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11章)スポーツ/芸能・娯楽

「道頓堀に沈むK・サンダースの怨念を鎮める!」 

タイガースは呪われた球団である◆85年10月16日(優勝決定日)未明、バースにそっくり(ヒゲで白人という共通点)との理由でファンの群れに胴上げされ、道頓堀に放り込まれたカーネル・サンダースに祟られているのだ。過去、タイガース・ファンはこの呪いを鎮めるため、様々な努力を試みてきた。なかでも影のオーナーと自認するタレント、上岡龍太郎は自らの番組「探偵ナイトスクープ」(大阪朝日放送テレビ)でハイテク機器なども使用し水没した人形の探索をこころみた。だが、透明度10センチ以下という水中に潜ったレポーターは目に雑菌が入り片目を腫らし体調を崩し、ついには番組をおりることになる◆一方、タイガースが優勝できないのはケンタッキーの呪いではなく、別の呪いだとの説もある。新庄、亀山などのスターが生まれ、山田、中込、田村らの活躍で呪いなど消えたようにおもえた91年9月下旬、大阪ではある噂が流れた。千日前の食堂百貨・千日堂の客寄せマスコット「スッポン太郎」が亀山にちなんで胴上げの標的になっているというものだった。しかし、スッポン太郎は元々ホークス・ファンであった。それ以来、スッポン太郎は逆恨んで現在もタイガースを呪っているという。スッポンだけにこの呪いはしつこい。これからも、タイガース・ファンの悩みはつきない●足元のシリンダー鍵に注意!('94/10「GON!」vol.3に掲載)

 

「サンテレビ」

はナカナカ根性のあるテレビ局だ。神戸というエキゾチックタウンの U H F 局でありながら、そのイメージは田舎クサイ。今年の4月26日夜、名古屋空港では中華航空の旅客機が墜落炎上し各テレビ局は特番で大騒ぎしていた。サンテレビは何と偶然にも火曜洋画劇場「墜落大空港」というそのものズバリな B 級映画を予定どおり放映していた。エライぞ、サンテレビ! 余談だが、サンテレビの野球中継は、日本で一番フライ球を追うのがうまいことでも知られている。('94/11「GON!」vol.4に掲載)

 

「大阪球場」 

旧南海ホークスのホームグラウンド球場。「ナンバ」駅から歩いて5分という立地条件をもつことからナンバ球場とも呼ばれる。しかし、ここ十数年野球の試合で球場が満員になったのは聞いたことがなく、ナイター時の外野席などは事情通のカップルがペッティングの穴場として利用していた。球団をダイエーに身売りしてからはドーム映画館、中古外車ショーなど主に展示会場として利用されている。現在のグランドは住宅展示場と駐車場になっていた。十年前、西城秀樹をクレーンで吊り上げ外野席のお客の上でふりまわすというド派手な公演の最中、おりしも私は球場横の阪神高速道を走行中であり、もうすこしでハンドル操作を誤るところだった。南海の球場職員がよくも許したものだ。そんな体質であるから後年球団を身売りすることになるのだ。つくづく、南海はバカ会社だと思う。('95/4「GON!」vol.6に掲載)

 

「サンテレビ再び」 

地域密着地震報道という極限状態のさなかで、そのローカルに徹した放送姿勢への評価が全国的にもぐんと高まった神戸サンテレビであるが、やはり並みのテレビ局ではなかった。昼間のみ通常の番組に切り替わって間もない1月23日午後1時から放送した再放送の時代劇ドラマ「大奥」は恐るべきボーンヘッド。江戸が大地震にみまわれ、大火災になった下町を逃げまどう町民たちのアップから始まるこのドラマ、いくら時代劇とはいえ地震6日目ではまだキツイんではないかいな。直接クレームの出そうな被災中心地の方々にはライフラインがなくテレビどころではなかったのだろうが、すこしも話題にならなかったのが不思議である。また、地震2週間後からは地震以前の古いCMも放送され始め、三宮の全壊したであろうビルのカラオケスナックや、焼けてしまったのではと疑問を抱かせる長田の焼き肉屋のCMなどの連続ワザは、見ている方がヒヤヒヤするのである。('95/4「GON!」vol.6に掲載)

