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インフルエンザは,流行時には人口の10%近い罹患数が推定される
(日本で1000万人を越える人がインフルエンザにかかる)ありふれた病気でありながら,対応を誤ると命にもかかわる危険な病気
(流行時で0.05%-0.1%の死亡率)でもあります.
有効なワクチンで,きちんとした予防をすべきで,もしかかってしまったら家で寝ていないで,
はやく医療機関にかかり,正しい診断をうけ,治療をうける必要があります.
i)感染力がちがいます
ふつうのかぜは飛沫感染で,ごく近くの人にしかうつりませんが,インフルエンザは空気感染で,はるかに広い範囲の人に危険をおよぼします.
家族内はもとより,職場,学校,病院,施設などでの集団発症もまれではありません.
ii)症状の重さがちがいます
ふつうのかぜは,微熱がでて,鼻水や咳がうっとおしいのですが,おもには鼻・のどなどの上気道にかぎられた病気で,
無理をしなければ数日の経過で自然になおります.
インフルエンザは40℃近い高熱がでて,頭痛,筋肉痛,関節痛をともなって,倦怠感がつよく,全身性疾患といえます.
また喘息などの基礎疾患がある場合には,これを著しく悪化させます.
脳症,肺炎など重篤な合併症を併発することもあり,この場合には,死にいたる危険性もありえます.
(インフルエンザによる超過死亡は日本の流行年で,5千人から2万人と推定されています)
日本では,未だにインフルエンザワクチンの効果を疑問視する向きもありますが,このワクチンの有効性は,国際的にはすでに確立された事実です. 健康な成人では70-90%の発病予防効果があり,小児,老人でも重症化阻止の効果はきわめて高いものです. 一方,副反応は許容できる範囲と考えられ,日本のワクチンの安全性は特にすぐれています.
喘息などの基礎疾患のある人,教師,医療関係者,警察官,消防士など公的な職業に就いている人,受験生,
施設などで集団生活をする人などは特に優先的にワクチンを受けるべきです.
特有の症状,流行状況などよりインフルエンザを疑い,鼻腔の分泌物を検体にして,迅速診断キットを用いて検査をすれば,診断は比較的容易です. 迅速診断キットは,感度・特異性ともにすぐれており,信頼にたる検査法です. きちんと検体採取ができれば,小児では90%以上の正診率が期待できます.
ノイラミニダーゼ阻害薬の登場は,インフルエンザの治療を大きく変えました.この薬は,
i)インフルエンザA型,B型ともに有効,
ii)耐性ウイルスの出現頻度が低い,
iii)HA抗原非連続変異株,すなわち新型インフルエンザウイルスに対してもおそらく有効,
IV)予防薬としても有効,
などすぐれた特徴を持った画期的な抗ウイルス剤です.
しかし,10代の若い人に報告された異常行動などの注意すべき副作用もあるようです.
現在のところ確実な情報はなく調査が進行中ですが,この年代の人たちに対しては事実上処方できなくなっています.
また,ノイラミニダーゼ阻害薬のようなすぐれた治療薬を使ったとしても,インフルエンザは重篤な病気であることにかわりはなく,
特に小児の脳症と高齢者の肺炎には,気をつけなければなりません.
インフルエンザ診療については,解熱剤を使わない薬物療法,適切な全身管理,二次感染予防など小児科的,
内科的管理が大切であることはこれまでと変わりありません.
流行期に急に高熱がでたら,我慢して寝ていないで,ただちに,インフルエンザの診断と治療に対する最新の知識を持ち,
なおかつ全身管理をきちんと行える医師の診療をうけて下さい.
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