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妊娠中に決して飲んではいけない薬,また時期に注意すれば,胎児にほぼ影響なく飲める薬があります. 服用時期危険度点数(薬を飲んでいた時期による危険度)と薬剤危険度点数(薬自体の危険度)をかけあわせて危険度総合点数を計算します.この点数によって薬の影響がほぼ正しく評価できます. A)服用時期危険度点数 ひとくちに妊娠中といっても,妊娠の時期によって薬の影響ののでかたには大きなちがいがあります. 最終月経開始日からら27日までは,無影響期(点数=0)といわれます. この間に投与された薬は,ごく一部の残存性の強いもの(風疹ワクチン,シオゾールなど)以外は,催奇形性には関与しません. 28日から50日までは絶対的過敏期(点数=5)といわれ,月経がおくれ,市販の妊娠診断薬などで反応が出はじめる時期です. 薬物の影響が最もでやすく,妊娠の可能性がある場合には注意を要する時期です. 以下,51日から84日までは相対的過敏期(点数=3),85日から112日までは比較的過敏期(点数=2),113日から出産にいたるまでは潜在的過敏期(点数=1)と妊娠がすすむにつれて,薬物による危険度は下がっていきます. B)薬剤危険度点数 薬ごとに0点から5点まで点数が決められています.点数が多いほど,催奇形性の懸念が強くなります. C)危険度総合点数 A X Bを計算し,この点数を求めると妊娠中にのんだ薬の影響がつぎのように評価できます. よしみさん(仮名,29才)は,2人のお子さんがおられます. 月経がおくれ,3月15日に産婦人科を受診し,妊娠7週と診断されました. 考えてみると,ちょうど1月前,2月15日ごろからかぜをひき,お近くの内科で4日間治療をうけました. PL顆粒の処方があり,吸入も行ったことを思いだし,心配になって受診されました. 危険度総合点数は服用時期危険度点数(0点=妊娠3週)と薬剤危険度点数(2点=PL顆粒,吸入は1点で問題なし)をかけあわせて0点であり,危険度は薬を飲まなかった場合とかわりなく安心してよいと診断しました. 今後のかぜの時の薬物療法については,よく相談してから安全な薬をえらんで行う約束をしました. 聖子さん(仮名,32才)は,元来元気な女性です. 今回がはじめての妊娠で,現在16週です. 日頃から便通が遠く,便秘薬が欠かせませんが,胎児への影響を考え妊娠中は薬はのまずにすまそうと,水分を多く取ったり,食物繊維の豊富なキノコ,海草,豆類をとり,がんばってきました. しかし,この10日間便通がなく,薬物療法の可否について相談に来院されました. 弛緩性便秘症と診断がついたため,プルセニド2錠を処方しました. 翌日には排便があり,その後は,産婦人科の先生とも相談し,妊娠に差し支えない程度の運動(妊婦スイミング)と食事療法とあわせプルセニドを継続して服用してもらうことにしました. 危険度総合点数は服用時期危険度点数(3点=妊娠16週)と薬剤危険度点数(1点=プルセニド)をかけあわせて3点であり,危険度は薬を飲まなかった場合とかわりなく,安心して治療を続けてよいと考えられました. その後は,2日に1度は排便があり,あかちゃんも順調な経過です. 妊娠に気づかずに薬を飲んでしまった方, 妊娠だとわかっていたけれども,やむを得ず薬を飲み心配な方,もともとの病気があり薬を飲み続けながらの妊娠に不安を持っておられる方,あまり思い詰めずに,薬物療法に対して正しい知識のある内科医,婦人科医,薬剤師にご相談下さい. |
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