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5章)人種

「泉南のヤンキー・ファミリー大集合!『さやま遊園』探訪!」 

隠れたヤンキーファミリーの穴場として「さやま遊園」が知られている◆夏のプール期間中は水着のまま園内を自由に行動できるシステムをとる(入園者のほぼ全員が水着になる)ことから、長大な望遠レンズ付きカメラを持ったマニアが関西一円から集まる。また、アナクロな低年令むけの乗り物も多いことから休日には若い家族連れでにぎわいをみせる◆南河内という土地がら、ヤンママ、ヤンパパに連れられたヤンガキという、いわゆるヤンキーファミリー三点セットが入園者全体の60%を越える◆運が良ければケバいハイレグ姿の若い母親が茶色の髪を振り乱しながら、むずがる子供をコブシでブチ回す姿も見受けられる。その父親のファッションも筋金いりのモノホンがおおく、女物のサンダルにジャージー姿といったヤンキー初心者はあたりまえ、ダボシャツ、ステテコ、パンチパーマ、トルコブルーの腹巻という難易度の高い上級者もいる◆また近所の河内長野山中にある、滝畑ダムキャンプ場にはシャコタンからバニングへ転向したアウトドア・ヤンキーが集合しており、大阪南部はヤンキー・ファンには見逃せないエリアになっている。(94/10「GON」第3号.「西の常識#1号」)

 

「怪人21面相、グリコ犯はワシや!」

川崎ゆきおは「猟奇王」の漫画家である◆だが猟奇的な事をするアブナイ人ではない。グリコ事件の発生時はエビスヨシカズ氏が怪人21面相は川崎ゆきおであると書き、警察に取調べを受けたと聞くが、本人は否定する◆「いっつも昼ごろ起きて近所の喫茶店でアイス・コーヒー飲むねん。ほんまは水でもええねんけど少しは色ついてた方が安心するねんな。そのあと、自転車で近所にある実家でおそい朝食。食事が終わると自転車で国道ぞいの大きな本屋による。大きな本屋は立ち読みにもやさしいねんな。おもにカメラ雑誌、パソコン雑誌、バイク雑誌を中心に立ち読みで攻める。そうそうするうち本屋をでるともう夕方…。警察? グリコ犯? こんなことしてるようなもんに、あんな大それた事件が起こせるか! ケーサツに捕まったんはスピード違反だけじゃ! エベッさん(注:関西ではエビスはエベスに訛る)にはメーワクしとるわ!」●川崎ゆきお:1951年伊丹市に生まれる。1971年、「ガロ」デビュー、単行本12を上梓。マイナーの帝王として関西に君臨。近々「猟奇王大全(仮称)」が出版予定。カメラ、原付バイク、パソコンマニア。(94/10「GON」第3号.「西の常識#1号」)

 

「大空テント」

というスガスガシイ秋の空のような芸名をもつ関西芸人を知る人は少ない◆大阪府八尾市のテント商の家に生をうけたことから、師匠である上岡龍太郎により命名されたという◆その澄み切った名とはうらはらな氷点下のサム〜い芸風をもつ彼が舞台に立ったその時、観客のこころの中にはブリザードのような寒風が吹き荒れる◆ある種の精神的拷問に近い芸の形式は一応漫談になるのだが、明治時代の芸人が異常に長生きしたあげく新作漫談を演じているような風情がある◆決して下品な芸ではないのだが広く一般に受け入れられることはないと断言できる。この事実は個人的ファンであるわたしとしてもせつないが、今世紀中は無理であろう◆オリジナルな芸はある、しかし残念ながら売れそうにはない、という事なのだ。こうした芸人が10数年芸人を続けていられるのが関西なのである●テントのシングル「わらびもち」8百円也/収録曲:行き先は若者・ころは元禄わらびもち・テントのハウス/問い合わせ先:06-6243-4020.、FALL石原まで。(94/11「GON」第4号.「西の常識#2号」)

