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7章)衣

「キンキラ」

大阪のネーちゃんファッションといえばヒカリモノ派手派手ボディコン水商売風イケイケファッション、ときまっていたようなもんだった。がしかし、バブル崩壊がシブチンの大阪人のサイフをしめ、全盛時の目をあけていられないほど金銀ラメちりばめたキンキラ派手なネーちゃんたちのパワーは落ちている◆とはいっても、急に大阪のネーちゃんたちがジミになったわけではなく、身につけるモノのうちのひとつにはヒカリモノがからんでいると見ていい◆目立つか否か、というのが大阪のネーちゃんたちのファッションを選ぶ基準はゆるがず、未だ洗練を指向する兆しはない。結局、たどりついたのは1点豪華主義というわけで、どこで買ってくるのか不思議なおもいにかられるようなとりわけ派手な靴をはいている娘を街でよく見かける。靴は派手だ、と認めざるを得ない◆実は、全国的にメージされる派手な大阪ファッションは、元をただせば神戸ファッションにいきつく、と大阪では信じられている。古来より、江戸の着きだおれ、浪速の喰いだおれ、というように、神戸の履きだおれ、という言葉もある。神戸のお金持ちの若奥様などは、上品なフレンチファッションに身をつつみ、イタリアンブランドのチョッとだけ派手なシューズをお召しになっていたものでした。それを、大阪南部の根っからヤンキーがしみついたネーちゃんたちが、バブルをバックに神戸の金持ち風のファッションの真似をこころみてみたのだが、一時暴走族の改造車で流行ったタケヤリ、デッパと同じようにエスカレートしていき、元の神戸ファッションのキラッと光る上品な金持ちファッションとは似ても似つかぬ、とにかく光れば派手で目立つ、というパチンコ屋のカンバンのごときグロテスクなモノになってしまったのである。('95/1「GON!」vol.5に掲載)

 

「帽子」

大阪の地下鉄の駅員さんはラフな格好で仕事をするので有名であった◆制服はあるのだろうが、着こなしは各々の勝手。ひどいのになると、シャツの前ボタンを全てオープン、中のサンスプラッシュTシャツを自慢げに解放しながらホームを離れる車両を指さし確認、というレゲエな若い駅員までいた(実話)◆また、陽の射さない地下で帽子など必要ないじゃまくさいだけ、との組合決定事項があるのか、つねに帽子を被っているのは運転手と駅長ぐらいで、交通局のマークと名札が無ければタクシー運転手と見分けがつかない状態であった◆だが、こうした公務員として幸せな状況は続くわけはなく、ワイルドでアナーキーな状況はあっという間に消えてしまった。厳しい通達があったのか、いまでは真新しい帽子を駅員全員がかぶっている。しかもヘンな形(東京都営地下鉄と同型)なので誰一人似合っていないのだ●東京では見慣れているはずの小判型帽子(正式にはエピ帽)だけが目立つが、4月1日より制服すべてがおニュー。これで運賃値上げは確実。('96/7「GON!」vol.20に掲載)

 


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