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 神淵神社大祭(神渕神社大祭、天王様祭り)

 400年以上の歴史を持つと言われている神渕神社の例祭は、天岩戸の神話にちなんだ例祭であり、七宗町最大のイベントです。時代とともに簡素化されては来ていますが、御輿や山車が曵き出され、黒獅子が境内を舞い狂い、天狗とおかめの舞が奉納される姿などは、子供のころから変わっていません。神渕神社の大祭(地元では天王様祭りと呼んでいました)が来ると、春が訪れたという気分になったものです。奇祭と言われていますが、そんなに変わった祭というわけではないと思うのですが・・・。
 ちなみに“金幣社”とは社格(岐阜県だけの称号?)で、岐阜神社庁長の参向社ということです。その下が“銀幣社”で支部長の参向社、さらにその下が“白幣社”で部会長が参向する神社だそうです。七宗町には37ほど神社があるとのことですが、そのうち23だったかが神渕にあります。

◇本来は4月14日

 その昔は4月14日に行われていましたが(慶長8年4月14日に端を発しているそうです)、いつのころからか本来の祭の日に近い日曜(4月の第2日曜)に行われるようになりました。また、祭も簡略化されました。祭は9時くらいから3時くらいまでですが、午前中は本殿を行ったり来たりするような神事ばかりですから、午前中はあまり見所はありません。
 境内は、神社を見て左側が一段高くなっていてそこから山側が祭を見物する観客席になってます。観客席は、神渕の地区ごとに札が立てられていて、そこにゴザ(シートなど)を広げ、お弁当やお酒を楽しんでいます。まあ、観客席にあたるところならどこで見学していても、文句を言われることはありません。

◇祭当日は一方通行に

 麓の林道口(本来の参道は別で、林道として後から作られた道です)から山上の神社までは1本道です。現在はしっかりと舗装されているので、たいていの車は大丈夫です。神社にはけっこう大きな駐車場がありますが、お祭りの時はさすがに満車に近い状態になるようです。
 祭の見所は午後1時からですが、車で上る場合は午前中にしておかないといけません。途中、難なくすれ違いができるところが数カ所の細い道のため、お祭りの時は午前中は上り、午後は下りという通行の規制が行われます。消防団が入り口と上でチェックしています。

 神事は、いろいろ細かい決まり事がたくさんあるのですが、大ざっぱな流れとしては、扉を開き、神様を迎え、お供えをした後に祝詞を行い、神様が御輿で境内を旅され、途中、神楽などを奉納しでおもてなしをして、また戻られるというような儀式です。

◇午前中の神事→巫女の供物献上

 多くの儀式は元来、拝殿から急な石の階段を上がった本殿で行われていました。しかし、高齢化の影響で危険とのことから、数年前から下の拝殿で行われるものが多くなりました。拝殿では、まず本殿に行って扉を開き、次々と神事がとり行われていきます。供物献上をして、神主らによる祝詞、祝辞があったり、代表者によるたま串(榊)の奉納などが続きます。
 見所は巫女らによるお供物献上です。供物として海のもの、山のもの、川のもの、畑のものが用意されます。御神酒やら鯉、昆布、野菜などが順繰り手渡しで送られ祭壇に運ばれます。神事の終わりには、お供えと同様な巫女によるお供えを下げる神事が行われ、扉を閉める儀式で幕を閉じます。巫女は、当番の地区から選ばれた女学生らです。

黒獅子はヤマタノオロチ

 神社に祀られているのは、スサノオノミコト(須佐之男命)とクシイナダヒメノミコト(櫛稲田姫命)です(神渕神社を参照)。スサノオノミコトといえばヤマタノオロチというわけで、黒獅子はヤマタノオロチが役どころです。境内をところ狭しと暴れ回ります。
 黒獅子を舞うのは、昔から葉ハズ地区が担当しています。祭は地区単位の当番制ですが、ハズはその順番には入らないかわりに毎年獅子を舞います。昔は40人近い男達が獅子の胴にあたる幕(白地に赤のシマ模様)を引っ張り合う力強いものでしたが、今は若い男手が足りないので十数人というところですが、それでもけっこうな迫力です。お酒も入って荒っぽくなっているので、あまり近づきすぎると獅子にはたかれたりするので注意が必要です。


じじ( 棒振り)

ばば
◇「じじ」と「ばば」が獅子を誘導

 本殿での儀式が終わると獅子舞が始まります。黒獅子は、柿色系の装束に面をつけた「じじ」と「ばば」の先導で拝殿(かつては奥の院)から出てきます。「じじ」は棒を振り回すことから私たちは「棒振り」と呼んでいます。怖い顔の面を着け赤い棒を振り回すことから、鬼と思われるかもしれませんが、手奈椎(テナズチ)です。またやさしい面をしている「ばば」は、足奈椎(アシナズチ)です。神話で言うところの、クシイナダヒメノミコトの両親という役所です。

段差を滑り落ちたりして、ケガをすることもあります。
 実際、「じじ」は黒獅子の通り道を開ける(獅子に突っ込まれるとかなり危険。子供にからかわれることもある)役目をしています。獅子の誘導役はもっぱら「ばば」で、榊(さかき)の束を獅子頭の前で振って誘導というか怒らせているという演出をしています。まずは、本殿の周りを3周(右周り)し、続いて境内へ階段を下りて来ます。
 途中、休憩が入って運ばれて来たお神酒をあおると、ふたたび境内を暴れまわりはじめます。昔は、露店につっこんで被害を及ぼす前に、口から袖の下を渡して引き上げてもらうといった光景がありましたが、今は何かとうるさくなったため、露店につっこむようなことはありません。
◇御輿くぐり

 境内で黒獅子が暴れ回るのも後半になるとお囃子の音とともに、御輿行列が本殿の方から境内に入ってきます。これは、神様が御輿に宿り、境内を旅されるというものです。笛や太鼓、天狗やおかめ、神主、担当地区の方々、来賓や役員などが並びます。
 御輿が止まったのを見計らって御輿の下をくぐります。この時御輿に付いた鈴が鳴らされます。御輿をくぐると1年間、無病息災で過ごせると伝えられています。本当は往復くぐらないと御利益がもらえないと子供のころ聞かされました。
 御神輿も元来、本殿まで急な階段を担いで上げていたのですが、お年寄りが多くなり、危険だということで、下の拝殿からになりました。

左:天狗(猿田彦命)

右:おかめ(天鈿女命)

(当番の地区から選ばれたものが担当します)

◇山車の上での神楽

 クライマックスは山車と神楽です。山車の飾りは、毎年、当番の地区が考えて作りますが、だいたいNHK大河ドラマの主人公か、流行のキャラクターが題材とされます。
 山車の上では、まず飾り立てた稚児が1周します。舞うというわけでなく、とにかくちょっと1周させるという感じです。そして、大拍子(大太鼓)や下拍子(鼓)が打ち鳴らされ、天狗(猿田彦命)とおかめ(天鈿女命)の舞いが繰り広げられます。祭は巫女を除き、すべて男が担当します。
 山車では同じ舞が3回行われます。最初に舞って山車が引かれて中央に移動し、2回目を舞ってまた山車が引かれ、もう一度舞が披露されます。境内の大杉とその根を守るために、2重に柵ができたため、引きまわすエリアが限られてしまいました。ちなみに、山車を引くのは、次の当番の地区の人です

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