 

「タイガース」

●例年のことではあるが、オープン戦であれだけ戦った阪神タイガースがなかなか勝てない。弱い。5月中旬の時点で、たったの11勝しかしていない。球団創立60周年を記念して地元のUHF局「サンテレビ」では、タイガースが60勝するのは何月何日?などというクイズをしているが、正解は来年のゴールデンウィークのような気がするタイガースファンは多い●写真は大阪府池田市の熱狂的タイガースファンの米屋さんの配達トラックです。トラ縞塗装は特注でン十万円也!。カラーでお見せできないのが残念!('95/6「GON!」vol.8に掲載)

 

「謎の遊園地」

◆大阪の高校生常識のひとつに、神戸の「ポートピアランド」にカップルで行くと別れる、というのがある◆東京のように大規模なアミューズメントパークが近場にない関西では、電車で行ける派手な遊園地は「ポートピアランド」しかない。で、出かけてはみたが、サイフがカラになり別れた、という事ではないだろうか。そうしたふところの軽い高校生カップルにお薦めなのが、大阪府柏原市にある「玉手山遊園」である。「玉手山遊園」は、明治41(1908)年開園された西日本最古の遊園地、という歴史をもちます。問題があるとすれば、その開園時からほとんど進化していないところかも知れません。スクール水着のかなり内側に日焼けのアトがクッキリついているようなススンだ女子高校生にはウケないとおもうが、「ゴン」を読んでオモシロがれる女の子なら大丈夫。園内はディープな謎が充満してます。しかも、予算は一人2000円で十分●「玉手山遊園地」柏原市玉手山 9時30分〜5時 水曜休 大人400円/子供200円。にこにこパス(入園料+乗り物のり放題)1000円。雛投Oに参考記事あり●玉手山遊園地に行くならお得な「にこにこパス」で。高さ15メートルの「観覧車」、3人乗りのブランコが回る「チェーンタワー」、デパートの屋上によくあるような「アストロファイター」、1周50メートルほどの「こども電車」、12人で満席の「メリーゴーランド」、「おばけ屋敷」、の6つが乗り放題。「ボールプール」、「ミニ S L 」、「ふわふわマリオ」が1回200円。「バッテリーカー」、「ミニカー」が100円。ふっふっふっ、以上で園内の乗り物はおしまい。すごいでしょ。あとは、全国の郷土玩具が展示してある「おもちゃ館」を見て、団地の公園のような「こども冒険ランド」で汗を流して、心底さみしい気持ちにさせてくれる壊れた昆虫標本のある「昆虫館」を見学。つらくなったあなたには「慈母観音像」もあるので手をあわせてみるのもよいでしょう。歴史ファンには「後藤叉兵衛の碑」、小林一茶が立ち寄った記念の「一茶句碑」というのもある。古代史ファンには「玉手山古墳」もおすすめ。忘れてならないのが「すべり台」、50メートルが一台、30メートルのが二台あります。売店でダンボールをもらって敷くと死ぬほど恐ろしい目にあえる。春と秋のシーズン、しかも土日以外の曜日は、入園者がたぶん極端に少ないので寂しがりやのひとは、グループで行かないと心細い。近鉄「道妙寺」から10分。※玉手山遊園地は98年閉園しました('95/8「GON!」vol.9に掲載)

 

