聴いた、観た、買った ---淡々と音喰らう日々。

2000.03.01-15

>03.16-31
<02.16-29
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★は借りた新着、☆は新規購入。


3/1 まだ勤めの行き帰りはテープなのである。早くDiscman買えっつう心の声もあるが諸事情あってなかなかそうも行かない。子持ちはつらいっす。いや子持ちだからって必ずしもそういうもんではないか。

アベレージ・ホワイト・バンド『ベスト』 The Average White Band: The Best of...
1996年だったかにブルーノート東京のライブに行ったのだが、その頃知人からコピーしてもらった、いわば「ライブ予習用」のテープ。だがライブの方が圧倒的にカッコ良かった、というか乗れた。スタジオ盤は何故か陰にこもるようなグルーヴで、まあまあと言ったところ。"Pick Up Pieces"はやはり名曲。

マシュー・スウィート『アルタード・ビースト』 Matthew Sweet: "Altered Beast" (BMG, 1993)★
このへんで一頃話題になっていて、ま、そのうちと思ったら図書館で目の前にあったので借りて来た。話題にのぼっていた盤はこれではないようには思うが、別に比較する訳じゃないからまあいいかな。

しかしこれ、いいなあ。いわゆるメロディアスなロックンロールとしては珍しく、ビートルズ/マッカートニー的な語法から自由な場所にいるような。一聴、Owsleyなんかにも共通するかと思うのにまるっきり正反対な印象を受けるのは、その辺の態度の違いのせいだろうか。んー大雑把に言えば思い詰めちゃいかんのだよポップソングは、てか歌は。いやその、内容が思い詰めたものかどうかというのとは別の次元で。むしろ楽器を手にしてどうするか。歌うときどうするか。歌ってる瞬間までどう構築するかにばかり意識が向いてちゃいかんだろう、というのがOwsley、ってとこだろうか。

3/2 ワン・チャン『モザイク』 Wang Chang: "Mosaic"
1986年頃だったか。プロデュースのPeter Wolfというのは確か元J. Geils Bandではなかったか。確かにそういう好みが曲作りに滲み出る部分もなくはないが、80年代がハウスに出会うことなくデジタル化をひた走ったらこうなったであろうと思わせるような、タイトでスピード感あるビート。意外とこれと似たようなものはその前も後も出てないんじゃないか。個人的には結構好き。

仕事のあと髪切りに。サリフ・ケイタ『フォロン』 Salif Keita: "Folon" (1995)が掛かっている。アフリカのポップ・ミュージシャンについては全くと言っていいほど踏み込んでいなかったので、ああこれがあのサリフ・ケイタか、という感慨もあるが、しかしどう位置づけていいのか、今一つよく解らないなあ。なのでそういう概括的な知識を一切抜きで感じたところを言えば、ブラジル音楽MPBの獲得してきた語法とどこか近いものがあるように思うのだ。1970年代まではあまり問題でなかったように思うが、80年代に進展した音源の電子化/デジタル化、演奏の機械化というのは、欧米以外の音楽に対しては非常にこなれない形で蔓延したと思うのだ(もちろん、欧米はこなれていたから良かった、ということでは全然ないのだが)。ブラジル音楽について言えば、それが独自の語法のもとに再編されて非常に面白い音が出始めたのが90年代に入ってからだと思っているが、それと同じようなことがサリフについても言えるような気がしたのだ。

などと考えつつ聴いていると、次に聞こえてきたのが V. A. "Free Soul Walk" 。ライナー借りてラインアップ確認するが、フリー・ソウルって何か好きになれない。さまざまな出自の音楽を広く聴いて、固有の視点からジャンルを再編するっていう姿勢は構わないんだけど、どうもその軽さが気になって仕方がない。Suburbia Suiteの橋本徹らが対談で繰り広げる解説には業界内輪話ノリがプンプン。そういう「業界ネタひけらかしによる落差商売」ってのは、秋本康ととんねるずとバブルと共に沈没したんではなかったか。別に、音楽が商品であること自体に異存はないが、消費することってそんなに偉いかい?

帰宅後、Matthew Sweet: "Altered Beast"。ハマってます。

3/3 ブラン・ニュー・ヘヴィーズ『オリジナル・フラヴァ』 The Brand New Heavies: "Original Flava"
ブリティッシュ・ジャズ・ファンクの名物グループ。よりアコースティック度を増したメジャーデビュー盤より、それ以前のレアトラックを集めたこちらのほうが「よそよそしくない」のは奇妙だが本当。

ウェイン・ショーター『ネイティヴ・ダンサー』 Wayne Shorter feat. Milton Nascimento: "Native Dancer"

3/4 ミルトン・ナシメント&ロー・ボルジス Milton Nascimento/Lo Borges: "Clube da Esquina"

で、やっと買った、Discman。だが...知らなかったよ、既にDiscmanという名ではないのね。"CD Walkman"。何つう即物的な。これはMD Walkmanが出た煽りを喰らって一緒にされたのかな。商標の統一って何か聞こえはいいけど、実態はダサダサなことが多い気がするな。

3/5 ディック・リー『マッド・チャイナマン』 Dick Lee: "The Mad Chinaman"
ボカ・リヴリ Boca Livre
(1979)
生まれたての初々しさが充溢する気がするのは、今となってはあまり使われない深いエコー処理も一因か。まあそれだけはないのだろうが。較べると後年の"Dancando Pelas Sombras" はどうにも練れすぎていて、というか破綻がなさすぎてむしろ物足りなく感じるくらい。