 

「横山ノック」

山田勇こと横山ノックが大阪府知事に選出されてしまった◆地方ではノック氏は、ハゲた政治的ポリシーをもたないタレント議員、として捉えられているだろうが、地元大阪では、ハゲた議員もしていた関西芸人、として認識されている◆政治家だからといって尊敬しているひとなどいない。庶民の娯楽の対象、おもちゃなのである。もっとも、関西芸人としての尊敬は十二分に集め、広く人気があるからこそ百数十万票余りを集め、当選したのであろう◆また、そのトレードマークであったピンカールを懐しがるひとも多く、ピンカール付きのカツラがハゲマニアの間で流行の兆しをみせている。(95/7「GON!」vol.8に掲載)

 

「外人さん」 

現在、関西も国際化の波はおしよせ、『外人さん』もアホ程いてはります◆主筆の自宅の三軒隣にはニュージーランド人の家族がすんでおり、近所にはパキスタン人親子もいます◆こおゆう風になったキッカケというのが25年前の「世界の国からコンニチハ」の合言葉(でいいのだろうか?)でおなじみ、大阪で開催された「万国博覧会」からのコトである◆それ以前は大阪で『外人さん』といえばインド人であった。インドの方々は商人として世界史でも有名な東インド会社の例を出すまでもなく、中国系の華僑と並びワールドワイドにお商売をしていたワケです。特にアジアにありながらインドの方々は偏平な我が国の民とあまりに異なった顔面を持ち、また特殊な趣味嗜を持つので大阪の本町繊維問屋街では国内ではとうていサバケないような、ブッ跳んだデザインの布地を喜んで本国へ送るインド商人を目にすることが多かったわけです◆関西がインド哲学の大きな影響を受けたヒッピー文化の先駆けとなったのも少しは関係があるかもしれません。紅茶喫茶やカレー屋も多いしね◆でも本当は大阪の外人で一番多いのは朝鮮・韓国人なのであった。外から見分けはつかないし、税金も払っているのに彼らに選挙権はないのだった。(95/7「GON!」vol.8に掲載)

 

「新梅田歩道橋」

松下幸之助といえば天下の松下電器産業、世界のナショナルの創始者で、存命中は、大阪城の主、豊臣秀吉になぞらえ「今太閤」とも呼ばれていた大阪を代表するお金持ちであった◆JR「大阪駅」前から阪急、阪神の両デパートにいたる「新梅田大歩道橋」は松下さんの寄付で建設されたという話だ。大阪人はがめつく、シブチン、いわゆるケチ、で通っていますが松下さん(大阪では知らない人でも好意を持つ有名人は知り合いと考え、さん付けになる)に限ってはあてはまらないわけですな。当時の金で2千万とも2億ともいわれています(どっちや?)。JR側にはエスカレーターも付いてます。バカみたい。(95/10「GON!」vol.11に掲載)

 

路上の謎A「じじい」

◆この老人はまっ昼間、兵庫県川西市の県道(交通量はそこそこ多い)のセンターライン上にたおれた自転車と共にヘタリこんでいた。聞くと、自分でコケたという◆見通しのよい道路ではあるが明らかに危険なため自転車を脇に寄せ、腰の抜けたじいさんをガードレールまで運んだ。大阪阿部野の昭和町から奈良の生駒へ向かう途中だという。これは謎である。地方のかたは一万分の一程度の地図を見ていただきたい。いくら方向音痴でも、大阪市内から奈良へ向かうのに兵庫県内は通過しない◆ひとなつっこい笑顔とはうらはらにじじいの自我は崩壊しているようであった。さらに、衣服の各所にはかなり血が滲んでおり、数台の車に当てられたような気配もある。自転車の荷物もよくみると野宿用具一式である。どう考えても単なる自転車ツーリングとは思えない謎のじじいでした。(96/8「GON!」vol.21に掲載)

 


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