「十周年」

◆1985年の春、大阪キタのターミナルから扇町公園へと向かう昼なお暗い風俗アーケード「東通り商店街」を抜け切り、人通りがほとんどなくなる地点、いわば場末に「扇町ミュージアムスクエア」は開設した。大阪ガス株式会社の遊休地開発の一環というふれこみであったが、3階建てビルを改造したフォーラム(劇場)、スーベニール(雑貨店)、スタッフ(飲食店)、コロキューム(画廊→映画館)などから何故かクサミはまったく感じられなかった。なかなかシャレたもんができたのである。文化不毛の大阪ではあったがここを拠点に多数のグループが活動し、後に自他共にプロと呼ばれる演劇人がうまれることになる。予算を切り詰めた「大阪シゴト」も十年続くと値打ちをもつ。十周年を記念して上梓された本冊子は、ここ10年間の大阪の小劇団を中心とした演劇・自主映画資料としても価値が高いものである●「呼吸する劇場・扇町ミュージアムスクエア10周年記念」発行・扇町ミュージアムスクエア、発売・ビレッジプレス、1545円('95/9「GON!」vol.10に掲載)

 

「プラネタリウム」

◆秋の夜長、オナニーにふけるのもよいが、ここはひとつ夜空の星を眺めてはいかがなもんか。といっても町中ではそれもせんなかるまい。ということで人工的星空、プラネタリウムの出番である。戦前はプラネタリウムといえば光学の粋を集めたタイヘンな機械で、大阪の「旧電気科学館」に昭和10年設置されたドイツカールツァイス社(ライカカメラで有名)製のものは当時の金で四七万円也もした。これは世界でも24台目になり、当然わが国では初の快挙であった。戦後の少年たちに科学の心を啓蒙した漫画家手塚治虫も、幼小のみぎりこのプラネタリウムに感動し、その後「鉄腕アトム」を産み出すに至ったのである。「アトム」の原点はプラネタリウムだったのだ。ま、「どろろ」の原点でもあるのだが。現在は我が国の光学機器の進歩と共に、プラネタリウムの世界ではミノルタ製品が世界的にもハバをきかしている。ミノルタの故郷でもある関西にはプラネタリウムも数多く、工場がある兵庫県伊丹市、大阪府大阪狭山市には市民会館にまでプラネタリウムがあり、いまでは値打ちがない。でも、プラネタリウムには独特の人工的な科学の心があり捨てがたいのも事実だ●関西の主なプラネタリウム:「大阪市立科学館」中ノ島、「神戸市青少年科学館」ポートアイランド、「明石天文台」など、沢山あります。お薦めは、生駒山上遊園地内にある「宇宙科学館」。懐かしくアナクロな万博パビリオン風の建物も目を引く。カップルの名所でもある。('95/11「GON!」vol.10に掲載)

 

「馬好き」

◆我が国も戦後五十年を経て、生活に余裕ができたのか、あるいは、生活に潤いがなくなったのか、どちらとも知れないが、動物好きが増えている。特に近年、馬好きの数は年々増加傾向にあるという。といっても俗にいうサクラ肉(馬肉。料理人の間ではテっちゃんともいう)を食らう、精力家のことではない。さらに、金が余ってしょーがないJRA(中央競馬会)の口車に見事に乗った女子供(差別発言かな?)を伴った競馬ファンのことでもない。あれらは、バクチに於ける人間の欲というドロドロしたものを、オシャレなロマンという物語り性の風呂敷に包んだおかげで、やっと馬券買えるようになった小心者の集まりです。でもなかには、本当に馬という動物が好きで好きで競馬場に行く、という人物も存在する。道路に馬糞が落ちていた昔と違い今の都市に馬などいない。とおもうのは早合点、大阪には都心からほど近い地に、馬に乗れる公園がある●大阪キタの都心から20分、服部緑地公園々内にある「クレイン乗場センター」体験乗場コースがある。要予約。('95/11「GON!」vol.10に掲載)

 

