がない》という実数の性質に逆らって、 「aの直前・直後・隣」の実数、「aに限りなく近い実数」という、個々の実数に着目しようとするのはやめてにして、 《切れ目がない》という実数の性質に身を任せて、 実数aの前後をカバーする《切れ目がない》ゾーンに着目すれば、 もっと明確に「実数aが『Eの集積点』である」ということを定義できるのではないか。 この発想で組み立てられたのが、下段の厳密な「集積点」定義になる。 |
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