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手足口病は、口のなかの粘膜や手足,(そしておしりにも)に水疱ができる伝染性のウイルス感染症です.
ふつうは軽症で,数日の経過で自然になおる病気です.
しかし,最近,東南アジアのいくつかの国で,脳炎を併発して急死した小児例が報告されています.
日本でも1997年に,死亡あるいは重篤な神経症状を合併した症例がごく少数ですが経験されました.
かかりはじめの2-3日の症状の変化には注意し,ぐったりして元気がない,はげしい頭痛・嘔吐を伴う,高熱が2日以上続く,
ような場合は慎重に対処する必要があります.
このような症状があるときは,はやめに受診してください.
原因としていくつかのウイルスが考えられています.
主なウイルスは、コクサッキ−A16 とエンテロウイルス71 です.
しかし,その他のウイルスによっても手足口病の症状がでることがあります.
一度かかるとそのウイルスに対する免疫はできますが、異なった型のウイルスがふたたび感染し,何回も反復して発症することがありえます.
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- ふつうは,発疹については特別な治療は必要としません.
ときに痒みや痛みを伴うことことがあるので,その時は,抗ヒスタミン剤を出します.

- 口腔内の痛みとそれに伴うかるい食欲の低下程度ですむことが大半ですが,痛みが強いため水分すらとれずに,脱水症になる場合もあります.
- まず水分不足にならないように注意することが重要で,薬物による治療よりも少量でも頻回に水分をとる方が優先です.

- 発症2,3日ごろに,38度程度の熱がでることがありますが,熱にのために全身状態が侵されることはまずありません.
- 通常は解熱剤も必要ありません. 抗生物質は無効です.
- しかし高熱の持続は髄膜炎などの合併症の徴候として重要で,慎重な対応が必要です.

- ときに下痢をなどの腹部症状を伴うことがあります. 消化のよい食事を食べ,整腸剤をのめばすぐに回復します.
- 脳炎の合併があり,高熱,頭痛と嘔吐には注意が必要です.
- エンテロウイルス71型ウイルス感染の場合には中枢神経系の合併症の発生率が高く,コクサッキ−A16型ウイルス感染では心筋炎を合併したとの報告もみられます.
手足口病の流行中に,急性脳炎で急死した例が,マレーシア(1997年)・台湾(1998年)などで見られました.
日本でも1997年に、死亡例,重篤な神経症状を合併した例が日本感染症学会,日本小児科学会,日本小児神経学会で報告されています.
国立感染症研究所ではそれらのウイルスの分析をおこなっていますが(Jpn J Inf Dis 52:12-15, 1999),新型のウイルスによるものかどうかの詳細な解明にはいたっていません.
- 普通は幼児を中心とした病気ですが,小学生にも流行がみられることがあります.
成人での発症はそう多いことではありませんが,小児期に罹患せずに免疫がなければ,当然成人でも発症します.
- この場合皮膚症状はかなり強く出現しますが,全身症状は軽く,まず心配ありません.
- 治療は小児の場合とおなじです
- 妊娠中のおかあさんが手足口病となることもありえます.
- エンテロウイルス感染により胎児異常がみられるか否かについては,きちんとした調査報告はなく不確実です.
- しかし,これまでのところ手足口病による流産・胎児異常の報告は,極めてまれで,妊娠経過について慎重に観察をする必要はありますが,
まず心配ないと考えてよいでしょう.
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手足口病は,回復した後もウイルスは長期にわたって糞便中に排泄されるので、急性期のみの登校・登園停止による流行阻止効果は疑問です.
手足口病の大部分は軽症の病気であり,ごくまれな髄膜炎・脳炎などの合併症について注意すれば,全体として問題は少なく,全身状態の良好な患児にあえて登校・登園停止をする意義はありません.
ただし,うんちに対する注意と手洗いの励行は感染予防として必要なことです.
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