3/6 ユッスー・ンドゥール『アイズ・オープン』 Youssou N'dour: "Eyes Open" (40 Acres and a Mule Musicworks/Sony, 1992)★
ユッスーも偶々目の前の棚にあったから借りて来たクチ。先日サリフ・ケイタを聴いたのも何か面白い偶然ではあるなあ。そしてサリフについてとある種共通の印象を持つ。彼の世界デビュー盤あたりは、「ピーター・ガブリエルまんまだよ」なんて風評があって関心を持たなかったんだけど(これって風評被害?)、ちょっと反省。以前ライブ映像で見た、彼の古い曲「ネルソン・マンデラ」のような、ミニマルなリズムの繰り返しがテンションを高めていく感じが、エレクトロな音使いなどをうまく取り込みつつもその強靱さを失わずにいるのは、やはり魅力的。

ロー・ボルジス Lo Borges: "Meus Momentos 2CDs"

3/7 イヴァン・リンス Ivan Lins: "20 Anos"
矢野顕子 "Go Girl"

3/8 Matthew Sweet: "Altered Beast"
Youssou N'dour: "Eyes Open"
ライル・メイズ Lyle Mays: "Fictionary"
(Geffen, 1993)
深夜の友。"Fictionary" という fiction + dictionary の造語が与えるイメージどおり、深夜ひとりでいる時にこぼれ出る奇妙な空想、を思わせる。結構飛べる1枚。

3/10 Wayne Shorter feat. Milton Nascimento: "Native Dancer"
ハイポジ『かなしいことなんかじゃない』
(Kitty, 1996)

公私にわたって多忙な日々なので、聴いてはいても結構流してるなあ。感慨を持たないで聴く音楽は勿体ないか。ま、そんなこともないとは思うけど。

クイーン『グレイテスト・ヒッツ』 Queen: Greatest Hits (1981)

3/11 Lo Borges: "Meus Momentos 2CDs"
スザンヌ・ヴェガ Suzanne Vega
(A&M, 1985)
連れ合いのリクエストにより久々に登場。NY社会派ニューフォーク?シンガーのデビュー盤。音量上げて聴くと実は細部の処理に凝っていて、思っていた以上に奥行きのある音。歌詞も色褪せないなあ。

ジプシーキングス『ジョビ・ジョバ』 Gipsykings: "Djobi, Djoba"
ビセンテ・アミーゴ『我が心を風に解き放てば』 Vicente Amigo: "De Mi Corazon Al Aire"
休日は割とスペイン系の出番多し。

『マザーグースコレクション』(Ladybird Books/いずみ書房, 1994)
英Ladybird制作による子供用の録音。マザーグースなんだけど、曲によっては自分たちの知っているのと違う節回しだったりして驚く。録音の方針自体は音楽に忠実というより、話し言葉としてのリズムやニュアンスを生かすやり方。そのせいもあって、童謡として聴かせるには随分ともたつくノリ。おまけに演奏がおざなりなので、あまり聴かせていなかったのだが...まあリクエストとあっては仕方ない。

Ivan Lins: "20 Anos"
スガシカオ "Family"
(Kitty, 1998)
フリートウッド・マック Fleetwood Mac: "The Dance" (Reprise, 1997)
再結成ライブ。最後のスタジオ盤『牙』"Tusk" が1982年頃だったはずだから、15年振りくらい。そのせいか、手練れの演奏に比してMCが不釣り合いに素人くさかったりするのが、何だか微笑ましくもある。

それにしても、エンディング "Don't Stop" 素晴らしい! 何か最近聴くロック系のアルバムって、OwsleyもMatthew SweetもBen Folds Fiveも、Semisonicでさえそうなんだけど、何でアルバムをしんみりした曲で締めたがるのかねえ。この大御所バンドのライブ盤みたいに、華々しくぶっ放してお開き、ってのは実に気持ちがいいのだ。このトラック、1つ前の "Tusk" から登場した、古代ギリシャ(ローマ?)風の怪しげな鎧甲に身を包んだ Trojan Marching Bandなる謎の集団(というか、USCの学生楽団らしい。何考えてんだか、面白いけど)がホーンセクションを務めていて、そのにぎやかなことと言ったらない。

この"Don't Stop"もそうだが、Christine McVieの書くロックチューンが何故か好きであることを再認識する。カントリーテイストの入ったミディアムテンポのロックチューンを書くのが上手いと思うのだが、その彼女がキーボーディストというのは何だか意外だ。普通こういう曲を書く人はギターで作ると思われているのに。

3/12 ジプシー・キングス Gipsy Kings: "Compas" (P.E.M. Columbia, 1997)

3/13 エリス・レジーナ『或る女』 Elis Regina: "Essa Mulher" (WEA, 1979)
うちのラインアップにはパンチの効いたサンバが少ない。そういうのが欲しいときはこれ。オープニングのバーデン・パウエルのナンバーでガツンと。

トゥーツ・シールマンス Toots Thielemans: "The Brasil Project" (Private, 1992)
帰りは帰りでクールダウンできる1枚、とまで考えて持っていった訳ではないが。

パット・メセニー・グループ Pat Metheny Group: "Letter From Home" (Geffen, 1989) "Still Life (Talking)" (Geffen, 1987)
忙しさも一息ついて、何となく久々に聴く。優しく繊細で奥行きのある種類の音楽というのは、せわしない時に聴いてもピンと来ないし、大体がその繊細さに対して失礼な聴き方になってしまうので、そういう時は自然に避けてるような気がする。

3/14 エルメート・パスコアール『神々の祭り』 Hermeto Pascoal e Grupo: "Festa Dos Deuses" (Philips, 1992/1998)
ガツンとアドレナリン。

Ivan Lins: "Novo Tempo" (EMI, 1980)
ジョニ・ミッチェル Joni Mitchell: "hits" (Reprise, 1996)
繊細と言えばやはりこれ。



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