「珍獣」

◆昭和30年代、世界中の動物園が客寄せのため、競って大型ネコ科の珍獣を人工的に創作しようと試みていた時期がある。こうしたゲテモノは関西人の得意とするところであったのか、ついに昭和34年、阪神パークは世界初の世紀の珍獣レオポン(ライオンとヒョウの子)を誕生させることに成功した。因みに、現在ではレオポンを始め、ライガー(トラとライオン)、タイポン(トラとヒョウ)などの異種掛け合わせはワシントン条約により禁止されている。エコとしてそれも一理あるが、珍しいイキモノを見るのは楽しい。ところで現在の関西の珍獣といえば、宝塚ファミリーランドのホワイトタイガーである。ただ白いだけのトラだが、ノーマルのトラがアルビノ(色素欠落)化した突然変異種ではなく、もともと白い体毛をもつトラで、国内動物園ではここにしかいないらしい。飼育係が毎日必死でトラの体毛を脱色しているという噂もあるにはあるが、なかなかの珍獣である吹u宝塚ファミリーランド」宝塚市栄町1-1-57、@0797(84)0321、水休み('96/1「GON!」vol.14に掲載)

 

「ひらパー」

◆この春、在阪のテレビでは、「ひらパー」、「パチャンガ」という聞き慣れない言葉を連呼する奇怪なCMが繰り返し流れされた。リニューアルされた遊園地「ひらかたパーク」のCMである。「ひらかたパーク」は、毎年NHKの大河ドラマなどを「大菊人形展」に仕立てるという、時代錯誤な見せ物を開催することのみで知られたローカル遊園地である。大阪では地名などの略すことが多く、上本町六丁目を上六、梅田新道を梅新、などというが「ひらかたパーク」を「ひらパー」、というのはかなり力が必要で違和感がのこる。何をしても東京ディズニーランドと勝負にはならず、都市全体が巨大な若年層の遊園地化している現状を無視した、かなり居直ったCMであった。だがその効果は絶大で、現在「ひらパー」は大人気、絶叫川下り「パチャンガ」も長蛇の列と聞く。これが、熱しやすく冷めやすい大阪人のいつものパターンなのである●ひらかたパーク/京阪電鉄「枚方公園」下車、枚方市枚方公園町一・一、大人・一三○○円、子供(三歳〜小学生)・七○○円('96/7「GON!」vol.20に掲載)

 

「パチンコ」

◆戦後、庶民のヒマツブシ娯楽として生を受けたパチンコ産業が、いまや18兆円産業といわれている。ここまで巨大になれば、パチンコは我が国の立派な根幹産業のひとつでもある◆異端の芸人、故トニー谷は、日本という国家を皮肉にもdパチンコ・カントリーeと名付けたというが、奇しくも現代を予言していたわけだ◆最近では、その現金本位的な業界をにらみ、スーパーや私鉄などの大手企業だけでなく、銀行までがその経営にのりだしている。パチンコのイメージをd裏eからd表eへ転換しようとしているのだ◆しかし、ふるくから白昼堂々、勝ち玉換金を非合法ではあるが慣例認定してきた関西圏には、パチンコは現実的に庶民のバクチとして位置づけられてきた歴史がある。カフェバー風の内装をもち、デパートのような景品引替所があろうとも、ほとんどは店のd裏eの景品引替(換金)所へまわってしまうのである崇n下鉄中央線緑橋の「ローズガーデン」は最近開店した新世代のd表eなパチンコ店。女性客をターゲットにしたソフトなイメージで話題になっている。('95/12「GON!」vol.13に掲載)

 

「大阪ドーム」

◆阪神タイガースが大阪のプロ野球チームであるという認識は国民の大多数を占めているが、甲子園球場は兵庫県西宮市に存在し、厳密には大阪のチームとはいえない。掛布、岡田、平田と続いた、面白顔レギュラーの伝統も、ここ数年アイドル顔に近づきつつあり、娯楽に飢えた阪神ファンたちを悲しませている。その点、近鉄バファローズはディープな大阪河内の中心部、藤井寺に小さな球場を持つ根っからの大阪のローカル球団である。ところが来シーズンからはフランチャイズとして大阪ドーム球場に移転するという。イメージアップを計画しているのだろうか、心配である。余談であるが、近鉄の球団マークは先日亡くなった岡本太郎がデザインしたものである●雨に煙る大阪ドーム(西道頓堀川「汐見橋」上で撮影)。末野興産の看板がすぐ近くにありますが、撤去される予定。('96/5「GON!」vol.16に掲載)

 


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